労務
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労働環境
■労働環境
■労働力人口
ラオスの人口はカンボジア、中国、ミャンマー、タイを含めたメコン川流域地帯の中で最も少なく、約651万人(2012年/外務省)です。そのうち労働力人口(15歳以上)は約380万人です。2015年までの予想では415万人まで労働力人口は増えると言われています。ラオスは60以上の民族に分かれていると言われていますが、ラオ族が最も多く、約6割を占めています。宗教は仏教の信仰者が最も多く、約6割となっています。
■産業別就業人口
ラオスの一般就業者の就業構造を産業別に見ると、2 0 1 6年以降、約67%が農業に従事しています。そのため、農業が生活基盤である地域に工場を設けた場合に、農業と工場での勤務の掛け持ちをする労働者も多く、農業の繁忙期に欠勤が多く発生するケースが見られます。
■ 失業率
ラオスの2020 年の失業率は1.03 % となっています。この理由としては、就業人口の多くが農業に従事しており、失業状態となりにく いことが挙げられます。また、農業に従事し、実質低時間の就労しか していない労働者も就業者として含まれているのが実情です。
ビエンチャン市内では働き口の選択肢は多く、高い賃金を求めて他 の工場への転職や、メコン川を挟んでラオスと国境を接するタイ北東部に非合法で出稼ぎに行くケースも多いといわれています。
■ 賃金水準と賃金上昇率
ラオスの労働者の賃金はタイの約2 分の1 ~ 3 分の1といわれています。そのため、安い労働力を活用するために、主に工場労働者を求 め、外資参入が進んでいます。
給与体系は、組織ごとあるいは部門ごと、また役職や労働者の技能レベル、経歴、学歴によって決まります。ラオスの労働者の給与は工 場労働者で45 ~ 60 USドル、事務職員は60 ~ 200 USドル、管理職で400 ~ 1 千USドルとなっています。
労働法
■労働基準関係法令
■労働基準に関連する法規
ラオスでは、ラオス人民民主共和国憲法にて社会経済発展の仕組みづくりを目指して、雇用及び労働に関する法令の枠組みを提供しており、以下の法令を規定しています。
• 国内投資奨励法No.10/NA(2004 年10 月22 日公布)
• 女性の地位向上および保護関連法No.08/NA(2004 年10 月22 日公布)
• 経済紛争解決法No.02/NA(2005 年5 月19 日公布)
• 児童の権利および利害関係保護関連法No. 05/NA(2006 年12 月27 日公布)
• ラオス労働組合法No.12/NA(2007 年12 月25 日公布)
• 労働法No.43/NA(2013 年12 月24 日公布)
• 外国投資奨励法No.14/NA(2016 年11 月17 日公布)
現在のラオスの労働法は1990年11月29日に公布され、1994年3月14日に一部が改正されました。その後、2006年12月に開催された第2回VI期国民議会にて、13年ぶりに労働法の改正がなされ、それまでの全62条から全77条と大きく追加・変更され、細部にわたって修正がされています。
■日本とラオスの労働条件比較
ラオスにおいても、日本の労働基準法に規定される労働基準と同様の基準が規定されていますが、具体的な労働基準についてはそれぞれ異なった規定がされています。
就業時間については、日本では1日8時間、週40時間以内という法定労働時間の大枠が規定されています。一方、ラオスでは1日8時間、週48時間以内が法定労働時間の大枠として規定されています。一般的には、午前8時から午後5時(昼休み1時間)としている企業が多くなっています。ただし、下記に示す危険な業務に就労する労働者は労働時間を1日6時間、週36時間以下としなければなりません。
• 放射線または伝染性の疾病に直接さらされる業務
• 健康に害を及ぼすガスまたは煙を直接吸引する業務
• 危険な化学物質、特に爆発性物質に直接さらされる業務
• 坑口、地下トンネル、水中または高所における業務
• 異常に暑い場所、または寒い場所での業務
• 振動性機械を常時直接使用する業務
また、所定労働時間を超えて働かせる場合には、労働者、労働組合又は労働者の代表の同意を得た上で、1カ月45時間以内で残業をさせることができます。ただし、労働監督機関から事前の承認を受けている場合には45時間を超えて労働させることができます。時間外労働や休日労働の際の割増賃金については、150~300%で割増率が規定されています。
