投資環境
※ 本要約はAIが本章の内容のみをもとに自動生成しています。正確な内容は本文をご確認ください。
投資環境概要
■投資環境
インドでは、1991 年の外貨危機を契機に社会主義的統制経済からの脱却を目指し、経済の自由化が打ち出されました。その翌年には海外機関投資家による株式、債権の運用が認められました。米国のシンクタンク、ヘリテージ財団が発表する「経済自由度指数」によると、2024年にインドの経済自由度スコアは52.9で、126位となっています。国連貿易開発会議(UNCTAD:United Nations Conference on Trade and Development)が発表した世界投資見通し調査でも好ましい投資先として、第3 位にランクインし、投資自体に対する期待は大きいものとなっています。つまり、インドという国は「事業を行うことは容易でないが、将来的にはそれに見合うだけの見返りを見込める国となる」ということです。
【ビジネス環境ランキング 2018(190の国と地域中)】
出所:世界銀行「DOINGBUSINESS2018」
■金融市場
ボンベイ証券取引所とナショナル証券取引所の上場企業は合計で8,000社まで達しており、約3,930社である東京証券取引所を企業数では大きく上回っています。外国人の個人投資家がインドの株式市場に直接投資するということは原則としてできませんが、アメリカ市場に上場している米国預託証書(AmericanDepositaryReceipt)やインド株ファンドを通しての間接的な取引は可能です。現在購入できる銘柄はまだ多くはありませんが、今後増加すると見られます。
[ボンベイ証券取引所(ムンバイ証券取引所)]
1875年に設立されたアジア最古の証券取引所で、通常インドの株式市場の市況を表す場合は、ボンベイ証券取引所の主要30銘柄の時価総額加重平均指数であるSENSEX指数が用いられます。
[ナショナル証券取引所]
1992 年から始まった経済の自由化の一環として設立され、1994年から営業を開始しました。現在、取扱金額ではボンベイ証券取引所を抜きインドで最大規模の証券取引所となっています。ナショナル証券取引所の主要50 銘柄の時価総額加重平均指数としてNIFTY 指数を用います。
■為替レート
インドは変動相場制を採用しているものの、場合によってはインド準備銀行(RBI)が介入することがあるため、BRICs 諸国の中でも比較的安定した為替相場となっていました。しかし、現在は2 0 0 7 年
当時に比べて倍近くの円高となっています。2 0 1 8 年度は4 月から現時点の10 月まで平均1 ルピー= 約1.6 円で安定しています。なお、為替介入の際は、外貨や外貨建資産を購入することになるため、外貨準備高は年々増加しており、2 0 23 年1 月時点では5,768億US ドルに積み上がりました。
日本・インド包括的経済連携協定
■経済連携協定とは
経済連携協定(EPA)は、物品の関税、サービス貿易の障壁等の削減・撤廃、投資の保護・促進、ビジネス環境の整備等を通じた経済連携の強化を目的としており、アジアを始めとする成長市場の活力を日本の成長に取込む効果を有するとされています。日本はこれまでにシンガポール、マレーシア、メキシコ等、2025年2月時点で21カ国・地域とEPAを締結しています。
日印関係でも2004年11月、小泉首相とシン首相(いずれも当時)の間で経済連携協定、自由貿易協定(FTA:Free Trade Agreement)の可能性を含め、日印経済関係の包括的な強化を目的として計画がスタートし、2007年より交渉が始まりました。その後計14回の交渉を経て2010年9月に正式合意、2011年2月に署名に至り、同年8月1日から発効されています。
[意義と内容]
経済産業省は日印EPAの意義を「アジア第3位の経済規模を有し、近年著しい経済成長を続けるインドとの間で、貿易の自由化・円滑化、投資の促進、関連分野の制度整備を図ることにより、ビジネス・チャンスの更なる拡大とともに、両国間の経済関係の一層の強化、ひいては日印関係全体の緊密化が期待される。これにより、インドは最大の経済連携パートナーとなる」としており、今後の日印間の経済交流を更に加速させるものと期待されています。
本協定は、日印両国間の貿易のみならず、自然人の移動、投資、知的財産、政府調達、ビジネス環境整備といった広範な分野を含む内容となっています。シン首相は、2010年10月の日印首脳会談の際に、「日本には技術と資金、インドには労働力と市場がある」と述べており、本協定発効により日印両国の相互補完性が発揮され、二国間経済関係が一層強化されることに期待が寄せられています。。
[関税の大幅な撤廃]
現在、日印両国間の物品貿易では、インドからの輸入総額のうち80%及びインドへの輸出総額の約10%が、それぞれ無税とされています。本協定では、物品の貿易に関して、発効後10年間で、日印間の往復貿易総額の約94%、インドからの輸入総額の約97%、インドへの輸出総額の約90%について、関税を撤廃することになりました。ただし、コメや麦、牛肉、豚肉などは日本側の意向で除外されました。日本からの輸出では、自動車部品や鉄鋼製品、機械などの大半が無税になります。
日本側で関税撤廃される予定の総品目数は約7,850品目です。そのうち即時に関税を撤廃するものは約7,140品目で、残りの約710品目については一定の経過期間を経た後、段階的に撤廃されていくことになっています。
鉱工業品については、日本側はほぼすべての品物について、協定発効後関税が即時撤廃されることになりました。これにより、自動車部品等の関税が撤廃されたことから、インドで現地生産している自動車メーカーでは、コスト削減が可能となりました。
日本の各主要メーカーが現地生産を進めていますが、精密なものなど現地調達が難しい部品については日本から輸入して賄っています。インドの自動車市場では小型車が主流であるため、少額のコスト削減が価格競争力に大きく影響します。こうした理由から、関税の引下げはメーカーにとって大きなメリットとなりました。
本協定が発効されてからすべての鉱工業品目がただちに無税になるわけではなく、一定の経過期間が設けられています。インド側が即時に撤廃するのは、品目ベースで8.6%であり、72.1%の品目は10年かけて段階的に撤廃されています。
完全に関税が撤廃されるのは早くても2021年以降とされています。インドの関税制度では、輸入品に対して基本関税(BCD)だけでなく追加関税、特別追加関税等、数種類の関税が賦課されていました。これらの追加的関税は各種国内税に相当するもので、本協定では関税撤廃および引下げの対象とはならず、基本関税のみが対象になっていました。2017 年に物品サービス税(GST)が導入されて以降、追加関税と特別追加関税が統合GST(IGST)に置き変わりましたが、関税撤廃および引下げの対象とはなりません。インドの複雑な関税に対しては、WTO 協定との整合性についての懸念と、制度の運用全体に関する透明性の欠如も指摘されており、日本政府もこれまでの交渉の場において、インド政府に対して改善を求めてきました。
[小売業規制の撤廃]
本協定では、流通サービスの自由化に関する規定が設けられており、小売業の外資規制緩和が打ち出されています。インドの小売市場規模は2024年時点で 約USD 993.1十億(約9,930億ドル) に達しており、2033年には約USD 3,434.1十億(約34.3 兆ドル)に成長すると予測されています。スマートフォンの普及に加え、アプリやソーシャルメディアなどの利用拡大に伴い、実店舗とネット通販を融合した「オムニチャンネル」が、今後の小売市場を後押しする見込みです。 その一方で、「キラナ」と呼ばれる個人事業者が小売業の9 割を占めており、これが供給のボトルネックとなって高インフレを招いています。外資参入を受入れ、サプライチェーンを改善することで小売業の活性化を図り、インド経済の活性化に繋げる狙いがあります。本協定では、問屋・卸売に関しては100%、フランチャイズに関しては単一ブランドに限定して100% 出資を可能にするとされています。
この協定に従い協議が続けられた結果、2011 年11 月に複数ブランド小売業への外国直接投資の解禁が一度は閣議決定されましたが、翌月に即時撤回されました。規制緩和を発表した直後の延期発表であり、期待が大きかっただけに、外資小売企業の株が下落しました。そんな中、2016 年に株式会社良品計画はインド大手財閥であるリライアンスと合弁事業を設立し、日本の小売業としてはじめて外国直接投資(Foreign Direct Investment)の個別許可を取得しました。現在は1 号店のあるムンバイほかデリー、バンガロールに計3 店舗を構えています。2018 年にスウェーデンの大手家具店であるIKEAがハイデラバードに出店したこともあり、今後のインド小売市場は益々の拡大が見込まれます。
2018 年1 月10 日にインド政府は外国直接投資の規制緩和を発表しました。直接投資に係る手続の単純化と、それに伴う外国投資活性化を狙う意図があります。以前は単一ブランド小売業に対する投資は、投資比較49% までは自動認可、それを超える場合は政府承認ルートに従い、事前承認を得る必要がありました。これにより、100%まで自動認可ルートでの投資が可能になりました。非居住事業者は、ブランド所有者であるか否かにかかわらず、インド国内で特定のブランドにおいて単一ブランドの製品小売業を行うことが認められます。製品小売業を行う事業者は、新店舗を開店した年の4 月1 日から5 年間はインド国内からの調達割合が平均で30% に達するように、段階的に国内調達割合を増加させていくことが定められています。
[自然人の移動]
インドへの短期商用訪問者、企業内転勤者、投資家、専門家を含む自然人の移動については、日印両国の自然人の入国手続に関して、円滑化・迅速化および透明性確保のための規定が設けられました。インド側は主に短期の商用訪問者や企業内転勤者に加え、新たに投資家の入国および一時的な滞在を約束するとともに、インドへの商用訪問者の滞在期間を90日以内から180日以内に延長することを認めています。また、2012 年に協定が署名されてから発効が延期されていた社会保障協定についても、2016 年10 月1 日に発効され、社会保障費の二重負担などの問題が解消されています。
[知的財産]
インドでは、中国から流入する模倣品に加え、インド製の模倣品も横行し、日本企業の模倣品被害が深刻化しています。インドにおける知的財産権保護をめぐる環境整備は、日本企業がインド市場に進出す
る際のリスク軽減に不可欠です。この協定には、コンピュータ・プログラムを含む発明の特許取得の可能性、周知商標のさらなる保護および商標の早期審査など、個々の分野でWTO 協定の水準を超える規定が盛り込まれています。
産業別動向
■自動車産業
インドの自動車市場は、中間層の増加により爆発的に拡大しています。インド政府も大量の雇用を生み出す自動車産業を重視しており、今後もさらなる成長が見込めます。
1980 年代、自動車市場の部分的自由化が行われ、スズキが国営企業との合弁で「マルチ・ウドヨグ」を設立しました。生産された「マルチ800」という小型車は、インドでは珍しいデザインで燃費が優
