設立
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事業拠点の特徴
メキシコの事業形態
メキシコにおいてビジネスを行う際の事業形態は、株式会社、合同 会社、合名会社、合資会社、株式合資会社、協同組合の 6 つがありま すが、外国企業の多くは株式会社と合同会社によりメキシコに進出し ています。
また、メキシコにおいてはこれらの現地法人の他に、いわゆる支 店・駐在員事務所についても、法的要件を満たす形で設立または開設 し、必要な許認可等を取得すれば問題なく活動することができます。 現在、メキシコへの新規進出の多くが株式会社(S.A.)で行ってお り、一部、主にアメリカからの投資に合同会社(S.de R.L.)が利用
されています。 株式会社設立の中で採用例が最も多い形態は、S.A.de C.V. といわれる可変資本型の株式会社です。これは可変資本(C.V.:Capital Variable)制度という、会社定款を変更せずに増減資が行える制度を 利用する形態です。合同会社についても、可変資本制度を利用するこ とができ、その場合は S.de R.L.de C.V. となります。
なお、これらの現地法人設立に必要となる主な根拠法は、以下のと おりです。
•商事会社一般法(Ley General de Sociedades Mercantiles)
•外国投資法(Ley de Inversión Extranjera;以下、外資法)
•商法(Código de Comercio)
•連邦民法(Código Civil Federal)
メキシコの進出形態
① 現地法人
規制業種以外への投資については、100%外資の現地法人設立が可能となります。現在では、経済省外資委員会(SRE :The Secretariat of Foreign Relations)へは事後報告のみで会社設立が可能となりましたが、メキシコが締結している条約や協定とは別に、外国法人または支店(駐在員事務所を含む)がメキシコで営業行為を行うには、経済省の許可が必要とされています。必要条件を満たしている場合、15営業日以内に許可書が発行されます(外資法第17、17-A条)。
また、日本、米国、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ニカラグア、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ウルグアイ、ペルーの資本によって設立された企業に対しては、メキシコ国内で外国法人として活動する際に必要とされてきた経済省の開設許可も不要となりました。(国家外国投資委員会決議第1条)
メキシコの商事会社一般法(Ley General de Sociedades Mercantiles)で規定されている法人の形態は以下の6種類です。
【法人形態】
・株式会社(S.A.: Sociedad Anonima)
・合同会社(S. de R.L.: Sociedad de Responsabilidad Limitada)
・合名会社(S. en N.C.: Sociedad en Nombre Colectivo)
・合資会社(S. en C.: Sociedad en Comandita Simple)
・株式合資会社(S. en C. por A.: Sociedaden en Comandita por Acciones)
・協同組合(S.C.: Sociedad Cooperativa)
②株式会社と合同会社の違い
メキシコにおける新規法人設立において、主にアメリカ資本により合同会社(S. -de R.L.)が設立される場合があります。株式会社と合同会社の違いは、株式会社は資本(株式)と経営(経営者)を分離しますが、合同会社については資本(出資者)と経営(経営者)を分離せずに同一の者が行うことを主とします。
(ア) アメリカにおけるLLCのメリット
LLC(Limited Liability Company)が多く用いられるアメリカでは、LLCにパススルー課税という特典を与えています。