年次有給休暇は、日本の場合には勤務年数によって付与される期間が決まっており(6カ月:10日/1年6カ月:11日/2年6カ月:12日/3年6カ月:14日/4年6カ月:16日/5年6カ月:18日/ 6年6カ月以上:20日) 、付与の条件として上記期間の出勤日数が8割以上とするのが一般的です。
また、出勤時間、出勤日数が正社員に満たないアルバイト・パートについては、その契約に応じた比例付与の制度があります。ラオスでは、1年以上勤務した労働者には15日間の有休が付与されると規定があり、一日6時間を超えない勤務時間の労働者には年間18日の有休が付与されます。
労働者が時間外労働をした場合、その時間につき通常の賃金の1.5倍以上、夜間労働をした場合には、その時間につき2倍以上の割増賃金を使用者は支払わなければなりません。
また、休日の時間外労働については、通常の賃金の2.5倍以上、休日の夜間労働に関しては、通常の賃金の3倍以上の割増賃金を支払わなければなりません。尚、午後10時から翌日午前5時までの間で夜間交代制での勤務を行う労働者に対しては、通常の賃金に0.15倍以上の賃金を上乗せしてを払わなければならないとされています。
■児童、女性の就業制限
ラオスでは14~18歳の年少者を雇用することができますが、18歳以上の労働者と同様に、労働法を順守して雇用しなければなりません。また、危険な仕事、健康に害のある仕事への雇用は禁止されています。禁止されている職業としては、ナイトクラブ、ゲストハウス、ホテル及びレストラン又は武器、爆発物の携帯を必要とする職業とされています。
ラオスでは多くの若者が農村部へ住み、十分な教育を受けられていません。そのため、教育の機会および雇用創出が課題となっています。農村部において子供は労働力の一つとして考えられるため、家業の手伝い等を通じた児童労働が多く行われています。
また妊娠中あるいは1歳以下の子供がいる女性労働者を、重量物の運搬、長時間立ったままの作業に従事させることはできません。また、妊娠中あるいは1歳以下の子供がいる女性労働者がこのような労働環境にある場合には、使用者は最大3カ月間について、軽作業又は新しい作業をさせるようにしなければなりません。
出産については、最低90日の出産休暇を産前産後にそれぞれ与えなければいけません。また、労働者の申し出があった場合には、出産後12カ月間は授乳または子供の世話のための時間として1時間を与える必要があります。
■安全衛生に関する規定
労働環境及び労働者の健康に関する規則は、機械類の使用及び導入に関する保護を含めて、労働組合あるいはその事業所の労働者の代表と相談の上、使用者の責任においてその作業場で規定し、周知させなければいけません。また、労働者に対して職業安全衛生(OSH:Occupational Safety and Health)の訓練を実施させなければいけません。
労働者の採用時には、使用者は求職者に対して、求職者が現在職業病、伝染病にかかっていないことを証明する医療証明の提出を求めることができ、求職者がこれらの疾病を患っている場合、使用者はその求職者を採用しないことができます。
また、使用者は労働者に雇用期間中に健康診断を受けさせる義務があり、もし労働者が職業病にかかっている場合には、使用者又は社会保障基金が職業病にかかる治療費を負担しなければなりません。
事業所には救急箱が備え付けばならず、50人以上を雇用する事業所では、常任の医療担当者を設定しなければなりません。その他、使用者は労働者に対し、職場の十分な安全を保障するとともに、それぞれに保護具を提供しなければなりません。
■賃金に関する法制度
■賃金の支払について
現在、ラオス労働管理局は特定の業種に関する給与、賃金水準を決定するルールは規定していません。企業は社内の規定を定めることができますが、労働法及び法定最低賃金は遵守しなければなりません。
使用者は原則として賃金からの控除をしてはならないこととされていますが、2013 年12 月24 日公布の労働法No.43/NAでは、以下のように給与や個人所得税の控除などに関して規定しています。
• 114 ~ 116 条:残業代の計算
• 110 条:給与、賃金の支払の決定
• 111 条:一時的休職時の賃金の支払
• 112 条:給与、賃金受取の優先権
• 113 条:損害を補償するための給与、賃金からの控除
• 137 条:個人所得税の給与、賃金からの控除
また、賃金の支払いに関しては、少なくとも最低毎月1回決められた日に支払わなければならず、出来高払いもしくは時間給労働者の場合は毎月2回または16日間を超えない期間で支払わなければならないとされています。
■最低賃金
