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M&A
+ .1 .メキシコにおけるM&Aの動向
M&Aの動向
メキシコにとって日本は、アメリカ、中国に次ぐ3番目の取引大国です。2014年頃からは、自動車やエレクトロニクス、インフラ等の日本企業が、メキシコ国内に会社を設立し、活発に事業活動を行われていました。メキシコ政府は2012年に約800億円の円建サムライ債の売出を行いました。主な投資家は日本の大手銀行のため、メキシコ経済における信頼度が高いと考えられます。メキシコはその他のラテンアメリカ各国の中でも、連邦、州政府がさまざまな優遇規定を提供して、自動車等の産業の投資を促進しています。対内投資規制を受ける事業は限定されているため、メキシコは多くの国からの投資の増加がさらに期待されています。
次のグラフは1991~2018年の間に、メキシコで行われたM&Aのうち、公表されている件数および金額の推移を表したものです。
■日本企業のM&A事例
日本企業による中南米企業の買収(In-Out)の件数は、2013年は14件、2014年は12件、2015年は18件であり、そのうちメキシコに対するM&Aはそれぞれ0件、1件、0件です(レコフ調べ)。日本企業によるメキシコ企業のM&Aは、件数は多いとはいえませんが、ここ数年の平均3%を超える安定した経済成長率や海外投資の活発化傾向から見ても、今後はさらに増加することが予想されます。
次表は、2012年に行われた日本からメキシコに対するM&Aの事例です。
+ .2 .M&A に関する法律・規制
M&A に関する法律・規制
メキシコにおいて、M&Aを行う場合には、複数の法規が関連してきます。そのため、各法律を横断的に理解しておく必要があります。M&Aに関連する法規には以下のようなものが挙げられます。
外国投資法
■規制業種
ラテンアメリカの他の国に比べ、メキシコへの外国直接投資規制の対象業種は、わずかな事業に限定されています。具体的には外国企業、国内企業双方に係る出資制限と、外国企業のみに係る出資制限に分けることができます。
M&Aによる投資を行った結果、出資比率が外国投資法(Ley deInversión Extranjera)の規制を超えるような取引は、そもそも認められません。したがって、まず対象業種が外国投資法に該当するかどうかを確認します。
エネルギー改革に関する連邦憲法改正に伴い、2014年4月30日、連邦政府は関連法令の改正案を議会に提出しました。外国投資法に関しても、エネルギー業界への外国投資を奨励すべく、同業界への外資規制が緩和される方向で改正が行われました(2014年8月11日改正)。
ただし、規制事業以外であっても既存企業の資本金に49%を超えて外資が参加する際に、その会社の資産総額が34億9,360万3,960.10ペソを超える場合は外資委員会の承認が必要となります(外資法4条、9条)。
■不動産取得規制
外国人および外国企業の土地購入は、規制地域(ZONA RESTRIGIA)を除き可能です。規制地域とは、国境沿い100kmと沿岸50km以内の地帯をいいます
(憲法27条1項)。規制地域においては、外国人および外国企業が居住以外を目的とする場合、不動産取得が可能ですが、外務省に報告する必要があります(外資法10条 )。外務省への報告時において、「当該不動産とのかかわりにおいては、メキシコ人とみなされ、自国政府の保護を求めてはならず、これに違反した場合は、罰則として購入した不動産を国家に没収されること」と記述されたカルボ条項への同意を求められます。なお、規制地域の土地を借りる場合には、最長50年の信託方式(Fideicomiso)とする必要があります(外資法11条、12条、13条)。信託する場合、受託先は、主に銀行となります。
商事会社一般法
■商事会社一般法
商事会社一般法(Ley Generalde Sociedades Mercantiles)は、日本でいう会社法に相当する法律です。商事会社の諸形態、株主・従業員の権利、組織再編や会社の清算等を規定した連邦法であり、M&Aにおいても、他の法律に特別な定めのない限り、一般的に本法が適用されます。
■株式会社