パススルー課税とは、出資者が経営を直接行う(出資者に利益が直接帰属するという考え方)ために、国はLLCという組織体に課税を行うのではなく、その出資者に対して課税を行う(所得をLLCから出資者にパススルーする)ことをいいます。
アメリカのLLCにおけるパススルー課税のメリットは、損益の通算および個人の配当税の回避が主となります。
パススルー課税を採用した場合に、LLCが赤字であればLLC側では税金を納める必要はなく、その赤字が出資者へとパススルーされます。そのためパススルー課税を利用すると、出資者は赤字と自身の利益とを通算して、自身の税額を低く抑えることができるのです。
次に個人への配当税ついて、配当とは、税引後利益の株主に対する分配をいいます。株主が法人の場合には、受取配当等の益金不算入の規定があるために特段2重課税となることはありませんが、株主が個人の場合には当該受取配当金が個人所得と認識され2重課税の対象となります。そのため出資者が個人である場合には、LLCの形態(パススルー課税)を利用して配当税を回避するのです。
(イ) メキシコにLLC(合同会社:S.de R.L.)を設立した場合の取り扱い
アメリカのLLCのメリットを考えた際には、このパススルー課税という言葉を良く聞きますが、これはあくまでもアメリカの法律上の特典であり、メキシコの合同会社(S.de R.L.)において同様の取り扱い(パススルー効果)はありません。つまりメキシコの合同会社は、それ自体が独立した事業体と考えられ、メキシコ国内においてISR(所得税)が課されるのです。
(ウ) アメリカ資本に合同会社形態での進出が多い理由
アメリカ資本においては、メキシコへの会社設立に関し、アメリカの専門家に意見を求めることが多く、その際に合同会社の設立を薦められるケースが多くあります。
アメリカにおいてLLCとは非常に使い勝手の良い制度と認められているために、メキシコにおける合同会社も同様に利便性が良いものと認識されているようです。
ただし、パススルー効果がない、若しくは限定されている中で合同会社による進出のメリットはあまりなく、その組織形態も日本人にはなじみのないものとなっています。
③現地法人以外の進出形態
(ア)支店・駐在員事務所
2012年8月に官報に公告された国家外国投資委員会決議第1条の規定により、北米自由貿易協定(NAFTA)、または日本メキシコ経済連携協定(日墨EPA)など国際協定により、相手国投資企業は内国民待遇を受け、経済省の拠点開設許可を不要(ただし、下記の書面宣言は必要)とし、支店や駐在員事務所の設立期間も短縮されました。
【支店】
外資法17条により「メキシコ国内において常態で商行為を営もうとする外国法人」(1項)、これが日本でいう支店に該当します。
法人と同じように商業活動が可能であり、開設には外資委員会での事前承認(国家外資登録)が必要となります。現地法人に比べて業務開始までに比較的時間がかかります。
また、現地法人と異なる点は、支店は不動産に関する外資規制の対象となり、規制区域内の不動産を直接取得することができず、操業形態や業種により操業許可が取得できない場合があります。
【駐在員事務所】
「民法第2736条にのみ規定される(常態で商行為を行わない)外国法人でメキシコ国内に拠点を設けようとするもの」、これが日本でいう駐在員事務所に該当します。
駐在員事務所は通常、金融機関などの特別業種を除き、情報収集、連絡業務などを目的として設立され、メキシコ国内における営業・営利行為は禁止されています。現行法では支店と駐在員事務所の明確な区別は示していませんが、駐在員事務所も支店と同様、国家外資登録が必要となり、外資委員会での事前承認も必要となります。
つまり、支店と駐在員事務所の相違点は、「メキシコにおいて常態で商行為を行うか、否か」をその相違点としていると考えられます。上記以外には明確に支店と駐在員事務所(金融および保険等の特殊業務における駐在員事務所を除く。)を区別する定義が確立されているわけではなく、その定義、活動範囲についても解釈の範囲を残すこととなっています。
なお、支店・駐在員事務所の設立には当該法人の代表による書面宣言が必要となり、内容は以下となります。
[支店・駐在員事務所の設立にあたる書面宣言 ]
・ 当該法人の定款など設立公証証書において、メキシコの社会秩序 に反する活動や目的を定めておらず、また、外資法を遵守する内 容となっていること