労働者の賃金の決定は、仕事の内容、条件及び労働者の役職などによって決定されます。2012年1月からは、月額626,000キープの最低賃金を政府により規定されており、基本給の金額が最低賃金を下回ってはならないとされています。
雇用契約と就業規則
■雇用契約書の作成
使用者は、労働者を雇用する場合には、日雇いなど短期的な業務を除き、書面で雇用契約書を作成しなければなりません。雇用契約には、有期雇用契約(期間を定めのある雇用契約)と無期雇用契約(期間を定めない雇用契約)とがありますが、雇用契約の期間を定める場合には、使用者が一方的に決定するのではなく、労働者本人との合意によって決めなければなりません。
■試用期間
使用者は、労働者の技能遂行能力の有無を確認するために、労働者を雇用する際に試用期間を設ける権利を有しています。試用の期間は、職種に応じて以下のように規定されています。
・ 肉体労働職(肉体労働のように、経験も専門技術も必要しない労働)…30日以内
・ 専門技術職(専門技術を有する労働)…60日以内
ただし、試用期間中であっても、本採用時の9割以上の給与を支給しなければなりません。
試用期間満了の際には、使用者は7日前までに、その後の本採用の可否について、書面にて通知しなければなりません。労働者が必要な技術・能力を欠く場合、試用期間を延長もしくは採用の見合わせることもできます。また、試用期間の延長をする場合には30日以内で設定しなければいけません。
なお、労働者が、試用期間中に疾病のため、またはその他のやむを得ない理由のために欠勤をする場合には、その期間を試用期間に含めてはいけません。
■雇用契約の終了
使用者又は労働者一方からの通知によって雇用契約を終了とする場合には、雇用契約の期間の定めの有無及び職種によりそれぞれ以下の期日までに事前に通知しなければいけません。
<無期雇用契約>
・ 肉体労働職(肉体労働のように、経験も専門技術も必要しない労働)…15日前まで
・ 専門技術職(専門技術を有する労働)…45日前まで
<有期雇用契約>
職種を問わず、15日前まで
なお、有期雇用契約の場合には、雇用契約の延長をする場合にも、15日前までに通知をし、新たな雇用契約を締結しなければなりません。
■就業規則の作成義務と作成項目
ラオスでは、日本と同様に10人以上の労働者を常時雇用する使用者は就業規則を定め、労働者に周知徹底しなければなりません。就業規則を作成する際には、ラオスの労働関連諸法令に遵守しなければなりません。また、事業所で就業規則を作成した際には、事前に労働監督機関の承認を受ける必要があります。
就業規則に記載しなければならない項目は下記のとおりです。
・ 勤務時間、休憩時間、昼食時間
・ 週の休日、有給休暇
・ 個人保護用装置の使用
・ 職場への持込・職場からの持出
・ 残業、残業代の支払い
・ 病欠
・ 個人的理由による休暇
・ 苦情
・ 労働争議の解決方法
・ 就業規則に違反した場合の罰則
■解雇
使用者が、労働者の専門的技術が不足している場合や、健康状態の理由により労働者を解雇する場合には、事前の通知のうえ、解雇手当を労働者に支払う必要があります。解雇をする際には、職種によって、それぞれ以下の期日までに事前に通知をしなければなりません。
・肉体労働職(肉体労働のように、経験も専門技術も必要しない労働)…15日前
・専門技術職(専門技術を有する労働)…45日前
雇用契約を終了する前に、使用者は当該労働者の能力や健康に応じて適切な配置転換を検討しなければなりません。ただし、適切な仕事が無い場合には、雇用契約を終了することができます。また、経営環境の悪化等の理由により、労働者を解雇する場合には、労働監督機関と労働者に45日前までに通知をしなければなりません。
なお、労働者の専門的技術の不足、健康状態の理由又は経営環境の悪化等により解雇をする際には、勤続年数や給与形態に応じて、下記の解雇手当を労働者に支払う必要があります。
【解雇手当】
・ 勤続年数が3年以内の場合…月給の10%
・ 勤続年数が3年を超える場合…月給の15%
・ 出来高賃金制度労働者…退職直近3カ月間分給与の平均に基づき算定
また、不当な理由により解雇をした場合には、使用者は勤続年数が3年以内の場合には月給の15%、勤続年数が3年を超える場合には月給の20%の補償金を支払わなければいけません。
なお、以下の事由により解雇をする場合は解雇手当を支払う必要はありません。
・ 不誠実な行動をとったり、使用者の財産に故意に多大な損害を与えた場合(ただし、そのような違法行為に対する証拠が必要)
・ 使用者からの再三の警告にも関わらず就業規則に違反した場合
・ 正当な理由なしに連続4日間以上の欠勤をした場合
・ 裁判所の判決により禁固刑に処せられた場合