れており、販売台数が250 万台を超える大ヒット商品となりました。スズキが乗用車部門で、ホンダが二輪部門でインドに進出した際には「無謀である」との評価がなされましたが、スズキとホンダはそれぞれ大きな成功を収め、現在もインドの自動車シェアのトップを維持しています。
その後、1991 年以降の経済自由化政策の中で、1993 年に乗用車部門のライセンスを撤廃、2000 年に輸入枠規制を撤廃し、自動認可制のもとで外資に対して100% 出資を容認するようになるなど、外資の出資規制が緩和されました。これをきっかけに大宇、GM、ホンダ、ヒュンダイ、フォード、トヨタなどの世界の有名自動車メーカーが次々とインドに現地法人を設立しました。インドへの新規参入が相次ぐ背景には、国内市場の急成長に加えて、欧州や中東、アフリカなどへの輸出拠点として有望視されていることが挙げられます。なお、2 0 1 7 年7 月からGST が導入されたことによって、ハイブリッド車の売上が大きな打撃を受けています。というのも、GST 審議会によって最終的に決定されたハイブリッド車の実効税率は4 3%
(GST 最高税率28%+Cess(追加税)15%)である一方、電気自動車に適用される税率はわずか12% だからです。増税によるハイブリッド車の価格上昇が避けられない状況で、低価格を重視する消費者が
多い市場だけに、販売への影響も懸念されています。2016 年にはトヨタがハイブリッドの新型プリウスを、ホンダがアコードハイブリッドをそれぞれ投入し、スズキは鉛蓄電池を搭載したマイルドハイブリッドをすでに販売しており、20 年をめどにリチウムイオン電池を使ったハイブリッドを市場投入する計画でした。日本の自動車メーカーはインド市場ではハイブリッドを優先させる戦略だったにもかかわらず、インド政府の急な方針転換に困惑しているようです。
これにより、ハイブリッド車の売上が前年比70% 以上減少している車種もあります。
この大胆な方針転換の背景として、インドは世界で最も大気汚染が深刻な国の一つとされており、これによる死者が毎年1 2 0 万人を超えていることが挙げられます。対策としてクリーンエネルギーの開発
計画を積極的に進めると同時に、太陽光エネルギーの利用を増やす計画にも取組んでいます。ハイブリッド車に対する高税率も、ガソリンを使用する車両の販売を抑制することによって、インドの大気の清浄化を狙ったものと思われます。インド政府は電気自動車の普及を促進し、2030 年までにガソリン車とディーゼル車の販売を打ち切ることを目標としていますが、現状ではインドの充電ステーションの数は全土でも1 0 0 カ所程度しかなく、インフラの大規模な整備が必要不可欠です。
■自動車部品産業
インドの自動車部品産業は、国内OEM向け供給・輸出・補修市場のいずれも拡大が続き、FY2024-25で過去最高の約802億米ドルに到達。投資額も順調に増加しており、今後も自動車部品の生産高はますます増加すると予想さ
れています。進出地域はデリー、ムンバイ・プネ近郊、バンガロール・チェンナイ近郊、コルカタに集中しており、自動車メーカーが拠点を置く地域を中心に部品メーカーも進出しています。また、輸出額も着実に増加しており、将来、自動車部品供給のグローバル・ハブとなる可能性も秘めています。
■IT産業
インド経済が好調を続ける大きな要因となったのが、IT 産業です。90 年代は輸出額が毎年50% 以上の拡大を続け、IT バブルの崩壊後も更に拡大を続けています。IT 産業は赤字の続く国際収支においても大きな黒字となっており、「インドといえばIT 産業」といわれるまでになりました。
インドのIT 産業は、ソフトウェア開発やビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO:Business Process Outsourcing)において大きな伸びを見せました。英語や理数系に強い人材が多く、また賃金も比較的安価であったことや、欧米との時差を利用し開発期間の短縮が可能であったことなどが理由としてあげられます。
インドのIT 企業は積極的にM&A を行い、国際競争力を強化しています。今後はサービスの高度化、高付加価値化により、量的な発展だけではなく質的な発展が予想されます。BPO サービス分野では、新しくナレッジプロセス・アウトソーシング(KPO:KnowledgeProcess Outsourcing)という財務分析やリスク審査、訴訟支援、特許申請などの業務をアウトソーシングするサービスが広がっています。
外部の専門家を活用し自社の競争力の強化に役立てるIT 活用型サービスは、バンガロールやハイデラバード、ムンバイ、プネなどの都市に集中しています。このうちバンガロールは国内最大のハブとなっており、2014 年時点2000 社以上のIT 企業が進出しています。
■電子機器産業
インドにおける経済成長のけん引役となったのはIT 産業であり、その中心となったソフトウェア産業に比べ、ハードウェア産業や家電産業はあまり注目されていませんが、こちらも順調に成長を続けています。
家電製品市場における日系企業のインド進出について見てみると、韓国系企業に一歩遅れを取っているといえます。韓国系企業の成功には以下の要因が考えられます。
・ 現地生産を前提として大規模な初期投資を行い、初代現地子会社の社長に本社の副社長を就任させるなど、当初からインド市場を重要視していた。
・ 現地子会社へ大幅に権限を委譲し、インド人幹部を積極的に登用するなど、現地化を推進した。
・ 宣伝活動に注力してブランドイメージを定着させ、また、庶民層を対象とした低価格戦略を採った。
攻勢を強める韓国系企業に対し、日系企業は、専門ショップの展開拡大や、タイとのFTA を利用するために、インドでの国内生産からタイでの生産に転換するなどの戦略を打ち出しています。
■医療、製薬産業
インドでIT 産業とともに特に注目されている産業が、製薬産業です。特に医薬品はインドの主力輸出商品の一つとなっています。製薬産業の中でもインドの強みは、ジェネリック(後発)医薬品にあります。かつての法制度がジェネリック医薬品を作りやすいものであったこともあり、比較的古くから製薬産業が発展し、インフラや人材の面でも先進国に引けを取りません。
WTO 加盟に伴い特許制度改革があり、これが外資のインドへの投資誘因を高め、新薬発見や臨床試験といった研究などを行うR&D センターの創設を活性化させました。また、地場企業は新薬開発のためのR&D 投資の拡大やM&A の推進などに積極的に取組み、事業環境の変化を迫るものとなりました。
高齢化の進む先進国は医療費負担の軽減のため、ジェネリック医薬品を推奨する傾向にあり、インドの製薬産業は今後も大いに成長が見込める分野です。
投資規制
■外国直接投資に対する規制
日系企業が現地法人や支店、ジョイント・ベンチャーなどを立ち上げてインド国内でビジネスを開始する場合、すべての投資は外国直接投資(FDI)に分類され、以下の複数の法令と通知によって規制されています。
1947 年に独立して以来、国内産業の保護を続けてきましたが、1991 年以降外国資本に市場を開放する動きが出てきました。徐々にではありますが、外国資本規制は緩和されつつあります。
[関連法案一覧]
・ 外国為替管理法(FEMA:Foreign Exchange ManagementAct,1999)
・インド準備銀行(RBI)の通知
・インド政府商工省(Ministry of Commerce and Industry)による通達
・ 統合FDI 政策(Consolidated FDI Policy)
上記のように規制を決定、施行する機関が複数あり、新しい通達が頻繁に発表されるため、最新情報の入手を心がけ、規制の内容を十分に考慮する必要があります。最新の規制の内容はインド商工省の産業政策促進局(DIPP:Department of Industrial Policy &Promotion)のホームページ内の統合FDI 政策に掲されています。
外国直接投資に対する規制は、産業分野/ 活動によって内容が異なります。全体のイメージとしては、FDI が禁止されている産業分野と許容される産業分野に分かれます。
FDI で許容される産業分野は、さらに次の2 つに分かれます。
1. インド政府の事前承認が必要な産業分野
2. 自動承認ルートでインド進出が可能な産業分野
事前承認が必要な産業分野については、ネガティブリストに列挙されており、ネガティブリストに含まれない業種に関しては、インド外国投資促進委員会(FIPB:Foreign Investment Promotion Board)の事前承認を得る必要は無く、100% の外国直接投資が認められています。
■ネガティブリスト
前述のとおり、インドへの外国直接投資には業種ごとに出資比率などの複数の規制が存在しています。当該規制の適用を受ける外国直接投資は「統合FDI 政策」として規定され、個々のケースについて規制内容が設定されています。2 0 1 0 年4 月以降は、統合FDI 政策という外国直接投資の規制を統合した文書が発表され、現在は2017年統合版FDI 政策が最新版のものとなっています。
[ 国有企業に留保される業種]
・ 原子力に関する事業・ 鉄道に関する事業
[外国投資が禁止されている業種]
・ 賭博に関する事業
・ 宝くじに関する事業
・ 2008 年プレスノート3 号で認められた不動産開発、建設業以外の不動産関連事業
・ 小売業(単一ブランド以外)
・ チットファンド業
・ ニディカンパニー
・ 譲渡可能な開発権の取引業
・ 葉巻及び紙巻煙草、煙草代用品
[産業ライセンス取得が義務付けられている業種]
強制ライセンス指定業種
・ 航空用、宇宙用、及び防衛用のあらゆる電子機器
・ 起爆装置、ヒューズ、火薬、ニトロセルロース、マッチなどを含む産業用起爆物
・ 危険性のある化学製品
・ ライセンス取得が義務付けられる一部の薬品、医薬品
小規模企業への24% を超える出資、および小規模企業に留保される特定21 品目の製造活動
原則的には小規模企業への2 4% を超える外国出資は認められず、2 4% を超えている場合には小規模企業が受けている恩恵事項が適用されなくなります。
しかし、2 0 1 6 年中小企業開発法(Micro, and MediumEnterprises Development (MSMED)Act, 2016)により上記の規制が撤廃され、現在は一部の産業のみ規定されています。
また、小規模企業に留保されている21 品目の製造に関しては、産業ライセンスの取得、および50% 以上の輸出が義務付けられています。
指定23 都市の中心部から25km 以内への工場設立
ムンバイ・コルカタ・デリー・チェンナイ・ハイデラバード・バンガロール・アーメダバード・プネ・カンプール・ナグプール・ラクノウ・スーラト・ジャイプル・コチ・コインバトール・ヴァドーダラ・インドール・パトナ・マドゥライ・ボパール・ヴィシャカパトナム・バラナシ・ルディア
[産業分野別の外国直接投資規制]
以下の産業分野/ 活動については、記載されているその他の条件下において、最大で下記の上限値まで外国直接投資が認められます。
資金調達に関する規制
■親会社からの借入に対する規制(外国為替管理法)
インド子会社での資金調達の方法として、以下の①から④の4 つの方法があります。