・ 経済省外資委員会の決議の対象となる 1 2 カ国の法律に基づき設 立された企業であること
・ 外資法 1 7 条で常態で商行為を営む外国法人の場合、メキシコ国 内に設けた支店や代理店など活動拠点の住所
・ 民法 2 7 3 6 条で規定される外国法人の場合(駐在員事務所)、メ キシコ国内に居住している法的代表者の氏名と住所
規制業種 |
■規制業種の動向
メキシコでは、以前は国内産業の保護の観点から、メキシコ企業に対し出資比率が半数を超える外国企業の投資を原則的に禁止していました。しかし、1980年代の後半から、一気に各種経済政策が自由化され、外資規制に係る法制にもそれが反映されました。
現在では、半数を超える投資も可能となり、次に掲げる各種規制業種を除き、100%外資による現地法人の設立、または、現地法人への資本の参入が可能となりました。
外国投資法(Ley de Inversión Extranjera)により、以下の規制業種を除く業種(一般業種)については、100%子会社の設立が可能となります。
ただし、規制業種以外でも既存企業の資本金に49%を超える外資が参入する場合、その会社の資産総額が201億8,467万1,346.26ペソ(2020年5月7日官報公示国家外資委員会決定、翌日より施行)を上回ると、外資委員会の承認が必要となります。
なお、外資参加比率に上限のある規制業種で外資出資比率の算定をする場合、マジョリティーを有するメキシコの会社を通じた間接的な投資は外資出資比率には含まれません。
2014年はペニャ・ニエト政権のエネルギー改革などの影響により、2014年1月10日および2014年8月11日の2度にわたって外資法の規制業種の改正があり、外国資本のメキシコ投資はさらに自由に行えるようになっています。
[規制業種]
国家に留保される規制業種(外資法5条)
・石油およびその他の炭化水素
・電力
・原子力エネルギー
・放射性鉱物
・電報・無線電信サービス
・郵便および電報業
・紙幣発行・貨幣鋳造
・港湾・空港・ヘリポートの管制・管理・監督
・その他適用法が明確に定める分野憲法改正も含めた抜本的なエネルギー改革を、現行のペニャ・ニエト政権は推進しています。その影響により2014年8月11日の改正において、「基礎石油化学」は外資法5条の国家に留保される規制業種から削除されました。
メキシコ人または定款に「外国人排除条項」を有するメキシコ法人に留保される規制業種(同法6条)
・関連法に基づく開発銀行
・適用法に明確に示される専門・技術サービスの提供
・旅客・観光・貨物の国内陸上運送(宅配サービスを除く)
ただし、同法6条の規定により、国際輸送の一環として実施する国内の複数地点間を結ぶ旅客・観光・貨物の陸上輸送業務およびバスターミナル運営業務は、2004年1月1日より外資が100%出資できるようになりました。また、宅配サービスについては国内陸上運送であったとしても外資の参入は認められています。
「ガソリン・液化ガス小売業」も、2014年8月11日の改正において、6条のメキシコ法人に留保される規制業種から削除されました。ペニャ・ニエト政権は、エネルギー改革の他に通信事業改革も行っており、その影響で2014年8月11日の改正において、「ラジオ・テ
レビの各放送サービス」も同様に削除されました。
外資参加比率規制業種(同法7条)
・協同組合は10%まで
・49%を上限とする分野‐爆発物・花火・銃火器などの製造と販売等(鉱・工業活動のための爆発物購入または使用、および混合物の製造を除く)
‐国内のみ流通される新聞の印刷および発行
‐森林・牧畜・農業用土地を所有する会社のTシリーズ株式(普通株式)
‐排他的経済水域漁業、沿岸漁業、淡水漁業(養漁業を除く)、総合港湾の管理
‐海運法に基づく国内航路の水先案内港湾サービス、観光用クルーザを除く内国海運会社(沿岸・内航路で商業用船舶操縦に従事、または港湾の建設・維持・運営に従事するもの)
‐船舶・飛行機・鉄道機器の燃料・潤滑油供給、連邦電話通信法11条、12条に規定されるコンセッション会社
‐国内航空輸送、エアタクシー輸送、特別航空輸送
‐ラジオ放送サービス・テレビ放送サービス