商事会社一般法では6つの会社形態を規定しており、なかでもM&Aの対象として最も一般的な形態は株式会社(S.A.:Sociedad Anónima)です(1条)。また、可変資本制度(定款を変更せずに資本金の増減が可能)による、可変資本株式会社(S.A.deC.V.:Sociedad Anónima de Capital Variable)も多く存在します(8条)。株式会社の主な特徴は以下のとおりです。
・株主責任の範囲は、出資額を限度とする(有限責任)
・株主または社員が最低2名いることが会社設立・維持の要件であり、1人会社は認められていない
・議決権については基本的に株式数に応じ各株主が有しており、会社の決議事項については株主総会や取締役会において決定される
・株主総会により取締役を決定し、各取締役が会社を管理運営する
株主は会社組織、構造、事業目的、資産構成を変更する権限を有します。同種の株式を保有する株主は平等な権利を有しており、特定の種類株式(1つの株式会社により発行されには、事前に当該種類株主による特別総会決議が必要です。
株式を償還する際は、総株主の持分比率に応じて行うか、または公正な抽選により償還する株式を選定します。償還に関する規則は全株主の同意により変更することも可能です。
■合同会社
合同会社(S.deR.L.:Sociedadesde Responsabilidad Limitada)は、株式会社よりも出資者の権利義務等に関し柔軟な扱いが認められており、出資者間の関係がより閉鎖的、かつ比較的小規模な事業向けの形態です。合同会社においても可変資本制度は適用可能で、その場合は可変資本合同会社(S.deR.L.deC.V.:Sociedadde Responsabilidad Limitadade Capital Variable)となります。
■合併・分割
M&Aに関連する内容として、合併(fusión)と分割(escisión)に関する規定があります(合併につき商事会社一般法222条~226条、分割につき同法228条の2)。
合併には、新設合併(2つ以上のすべての会社の法人格が消え、新しい会社に統合する)と、吸収合併(1社が継続したまま、その他企業を取り込む)があります。
分割には、新設分割(既存の会社の法人格を消滅させ、その資本や資産を2つ以上の法人に分割する)、および吸収分割(既存会社の消滅を伴わずに、資本や資産の一部を他法人に移転する)があります。合併・分割については、それぞれの関連企業株主による特別総会決議が必要となります(182条)。また、法的効力を持たせるため、商業登記所(The Public Registry of Commerce)において公証、登録する必要があります(223条)。
■ジョイントベンチャー
ジョイントベンチャーの設立を検討する上で、当事者が2社以上あり、オペレーションや技術・ノウハウの提供よりも資本提供の側面が強い場合には、株式会社形態が取られることが一般的です。
一方、買収後も出資者が継続して経営に参加する場合など、合同会社形態がふさわしい場合もあります。少数株主にとっては、株式会社より合同会社の形態の方が、支配権という側面からは有利ともいえます。
商事会社一般法においては株主間契約(企業や株主間における株主の権利に関する取決で、議決権行使や株式譲渡に係る条件等を定めたもの)の有効性が明文化されておらず、むしろ旧来の商事会社一般法においては、株主の自由な議決権行使を制限する契約が無効とされていました(2014年6月改正により削除)。したがって、同法に基づく株式会社および合同会社形態では、当事者が株主間契約においてガバナンスに関する取決を行っていても、後にその有効性が争われるという事態が生じえました。
同様の内容を付属定款で定めた場合には拘束力が高まるものの、附属定款の設置・変更には、株主の承認や公証等法定の要件が定められており、取決の公開を望まない株主がいる場合には付属定款を用いることが困難です。
近年ではジョイントベンチャーにおいても、後述の、証券市場法に基づく投資促進会社(S.A.P.I.:Sociedad Anónima Promotorade Inversión)形態の利用が進んでいます。
メキシコ 証券市場法
■証券市場法
証券市場法(Leyde Mercadode Valores)は2005年制定の連邦法です。立法趣旨は、メキシコ証券市場の公平性・効率性・透明性の確保とその発展、および投資家の利益保護、システムリスクの抑制、そして健全な競争を促進することにあります(1条)。この立法趣旨の下、株式公開買付(TOB)義務、開示義務やインサイダー取引規制など、具体的な証券取引上の義務や規制を定めています。