[増資(資本株式の発行)]… ①
インドの子会社の資金調達の方法として、最も一般的な方法が増資(資本株式の発行)です。増資を行うためには、インド会社法の定める手続が必要です。株主総会の決議が必要となる場合がありますが、100%子会社の場合には株主総会の決議を得ることは容易ですので、特に問題はないといえます。
インド会社が100%子会社の場合、事業分野別の外国直接投資(FDI)の規制もなく、資本株式の発行による資金調達にそれほどデメリットはありません。他の方法に比べて金利の負担もありませんし、使途に制限もありませんので、資金調達としては最も良い方法といえます。
[ 優先株式の発行] … ②
優先株式とは、普通株式に比べ配当金を優先的に受取ることができる株式のことを言います。その代わりに株主総会での議決権がないことが多く、資金調達によく利用されます。
以前は、インド子会社は外国直接投資の規制により、優先株式の発行により調達した資金を運転資金として使用することはできませんでした。優先株式の発行は基本的に外国直接投資には該当せず、外貨借入(ECB:External Commercial Borrowing)に該当します。従来、ECB ローンの資金使途は設備資金使途に限られており、運転資金目的での利用は認められていませんでした。しかし、2 0 1 3 年9 月4日の通達によって、一定の要件をすべて満たすことで、運転資金目的での利用が認められるようになりました。一定の要件とは、以下の3つです。
・ インド国外に居住している貸付人が借入人の株式を25% 以上保
有している
・ グループ会社へのまた貸しの禁止など、ECB の定める禁止事項
に抵触しない
・ ECB の最低平均貸出期間の平均残存期間は7 年以上で、返済は
それ以降に行う
[ 親会社からの借入] … ③
一般に、関連会社間で運転資金を補填するための親会社からの借入
は、よく行われています。インドでもECB として親会社からの借入
を行う方法があり、具体的には以下のような規制があります。
なお、ECB について、インド準備銀行(Reserve Bank of India)
はたびたび新規制を発表しており、2019 年1 月には新たなECB の枠組みが発表され、即日施行されています。
また、引き続き、2019年7月にも、資金使途に関する規制緩和が発表されました。
資金使途制限
ECB により借入れた資金の使途は、下記に制限されています。
・産業分野の投資(資本財輸入、新規投資、設備投資など)
・インフラ関係への投資、民間化のプロセスにおける国有企業への出資
・外国直接投資(合弁会社・子会社の設立、合弁・外国企業への出資)
・ソフトウェア、ホテル、病院事業のための借入(土地購入費以外で、年間1億ドルが上限)
・インフラ開発に対する投資を目的とした、ノンバンクによる借入
2018 年4 月新たに追加でトレーニングセンター、R&D などサービス部門について外国株主からECB の適用の拡大がされました。
2019年7月の改正により、一般事業目的のインド国内での借入に対する返済を目的としたECBについては、最低平均借入期間10年を条件に認められるようになりました。
インド国内での借入の目的が設備投資である場合は、最低平均借入期間7年でECBの適用が認められております。
ECBの貸主の資格
ECB の貸主が間接保有をしている株主や、その他関連法人の場合には、上記運転資金目的による投資を行うことができず、従来どおり設備投資目的に限定されています。
ECB の借入対象業種
借入対象業種は外国直接投資を受けることができる全ての事業体とされています。
従来は製造業やソフトウェア開発業、インフラ開発企業等に限定して明記されており、商社や販売会社等の外国直接投資が制限されていない業種での利用は困難とされていました。
借入金額の上限
自動認可で受けることができる借入の限度額(年度)
・ インフラ事業および製造業を行う企業、インフラ金融向けノンバンク(NBFC-IFCs)、アセットファイナンス向けノンバンク(NBFC-AFCs)、持株会社と純粋投資会社は7 億5,000 万US ドルまたは相当額
・ ソフトウエア企業は2 億US ドルまたは相当額
・ マイクロファイナンス事業を行う企業は1 億US ドルまたは相当額・ 残りの企業は5 億US ドルまたは相当額
上限額を超過する場合
インド準備銀行からの事前認可を必要とし、外国株主からECB を受ける場合には、限度額とともに、自己資本比率に関する規制が適用されます。
ECB を自動認可で受ける場合には、外国株主に対するECB(残高および実行予定額を含む)は、当該外国株主が出資した資本金の4倍以下です。
ECB を事前認可で受ける場合には、当該規制は7 倍以下となりますが、これは500 万US ドル以下(または相当額)のECB には適用されません。
これらの限度額は、インド国外でのルピー建て債券発行制度とは別となります。
[ 海外向けルピー建て社債]
インド居住者である法人は、「マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF:Financial Action Task Force)」加盟国でルピー建て普通社債を発行できます。社債は、当該国にて私募債として発
行するか、あるいは証券取引所に上場して発行します。当該社債を発行する場合、承認取引銀行(AD Bank)経由でインド準備銀行の外国為替部門(ムンバイ)の承認を得る必要があります。海外向けルピー建て社債(Indian Rupee Denominated BondsOverseas)の発行は、企業債務への外資の総限度額2 兆4,4 3 2 億3,000 万ルピー以内でなければなりません。
[ 借入期間]
為替変動リスク特性によって、2 0 1 9 年1 月より対外商業借入は下記のように分類されています。
・ 外貨建ECB … 金額に関わらず最低平均借入期間が3 年
・ インドルピー建ECB … 金額に関わらず最低平均借入期間が3 年ただし、別途規制として以下に留意する必要があります。
-製造業での5,000 万US ドル以下の金額の場合、最低平均借入期間は1 年で可能
-外国株主からの借入かつ最低平均借入期間は5 年でなければならない
[ インド国内での借入] … ④
インド国内の銀行から借入を行うことも可能です。この場合には、外国直接投資規制や外貨借入のような規制はありません。ただし、インド国内の銀行からの借入については、急激な発展によるインフレが要因となり、金利が非常に高くなるというデメリットがあります。
投資インセンティブ
インドでは、外資向けの投資インセンティブは、他国と比較してさほど充実してはいません。主なものとしては輸出企業向けのSEZやテクノロジーパークを整備し、税制上のインセンティブを付与している他、特定地域への投資についての特典付与が挙げられます。
具体的な優遇措置としては、以下の4つが挙げられます。
・地域別の優遇措置
・特別経済区(SEZ)における優遇措置
・輸出志向型ユニットにおける優遇措置
・テクノロジーパークにおける優遇措置
地域別の優遇措置は特に貧困比率が高い北東部の州が対象とされ、雇用創出や州内総生産(GSDP)の成長を目的としています。これにより、インフラや産業開発を推進し、官民パートナーシップ(PPP)を促進することが期待されています。
また、特別経済区(SEZ)、輸出志向型ユニット及びテクノロジーパークにおける優遇措置は、主に輸出促進を柱としており、インフラ整備に加え、税制上のメリットを付与することで外国投資の誘致を図っています。
■地域別の優遇措置
シッキム州を含む北東部の州においては、2007 年の北東部産業投資促進政策(North East Industrial and Investment PromotionPolicy, 2007)による優遇措置を受けることができます。
一方、ウッタラカンド及びヒマチャル・プラデーシュにおける優遇措置は、2003 年の新州産業政策(New State Industrial Policy,2003)により規定されていますが、優遇措置の内容によっては、2012 年3 月31 日までの投資が対象となるため注意が必要です。
具体的な優遇措置は、以下の通りです。
■特別経済区(SEZ)
[概要]
特別経済区(SEZ)は輸出・雇用振興を目的とする特別地域であり「みなし外国地域」として扱われ、税制面で多くのインセンティブを享受することができます。インドにおけるSEZ は、2006 年にルールが発効され、多くの地域で開発が開始されましたが、ルールや手続の不備によって開発が遅延しているSEZ も見受けられます。
しかし、SEZからの輸出額は毎年順調に伸びており、2024年度には13兆5,500 億ルピーを突破しています。
SEZ 輸出額の推移は以下のとおりです。
[SEZの設立状況]
2021 年3 月時点で、265 のSEZ が稼動しており、多くの雇用を創出しています。
これまで日系企業がインドに進出する際は、インド国内市場を目的とする場合が多かったため、SEZ へ進出している日系企業の数は多くありません。しかし、国外に輸出することを目的として、自動車部品メーカーなどがSEZ に進出している事例もあります。
[SEZ 内企業の設立条件]
SEZ 内企業には、前述の通り、外貨の獲得と、雇用創出が求められます。具体的には、事業開始から5 年間で、輸出による累積外貨獲得額が、輸入による外貨支払額を上回っていなければなりません。
この条件を充足できない場合には、ペナルティとして内国法人同様の税金支払義務が遡及適用されます。累積外貨獲得額と、外貨支払額の計算は以下の通りです。
[設立プロセス]
SEZ 内企業は、所定のフォームを提出する必要があります。設立時の必要書類、税務上のインセンティブに関する書類を作成し、承認機関に提出します。なお、産業ライセンスの取得が必要な場合は45日以内、不要な場合は15 日以内に承認されます。
また、現在では工場設立に必要となる届出、登録等が、一括で申請できるようになっています。
[税務上のインセンティブ]
SEZ 内で設立された企業は、以下の税務上のインセンティブが設定されています。開発企業と起業家(入居企業)によって受けるインセンティブが少し異なります。
[間接税のインセンティブ]
・ SEZ 区域内に輸入された物品に対して100% の関税免除
・ SEZ 区域内企業に提供される課税対象となるサービスや開発業
者またはSEZ 区域内企業による物品の売買に対しての物品サー
ビス税の100% 免除
[直接税のインセンティブ]
・ 所得税法10AA 条に制定されており、法人税が最初の5 年間は輸出またはサービスから得られる利益の100% 免除、次の5 年間は利益の50% 免除、最後の5 年間は当期利益のうち、準備金
に振り替えた金額の50% が免除
・ 輸出加工区または自由貿易区に所在していた企業が、SEZ 区域に転換した場合、所得税法に定める10 年連続課税年度の期間は、自由貿易区または輸出加工区で製造、生産やサービスなどの提供を開始した前年の課税年度から開始
・ 最低代替税は開発業者、企業ともに免除
・ 配当分配税は開発業者のみ免除
・ 開発業者に対して、開発から15 年間のうち継続した10 年間分について100% 免除
