税務
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税務の概要
ラオスでは2021年12月21 日付で改正法(The Law on Value- Added Tax[Revised Version]No. 48/NA)が公布され、2022 年1 月1 日から発効されていますが、実態としては、2015 年12 月15 日に公布された改正税法が基礎になっています。そのため本項では、2015 年に公布された改正税法を基礎として記載していきます。
ラオスにおける租税の管轄機関は、直接税に関しては財務省内の租 税局が管轄し、間接税に関しては財務省内の関税局が管轄しています。なお、地方においては、州政府がそれぞれ租税の徴収、税務調査 を行っています。
■ 税目の種類
ラオスの国内法においては、以下のような種類の税金が定められています。
主な租税は上記の通りで、財務省の租税局や関税局が管轄しています。これらの税目には、日本のように、国税・地方税という区分はなく、ラオスにおいてはすべて国が徴収する国税となっています。
■ 直接税と間接税
[ 直接税 ]
税金の徴収・負担の方法により「直接税」と「間接税」に分かれており、直接税とは、税金を納める義務がある者(納税義務者)と、税金を実際に負担する者(担税者)が同じである税金をいいます。ラオスでは、利潤税、所得税等がこれに該当します。直接税に関しては、財務省内の租税局が管轄しています。
[ 間接税 ]
間接税とは、直接税と異なり、納税義務者と担税者が異なる税金をいいます。税金の負担者が直接ではなく他の納税義務者を通じて間接的に国に税金を納付するため、間接税と呼ばれます。ラオスでは売上税、付加価値税(VAT:Value Added Tax)、関税等がこれに該当します。間接税に関しては、財務省内の関税局が管轄しています。
■ ラオスにおける税収の推移
ラオスにおける 2 0 0 5-0 6 年度から 2 0 0 9-1 0 年度までの主な税目 別の収入金額は、以下のように推移しています。
出所:ラオス中央銀行「Annual Report 2013」
【税収額の推移】(単位:10億キープ)
出所:ラオス中央銀行「Annual Report 2013」
税収全体のうちに、取引にかかる間接税(物品税・取引高税・付加価値税)が占める割合が約49%と大きく、次いで事業所得税、輸入税となっています。
■所得税
■ 個人所得課税の概要
ラオスに居住する個人や日本人駐在員についての個人所得税額を計算する場合、日本-ラオス間ではまだ2カ国間租税条約が結ばれていないこともあり、また、ラオスには税法上、居住性の定義がないため、ラオスで就労して得た所得および2015 年租税法46 条で定義されている所得に関しては、ラオスで納税することが求められています。また、ラオスで就労する個人が海外で得た収入に対しても、海外で納税義務がない場合、ラオスでの納税が求められます(2015 年租税法45 条)。
■ 居住者の定義
ラオスにおいては、暦年(その年の 1 月 1 日から 1 2 月 3 1 日まで) を課税対象年度としているため、暦年内のラオス国内の累計滞在日数が 1 8 0 日以上となる場合は、「居住者」となり、1 8 0 日未満は「非居住者」とされます。
上記の区分により、居住者–非居住者のいずれに該当するかを判断し、課税される所得の範囲は以下の通りとなります(2 0 0 5 年租税法 55 条)。
[ 課税所得 ]
ラオスにおける主な課税対象となる所得は下記のとおりとなります(2015 年租税法46 条)。
• 給与(100 万1 キープ以上の給与収入)、一般労働の賃金、残業、役職手当、年次賞与、執行取締役または取締役会の会合手当および現金または現物で受け取ったその他給付
• 株主からの配当収入、または株式の売却・譲渡による収入
• 法人、または個人からの保証手数料、融資利息、仲買手数料また は手数料収入など
• 非商業活動からの収入
• 賞金、宝くじなどで得た500 万キープ以上の収入
• 不動産、また動産から得た収入
• 特許などの知的財産からの収入
ラオスにおいて、「居住者」となった場合には、所得を受取った場所に関係なく、国外において発生した所得(国外源泉所得)も含めたすべての所得がラオスにおいて課税されることになります。
たとえば、日本からの駐在員で、ラオスにおいて居住者となった人が、日本国内の不動産から生じる賃貸収入等を得ている場合、ラオスでの所得と合算して課税されます。また、非居住者とされた場合には、ラオス国内で発生した国内源泉所得に対してのみ課税されます。