保険会社、両替商、総合倉庫業、年金運用会社については2014年1月10日の外資法改正により、7条の外資参加比率規制業種から削除されました。
証券市場法12条の2に言及される会社、年金運用機関については2014年8月11日の外資法改正により、同様に削除されました。また、国内航空輸送、エアタクシー輸送、特別航空輸送における外資出資比率規制は2017年6月26日付官報で公示された外資法改正により、25%から49%までに緩和された。
外資参加率49%を超える場合に、外資委員会の承認が必要とされる規制業種(同法8条)
・曳航・係留・用船などの港湾サービス
・遠洋運輸の船舶操業に従事する海運会社
・公共飛行場の認可またはコンセッション会社
・幼稚園・小学校・中学校・高校・上級学校の私立学校サービス
・法務サービス
・公共鉄道サービスの提供と鉄道の建設・操業・管理信用調査、証券格付、保険代理店、携帯電話、石油およびその副産物運送、パイプラインの建設、石油・ガスの井戸掘削については2014年8月11日の外資法改正により、第8条の外資委員会の承認が必要とされる規制業種から削除されました。
メキシコは、これらの規制業種以外の業種については、100%の外資の参入を認めており、非常に進出のしやすい国となっています。
■中性投資
次の規定に従って行われる投資は「中性投資」とみなされ、外資比率決定に参入されません(外資法18条)。
・経済省の認可を事前に取得した信託機関が発行する議決権等のない中性投資証券への投資(同法19条)。
・経済省の許可を事前に取得し、さらに必要な場合、国家銀行証券委員会の許可を得た上で行う議決権等のない株式への投資(同法20条)。
■登録および報告
以下の場合には、経済省外資局に登録(設立日または投資を行った日から40営業日以内)し、毎年登録の更新を行う必要があります。
・中性投資や信託を行う外国企業・国内で日常的に商行為を行う外国法人等(支店も含む)
・外資に権利をもたらす不動産・持分・株式の信託および中性投資を行う企業
また、登録内容の変更についても報告義務が課せられています(外資法32~35条)。
■登録および報告違反に関する罰則
登録および報告に違反行為がある場合、経済省は認可を撤回できます。無効とされた会社の定款、協定、行為は当事者間だけでなく第三者にも法的効力を有しません(外資法37条)。
下記の場合には、罰金が科せられます(同法38条)。
・外資委員会の承認が必要とされる行為を承認なしに行った場合、UMA※1の1,000~5,000日分の罰金・外国法人※2が経済省の許可を得ずに営業行為を行った場合、UMAの500~1,000日分の罰金。
・外国投資局への登録、報告の不履行、時間外履行、不完全または間違った情報を提出した場合、UMAの30~100日分の罰金。
※1 2020年のUMAは86.88ペソ/日
(UMAは毎年2月に変わるので、毎年確認する必要があります)
※2 上記、『現地法人設立』のパートでも述べた以下の12カ国については、許可ではなく、届出を行わずに、営業行為を行った場合、罰金となる。
日本、米国、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ニカラグア、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ウルグアイ、ペルー
事業拠点の設立
設立スケジュール |
■法定代理人の選定
[法定代理人]
通常、外国法人がメキシコで会社を設立するには、法定代理人(Representante Legal)の選定が必要となります。法定代理人とは、その名の通り“株主から法的に会社運営に関する権限を与えられた代理人”のことであり、メキシコではほとんどの企業で法定代理人を選定しています。もちろん、法定代理人を置かなくても会社そのものは設立できますが、法定代理人を置いておかないと書類への署名等が行えないなどの問題が生じるため、最初から決めておくのが一般的です。また、法定代理人は会社設立公正証書内に記載がされています。これは、会社設立手続の際に登録する、取締役や監査役と同じように最初から会社の期間設計の一部として決定することが多いためです。