■輸出志向型ユニット
輸出を主な事業として行う企業は、一定の条件の下、100%輸出志向型ユニット(100%EOU)として認定を受けることができます。100%EOUとして認定を受けた企業は、以下のような条件を満たせば、恩恵を受けることができます。
[条件]
・1,000万ルピー超の設備投資を行い、事業開始から5年間で、外貨獲得額を純額でプラスにしておく必要がある。累積外貨獲得額と、外貨支払額の定義は、SEZと同一。また、輸出総額について、350万USドル以上、もしくは輸入CIF額の3倍を達成すること
・電化製品の製造業者も同様に、事業開始から5年間で、前述の条件と同様、外貨獲得額を純額でプラスにしておく必要がある。また、輸出総額について、100万USドル、もしくは設備投資の輸入CIF額の3倍を達成すること
・製造会社、もしくはサービス業者である必要があること(販売会社は認定を受けることができない)
[税務上のインセンティブ]
・輸入にかかる関税、インド国内での調達にかかる物品税、サービス税、中央販売税が免税される。ただし、州内調達にかかるVATに関しては、州ごとに規定が異なるため、事前調査が必要とされる。
[その他のインセンティブ]
・ 小規模企業に留保される品目の製造について、通常求められるライセンスの取得が免除される
■電子ハードウェア技術パーク、ソフトウェア技術パーク、バイオテクノロジーパーク
電子ハードウェア技術パーク(EHTP)、ソフトウェア技術パーク(STP)、バイオテクノロジーパーク(BTP)は、前述の特別経済区(SEZ)、100% EOU 同様、輸出を主な業務として行う企業に対する、免税スキームの一種です。技術関連の業種に注目した、ユニークな免税スキームであり、認定を受けた企業は以下のような制限の下、恩恵を受けることができます。
[制限]
・ 事業開始から5 年間で、外貨獲得額を純額でプラスにしておく必要がある。累積外貨獲得額と、外貨支払額の定義は、SEZ、100% EOU と同一
・ 製造会社、もしくはサービス業者である必要があり、販売会社は認定を受けることができない
[税務上のインセンティブ]
・ 輸入にかかる関税、インド国内での調達にかかる物品税、サービス税、中央販売税が免税される。なお、州内調達にかかるVATに関しては、州ごとに規定が異なるため、調査が必要
・ 国内で調達した石油にかかる税金の一部が還付される
[その他のインセンティブ]
・ 小規模企業に留保される品目の製造について、通常求められるライセンスの取得が免除される
ダウンストリーム・インベストメント規制
外国企業がインド企業に投資をすることを直接的投資、外国企業がインド国内の現地法人や合弁会社を通じて他のインド企業に投資することを間接的投資といいます。このうち、後者の間接的投資による投資方法のことをダウストリーム・インベストメント(DownstreamInvestment)と呼び、一定の規制が設けられています。
ダウンストリーム・インベストメントに関する規定は、プレスノート2009 年2 号と4 号に記載され、プレスノート1997 年3 号とプレスノート1999 年9 号の不明確な規定が明確化されました。
■ダウンストリーム・インベストメントにかかるケース別の規定
プレスノート2009 年2 号と4 号が発行されるまでは、必ずインド外国投資促進委員会(FIPB)の事前承認が必要とされていました。1999 年9 号の規定では、投資手続を単純化するべく例外を定め要件を満たしている場合に限り、自動承認が可能となりました。しかし、その例外にどのような会社が該当するのかが曖昧となっており、そのあたりの内容を再定義させるためにプレスノート2009 年2 号と4 号が発行されました。
また、プレスノート2009 年2 号と4 号では、実際にダウンストリーム・インベストメントが行われた場合の外国直接投資(FDI)の計算方法も規定されました。
[純粋事業会社に投資する場合]
純粋事業会社(Only Operating Company)に投資を行う場合、直接投資であるか間接投資であるかにかかわらず、通常のFDI の投資上限規制に従っている限り、FIPB への事前承認等は不要となります。
たとえば、日本企業のインド現地法人または日本企業が過半数を保有する合弁会社が、他のインド内国法人の株式を取得する場合であっても、インド内国法人が純粋事業会社であれば、原則FIPB の事前承認は不要となります。
[事業会社兼投資会社に投資する場合]
事業会社兼投資会社(Operating-Cum-Investing Company)とは、インド会社法に基づいてインド国内に設立された会社であるため、インド居住者扱いになります。よって、外資規制は関係ないという見解もありますが、その会社が外国資本により所有またはコントロールされている場合、実質的にはその会社は外国資本となり、その会社による他のインド内国法人への投資は、外国直接投資(FDI)の規制が課されます。
[純投資会社に投資する場合]
外国企業が投資のみを行う投資会社、すなわち純投資会社(Inversting Company)に外国投資をする場合、外国投資の額や範囲に関係なく、FIPB の事前承認を得る必要があります。これは外国投資がインド国内の投資会社を通じて他のインド内国会社に投資することを、FIPB が把握しておきたいという姿勢の表れだといえます。また、事業会社兼投資会社と同様に他のインド内国会社に投資する段階で、FDI の規制が課されます。
[非事業・非投資会社に投資する場合]
非事業・非投資会社(Nonbusiness, Non-Investment Company)とは、事業も投資も行っていない会社をいいます。なぜ事業も投資も行っていない会社に投資をするのか、またそれに対して規定がされているのか。その理由は、仮に外資系投資会社が事業も投資を行っていない会社をインド国内に設立した場合、今は休眠状態かもしれませんが、投資後に事業を開始し、投資を行うことでFIPB の規制を潜脱することが可能となります。これを防ぐために、非事業・非投資会社に対する投資に関しても規制されています。規制の内容は、純投資会社と同様です。
今回の規定で共通している点は、誰に投資をするのかを焦点に規定されていることです。従来は、誰が投資するのかに焦点が当たっていましたが、投資先となる会社に着目をしています。
[外国投資比率の計算方法]
プレスノート2009 年2 号と4 号では、実際にダウンストリーム・インベストメントが行われた場合の外国直接投資(FDI)の計算方法も規定されました。
ここでは、孫会社に対する外国資本の出資比率をどのように算定するかがポイントとなります。外国企業が投資しているインドの子会社から孫会社に投資する場合は、一定の要件に従い外国投資比率が計算されます。
原則として、次のいずれかの要件を満たす場合は、孫会社を「所有(Owned)」または「支配(Controlled)」しているとみなし、子会社から孫会社への外国投資比率は、子会社から孫会社への投資比率と、親会社から孫会社への投資比率の合計で算定されます。
・インドの子会社の株式の51%超所有すること
・インドの子会社の取締役の過半数を指名する権利を有すること
ただし、例外として、子会社から孫会社への出資比率が100%の場合には、「100%子会社への再投資」という例外規定が設けられており、親会社から子会社への出資比率が孫会社の外国投資比率として計算されます。
以下、ケース別に外国投資比率を検証します。
この例外規定を利用すれば、外資規制による投資上限のある事業分野を設立したい場合でも、100% 子会社とすることで外資規制による投資上限を超えることができます。
たとえば、外資規制上の投資上限が74% である電子通信事業の場合、通常のケース2 で投資をすると、74% までしか株式が取得できませんが、D社を100% 子会社にすることで、例外規定が適用され、D社の外資比率は60% となりD 社の100% の株式を保有することができます。
各地域の工業団地
■ハリヤナ州
州都:チャンディガル
デリーとそれに隣接するハリヤナ州グルガオン市、ウッタル・プラデーシュ州ノイダ市を合わせた地域は、インドに進出する日本企業のおよそ半数が集まる地域です(インド全体1,209社中約399社、2014年10月現在)。日系企業を顧客対象として事業を行う場合に、地理的な強みがあります。またショッピングモール、日本食レストラン、欧米系レストラン等生活インフラも整っています。デリーの不動産の値段は、世界に知れわたるほど高騰しており、近年、会社、住居ともにグルガオンに移動する傾向にあります。
グルガオンでは、他地域にはあまり例がない高層マンションや近代的なショッピングモール「CyberGreensOfficeComplex」等の高層ビルが見られます。この地域の発展はめざましく、地価が年々20~30%上昇していますが、その一方でまだまだ未開発の場所も残されています。
これまで州の産業誘致策は、隣接州であり貧困率20%台のラジャスタンほど熱心ではありませんでした。しかし最近は、デリーから適度な距離にある進出先として熱い視線を集める中、州政府も産業誘致に本腰を入れています。
現在発表されている新産業方針(NIP:NewIndustrialPolicy)では、総額23億ルピーの投資と10,000人の雇用創出を打ち出しています。既に、総額8兆7,000億ルピーの投資を見込む20の特別経済区に関する法案が成立し、10の特別経済区が中央政府の承認を得ています。
この地域はデリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC:Delhi-MumbaiIndustrialCorridorProject)の一角です。国道NH8号線沿いに位置するマネサール、ニムラナ等は特に開発が進み、それに伴い不動産も年20~30%の勢いで値上がりしています。
外資製造業の中には、グルガオンにオフィスを置いて人事管理機能を担わせつつ、より郊外のラジャスタン州に工場を置き、遠隔で労務管理をする例も見られます。
[マネサール工業団地]
マネサール工業団地はデリーから国道NH8号線沿いに南西約50km、DMICエリアに立地しています。ハリヤナ州産業開発公社(HSIDC:HaryanaStateIndustrialandInfrastructureDevelopmentCorporation)が開発、販売したもので、デリー南西部にある衛星都市グルガオンに近いためニューグルガオンともいわれています。
日系企業が最も多く集まるデリー・グルガオン地域に近く、インディラ・ガンディー国際空港まで約30kmと便利なことから、35社の日系企業が立地しています(2013年11月現在)。その利便性から、近年では地価が約9,000ルピー/㎡と、他地域以上に高騰しており、空きもほとんどない状態です。
スズキのマネサール工場を中心として自動車部品関係の企業が3分の2を占めています。
主な日系企業
スズキ、ブリジストン、デンソー、本田技研工業他
■ウッタル・プラデーシュ州
州都:ラクナウ
ノイダ地区
ウッタル・プラデーシュ州は、インド最多の人口を有し、南西側の州境付近には、タージ・マハールで知られるアグラがあります。農業州で貧困の度合いが強く、これまでは投資の誘致に積極的であるとはいえませんでした。