証券市場法の特徴として、株式会社における株主間契約の有効性を明文化して認めた点が挙げられます。これにより、付属定款を変更することなく、有効な株主間契約を締結することが可能となりました。
■投資促進会社
証券市場法が施行される以前は、前述のとおり、株主間契約、議決権、譲渡等の定めの効力は限定的でした。そのため、プライベート・エクイティ投資家等が一般的に用いるロックアップ(株式発行者や大株主等と主幹事証券会社との間で結ぶ、一定期間にわたり原則として株式等の新規発行や売却を行わないことについての合意)、コール・プットオプション等の定めについても実効性を欠き、投資家の活動の妨げとなっていました。
証券市場法により、株式会社の新たな形態として、投資促進会社が定められました。投資促進会社は株式会社の特別な形態であり、少数株主の権利を強化し、柔軟な種類株式の発行を認める他、株主間契約の実効性を高めるために定められました。
上場企業を規制する証券市場法に定められた形態ではあるものの、非公開会社であるため、いずれの証券取引所にも登録する必要がなく、国家銀行証券委員会のコンプライアンス規程や監督に服することもありません。特にジョイントベンチャーや、上場予定会社の暫定的な形態として活用されています。
特に以下の点に関し、株主間契約の有効性が明文化されています(16条)。
[非競争契約]
株主間において、業種および地理的範囲に関して競業しないことを、3年以内の範囲で定めることが可能です。
[コール・プットオプション]
ドラッグアロング(大株主による株式譲渡時、その他株主にも同条件での売却を強制し、大株主によるイグジットを容易化する定め)、タグアロング(大株主による株式売却時、買い手に対し少数株主が同条件で売却する権利を定め、少数株主保護に資する定め)を含む、コール・プットオプションを定めることが可能です。
[新株予約権]
新株予約権とは、発行会社に対して行使することにより、当該株式会社の株式交付を受けることができる権利で、その譲渡や放棄等の処分につき合意することが可能です。これらの処分が第三者間で行われる場合も同様です。
関連規程と併せて、株主が払込や出資義務を履行しない場合に、持分比率を希釈する等の懲罰的規程を定めることが可能となります。
[議決権制限]
株主総会における議決権行使の方法につき合意することが可能です。たとえば、拒否権の定めや、役員選任時における優先議決権などが挙げられます。
[譲渡方法]
株式譲渡を公開買付に限定すること等についても合意が可能です。
■情報開示義務
証券市場法の下では、以下のような上場企業株式取得の場合は、国家銀行証券委員会および一般に公開する必要があります。
・直接的、間接的にかかわらず、買い手の株式持分が5%以上変動する場合、その決定の翌営業日までに、メキシコ証券取引所を通じて一般に情報を公開しなければならない(証券市場法110条)。
・直接的、間接的にかかわらず、ターゲット企業の普通株式の10~30%を取得する買い手は、取得の翌営業日までに、メキシコ証券取引所を通じて一般に情報を公開しなければならない
(109条)。
・直接的、間接的にかかわらず、買い手がターゲット企業の株式を10%以上保有し、かつ取締役会のメンバーである場合、当該ターゲット企業株式の購入に当たり、その旨を国家銀行証券委員会に報告しなければならない(111条)。
■公開買付義務
公開買付義務とは、一定条件下において公開買付が強制される制度のことをいいます。直接および間接的にかかわらず、買い手が、ターゲット企業の普通株式の30%以上を取得する場合は、公開買付をしなければなりません(証券市場法98条)。
ターゲット企業が証券取引所の上場維持要件を満たしていない場合や、上場維持要件に厳格にコミットしていない場合、その他証券市場法の違反を続けている場合も、株式取得は公開買付による必要があります(56条、108条)。
■買収対価
公開買付の買収対価としては、現金、株式、またはその複合が一般的です。証券市場法では、すべての株主に対して(株式の種類にかかわらず)、買収対価は同じものでなければならないと規定されています(98条)。
競争法
■競争法