■ ラオスにおける所得税額の計算
ラオスにおける所得税額の計算の流れとしては、まずラオスにおいて居住者か非居住者かの判定を行い、その後、個人が得た所得の種類によって課税される収入と非課税収入とに区分をして、課税対象となる所得に対して所得税率を乗じて算出します。なお、所得の種類によって、税率が異なるため注意が必要です。
[ 総所得金額の計算 ]
まず、その年におけるすべての収入から、課税される収入と非課税 収入を区分する必要があります。課税される収入については、租税法 において以下の通り規定されています (2005 年租税法 56 条)。
・ 給与所得※
・ 特許権、商標権使用料等による所得
・ 利子・配当所得
・ キャピタル・ゲイン
・ 土地または建物等の不動産による賃貸料等の所得
※ 給与所得には、労働賃金、賞与、役職手当等のほか、その他の経済的利益(雇用者負 担の住居費等)が含まれます。
なお、個人の事業から生じた所得については、個人所得税の対象と はならず、法人と同様に、利潤税が課税されます(詳細は P. 543 参照)。
[ 非課税収入 ]
非課税収入については、租税法において以下の通り規定されています(2005 年租税法 57 条)。
・ 農家が栽培した農作物による収入
・ ラオス政府または政府関係機関との契約に基づく医療に関する プロジェクトに従事する外国人専門家の収入
・ ラオスに常駐している他国の外交官、国際機関の従事者の収入
・ 労働法により規定されている会社から支給される手当
・ 年金等の雇用者が負担する拠出金
・ 年金収入
・ 政府より承認された文化活動、スポーツ、慈善事業等による収入
・ 預金、国債等による利息収入
・ 社会保障制度による給付金
・ 宝くじによる収入・ 政府または政府関連機関により支給された報奨金収入
・ 政府または政府関連機関により支給された報奨金収入
■ 所得税額の計算
課税される所得金額を算出した後、所得税率を乗じて所得税額を算出することになります。個人所得税率は、従来はラオス国民であるか外国人であるかによって税率が異なりましたが、2 0 1 2 年 1 月より、 一部の外国人労働者を除き、一本化されています。個人所得税の税率は以下の通りです(Presidential Ordinance No. 001)。
[ 外国人に対する所得税率 ]
ラオスで働く日本人を含む外国人労働者については、かつて、外国 投資奨励法により一律 1 0%の税率で課税されていましたが、2 0 1 2 年 1 月以降、この制度は撤廃され、原則として、ラオス国民と同様に、0 ~ 2 4%の累進税率が適用されることになりました(Presidential Ordinance No. 001)。
ただし、例外として、コンセッション事業を行う企業に雇用されている労働者は、2 0 1 2 年 1 月以前に期間の定めなく雇用契約を締結した場合、契約満了までは従来どおり10%の税率となり、2012 年1 月以前に有期雇用契約を締結していた者は、雇用契約期間中の税率は10%です。雇用契約が終了し、2012 年1 月以降に更新する場合はラ オス国民と同様、上記の表のような 0 ~ 2 4%の累進課税が適用され ます。一般事業に従事する者については、この例外規定の適用はありません。
[ 給与所得以外の税率 ]
給与所得以外の所得については、以下の税率で課税されます。
■ 申告・納付手続
所得税額の算定を行った後、個人所得税の申告、納付手続を行います。申告・納付については、対象者の収入内容によって異なります。
[ 給与所得のみの場合 ]
給与所得者の個人所得税の申告・納税スケジュールは、原則として 雇用主による毎月の月次申告、源泉徴収によります(2 0 0 5 年租税法 65 条)。
雇用主は、毎月支払う給与額から源泉税を徴収し、翌月 1 5 日まで に申告納税を行います。
毎月の申告により納付した個人所得税額の合計額と、年間で計算し た個人所得税額に過不足が生じる場合には、年次での税務申告書を提 出する際に、その過不足額を調整することになります。
不足が生じている場合には、不足額を支払う必要があります。ま た、実際の納付額の合計が、年間の個人所得税額を超過している場合 には、将来の課税額から控除されます。
[ 給与所得以外の所得が発生している場合 ]
土地または建物などの不動産から生じる賃貸料については、支払日 から 1 0 日以内に受領者が所得税の申告及び納付を行います(2 0 0 5 年租税法 66 条)。