しかし近年、デリーに接して国道NH24号線で連結するノイダ(Noida)と、それを囲うグレーター・ノイダ(GreaterNoida)が、外国資本の注目を集めています。内陸にあるため、港からのアクセスに不便で、物流に関して難はありますが、現在進行中のDMICや建設中のヤムナ高速道路にも近いため、それらが完成した暁には、その恩恵を受け、大きな成長が見込まれています。
州の姿勢としては、ノイダ等にある既存の工場地の拡張を中心に、プライベートセクターに開発を委ねる方向を目指していると考えられます。ノイダへの進出企業としては、日系ではホンダ、パナソニック等が知られています。また、インドでマーケットシェアを握る韓国のサムスンも、ここで家電製造を行っています。デリーの南西にあるグルガオンが急速に国際都市化する一方で、ノイダは比較的緩やかなスピードで成長しています。
デリーとグルガオンが大産業圏化しても、近郊地としてのノイダの価値が下落するということはありません。他の工業都市と同様にノイダでもITとアウトソーシングの拠点化が着々と進んでいます。会計系アウトソーシングの大手、アクセンチュアもここに新たなアウトソーシング拠点を置きました。
■ラジャスタン州
州都:ジャイプル
ニムラナ地区
日系のメーカー等事業会社で、インドで用地取得を行い、現地の労働力を活用して製造を含む事業展開を目論むのであれば、まず候補に上がるのはラジャスタン州のニムラナ工業団地でしょう。ここには、ラジャスタン州産業開発・投資公社(RIICO:RajasthanStateIndustrialDevelopmentandInvestmentCorporation)と日本貿易振興機構(JETRO)が共同開発した工業インフラが整備されています。
経済発展に伴い、デリーとニムラナの間にあるグルガオンが新興都市として発展したことから、ニムラナの価値も高まりました。中でも、2006年7月に開発が始まったフェーズ3は、工業用分譲地面積588ac(約238万m2)となっています。日本企業の要求水準に合わせたインフラ整備に加え、日本から派遣された社員が生活を営む上で情報交換を行えるなど、日系企業が集積することによるWin-win効果も出てきています。
デリーまでは、国道NH8号線でグルガオンを経て2時間半ほどの距離にあり、州境付近の国道沿いには観光地として知られているニムラナ要塞(NeemranaFort)があります。ニムラナ-グルガオン間は車で約1時間半程度であり、グルガオンの駐在者の通勤圏内といえます。
デリーの近郊にあってグルガオンが発展中のハリヤナ州とは違い、デリーから一定の距離があるラジャスタン州は、経済振興のための産業誘致に熱心なことで知られています。RIICOはニムラナの一部を日本企業専用工業団地として、目的を限定して開発しました。集団性を尊ぶ日本の企業文化にマッチしており、州政府が日本企業の誘致による州経済の盛り上げを一大事業ととらえ、長期戦略のもとにJETROとの共同開発に取組んだ事情がうかがえます。
海外駐在員にとって、ビジネス環境といったハード面もさることながら、生活が快適であるか、趣味がもてるか等のソフト面も重要な点です。この点、会社の垣根を越えた日本人同士の交流も盛んです。JETROの支援等により、スポーツや旅行を通した余暇の活用も奨励されています。
また、ビザを含めた役所の諸手続、子供の学校事情、健康・医療、生活インフラの向上など、駐在員にとって頭を悩ます話題は尽きませんが、インターネットの有効活用により、事情に詳しい者が適宜に手を差し伸べるような日本人ネットワークが広がっています。
[ニムラナ工業団地]
マネサールから更に南西、デリーから105kmの地域に立地しています。工業用地の確保・取得が難しいインドで、2006年JETROがラジャスタン州政府に働きかけることによって実現した、インド初の税制などのインセンティブ(1万m2以上の契約の際は10%割引がある等)も得られる日系企業専用の工業団地です。フェーズ3の472万m2のうち162万~202万m2が日本に配分されています。
基礎インフラのみを整備した状態で分譲するため1sqft(0.093m2)あたり99年リースの権利で180ルピーとなっています。2013年11月時点では35社の日系企業が既に進出済みです。その他詳細、工業用地の申込については以下をご参照ください。
http://www.jetro.go.jp/jetro/overseas/in_newdelhi/neemrana/neemrana_1012.pdf
主な日系企業
ダイキン、日本通運、KDDI、NTTコミュニケーションズ、その他自動車部品工場
[ニムラナ工業団地第2 工業地帯(2012 ~ 2013 年予定)]
現在ある「ニムラナ工業団地」が約8 割売却済みとなったため、インド北西部のラジャスタン州に日系企業専用の工業団地を設ける計画があります。敷地面積は現在の「ニムラナ工業団地」同等の約240 万㎡規模と予想されています。
■マハラシュトラ州
州都:ムンバイ
ムンバイ地区
マハラシュトラ州の州都ムンバイはインドの都市の中で最大である約1,200万人の人口を擁し(2011年インド国勢調査調べ)、インド国内で第1位、世界第27位の金融センター(2013年ダウ・ジョーンズ調べ)と評価されています。中心市街地にはインド準備銀行、ムンバイ証券取引所、海外金融機関の本店があり、タタ、リライアンス、ゴドレージといったインドの有力財閥系の本社が置かれ、インド国内企業本社が最も集積する、インド経済・金融の中心地となっています。そのため、電気インフラが整っており、ムンバイではインドで唯一停電がほとんどありません。
立地的には北部のデリーと南部のバンガロール、チェンナイの間に位置し流通網が整備されています。また、インド国内で最大の港を有しており、インド北部の玄関とも呼ばれています。
日系企業進出数では324拠点(在インド日本国大使館調べ2015年1月末時点:現地法人・駐在員事務・支店を含む)もの日系企業が進出しています。2013年10月末時点では248拠点であったため、約1年間における日系企業拠点数の伸び率は約23%となっています。進出している日系企業は金融や保険、商社や運輸系の企業割合が高く、一方で地価が非常に高騰しているため、製造業には不向きであるといわれています。
プネ地区
ムンバイに次ぐ第2の都市プネは、ムンバイから約170km離れた衛星都市です。両都市間は国道NH4号線で繋がれており、デカン高原西端の盆地に位置しているため(標高約550m)、気温も年間を通じて15~35度程度と比較的穏やかです。
多くの有名大学や研究施設が集まることから「インドのオックスフォード」とも呼ばれ、インド国内のみならず世界中から学生や研究者が集まっており、インド最大の科学コミュニティが存在しています。また、IT産業が盛んであり、多くのIT産業やソフトウェア開発会社が置かれていることから、インド政府によってIT開発の中心的都市と位置付けるれている。なお、特筆すべき点として、日本語教育が盛んであり、日本語能力試験の受験者数がインドの都市で最も多く、2~3万人中1割が日本語検定1~2級を習得しているといわれています。
国内外の大手企業が集積しており、日本からの進出は現在約50社といわれています(ブリジストン、シャープなど)。
製造業の第2工場としての側面があることから、外資系ではメルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、フィアット、GM、LG、ハイアール等、国内企業はタタ・モーターズ、バジャジオート、マヒンドラテクノロジーズ、TCS、インフォシス、ウィプロ等、自動車製造とソフトウェア開発を中心に集積しています。
工業団地については、国際空港近くの北部にはチャカン、ケード特別経済区(KhedSEZ)、タレガオン、ランジャンガオン等があります。また、南部には、ビレバガード、ケースルディ等があり、メーカーの誘致が期待されています。
[チャカン工業団地(フェーズ1~4)]
「フェーズ1」は国内の二輪と三輪の大手メーカーであるバジャジオート、「フェーズ2」にはヒュンダイとブリヂストン、「フェーズ3」はフォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツ、「フェーズ4」はマヒンドラと、大手自動車関連が大半を占めます。既に、大手自動車メーカーとともに自動車部品会社も多数進出しており、工業用地にはまだ空きがあります。隣接するタレガオン工業団地にはGMなどが進出しています。チャカン、タレガオン工業団地ともに車でプネ市内から1時間と通勤圏にあります。
ビレバガード地区
鉄鋼業が発達しており、国内からはジンダルが、また外資としては韓国のポスコが大規模な鉄鋼製品の加工工場を建設しています。
ナグプール地区
ブティボリ、ミハン特別経済区と2つの工業団地を抱える地区。日系の進出数はまだ少ないものの合成ポリエステル糸メーカーであるインドラマシンセティック等が工場を保有している。
■グジャラート州
州都:ガンディーナガル
モディ首相が牽引し、短期間の間に近代都市へと発展させたモデル都市として世界から注目されているグジャラート州では、インド全土における化学製品の半分以上を占めており、石油化学投資地域(PCPIR:PetroleumChemicalandPetrochemicalInvestmentRegion)という化学産業に特化した地域があり、その中にSEZも立地しています。
8本の高速道路、化学製品用の港が設置されている等、インフラも発展しており、700の大・中規模、31,000の小規模化学工場が立地しています。その一方で、化学エンジニアの学部を持つ39の大学、49の化学関係の講義を行うポリテク(PolytechnicSchool)が立地しており、質の高い人材インフラを育てています。
グジャラート州はインドで2州ある禁酒州(DryState)の一つです。イスラム系住民が多いことから飲酒が禁止され、娯楽の少ない地域ですが、ビジネスでは最も注目されている州の一つです。
現在のところ日系企業は州全体で約60社しか進出していませんが、JETROと西部グジャラート州が日系企業向け工業団地への誘致協力を締結し、日系の中小企業を対象とした工業団地を建設が進んでいます。今後、自動車の部品メーカーなど中小企業の進出が、ますます盛んになると考えられています。
南部のドレラ特別投資地域(DholeraSIR:DholeraSpecialInvestmentRegion)では、日本とインドが協力して開発するデリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC)の第1期事業にも含まれており、今後更なる発展が見込まれています。
アーメダバード地区
アーメダバードは、ムンバイから530kmの距離に位置する、国道NH8号線沿いの都市です。都市人口は約550万人おり、自動車大手のタタ・モーターズが、低価格車「ナノ」の最新鋭工場をサナンド工業団地に建設したことから注目を集めました。タタ・モーターズに付随して部品工場やその他関連工場が集積し、自動車工場のハブとなっています。
プジョーやフォードもサナンドに進出しており、グジャラート州で工場用地を探しているスズキに対しても州政府がサナンドを打診しています。