メキシコにおける独占禁止法は、経済競争に関する連邦法(Ley Federal de Competencia Económica、以下、競争法)を指します。2014年4月29日には、連邦議会において新競争法が可決しました。ただし、内容には未だ不明確な点も多く、当面慎重な検討が必要となります。
大きな変更点としては、これまで同法に関する問題についての管轄が連邦競争委員会(Comisión Federalde Competencia)であったのに対し、今後は、電気通信業界については連邦電気通信機関(IFETEL:Instituto Federalde Telecomunicaciones)、それ以外については連邦経済競争委員会(COFECE:Comisión Federalde Competencia Económica)の管轄となった点が挙げられます。
どのような行為が競争法で禁止されるかを理解する必要があるとともに、同法の規程に従い、上記当局へ各種届出書の提出が必要となる場合もあるため、注意が必要です。
■独占的行為
独占的行為は、絶対的独占的行為と相対的独占的行為に分けられます。絶対的独占的行為は、競争および競争過程への影響が状況によらず明らかに反競争的であるもの、相対的独占的行為は、競争および競争過程への影響が常に明らかとはいえないものをいいます。
[絶対的独占的行為]
絶対的独占的行為は、以下の目的・効果を有する、競争者間のすべての契約や取決が含まれ、原則禁止とされます(競争法53条)。
・価格固定、値上げ、価格合意、価格操作
・商品やサービス提供の供給制限
・市場または顧客の分割、配分、割当または賦課
・入札談合
・上記各項目を目的とする情報交換(新法により追加)
上記に該当する絶対的独占的行為は、市場やその行為をした企業の規模にかかわらず法律違反となり、刑法上の責任に加えて制裁金が科されます。
[相対的独占的行為]
相対的独占的行為は、一概に競争を阻害する効果を有するわけではないため、マイナスの効果がプラスの効果を上回り、自由競争にとって有害な独占的行為と判断された場合に違法とされます。相対的独占的行為は以下のとおりです(競争法54条)。
・市場の垂直分割
・最終製品の販売、再販売価格の制限
・抱合せ販売
・排他的な契約
・取引の拒絶
・ボイコット
・不可欠な施設・材料の取引拒否または制限(新法により追加)
・マージンの搾取(新法により追加)
・その他競争阻害
■適用除外
[重点政策部門]
憲法28条4段に定められた重点政策部門において排他的活動が認められる同業者団体については適用除外となります。ただし、同団体に対しても、重点政策とみなされない行為については、競争法が適用されます(競争法6条)。
[労働組合、著作権者・特許権者]
関連法に基づき、自らの利益保持のために組織された労働組合は適用除外となります。また一定期間、著者や芸術家、および発明家や発明品の改良者等に与えられる、作品に対する特権についても適用除外となります(競争法7条)。
[輸出組合]
商品や製品を直接海外に販売する団体・組合について、以下の場合は適用除外となります(競争法8条)。
・当該製品の輸出が、その地方における財源として不可欠な製品、または逼迫した需要のないものである
・当該製品が、国内では販売・流通がない
・当該団体が、行政の監視下にあり、適切な機関により設立が事前に承認されている
・当該団体が任意団体であり、加盟や脱退が自由である
・当該団体が、連邦政府から許認可を受けていない
[最高価格設定]
その他、国内経済および大衆消費における基本的商品およびサービスつき、政府および大臣が最高価格を設定する場合においても適用除外とされています(競争法9条)。
■企業結合(Concentración)
競争法が規制対象とする企業結合とは、競合企業、サプライヤー、顧客等の経済主体間における合併・買収等、資産(株式、持分等)の集中を生じる行為をいいます。企業結合が自由競争や市場機能を阻害する目的や結果を生じうる場合、連邦経済競争委員会の規制または排除処分の対象となります。
当該規制は、日本の独占禁止法における、「事業支配力が過度に集中することとなる会社の考え方」と同様の趣旨によるものです。
以下の表に規定される企業結合については規制が強化されており、連邦経済競争委員会への事前届出および審査が必要となります(競争法86条)。事前届出を怠った場合には、相当額の罰金が科されます。
ただし、下記に該当する場合であっても、当該企業結合により、メキシコ国内で支配権獲得や資産の集中が生じない場合には、届出義務が免除されたり、より簡素な手続によることが認められる場合もあります。