法定代理人の要件としてメキシコ国籍の者、またはテンポラリーレジデントカード(TRT:Tarjetas de Residente Temporal)を持っている外国人に限定されます。TRTとは長期滞在許可証のことで、以前はFM3という名称でした。そのため、本書では「TRT」で統一しています。
[サイナー(署名者)]
メキシコではサイナー(署名者)の権利についても、TRTを持っている者に限定されているために、設立当初(現地赴任者のビザが取得できるまで)は会社にサイナーがおらず、各種契約書等の書類へのサインについて困ることがあります。その際には以下の2つの解決方法があります。
・法定代理人が当該書類にサインを行う
・日本にて当該書類にサインを行い、公証役場で公証をし、メキシコに持ち込む
現在、メキシコにおいてTRTの取得が長引いている(約3~6カ月)ために、設立後からTRT取得までの期間のサイナーについても考える必要があります。
■現地法人情報の決定
現地への進出が決まった段階で、各種情報を決定しなければなりません。
※株式会社の場合、必ず設置しなければならない
■商号使用許可取得
メキシコで使用する商号の使用許可を取得します。既に同じような名前が登録されていた場合は申請をやり直す必要がありますので、商号使用許可申請の際には3~5つほど候補となる商号を申請することをお勧めします。
社名には末尾に「株式会社」や「合同会社」などを付ける必要があり、可変資本株式会社であれば「S.A. de C.V.」を、可変資本合同会社であれば「S. de R.L. de C.V.」を付けなければなりません。
メキシコではペーパーカンパニーが多く、また、類似した商号はあまり認めない傾向にあるため、この商号の取得に時間を要する場合があります。使用したい商号がペーパーカンパニーの場合には、商号の取得のためにそのペーパーカンパニーを買収することも一部行われています。
■設立時提出書類
メキシコに新規法人を設立するに当たり必要となる書類は以下のとおりとなります。
法人株主の場合
・親会社定款(コピー1部)
・親会社登記簿謄本(原本1部:発行日から3カ月以内のもの)
・親会社印鑑証明書(原本1部:発行日から3カ月以内のもの)
・親会社代表取締役パスポート(コピーおよび原本)
個人株主の場合
・個人株主住民票(原本1部:発行日から3カ月以内のもの)
・個人株主印鑑証明書(原本1部:発行日から3カ月以内のもの)
・個人株主パスポート(コピーおよび原本)
・経済省外資局の会社設立認可証(商号の取得、資本金等)
・公証委任状(代表権授権公正証書、P/A証書)、宣言書
親会社提出書類の中に親会社代表取締役のパスポートの原本があります。日本側での公証の際に必要となる場合がありますので、事前にスケジュールをしっかりと詰める必要があります。
[公証委任状の作成]
公証委任状(P/A証書:Power of Attorney)は、発起人(授権人)の代理人(受権人)が日本において各種書類の公証を行う場合に必要となります。
■マネーロンダリング関連法
マネーロンダリング関連法は、メキシコのインフォーマル経済に対応するために施行された新法であり、発行当初は具体的な手続が不明でしたが、少しずつその内容が明らかになってきています。
2014年の改正により、新規法人設立の際にもマネーロンダリング関連法に従った手続が求められ、具体的には、従前の設立必要資料に追加で以下の資料を求められるようになっています。
[マネーロンダリング規制法に関する必要書類]
法人株主の場合
・親会社の国税電子申告・納税システムの利用者識別番号のコピー
・親会社代表取締役の個人確定申告の利用者ID番号または直近の給与所得の源泉徴収票にある受給者番号のコピー
個人株主の場合
・個人確定申告の利用者ID番号または直近の給与所得の源泉徴収票にある受給者番号のコピー
代理人(代行業者以外になる場合)
・個人確定申告の利用者ID番号または直近の給与所得の源泉徴収票にある受給者番号のコピーおよび住民票
マネーロンダリング関連法により求められているこれらの書類を、日本の公証人役場にて公証およびアポスティーユ(日本の行政が発行する公文書に対する外務省の証明)を提出する必要があります。これらの書類については、法人および個人のTAX‐IDいわゆる納税者番号を証明するだけで、所得や納税額などは必要とされません。今後も、マネーロンダリング関連法によって求められる資料はより具体的になるものと思いますので、引き続き経過を注目する必要があります(マネーロンダリング関連法の詳細については、Ⅶ章「税務」参照)。