フォーブズ紙によると、この街はインドで一番開発が進んでいるとされ、将来的に更なる開発が期待されています。日系企業からも着目されており、拠点数ベースでは2014年末には78拠点がアーメダバードへと進出しております。日本人会も発足し、今後の注目度はインドの中でも高まっています。
また、2015年に2年に一度のバイブラントグジャラートが開催された都市であり、インド国内で開かれたイベントの中でも最も盛り上がりのある、多くの多国籍企業が参加するイベントの一つとなっています。
アーメダバードには以下の工業団地があります。
[マンダル日本専用工業団地]
アーメダバードより車で1時間ほどの場所に、マルチ・スズキが工場を建設した。同時に近隣に工業団地を造成し、分譲を行なっている。変電所建設や水道等のインフラも整いつつある。周辺にはマルチ・スズキにより日本人向けの住居やレストラン、商店等を設立する予定であり、グジャラートにおける日系企業集積のコアとなることが期待されている。
[サナンド工業団地]
アーメダバード中心部から約20kmの位置にある。2015年3月時点で、分譲価格としては3,420ルピー/㎡です。
[ドレラ特別投資地域]
ドレラ特別投資地域は、工業開発エリアが500ha、商業エリアが360ha、緑地地帯が800haあり、総面積は1,660haです。DMICの一環であることから州政府が注力しており、工業団地だけでなく、近郊の空港、港湾、高速貨物専用鉄道の開発も計画されています。特にドレラ新空港の建設は豊田通商など日系企業が運営に携わっており、今後も日系企業による開発が期待されています。
アーメダバード、ピパバウ港からも近く、スーラト、バドーダラなどの製造集積地とともにカンバット湾を中心とする「黄金の三角地帯」として、開発の重点エリアに位置づけられています。。
スーラト地区
国道NH6号線、国道NH8号線が通り、アーメダバードから250km、ムンバイから500kmと、ちょうど大都市の中間に立地しています。道路網は整備されていますが、空路ではデリーからの直行便はあるものの、ムンバイからの直行便がなく、アーメダバードまたはバドーダラ経由となる不便さがあります。
この地域の産業としては繊維、ダイヤモンドが盛んで、最近は石油化学(ハジラ工業地帯)も発展しつつあります。生活インフラの整備の遅れ、航空アクセスの不備等から、日本企業の進出はまだ少ない地区です。外国企業は少なく、ローカル色の濃い地域です。
タピ川が6~8年ごとに氾濫していましたが、1998年、2006年と続いた洪水後の復興で近代化が進み、人口は10年間で2倍になりました。現在では、アーメダバードに次いで州内2位の約440万人の人口となっています。
進出企業としては、石油化学大手のロイヤルダッチシェル、リライアンス・ペトロケミカル、インディアン・オイル等が立地しています。大都市の中間に位置し、加えてスーラト自体それなりの規模を持つことから、日本企業にとっては製造拠点というよりも、むしろ販売拠点、物流の中継基地としての可能性が考えられます。
[ハジラ工業地帯]
国道NH6号線が貫く半島全体が工業地帯です。スーラト中心部から工業地帯まで車で15~20分と、市内からのアクセスが容易です。敷地面積は1,347ha、現在のところ45haは開発中で、1,000haは土地取得手続中です。
石油化学の他、発電事業も盛んです。内陸部と臨海部では開発母体が異なり、内陸はグジャラート州開発公社(GIDC:GujaratIndustrialDevelopmentCorporation)が、臨海部は中央政府が統括しています。
バドーダラ(バローダ)地区
アーメダバードから100km、ムンバイから440kmの場所に位置し、国道NH8号線と州道6号線を経由して約3時間でダヘジ港へのアクセスが可能です。また、車で40分ほどの距離(30km)にはバドーダラ空港があります。同州ではアーメダバード、スーラトに次ぐ約160万人の人口を擁しています。
ボンバルティア、ゼネラルモーターズ等の外資系企業が集まる、州随一の国際都市です。日本からも千代田化工建設、三菱重工、パナソニック・バッテリー・インディア等が進出しており、グジャラート州では日系企業が最も多い地域です。
外資が増えた理由としては生活インフラの充実があげられます。郊外5キロ圏内にはインターナショナルスクール、大型ショッピングセンターがあり、大型スーパーマーケットも多数あります。インド料理以外のアジアンレストラン、欧米レストランも多く、最近は日本食レストランも開店しました。
不動産が比較的安く、市内中心から車で30~40分の場所で製造拠点を設けることができる上に、外国人向けフラットも月額4万ルピー程度で借りることができます。ただし大都市ということもあり、労働費はそれほど安くはありません。
[ハロル特別投資地域]
バドーダラ中心部から約20kmの位置にある。立地企業としてGM、日系企業はTOTO等があります。
■タミル・ナドゥ州
州都:チェンナイ
チェンナイ地区
IT都市として有名なバンガロールから国道NH4号線で東に380km(車で約6時間)に位置しており、古くから「南インドの玄関口」として港を中心に栄えてきました。現在もチェンナイ港、エノール港等、国内でも有数の港が集中する港
湾都市です。反面、デリー・ムンバイ等の大消費地から遠いことから、輸出の拠点としての側面が強く見られます。
この地域は製造業の町として知られ、州政府の促進策の下に多くの工業団地を有しています。大手自動車会社の工場が集積しており、付近には日産、ヒュンダイ、フォード等の工場が集まる「自動車ベルト」があります。ヒュンダイの工場があるため、約3,000人の韓国人が住み、近年は日本企業の進出も急速に拡大しています。チェンナイに駐在する日本人は現在約700人で、その半分が日産及びその関連企業の社員です。
労働賃金はデリーや西部マハラシュトラ州、ムンバイよりも20~30%割安になっています。人口の大半を占めるドラビダ系住民は、北部のアーリア系に比べ労働意欲が高く勤勉であり、労使紛争が少ないといわれています。
他都市と比べると工業団地の開発が進んでいますが、すぐに販売終了となってしまうため、現在はスリシティ、日産ベンダーパーク(パート2)を除いて空きがない状態です。
現在、アセンダスと日揮・みずほ、双日とマザーソンがそれぞれ工業団地を建設する計画が進行しており、今後多くの企業を受け入れる受け皿が生まれることが予想されています。
また、東南アジアに拠点を有する日系企業が強みを発揮できるという地の利があります。
[双日マザーソン工業団地]
チェンナイから国道NH4号線沿いに45km、自動車ベルトに位置しています。
双日が2007年に着手し、自動車部品事業で提携関係にあったインド最大の自動車用ワイヤーハーネス等の部品メーカーであるマザーソン・グループと09年に合弁契約を締結しました。工業団地の第一期造成工事は2012年冬に着工予定、2013年夏より入居企業の工場の建設が開始される予定です。
入居枠の30~40社すべてを日系企業に販売することを目指しており、日本人が常駐して入居企業に対応する等、進出が困難とされる中小企業の進出に対する配慮が見られます。インフラについても、団地内に変電所を設けるとともに州からの電力安定供給の獲得を目指す等、安定したインフラ環境が期待できそうです。
その他DMICの一環としてスマートシティ構想に多くの日本企業がかかわっています。
①日立、伊藤忠、東京電力、北九州市等コンソーシアム…グジャラート州ダヘジ
②三菱重工業、三菱商事等コンソーシアム…グジャラート州チャンゴダー
③東芝と東京ガス等コンソーシアム…ハリヤナ州マネスワー、バワル
④日揮、三菱商事、横浜市等コンソーシアム…マハラシュトラ州シェンドラ
スリシティ地区
チェンナイから北55km(約1時間30分)の場所に位置し、アンドラ・プラデーシュとタミル・ナドゥの州境に位置しています。黄金の4角形の一角をなす片道2車線(現在3車線に拡張中)の国道NH5号線が通り、ともにスリシティから75kmに位置する2つの国際航空(チェンナイ国際空港、ティルパティ国際空港)、3つの港(チェンナイ港65km、エノール港50km、クリシュナパトナン港100km)がある等、陸海空の交通インフラが充実しています。
計21,600haの敷地は、SEZ、TDZ、FTWZのいずれかに振り分けられており、地価は約120ルピー/sqftとなっています。
フェーズ1~3に分かれており、「フェーズ1」がインフラ、工場エリア(1,200ac)、「フェーズ2」が住宅エリア(1,250ac)となっています。「フェーズ3」は、いわゆるエクストラの部分で、ゴルフコース等のエンターテイメント施設や、ニーズに応じた設備の開発がされる予定です。
現在のところ日本企業に振り分けられた250acのうち、50acが契約済であり、コベルコ建機、メタルワン、愛三工業等、10社の日本企業が立地、または立地予定となっています(2011年9月末現在)。最終的には1,100haが日本の企業に配分される予定です。
現在のところ650acしか開発が進んでいませんが、完成時には人口が15万人にまで膨れ上がる見込みです。
土地の取得方法としては、住民との間のトラブルを回避するために、政府が地元住民から買い上げたものをスリシティに売却するという形をとっています。また、地域社会への貢献という観点から、労働者のうち最低10%を現地住民から雇用することを政府との間で約束しています。地域貢献を目指している点が、スリシティの大きな特徴となっています。域内にはトレーニング施設を設置し、現地労働者の能力向上のためのプロジェクトも稼動しています。また、地域住民に学校、病院等の施設を安価で提供したり、住宅用地の一部を地域住民のための安価な住宅に充てる等、さまざまな方法で地域との融合を図っています。
こうした地域貢献の恩恵として、アンドラ・プラデーシュ、タミル・ナドゥの両州(スリシティは両州の州境に位置する)から、安値で土地の払い下げを受け、インフラに対する支援等を受けています。
[スリシティ工業団地]
工業団地でありながら、スリシティには居住者に優しい町としての側面もありWork-Live-Learn-Play というコンセプトでつくられています。たとえばゴルフコース、スポーツセンター等多くのエンターテイメント施設を設け、ショッピングモール、フードコート、バー等の建設も予定されています。小学校から大学までの教育機関を設け、近日中には誘致した大型の病院も完成する予定です。
環境面では、全敷地の12.5% を緑地が占めており、それぞれの工業用地の周囲1m に植栽を義務付け、道路には両端及び中央、合わせて3m の植栽を設けることになっています。
土地の値段は約110 ルピー/sqft となっています。住宅としては、土地を買収された元住民のための住宅、工場労働者の寮(1 部屋2 名、1 名当たり賃料月額550 ルピー)、低~中級賃金者のための住居(650sqft ~950sqft / 購入額80 万ルピー~ 200 万ルピー)などがあります。
現時点ではマネージャークラスや外国人用の住宅はなく、現地マネージャークラスはスルールペット(Sullurpet)、CEO 及びその他重役はアナ・ナジャール(Ana Nagar)といった、近隣の町に居住しています。