また、利子、配当収入、キャピタル・ゲインや特許権、商標権等の 使用料等による収入については、支払者が源泉徴収を行い、支払日か ら 10 日以内に所得税の申告及び納付を行います。
■ 源泉徴収制度
ラオスにおいて行われる取引のうち、以下の取引については、事業主(対価・報酬を支払う者)が、その支払の際に、以下の税率により源泉徴収を行う必要があります。
出所:国際協力銀行「ラオスの投資環境」
源泉徴収された所得税額については、支払の日から1 0日以内に税務当局に納付しなければなりません。
また、源泉徴収された税額については、所得の受領者側の納付すべき所得税額から控除することができます。
■利潤税
利潤税(Profit Tax)とは、個人または法人が事業として物品の製造、販売もしくはサービスなどの役務提供の対価として稼得した所得 に対して課される直接税です。ここでは、法人の場合を前提に解説を していきます(2015 年租税法26 条)。
■ 納税義務者
利潤税の納税義務者は、ラオス国内の法律により設立されたすべての法人ならびに外国の法律により設立された法人(以下、「外国法人」と記します)であり、かつ、ラオス国内で事業を営む法人とされてい ます。また個人で事業を行っている場合も利潤税の納税義務者となります。これらの区分により、課税される所得の範囲が異なってきます(2015 年租税法27 条)。
■ 課税年度
利潤税の課税年度は1 月1 日から12月31 までの暦年となっています(2015 年租税法39 条および会計法8 条)。
■ 利潤税率
原則として、ラオスで活動する法人の利潤税率は24 % です。ただし、ラオスの証券市場に上場している法人の税率は19 % であり、タバコ関連の事業を行っている法人はタバコ基金への納税が必要となる ため、26 % となっています。
また、年間利益額が4,000 万キープ以下でVAT登録事業者でない法人または個人への課税率は、24 % でなく、下記の税率表のとおりに税額の納付が必要となります。
■ 課税所得の計算
課税所得とは、事業年度に営まれた事業に係るすべての益金の額か ら、すべての損金の額を差し引いて算定されます。
[ 益金の額 ]
利潤税の計算上、下記にあげるものが益金の額に含まれます。
・ 農業または林業による所得
・ 工業製品または工芸品に関するビジネスによる所得
・ 天然資源の採掘による所得
・ 輸出入販売による所得
・ 卸売業または小売業による所得
・ サービスの提供による所得(伐木搬出、採鉱、運輸、郵便、通 信、建設、修理、不動産開発、ラオス国家出資のプロジェクト等、外国資本によるローン、銀行、金融、保険、ホテル、旅行、 飲食、カジノ、宝くじ、芸術、芸能、スポーツ、代理、仲介等)
[ 損金の額 ]
以下にあげる費用に関しては、利潤税(Profit Tax)の計算上、損金の額に算入されます(2005 年租税法 37 条 1 条)。
・ 売上原価
・ 光熱費、通信費、広告費、宣伝費
・ 旅費交通費及び接待費(年間売上高の 0.4% が上限)
・ 従業員給与、福利厚生費
・ サービス料、支払利息、送金手数料
・ 事業目的の賃貸に生じる賃貸料
・ 保険料
・ その他事業目的による支出
[ 固定資産の減価償却費 ]
固定資産の減価償却費に関しては、税法の基準で定められた償却限 度額までの金額につき、損金算入が認められています(2 0 0 5 年租税 法 3 7 条 2 項)。償却限度額の計算については、残存価額はゼロとし、 資産の種類に応じて定められた償却率(耐用年数)に基づき、定額法 により計算します。
[ 無形固定資産 ]
無形固定資産に関しては、創立費及び開業費の繰り延べが認められており、2 年間で償却します。これらの償却費についても損金の額に算入することが認められています。
[ 各種引当金の計上 ]
ラオスの会計基準では、各種引当金の計上は認められていませんが、税法においては売掛金及び棚卸資産に関しての一定額の引当金については損金の額に算入することが認められると規定されています。 しかし、実務上は引当金計上額の損金算入が認められるケースはほとんどないというのが現状です。
[ 損金の額に算入されない費用 ]
以下に掲げる費用は、損金の額に算入することは認められていません(2005 年租税法 38 条)。
・ 事業に直接関係しない費用(ゴルフ、ダンス、スポーツ、その他の娯楽等の接待費)
[ 繰越欠損金 ]