ただし、上記の事由に該当し、解雇手当の支払をしない場合であっても、使用者は3日前までに従業員に対して通知をしなければなりません。従って、上記事項に該当して解雇とする場合には、解雇の通知を行ってから3日後以降を退職日として取り扱わなければいけません。
社会保険法
■概要
ラオスでは社会保障制度に関する内閣総理大臣令207号(2001年6月1日施行)の基づき、10名以上の労働者を雇用する事業所は社会保障制度の適用を義務付けています。
社会保障制度の給付対象は労働者の業務外の健康、病気、出産、死亡、労働災害、年金、後遺症等の10 種類です。社会保障制度は、4つに大きく分けられ民間社会保険制度(SHI:Social Health Insurance)、公務員社会保障制度(CSS:Civil Servants’ Scheme)、農業従事者等社会保障制度(CBHI:Community Based Health Insurance)、最貧困層社会保障制度(HEF:Health Equity Fund)で構成されています。
■民間社会保険制度(SHI:Social Health Insurance)
(1)適用範囲
10人以上の労働者を雇用している民間の事業所は、民間社会保険制度に加入する義務があります。ただし、大使館、国際機関等で働く労働者は除きます。また、10人未満の事業所は強制加入ではありませんが、任意加入することができます。
(2)保険料
民間社会保険制度は社会保険方式をとり、労働者の月給に応じて、使用者が5%、労働者が4.5%の保険料を支払います。使用者は、労働者負担分の保険料を月給から控除して使用者負担分と合わせて翌月15日までに社会保障機構に納付します。労災・職業疾病給付の保険料相当分については使用者のみが負担をしているため、使用者の負担率が0.5%高くなっています。
なお、保険料計算の対象となる月給の上限は1,500,000キープとなっています。そのため、最大でも使用者負担と労働者負担を合わせて月額142,500キープ(約1,425円)です。日本とラオスでは、社会保障協定が締結されていないため、ラオスで勤務する日本人駐在員は日本とラオスの双方で社会保険に加入することになりますが、上限があるために日系企業や日本人駐在員にとってはそれほど大きな追加コストにはなりません。
(3)保険給付
<健康保険>
健康保険の給付は、指定病院登録制による現金給付です。民間社会保険制度を運営している社会保障機構(SSO:Social Security Organization)の指定病院でのみ、保険が適用されます。そのため、診療を受ける場合には、事前に指定病院かどうかを確認する必要があります。
健康保険給付の対象者は被保険者本人、配偶者、10歳未満の被扶養児童です。労災による医療費を含みますが、交通事故による傷病の診察については、給付対象外となります。
<労災補償>
労災補償は、業務上に負った負傷に対して、障害に応じた給付がされます。ただし、使用者等の指揮命令の下でなく、個人的な目的で行った行為によって負った負傷等は、“労働災害”とはみなされません。
障害を負った場合の給与補償として、30日以降6カ月間までは月給の100%を給付、6カ月以降18カ月までは月給の60%を給付、18カ月以降は障害年金に移行します。なお、日本の場合と異なり通勤途中の災害は、労災とみなされないため注意が必要です。その他の労災補償の給付として、介護手当、障害手当、葬祭料、遺族年金があります。
<老齢給付>
老齢給付の支給開始は、60歳以降が原則で、健康状態によっては55歳支給となるケースもあります。給付額は生涯平均賃金を基礎として納めた保険料に応じた年金ポイントに1.5%を乗じて計算します。年金受給の要件は保険料の納付期間が5年間以上で、保険料の納付期間が5年間未満の場合には一時金となります。なお、年金受給時前に離婚をした場合には、年金受給権を分割します。
<死亡保障>
死亡保障は、労働者の死亡時に定額の埋葬費及び見舞金を遺族に給付します。
■公務員社会保障制度(CSS:Civil Servants’ Scheme)
公務員社会保障制度の対象者は政府公務員、軍人、警察官等です。公務員等から徴収される保険料は、月給の6%であり、保険給付の一部は政府が負担しています。保険給付の内容は、医療費、傷病手当、葬祭料、退職年金、遺族年金となっています。
■農業従事者等社会保険制度(CBHI:Community Based Health Insurance)