どちらも近年開発された住宅地であるため、住宅が新しく、道が整備されている上に値段も安い等、好条件がそろっています。スルールペットはスリシティから約30 分の距離にあり、3 ベッドルームのアパートが6,000 ~ 6,500 ルピー、一戸建ての家が13,500 ルピー程度となっています。
アナ・ナジャールはスリシティから約1 時間の距離にあり、賃料はアパート、一戸建てともに25,000 ~ 30,000 ルピー程度です。将来は、ニーズに応じてスリシティの域内に高賃金者のためのアパートが建設される予定です。
デリー近郊マネサール等、工場に限定された工業団地や、バンガロールのエレクトリックシティのような地域社会から隔離されたIT 都市に比べると、地域とのさまざまなギャップを解消し、斬新かつ自然に地域との融和を目指すスリシティは、新たな工業都市のあり方を示唆しています。
ムンバイ、デリーといった大都市近辺の地価がうなぎのぼりに上昇し続け、世界的に見ても高い水準まで高騰した現在、中小企業の新たな進出先として、スリシティは注目されています。
■カルナタカ州
州都:バンガロール/ 正式名はベンガルール
州政府機能を有するバンガロールは、インドのみならず世界のIT産業にとって重要な拠点です。
標高約1,000mの高原にあり、年間を通して気候が安定し、住みやすいのが特徴です。同州は、インド随一といわれるこの快適な気候を武器に、ネットワークインフラの整備によって、一挙に有望なIT人材の集積に成功しました。近年バンガロールは欧米のアウトソーシング(BPO)先として、世界的に認知されるとともに、「アジアのITハブ」、「インドのシリコンバレー」と呼ばれ、インドのみならず世界のIT産業にとっても重要な拠点となっています。
インドはもともと理数系に強い人材を多く輩出してきた国です。バンガロールの良好な気候は、インド全土より働き盛りからシニア層の優れた学歴を持つ人材の移動を促しました。その結果、バンガロールを中心に同州には135の工科系大学があり、毎年3万5,000人か
ら4万5,000人の卒業生を輩出しているといわれています。そうした人材の有効活用を目指し、同州がネットワークインフラに投資したのは自然の流れでした。
ITビジネスは国境の壁を容易に越えることから、国内ITの牙城に変貌したバンガロールに、欧米系の企業が目をつけることになりました。アメリカと昼夜の時間帯が逆転することが、欧米系企業からの投資効果を更に高めました。今や、マイクロソフトやグーグルもバンガロールなしではソフトウェアを生み出せないといわれるほど、IT産業のこの地への依存度は高まっています。
この強みを更に伸ばして絶対的な優位性を確保するため、州政府は米国フィラデルフィアのような市街地のWi-Fi化(無線高速インターネットのアクセス可能化)を進めていますが、インフラニーズは高まるばかりです。
現在、バンガロールに進出している世界的企業は多く、IBM、デル、インテル、ゼネラル・エレクトリック(GE)、サムスン等に加えて、日系のトヨタ自動車、シャープ、三洋電機、ソニー等などが立地しています。主なIT拠点はSoftwareTechnologyParksofIndia,Bangalore(STPI);InternationalTechnologyParkLtd.(ITPL)、ElectronicsCity等があり、インフォシスやウィプロといったインドの大手IT企業の本社もElectronicsCityにあります。
進出企業をみると、IT系だけでなく、自動車や家電等さまざまな業種があります。これは州政府が、航空宇宙産業、鉱物、観光、バイオテクノロジー、自動車、IT、インフラ、電力、食品加工、繊維製品、健康、教育の12産業を今後特に成長する産業として誘致に力を入れた結果といえます。
そうした一方で、急激な集積の反動により、慢性的な交通渋滞をはじめ、オフィス・住居の不足と価格の高騰、生活環境の悪化、都市整備の遅れなどさまざまな問題が顕在化していることも事実です。
人口は950万人を超え(2015年3月末時点)2011年度に実施されたインド国勢調査によると、各都市人口増加率はバンガロールがトップとなりました。10年前と比較し46.68%増加しており、洗練された生活環境と仕事を求めて州外から流入する出稼ぎ労働者も、人口増加の要因となっています。
バンガロールへ進出する日系企業数も増加しており、現在は395社(在インド日本国大使館調べ2015年1月末時点:現地法人・駐在員事務・支店を含む)、また在住邦人数も1,000人を超えて増加を続けています。
バンガロールの特徴として、比較的コンパクトな都市であるという点があげられます。古くから商都として栄えるムンバイの商圏やデリーの商圏は広大であり、移動時間としての間接作業時間が大幅に増大します。一方、南部の大都市であるバンガロールやチェンナイ等は商圏が限られているため、効率が上がるというメリットがあります。
2011年7月には、企業進出の窓口となっている州政府系機関であるカルナタカ・ウドヨグ・ミトラと、バンガロールに進出している日系企業で構成されるバンガロール日本商工会が、工業団地やインフラ整備の情報共有を共同で進めていくことに合意し、覚書に調印しました。
インド南部一の都として、経済の急成長が期待されています。
■アンドラ・プラデーシュ州
州都:ハイデラバード
東はベンガル湾沿いに972キロの海岸線を持ち、グジャラート州(1,600キロ)に次いでインドの州で海岸線が二番目に長いのが、アンドラ・プラデーシュ州です。2014年6月に、ラテンガナ地域は分割され、テランガナ州が生まれました。テランガナ州の面積はアンドラ・プラデーシュ州の約4割で内陸部の約11万平方キロ、人口は約3,500人を管轄することとなります。
内陸部に位置する州都・ハイデラバードは、情報技術産業が集積していることから、「サイデラバード」(Cyber+Hyderabad)とも呼ばれます。2024年以降、ハイデラバードは分離独立したテランガナ州の州都となるため、現在新たな州都の開発や産業振興を外資も導入しつつ急ピッチで進めており、日本企業の参入機会も増加しています。
ハイデラバードはIT企業の進出に伴い大々的な発展を遂げ、インドのシリコンバレーと呼ばれるカルナタカ州のバンガロールに次いで、インド第2のIT産業拠点として注目を浴びています。
「ハイテクシティ」と呼ばれる特別経済区には、マイクロソフト、IBM、オラクル等が拠点を置いています。これらの企業はハイデラバード内にあるインド工科大学(IIT:IndianInstitutesofTechnology)に教育機関を設け、産学協同で人材育成を行っており、こうした情報技術関連の投資環境には、世界から熱い視線を集めています。そうした一方で、2007年5月と8月に相次いで爆弾テロが起こり、多数の死傷者を出したことは記憶に新しいところです。
エーザイは、ベンガル湾に面した港町・ヴィシャカパトナムへの進出を決めています。この地域はゴーダヴァリー川、クリシュナ川という二大河川の流域を中心に農業が盛んで、インド最大の稲作地帯でしたが、医薬品メーカーの誘致を進めてきました。
その結果、アンドラ・プラデーシュ州はインドの医薬品分野の生産高の30%を占めるに至りました。インドの医療品分野の市場は、
2010年に250億ドル規模、2020年に750億ドル規模に拡大すると予想されており、同州はインド医薬品分野の牽引役として注目されています。エーザイはこの地で「原薬」と呼ばれる医薬品の有効成分を研究・製造する予定です。化学合成分野にインド人研究者の才能を活かすべく、数学や化学、ITに秀でたインド人研究者ら130人を雇用しています。エーザイのように才能を求めてインド投資を行うケースは日系企業では珍しく、成果が注目されます。
アンドラ・プラデーシュ州へ進出している日系企業数は、約257社となっています。(在インド日本国大使館調べ2015年1月末時点:現地法人・駐在員事務・支店を含む)2008年3月末に大規模な国際空港(ハイデラバード国際空港:ラジーヴ・ガンディー国際空港とも呼ばれる)が開港したため、外部との人とモノの行き来は、益々増加しています。新空港から市街地へは、道路の渋滞状況にもよりますが、車で約1時間前後です。
またバンガロールに比べれば比較的交通事情もよく、郊外に豊富な土地もあり、更に2014年11月、経済産業省は同州の現ナイドゥ首相と会談し、「産業協力に関する覚書」に署名しました。本覚書の締結は、2014年9月に合意された日印首脳会談における、インドへの直接投資と進出日系企業数倍増計画の実現に向けた取り組みであり、経済産業大臣とインド州首相の間では初の取り組みとなります。
経済産業省と関係機関が同州への日系企業進出や工業団地整備を支援する事や、同州がインフラ整備、投資インセンティブの付与等を通じた投資環境整備に取り組むとともに、プロジェクトへの日本企業の参入支援を行うこと等が合意されています。
加えて、2014年6月に州首相に着任したナイドゥ首相は、1995年~2004年の州首相時代に、欧米の大手IT企業等をトップセールスにより誘致し、まさに現在のハイデラバードをグローバルなIT都市に育てた実績の持ち主であり、その手腕に注目が集まっています。日本からの投資誘致に対しても積極的であり、在インドの日本政府関係者と、投資誘致に向けたワーキンググループも設置されており、両州の今後の更なる成長が大いに期待できます。
■マディヤ・プラデーシュ州
州都:ボーパール
インド大陸中央部に位置するマディヤ・プラデーシュ州は、、農村貧困人口(2,170万人)を抱えるインド第6位の貧困州であり、これまでは投資環境に恵まれているとはいい難い地域でした。しかし現在日印政府のイニシアティブにより進められている、「デリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC)」を構成する州でもあることから、今後は堅調な経済発展が見込まれています。
また未開発の銅鉱床や石灰石、花崗岩、ボーキサイト、木材等天然資源が豊富であることから、原材料の供給源として一考の価値があります。
また、地理的にはインドの中心部にあるため、インド全土を見据えた場合、物流コストの抑制が可能となる地域です。更にインドでは経済発展に伴う電力需要の急増により、電力の需給ギャップが顕在化しており、大規模な電源開発計画が次々に打ち上げられています。その一環としてマディヤ・プラデーシュ州発電会社(MadhyaPradeshPowerGeneratingCompanyLimited:MPPGCL)が同州のカンドワ(Khandwa)市近郊に新設予定のスリィ・シンガジ(ShreeSingaji)発電所において、1、2号機向け出力各66万キロワットの超臨界圧石炭焚きボイラーおよび蒸気タービン各2基を、それぞれ三菱日立パワーシステムズ(MHPS)のインド合弁会社であるL&T-MHPSボイラー社(L&T-MHPSBoilersPrivateLimited)およびL&T-MHPSタービン・ジェネレーター社(L&T-MHPSTurbineGeneratorsPrivateLimited)が受注しました。
運転開始後(運転開始時期は1号機が2018年4月、2号機が2018年8月の予定です。)は周辺地域の旺盛な電力需要に応えることとなります。今後も日本は同州内の発電所の建設・運用に関して、送電線及び変電設備の整備を支援し、電力系統の安定化・送電ロス率の低下及び電力の安定供給の達成を図ることで、同州への注目が期待されます。