会計基準
M&Aを行う場合、必ず対象企業のデュー・デリジェンスを行い、企業価値の算定を行わなければなりません。国によって会計基準が異なるため、現地の会計基準を把握しておくことが重要です。
メキシコは、国際財務報告基準(IFRS)を完全適用していませんが、IFRSに準拠した独自の会計基準を採用した会計処理が行われています。そのため、基準の整備は、国際的な水準と変わらないといえます。ただし、実際の運用面では新興国特有の怠惰な処理が行われているケースもあるため、注意が必要です。上場企業に限っては、2012年12月31日以降、IFRSの適用が強制されています。
+ .3 .M&A に関する税務
M&A に関する税務
■株式譲渡
[株式譲渡時の税務]
<キャピタル・ゲイン>
株式売却から生じるキャピタル・ゲインについては、普通所得とみなされ、通常の法人税率が課されます。メキシコ非上場企業の株式を売却する非居住者は収益額の25%、非居住者がメキシコに代理人を置いている場合(当該非居住者がタックス・ヘイブンに立地していないことまたは優遇税制の恩恵を受けていないことを条件とする)は利益額の35%がそれぞれ課税されます。
上場企業の株式売買から生じるキャピタル・ゲインに対しては、2014年新税制において10%の所得税が課されることとなりました。メキシコ居住者および外国居住者ともに適用があり、株式市場を通じて株式取引を行う仲介業者により源泉徴収されます。
<付加価値税(IVA)>
株式譲渡には、付加価値税(IVA)は課されません。
[株式譲渡後の税務]
<欠損金>
支配権の移転後、買収先企業の欠損を繰入れることができます。ただし、欠損を生じたビジネスと同種のビジネスからの収入に対してのみ用いることが認められます。欠損金の繰越期間は10年間です。
<補償および保証>
株式譲渡においては、買い手は買収先企業の偶発債務や税滞納を含む全責任を引継ぐことになります。
税務当局は、納税期限または申告書提出の翌日から5年間は、いかなる時点であれ追加課税のための調査・評価を行う権限を有しています。また、税務当局は買い手に対し、対象企業の過去5年間の未払税に対する連帯責任を追及することが可能です。
株式譲渡の場合、買い手は通常、資産譲渡のみの場合よりも広範な補償および保証や寄託金を売り手側に要求します。
■資産譲渡
[資産譲渡時の税務]
<付加価値税: IVA>
資産の売却価額に対して16%のIVAが課されます。
但し土地の譲渡においては、IVAは、非課税になります。
<不動産取得税: Impuesto Sobre Adquision de Inmuebles>
不動産の譲渡により、買主に地方税が課されます。税率や課税標準は州により若干の違いがありますが、取引価額、地籍上価額、査定市場価格等のうち、最も高いものの2%前後が目安となります。州によっては投資インセンティブとして免除されます。
[資産譲渡後の税務]
<のれん: Buena voluntad>
第三者から取得したのれんは、メキシコの税務上損金算入できません。
<不動産所有税 : Impuesto Predial>
2カ月ごとに不動産所有税を支払う義務があります。税額は当該不動産の価値や、所在する地域により異なります(地方税)。
<減価償却: Depreciacion / Amortizacion>
取得した有形・無形資産は、所得税法(Ley Federaldevl Impuestov Sobrelav Renta)34条に定められた償却率に従い、定額法で損金算入する必要があります。
■合併
メキシコの税制度においては、以下の要件に合致していれば、国内での合併は非課税で行うことが可能です。
・合併が株主に承認された日から1カ月以内に、存続会社が税務当局に合併の通知を提出する
・存続会社は、合併前の自社および消滅会社の事業を、合併完了から最低1年間実行する
・存続会社は、消滅会社に代わって、合併時点で納税義務があるものを含め、合併完了した年度のすべての税および情報の申告を行う
+ .4 .M&A スキームの基本
M&A スキームの基本
商事会社一般法で規定されている買収スキームには合併以外に、株式取得と資産取得の2つがあります。
株式・持分取得
■相対取引
相対取引による既存株主からの株式取得の特徴として、事業取得と比較して手続等が簡単なため、スピーディーに買収を行うことができることが挙げられます。