税務上の損失(欠損金額)は、その事業年度内の所得と相殺するこ とができます。相殺しきれなかった欠損金額については、3 年間の繰 越しが可能です。
■ 税額計算
利潤税の税率は、個人事業主であるか法人であるかにより異なりま す。
[ 個人事業主 ]
個人事業主に対しては、0 ~ 24%の累進税率が適用されます。
※2012年1月より、最高税率が35%から248%へ引下げられました。
[ 法人 ]
法人に対しては、24%のフラットレートが適用されます。
※2013年より、35%から24%へ引下げられました
また、正規の会計帳簿を持たない小規模の個人事業者または法人に 対しては、以下のみなし利益率を用いて課税所得を計算します。そし て、計算されたみなし利益額に対して税率 24% を適用して利潤税を 計算します。
■ 最低課税制度
納税義務者は、利益が発生せずに事業損失を計上した場合であっても、最低課税を支払う義務があります。
[ 免除 ]
最低課税は以下の場合、免除されます(2005 年租税法 50 条)。
· 投資奨励法に基づき、利潤税の免除期間中である外国人投資家
· 国内投資奨励法に基づき、利潤税の免除期間中である国内投資家
・会計監査人の監査を受けた場合
[ 税率 ]
最低課税は業種によって2 つの税率が設定されています(2 0 0 5 年 租税法 51 条)。売上高を課税標準としますが、売上税は除きます。
■ 申告・納税
利潤税の申告について、納税者は毎年の 3 月 1 0 日までに税務申告 を提出しなければなりません(2005 年租税法 52 条)。申告書の提出先は、その法人の本店所在地の所轄税務署になりま す。また、ラオスでは地方税が存在せず、すべて国が税金を管理・徴収しているため、国内に複数事業所等がある場合であっても、申告書の提出先は一カ所となります。予定納税を四半期ごとに行う必要があり、4 月 1 0 日、7 月 1 0 日、 10 月 10 日がそれぞれ期限となっています。予定納税額は、昨年度の実績に基づく方法か、予定利益に基づく方法かにより、決定します。
■ ラオスの源泉徴収税
ラオスの会計制度に則って、ラオスで事業を行っている個人および 法人がラオスの非居住者に対して支払いを行う際、源泉徴収税の納税 義務が課せられます。
その際に、非居住者が獲得したとされる一定のみなし利益に対して 源泉徴収をすることが要求されます。
この源泉徴収の対象には、物品の売買取引やサービス取引全般が 含まれ、2 0 1 5 年租税法2 9 条で定められた税率(原則2 4 %) に、2015 年租税法33 条で定められたみなし利益率を乗じて、源泉徴収税が決定されます。業種が混在している場合は、高い利益率の業種が 優先して適用されることとなります。また、源泉徴収された税額は翌 月15 日までに税務当局への納税が必要となります。
下記の表が、みなし利益率および、源泉税率の額となります、主に は製造業、販売業、サービス業で区分されています(2015 年租税法36 条)。
【みなし利益率・源泉税率】
業種 | みなし利益率 | 源泉税率(× 24 %) |
製造業 | 3% | 0.7 % |
販売業 | 5% | 1.2 % |
サービス業(以下の業種区分による) |
|
|
・運輸・旅客 | 5% | 1.2 % |
・建設・修理 | 10 % | 2.4 % |
・木材売買・鉱業など | 5 %、15 %、20 % | 1.2 %、1.9 %、4.8 % |
・娯楽 | 25 % | 6.0 % |
・コンサルティング(法律、会計など) | 10 % | 2.4 % |
・代理・仲介 | 20 % | 4.8 % |
・土地開発・建物販売 | 20 % | 4.8 % |
・その他サービス | 10 % | 2.4 % |
なお、当該非居住者がラオスと租税条約を締結している国の居住者 である場合、物品の売買取引や(ロイヤリティに該当しない)サービ ス取引は、原則として租税条約上の「事業所得」に該当するため、ラ オス側で源泉徴収はしないこととなります。しかし、日本はまだラオ スと租税条約を締結していないため、日本法人はラオス法人との上記 に該当する取引についてラオスで源泉税が課されることになります。
■一括税
■ 一括税の概要
一括税とは、VAT制度に登録されておらず、税務当局と納税者と の間に締結された契約に従って税額を納める小規模事業所を営む個人 および法人から納税される直接税です(2015 年租税法55 条)。
■ 一括税の計算方法