不動産の取得
■不動産取得にあたっての留意点
日系企業が独資で進出する場合には、工場用地などを自前で探し出す必要がありますが、その場合2通りの方法が考えられます。
・インド政府や開発公社などが開発した工業団地の利用
・民間企業からの工場用地などの購入または賃借
■インド政府などが開発した工業団地の利用
インド政府や開発公社から工業団地を購入・賃借するのであれば、通常は法的な問題が発生する可能性は低いと考えがちですが、実際にはいくつかの問題があります。
まず、インド政府が地域住民の居住地や農業用地を収容して工業団地を開発することは困難なため、良い土地を見つけることが容易ではないことです。
2008年には、タタ・モーターズが低価格車「ナノ」の生産拠点として工場建設を進めていた西ベンガル州シングールから撤退、移転を余儀なくされました。州政府と土地の強制収用に抗議するグループとの交渉が決裂したためです。産業用地の需要は急拡大していますが、近年、農地の土地収用に絡むトラブルが多発しています。
また、2011年5月にはヤムナ高速道路産業開発公社が予定していた建設用地の買収額が安すぎるとする農民の抗議活動が活発化し、死亡者を出しています。
土地の所有権の問題もあります。インドには、日本のようにしっかりとした登記のシステムがありません。土地の記録台帳が未整備であることから、土地を購入しても土地権益が曖昧であり、後から真の地権者を名乗る人物が現れて訴訟にまで発展するケースも見られます。
また、土地利用権確保後にも地域住民の反対により土地を利用できないケースも実際に発生しています。
工業団地を利用するにあたっての手続や、造成工事の完了までに比較的時間がかかることもあげられます。
実際に工業団地に視察に行ってみると、水や電気等のインフラが整っていないことも少なくありません。ただし、日系企業を誘致する目的で特別に造成される工業団地を選定すれば、完成して環境が整った工業団地を利用することも可能です。進出先を検討する場合には、進出の時期と実際の造成状況を鑑みて、適切な工業団地を探す必要があります。
2005年に外資による不動産への参入規制が緩和されてから、外資系のデベロッパーが開発した工業団地も少しずつ増えてきてはいますが、現状では日系企業が利用しているケースはあまりないようです。
■民間企業からの工場用地などの購入または賃借
民間企業から工業用地を購入または賃借する場合、インド政府や開発公社などの公的な工業団地に比べて単価が高くなります。反面、既存の工場用地のため、水・電気等のインフラ面が比較的整っており、環境が優れていることも事実です。そのため、進出決定から本格操業までの時間が短縮できるといったメリットがあります。
各州の主な土地開発機関
■デリー:RIICO
政府機関としてラジャスタン州産業開発・投資公社(RIICO)があります。RIICOはデリー空港から南西に車で2時間ほど離れたところに日本貿易振興機構(JETRO)の協力の下、日系企業専用のニムラナ工業団地を開発しました。
ニムラナ工業団地は用地不足と土地代高騰等により進出困難な状況であるハリヤナ州グルガオンやウッタル・プラデーシュ州ノイダに比べると安価で交通の利便性が良い上に、日系企業が集積している点とインフラ整備等もJETROからの支援が期待できることから進出が進んでいます。
既に、申込企業約30社(14社生産開始、11社が工場建設を開始)により入居敷地の約8割の区画が予約済みとなっています
(2012年1月時点:デリー・ムンバイ間産業大動脈構想と日本企業専用ニムラナ工業団地より)。
■マハラシュトラ州:MIDC
金融と物流のハブであるマハラシュトラ州ムンバイでは、マハラシュトラ産業開発公社(MIDC:MaharashtraIndustrialDevelopmentCorporation)が中心となり工業団地やSEZの開発・整備を進めています。インフラ整備や土地取得を行い、ワン・ストップサービスで提供をしています。ムンバイの不動産価格は国際的に見ても著しく高騰しており、コスト面で進出企業は深刻な問題となっており、また投資設備やインフラ開発にも悪影響を及ぼすのではと懸念されています。
既に進出している日系企業が直面している課題として、賃借料の高騰もありますが、MIDCは日系企業の誘致を促進したいと表明しているものの何か特別なインセンティブがあるというわけではありませんので、進出を検討している企業は他の州と比較してよく検討する必要があるといえます。
しかし、ムンバイはインドの都市の中で最大の人口を持ち、インド最大の財閥タタのグループ本社やインド準備銀行(RBI)があり内外の金融機関が集積しているほか、国内最大の物流ハブであるため、ムンバイに拠点を置くメリットは大いにあります。
■タミル・ナドゥ州:SIPCOT
近年日系企業の進出先として熱い注目を集めるタミル・ナドゥ州政府の土地開発機関が、SIPCOT(StateIndustrialPromotionCorporationofTamilNadu)です。
州内のメジャーな工業用地のほとんどを所有しており、土地の販売やリース、海外直接投資や間接投資の促進を行っています。また、産業開発を行うにあたって、すべての土地、環境問題、労働問題に対する権限を有しています。外務省や金融庁、さまざまな国際銀行などの機関と連携を取りながら活動を行い、政策、税制、間接税、直接税、インフラ状況(電力、水、ガス等)IT、金融機関などについて一つの窓口での情報提供が可能になっています。
タミル・ナドゥ州は、現在日系企業を含め各企業の注目を非常に集めている土地であり、SIPCOTの担当者によれば、毎日3、4社の企業がチェンナイに視察に来ており、そのうち、大企業は5%で、残り
95%は中小企業であるようです。
SIPCOTは日系企業の誘致にも積極的で、銀行と共催で東京と大阪でセミナーを開催したり、経済開発に関する協定を日本の銀行や自治体と締結しています。実際、日系企業の拠点数は、2006年には65拠点だったのに対して、2011年には286拠点にまで急増しています。今後インド南部の発展の中心となると考えられています。
■カルナタカ州:KIADB
カルナタカ州においては、KIADB(KarnatakaIndustrialAreaDevelopmentBoard)が、州政府の土地開発公社となっています。
日系企業が工業用地を取得する場合、KIADBを通じて取得することがほとんどとなっています。カルナタカ州の窓口として、カルナタカ州産業友好事務局(KUM:KarnatakaUdyogMitra)も、設けられています。
それぞれの機関から、ウェブ上でも情報公開されていますが、情報が古かったりするなど、日系企業が知りたい情報発信が少ないのが現状です。
バンガロール商工会はKUMとも連携し、インフラ情報の発信、許認可手続の支援を進めていけるような活動も進めています。
また、バンガロール商工会は日系企業専用の工業団地としてトゥムクル工業団地の開発の話を、カルナタカ州政府と進めています。州政府は、日系企業専用に900acの土地を留保していますが、2011年3月現在、デベロッパーが未決定であることが当面の課題となっています。
バンガロールへの日系企業の進出数も毎年増えていますが、デリー地区、チェンナイ地区と比べると、伸び率は小さく、バンガロールに日系企業の進出を促していくためには、工業団地やインフラ開発の情報の提供が重要になってきます。カルナタカ州政府に対し、情報発信の働きかけをしていくことも大切です。
空港北部、デワナハリ地区(Dewanahalli)においては、州政府の開発地区でないものの、プライベートなデベロッパーが有する広大で、交通の利便性が良い土地が存在しています。それぞれの地価については、価格は上昇しており、購入を検討する際には最新の情報をKIADBや、地権者から入手しておく必要があります。
それぞれの地区の位置関係は、下図の通りとなります。
参考文献
・ 州政府ウェブサイト
ウッタル・プラデーシュ州
マディヤ・プラデーシュ州
・ 『インドの投資環境』国際協力銀行(出版年:2013/12)
・ 『インド ビジネスリスク ハンドブック』社団法人日本在外企業協会(出版年:2009/03)
・ 関西インド研究会(安間順・岡田有叶・小堀景一郎・山西健市)著『インドへの投資ガイドブック』第一法規株式会社(出版年:2008/05)
[参考資料・ウェブサイト]
・経済産業省「制作一覧」http://www.meti.go.jp/policy/index.html#policy02
・United Nations Conference on Trade And Development(UNCTAD) https://unctad.org/en/Pages/Home.aspx
・一般社団法人日本自動車工業会(JAMA) http://www.jama.or.jp/
・Word Bank Group“Doing Business 2018” http://www.doingbusiness.org/content/dam/doingBusiness/media/Annual- Reports/English/DB2018-Full-Report.pdf
・日本貿易復興機構(JTERO) https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/in/regional/pdf/see_all.pdf
・経済産業省 日インド EPA http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/epa/in/
・株式会社国際協力銀行(JBIC)「インドの投資環境」2017 年 8 月
・日本在外企業協会編『インドビジネスリスクハンドブック』日本在外企業協会、2009 年
・安間順、岡田有叶、小堀景一郎、山西健市『インドへの投資ガイドブック』第一法規、2008
・Department For Promotion of Industry and Internal Trade, Consolidated FDI Policy 2017 https://dipp.gov.in/sites/default/files/CFPC_2017_FINAL_RELEASED_28.8.17. pdf
・インド自動車部品工業会(ACMA:Automotive Component Manufacturers Association of India)
・株式会社良品計画 「日本の小売業として初出店 インド 1 号店・2 号店オープンのお知らせ」2016 年 4 月 12 日
https://ryohin-keikaku.jp/news/2016_0412.html
・UNCTAD「World Investment Report 2022」
・ボンベイ証券取引所https://www.bseindia.com/index.html
・ナショナル証券取引所https://www.nseindia.com/products-services/about-equity-market
・東京証券取引所https://www.jpx.co.jp/listing/co/index.html
・商工省https://pib.gov.in/PressReleasePage.aspx?PRID=1703791