対象企業が存続する株式取得では、一部の税務的な責任を除き、企業としての法的責任は引続き対象企業が負うことになります。法人の背後に存在する支配的存在の責任を問うための「法人格否認の法理」がメキシコ法上認められないため、買い手にとってリスクを計算しやすいというメリットがあります。
対象企業が公開会社の場合、株式の30%未満の取得であれば、市場外における合意があり、その他要件に従う限り、相対取引が可能です。
増資により株式を取得する場合、既存株主から、新株発行に係る新株引受権の放棄を受ける必要があります。その理由は、新株引受権が行使された場合、当初予測していた割合を取得することが困難となるためです。メキシコ法においても新株引受権は規定されており、株主の権限を強化するため、付属定款において株主に付与されていることが一般的です。
■公開買付
海外から企業買収を行うにあたり、公開買付はあまり一般的な手法ではありません。公開買付は証券市場法の規制下にあり、メキシコの株式市場において公開会社の普通株式30%以上を取得する場合は、公開買付義務が生じます。
資産取得
資産取得の特徴は、対象企業に付随する権利義務をすべて引受けずに、特定の事業のみが取得可能であることです。
ただし、この権利義務が、事業資産そのものに付随している場合や、契約により合意した場合には、取得に伴って権利義務を引受ける必要があります。労働、税務や環境に関する責任などは、資産に付随する可能性が高いです。環境に関する責任は、土地所有以前に行われた行為について、当該会社に対して追及される可能性があります。しかし、法人格否認の制限は依然適用されます。
実質的にすべての資産を買収する場合には、買い手は買収完了時点で資産に付随する従業員の使用者となり、労働法上の義務を承継することになります。雇用に関する福利や条件の修正は認められないため、これを回避するには、買収完了時点でいったん解雇し、解雇手当を支払った上で再度雇用する、等の手続が必要です。
メキシコにおいて資産取得により事業譲渡を行う場合、主要資産の譲渡契約書とともに、それに付随する資産も確実かつ適時に移転するために必要な手続を記載した、付随的な権利委譲書を締結するのが一般的です。これより複数の不動産がかかわる場合、各不動産につき個別の契約書が、公証役場での公証や不動産登記に先立って必要となります。
長期リース契約やその他契約における権利が譲渡される場合には、別途手続が必要となります。担保の対象となっている資産であれば、担保解消および資産移転のため、個別の書類が必要となります。
資産取得は株式取得に比べて一般的に多くの書面を必要とし、そのドラフティングや交渉等に時間がかかるため、ディールが長期化しがちであることに注意が必要です。
準拠法の選択
準拠法は、当事者によって選択する事ができます。当事者が異なる法域を合意する場合もありますが、ほとんどの場合では、メキシコ法が指定されます。
日本法の選択
日本法を選択する事も可能ですが、メキシコ法人の付属定款は、メキシコ法に従う必要があります。
株主間契約
典型的には、メキシコ法によって規律されます。法律上の要件ではありませんが、株主間契約において選択された準拠法と付属定款の不一致は望ましくありません。
+ .5 .参考文献
参考文献
・The Institute of Mergers, Acquisitions and Alliances (IMAA)
・『M&A専門誌MARR』レコフデータ
「特集2013年の日本経済とM&A動向」2013年2月
「特集2014年の日本経済とM&A動向」2014年2月
・KPMG.com‘Taxationof Cross-Border Mergers and Acquisitions Mexico’
・日本貿易振興機構(JETRO)メキシコ・センター「メキシコにおける会社設立・清算手続き」2009年9月
・日本貿易振興機構(JETRO)
「ジェトロ世界貿易投資報告2013年版」世界と日本の貿易投資統計
・LuisBurgueño,VonWobeserySierra,‘PublicmergersandacquisitionsinMexico:overview’
・arlosDelRio,‘Mexico,NegotiatedM&AGuide,CorporateandM&ALawCommittee’