農業従事者等社会保険制度とはインフォーマルセクターを対処とした社会保障制度です。この制度は、2005年4月13日に施行され、地方、地域および国家レベルで運営されています。給付の対象となる項目は医療給付のみとなっています。ただし、民間社会保険制度と同様に交通事故等は対象外となっています。
■最貧困層社会保険制度(HEF:Health Equity Fund)
最貧困層社会保険制度は、世界銀行、アジア開発銀行などが中心となり、制度の発足を行っています。現在は保健省が運営しています。
日本人を駐在する際の留意点
■入国管理およびビザ
■労働許可とビザの取得義務
外国人がラオスに就労、業務目的で入国する場合には、ビジネスビザの取得が必要となります。期間は、3カ月、6カ月、1年です。
<ビジネスビザの手続き>
(1)必要書類を作成し、在日ラオス大使館でビジネスビザの申請をする。
在日ラオス大使館は書類をラオスに送付し、計画協力委員会、入国管理局、内務省、外務省等の関係省庁の審査を行う。
(3)許可された場合には外務省から在日ラオス大使館へビザ発給手続きがされ本人にビザが発給される。
※ラオスに事務所がある企業などについては、関係省庁、外務省に直接ビザの申請をすることができます。
■外国人労働許可の条件
(1)外国人労働許可及び外国人登録
外国人労働者を雇用する使用者は、労働社会福祉省に許可を得るために「ラオス国営雇用会社」(LSEE:Lao State Enterprise for Employment)に労働許可申請をし、労働社会福祉省雇用促進課が申請の受理をします (第749/LSW号「外国人労働の受入および雇用管理に関する合意」第5条) 。
また、使用者は外国人労働者がラオスに入国した日から30日以内に、労働社会福祉省労働課へ雇用する外国人労働者のリストを提出しなければなりません(労働社会福祉省合意第749/LSW号「外国人労働の受入および雇用管理に関する合意」第10号)。
(2)取得条件
ラオスにて労働する外国人労働者は、以下の条件を満たしていなければいけません。(第749/LSW号「外国人労働の受入および雇用管理に関する合意」第4条)
・ 健康であること(伝染病に感染していないこと)
・ 熟練労働者であり、必要な専門知識を有すること
(3)提出書類
労働許可及び外国人登録のための提出書類はそれぞれ以下の通りです。
(a)労働許可の提出書類(第749/LSW号「外国人労働の受入および雇用管理に関する合意」第6条)
・ 外国人労働輸入申請書(外国人労働者の雇用者が作成する申請書には、人数、専門技術、期間およびラオス人労働者が外国人労働者に代替できるようラオス人労働者への技術移転計画が明確に記載されなければならない)
・ 事業許可証もしくはプロジェクト契約書(入手可能であれば)
・ 外国人労働者使用計画(各期)
(b) 外国人登録の提出書類(労働社会福祉省合意第749/LSW号「外国人労働の受入および雇用管理に関する合意」第11号)
・登録申請書(外国人労働者の署名が必要)
・ 外国人労働者の輸入許可証
・ 法的査証
・ 健康診断書
・ 専門性を証明する学問的証明書
・ 外国人労働者の履歴書
・ 労働契約
・ 写真(3×4cm):2枚
(4)外国人労働者の雇用延長手続
外国人労働者の雇用を延長する時には、労働許可の延長のために必要な申請書として以下の書類をラオス国営雇用会社に提出する必要があります(労働社会福祉省合意第749/LSW号「外国人労働の受入および雇用管理に関する合意」第12号)。
・ 雇用期間延長申請書(使用者が記載した延長理由書及び外国人労働者の居住証明の添付が必要)
・ 雇用者の申請書
・ 申請者の所得税納税証明書
■現地人雇用義務と外国人労働者の雇用条件
企業は優先的にラオス人を雇用しなければならず、必要に応じて外国人労働者を雇用することができます。その際には、事前に前述の外国人登録の手続きをする必要があります。また、その際の現地人労働者との雇用人数の比率は、以下の基準に準ずる必要があります。
・特定の知識を持ち、かつ肉体的労働を行う者については当該事業所の総労働者の10%を超えないこと
・特定の知識を持ち、かつ頭脳労働を行う者については当該事業所の総労働者の20%をこえないこと
上記の規定範囲を超えて外国人労働者を雇用する場合には、政府の承認が必要となります。
■駐在員の給与設計と計算事例
ラオスに赴任する駐在員に対して給与を支払う場合、日本とラオスで給与計算方法、適用税率に差があることから、その支給にあたっても一律日本と同様という訳にはいかず、給与額の設定、支給形態等の検討が必要です。
日本とラオスには適用税率に差があるため、日本と同様の給与を支払うと手取り給与額が低くなる場合や高くなる場合があります。