■親会社資料の公的翻訳
日本で発行された文書を相手国(メキシコ)の各種機関に提出する場合、その書類が現地の言語(スペイン語)に翻訳されている必要があります。
メキシコにおいては、公的翻訳者という国によってライセンスを付与された翻訳者がおり、スペイン語以外で記載されている公的な書類は、公的翻訳者によって翻訳された書類でなければ、各種機関では認められません。そのため、アポスティーユされた親会社資料に関しても、全てを公的翻訳家に翻訳してもらう必要があるのです。
■現地法人の定款作成
定款は会社設立公正証書の中核をなすものであり、下記の事項により作成することとされています。設立時の関連人事を決定していれば、2~3週間程度で作成することができます。
[会社運営に係る基本的事項]
・会社の国籍および本店所在地
・会社の目的
・会社の社号または名称
・会社の存続期間
・会社の資本金の額
・各株主が現金およびその他の財産で出資する旨、出資財産に付与される価額および、その他の評価の基準、また、可変資本会社
(後述)の場合には、確定最低資本および可変である旨
・会社の住所
・就業規則および取締役の権限
・取締役の任命権や会社を代表して署名をする者の指名権
・会社を構成する者で利益分配に取るべき方法
・準備金の額
・会社の存続期間以外の解散条件
・会社の清算手続規定または、清算人が事前に任命されていない場合の清算人の選任規定
上記の基本的事項は、会社の業種・業態は問わず定款に記載される事項ですが、株式会社の場合には、下記の事項も付け加える必要があります。
・払込資本の金額
・払込資本に対応するが分割される株式数、額面およびその種類
・株式の未払込額を払込むべき方法およびその時期
・発起人に付与される利益
・1人以上の監査役の任命
・総会の権限およびその議事録の有効期限の変更のための条件
なお、議決権行使のための条件も同様であり、株主の権限により変更することも可能です。
また上記以外にも、設立当初の株主構成や、経営機関の構成、監査役、執行機関、代表権授権人氏名等の可変的事項も考慮する必要があります。
■創立総会決議
・発起人の名称または氏名、その代表者または代理人の氏名
・会社設立当初の資本金額、その構成、各株主の引受けや払込みの状況
・第一会計年度
・取締役等の経営機関の任命とその権限内容
・監査役の任命
・社長以下のオフィサーの任命並びに代表権授権
※メキシコでは株式会社の場合、会社株主が最低二名いることが会社設立・維持の要件である。
■発起人委任状の作成および公証
メキシコ現地法人の発起人は発起人委任状を作成し、法定代理人は会社設立の権限を委任されます。当該発起人委任状は各国の公証役場にて公証およびアポスティーユを取得する必要があります。
[日本での授権手続]
日本の会社または個人が必要に応じてメキシコ法人の発起人となる場合には、メキシコ在住の授権人宛に、在日メキシコ領事館に対するP/A証書を作成することもできます。ただし、公証役場にて公証・アポスティーユを取得する方がスムーズです。
[アメリカでの授権手続(アメリカを介する場合)]
在日メキシコ領事館に対しP/A証書を作成することが求められますが、同代表権証書をアメリカの公証人が承認し、さらにアメリカ政府が発行するアポスティーユを取得したものでも認められます。また上記のいずれかを選択するのは、代表権証書を発行するアメリカの州・地域によって異なりますので、事前に確認を取る必要があります。
■商法上の会社設立
公正証書を作成する公証人は、各種必要書類の提出を受け、それらに問題がないと判断した場合には、これらの事項を盛り込んだ会社公正証書の原本を作成し、法定代理人(法定代理人を立てなければ発起人当事者。つまり法定代理人がいれば、発起人当事者がメキシコに行く必要はない)に署名をさせた上で、公証人本人も署名を行います。これにより、会社設立手続が然るべき方法により達成されたとし、
当該署名が行われた時点で法的に会社が誕生します。公正証書は公証人が原本を、当事者には謄本が発給されます。