一括税の計算は、年間総事業売上高に定められた税率を乗じて計算されます。計算を行う前に事業者は、課税所得の設定のために、前年度の総事業売上高と今年度の総事業売上高を計算し、それに基づき、 納税を行います。ただし、計算結果が事実と矛盾すると税務当局に指摘された場合、税務当局は再計算を行い、税額を決定することができます。
下記が一括税の税率表となります。
【一括税の税率表】
| 年間総事業売上高(キープ) | 製造業 | 商社 | サービス業 |
1 | ~ 50,000,000 | 0% | 0% | 0% |
2 | 50,000,001 ~ 400,000,000(定額) | 1% | 2% | 3% |
■付加価値税
■ 付加価値税の概要
ラオス政府は、2009 年1 月1 日よりVAT を導入しました。
当時ラオスは、世界貿易機関(WTO:World Trade Organization) の加盟を目指していましたが(2013 年に正式に加盟しました)、加盟に伴う関税率の引下げによる税収の減少を補い、税収の安定を図るといった主旨からVAT が導入されました。
VATは、ラオス国内における付加価値を課税対象とする税金です。日本の消費税と概ね同様の税金で、以下のような特徴を有しています
(付加価値税法2 条)。
・ 商品、物品、サービスの消費に対して課される間接税である
・ 税金の負担者は最終消費者である
■ 納税義務者
VATの納税義務者は、下記のいずれかに該当する者となっています(2006 年付加価値税法 13 条)。
・ 年間売上高が 4 億キープ以上の企業
・ ラオス国内において、目的または頻度を問わず商品、物品、サー ビスを輸入している者
・ ラオスにおける非居住者、または税務登録を行っていない者で、ラオス国内で商品、物品の販売、サービスの提供を行っている者
■ VATの非課税取引
VATは、ラオス国内における販売、サービス提供、生産、輸入取引等の行為に対して課税されますが、付加価値税の性質になじまないものや、社会政策的な見地から、1 5 項目の財・サービスについては 付加価値税の課税対象から外され、非課税取引とされています。
以下は、その主な例となります(2006 年付加価値税法 10 条)。
・ 農家または農業協同組合による未加工の農業生産品、工芸品
・ 農作物の種子、繁殖用の家畜、殺虫剤、ワクチン、肥料
・ ラオス政府及び関連機関において、科学的な調査、研究に使用さ れる原料、機器、化学品類で国内において製造することが困難な ものの輸入
・ ラオスにおける貨幣発行のために必要になる金の輸入
・ 収入印紙及び切手に関する輸入及び活動
・ 航空機及び航空機関連設備、燃料、国際航空に関する商品等の輸入
・ ラオス外務省が承認する在ラオス外交官、大使館、国際機関への 商品の輸入及び販売
・ 3 カ月以上外国に滞在する外交官、公務員、学生の商業目的では ない物品の輸入(車両等については免除されない)
・ 承認された教科書、教員のための指導書、新聞、政府刊行物、政 府による広報目的のラジオ及びテレビ番組等の制作及び販売
・ 保育園、幼稚園、小学校、中学校、大学、職業訓練学校等の教育 活動
・ 銀行業、金融機関及び健康保険、生命保険、家畜、農地に対する 保険業
・ 検査、治療、診断、伝統医薬、臓器移植、患者及び身体障害者に 対する医療用具等の医療活動
・ 国防または公共の安全のための消防車、救急車、修理用車両、テ レビ及びラジオの屋外放送車
・ ラオスが他の国との間で結んだ契約・条約に基づく物品及びサー ビスの関連機関に対する供給
■ 課税標準額
VATの課税標準額は、 以下の区分に応じて定められています
(2006 年付加価値税法 17 条)。
■ 税率
VATの法律上の税率は、課税対象となる取引の区分に応じて、以下の通り定められています(2006 年付加価値税法 19 条)。
VATの税率は、原則10% となっていますが、商品、物品またはサ ービスの輸出取引については 0% 課税取引(輸出免税取引)となり、最終消費者がラオス国外である取引にはVATは課税されません。物 品の輸入側において、輸入通関時点で付加価値税が課されることが一 般的であり、二重課税となることから、輸出品の国際競争力を阻害するおそれがあるためです。
そのため、0% 税率を適用するためには、各会社において物品が国外に搬出されたことを証明する書類(輸出通関書類)を適切に保存しておかなければなりません。
■ 納付税額の計算
顧客から販売・サービス等の対価を受取る場合、売上VATを徴収 し、購入・サービス等の対価を支払う場合は、仕入VATを支払うことになります。