下記の累進税率は、ラオス国民に対して適用されるものです。現状では、外投資奨励法により、日本人を含む外国人労働者の給与所得に対しては、一律10%の税率により個人所得税が課税されます。しかし、内外資本の差別化を撤廃するため、一律10%の税率に関しても改正が進められ、現地と同様の税率が適用される方向で動いています。
ラオス駐在員に対して給与を支払う場合、日本とラオスで給与計算方法、適用税率に差があることから、その支給にあたっても一律日本と同様という訳にもいかず、給与額の設定、支給形態を事前に十分検討する必要があります。
日本側では、給与所得控除(65万円)と基礎控除(38万円)がありますので、収入ベースで103万円以内であれば所得税はかかりません。ラオスでは、給与所得控除の金額が無く、日本よりも手取額が低くります。従って、海外赴任者向けのグロスアップ計算がラオスでは必要となります。
実際に日本人駐在員がラオスで給与を受け取った際の課税金額を日本と比較してみましょう。
■日本とラオスの所得税計算事例
(前提条件)
40歳 男性
日本での年収:648万円
扶養:なし 赴任予定期間:3年
※社会保険料は、ここでは考慮しません。
このように、年収648万円の駐在員がラオスで給与を受け取った場合には、約64万円手取額が少なくなります。
■手取額を一致させるグロスアップ計算
前述のように、日本とラオスの所得税率の違いにより、給与がよほど高額でない限り、ラオスに赴任することで手取額が減るケースが多くなります。
そのため、日本で受け取っていた際の手取額を補償するためのグロスアップ計算を赴任前に行うケースがあります。ここでは、前述の年収648万円の駐在員の日本での手取額5,623,300円と同等の額を受け取るためには、いくらの支給額が必要なのかみていきます。
表のように、年収750円の給与の場合に、手取額が5,625,538円となり、ほぼ同額となります。つまり、7,372,000 –6,480,000=8920,000円を上乗せして支給する必要があります。給与額によって、上乗せすべき金額は異なりますが、多くの場合1,020,000円近くもしくはそれ以上の上乗せが必要となりますので、事前に支給額の検討が必要です。
参考文献
・ 財団法人 海外職業訓練協会
・ http://www.asean.or.jp/ja/asean/know/country/laos/invest/guide/section07/index.html
・ http://www.jogmec.go.jp/mric_web/strategic/laos2007/pdf/laos_6.pdf
・ 保健省及び法務省法律公布部、「衛生、病気予防及び健康推進関連法」No. 04/ NA,(2001年4月10日公布)
・ LAO PEOPLE’S DEMOCRATIC REPUBLIC PEACE INDEPENDENCE DEMOCRACY UNITY PROSPERITY- LABOUR LAW(Amended)
・ Lao People’s Democratic Republic: Health Financing Reform and Challenges in Expanding the Current Social Protection Schemes
・ CAPITOL VISA SERVICES-Experts in obtaining visas and passports.
・ ‘Labor Law (Amended)ʼNo. 43/NA, Vientiane Capital, 24 December 2013
・The World Bank, Population, total - Lao PDR
・ The World Bank, Labor force, total - Lao PDR
・ The World Bank, DataBank - Jobs
・ The World Bank, School enrollment, secondary (% gross) - Lao PDR
・Statista.com ‘Laos: Distribution of employment by economic sector from 2009 to 2019ʼ
・Statista.com ‘Laos: Unemployment rate from 1999 to 2020ʼ
・公益財団法人 国際労働財団(JILAF)「2019 年 ラオスの労働事情」2019 年 12 月 12 日講演録
・独立行政法人 労働政策研究・研修機構「基礎情報:ラオス(2018 年)5. 社会保障制度」2018 年 10 月 25 日