[ 売上 VAT ]
売上VATは、販売・サービス等の販売価格に対して課税される税金で、VATインボイスに記載されている金額を合計した金額となります
(2006 年付加価値税法 3 条 11 条)。
[ 仕入 VAT ]
課税対象となる取引及びサービスの対価を支払う際の、VATインボイスに記載されている金額を合計した金額が仕入VATとなります(2006 年付加価値税法 3 条 12 条)。 また、VATの納付額の計算については、「税額控除方式」により、預ったVATから支払ったVATを控除し、納付すべきVATを算出しま す。
■ 申告・納税
VATの納税義務者は、納付すべきVATがある場合または納付すべ きVATがない場合であっても、原則としてVATの発生した月の翌月 1 5 日までに、所轄税務署へ申告書を提出し、税額を納付する必要があります(2006 年付加価値税法 33 条)。
■ VATの還付手続
その月の売上VAT額から、仕入VAT額を控除した結果、控除しきれなかった金額が発生し、以下のような場合には、控除しきれなかった仕入VATの還付を受けることができます(2 0 0 6 年付加価値税法 42 条)。
・ 付加価値税法 1 0 条に定められたVATの免除が認められた商品、 物品、サービス(輸出されるものを含む)を購入した際の仕入VAT(ただし、政府により指定された天然の木材、鉱物は除く)
・ 完全に相殺することができなかったVAT及び過剰に支払われた
VATに関しては、会社の合併、分離、倒産時に還付を受けることができる(2 0 0 6 年付加価値税法 8 条)。
還付される額は、付加価値税法等の法令に基づく国内販売及び輸出販売から収入を得る事業は、VATの相殺ができなかった分に関しては、輸出分のみのVATが還付されます(2 0 0 6 年付加価値税法 22 条)。
■その他の税目
■ 物品税
物品税(Excise Tax)は、特定の物品を生産、海外から輸入した場合に課税されます。物品税の課税対象となる品目と、それぞれに対して適用される税率は以下の通りです(2005 年租税法 28 条)。
ラオス国内で生産された物品の場合には、生産者が物品を販売した月の翌月 1 5 日までに物品税の申告・納付を行います(2 0 0 5 年租税 法 29 条)。
物品税の課税対象物品を輸入する場合には、輸入通関の際に物品税を納付することになります。
■ 輸出入関税
輸入関税(Custom Duty)は関税法に基づき、品目ごとに 5% から 4 0% の税率が課税されます。関税率については、HSコード ※ 分類に従い、項目ごとに定められています。ラオスではWTOへの加盟に先がけて、関税に関してもWTOのガ イドラインに沿ったものに段階的に修正していく予定となっています。そのため、関税率に関しては、常に最新の情報を確認する必要があります。また、外国企業に対しては、輸出入の際、各種の優遇を受けることができるため、これらの規定についても合わせて確認する必要があります。
* HSコードとは、「Harmonized Commodity Description and Coding System」(商品 の名称及び分類についての統一システム)として、国際貿易商品の名称及び分類を世 界的に統一する目的のために作られた、6桁のコード番号のことです
■環境税(Environmental Tax)
環境税は、生態系や人間の健康状態に悪影響を及ぼすような事業を行う個人、あるいは組織に賦課される税金です。2011年に導入が決定されましたが、現在においても具体的な税率などが定められておらず、それらが決まるまでは環境税は適用されないことになっています。
■定額税(Lump-sum Tax)
定額税は、付加価値税制度に登録されていない中小企業に賦課される税金で、法人税の一部として考えられます。事業内容と売上高により3~7%の累進化税率が適用されます。
出所:New Tax Law 2012 56条
参考文献
• 独立行政法人 日本貿易振興機構(JETRO)ビエンチャン事務所 ビジネス展開支援部・ビジネス展開支援課「ラオス投資ガイドブック 2019」2019 年 3 月
• ‘Tax Law(Amended)ʼ No.70/NA Vientiane Capital, 15 December 2015
• ‘On the Promulgation of the Value-Added Taxʼ No.04/NA, 26 December 2006