会社設立時点で納税義務が発生するために、たとえ設立当初で利益が出ていない場合(税金を支払わない場合)においても、毎月の確定申告を行うこととなります(俗にいう0申告)。
■納税者登録番号(RFC)
納税者登録番号(RFC:Registro Federal de Contribuyentes)とは、メキシコの納税者登録番号を指します。RFCの登録時に国税庁(SAT:Servicio de Administración Tributaria)から付与されるRFC番号がその会社を示す重要な番号となり、この番号がなければその後の各種手続、ビザの取得、銀行口座開設、インボイスの発行を行うことができません。
RFCの登録はメキシコでの会社設立において、非常に重要な位置付けとなっており、RFCの取得をもって会社設立が概ね完了したと捉える企業も多くあります。
また、RFCの取得においては“住所”が非常に重要になります。取得において利用した税務上の住所が、その後の各種当局に対する会社の正当な住所とされ、多くの義務がその住所に対して課されます(税金の支払義務等についても、住所に対して課されるという考え方があり、前任者の滞納税金を後任者に支払を要求した例もある)。
設立後の各種登録手続き(ビザ申請、輸入業者登録、銀口座開設等)に必要となる住所は、全てこのRFC住所を使用します。
また、RFC住所には住所詳細(何番地、部屋番号等)が記載され、登録の際には住所の証明書(公共料金の請求書)が必要となるため、新規でメキシコ進出をする場合は、RFC用の住所をコンサルティング会社などから借りる必要があります。
オンラインシステムを利用して登録するため、手続は非常に容易であり、公正証書作成の公証人に依頼すれば、署名から長くても1週間程度で取得することが可能です。
なお、オンライン登録の際に、業態・経営形態を選ばなければならないため、定款の事業内容に沿った項目を選んでおくことが必要となります。また、RFCを取得した段階でビザの手続を開始することができます。この段階までにビザ取得のための必要書類をそろえておきましょう(必要期間3~6カ月)。
法人のRFCは12桁で構成されており、左から最初のアルファベット3文字が会社名、次の数字6桁が会社の設立日、最後の3桁がランダムの文字や数字となっています(個人は13桁であり、最初の4文字が名前、次の6桁が誕生日、最後の3桁は法人同様にランダムです)。
また、法人のRFCからは月次税務申告の期限にどれだけの猶予があるかを知ることができます。
通常、月次の税務申告期限は毎月17日ですが、RFCの左から9桁目の数字によって、その会社の猶予期間が決まっています。
1-2:1営業日
3-4:2営業日
5-6:3営業日
7-8:4営業日
9-0:5営業日
例えば、RFCがTCF150629ABCであった場合、「9」が上記猶予期間数字に該当し、5営業日の猶予があることを示しています。
法人のRFCは12桁で構成されており、左から最初のアルファベット3文字が会社名、次の数字6桁が会社の設立日、最後の3桁がランダムの文字や数字となっています(個人は13桁であり、最初の4文字が名前、次の6桁が誕生日、最後の3桁は法人同様にランダムです)。
■商業登記(RPPC)の申請
メキシコ現地法人の設立が終わり、会社公正証書等の必要書類を揃えたら、次に商業登記(RPPC:Registro Públicode la Propiedady de Comercio)を行います。
メキシコでは、商業登記なくして株主や社員の有限責任は成立せず、第三者に対して無限責任を負うことになってしまいます。
商業登記の手続には2~3カ月程の期間を有することもあり、その間の引き続き行わなければならない各種手続について、取扱を考える必要があります。
具体的には、銀行口座開設に当たり商業登記および会社設立公正証書が必要になり、会社設立公正証書は商業登記のために当局に提出します。会社設立公正証書は他の各種手続にも必要であるため、事前準備をしておかなければ余分な時間を費やしてしまうことにもなりかねません。商業登記の手続を始めた段階で商業登記の手続を行っていることを証する“確証”が発行されます。確証を事前に取得しておくこと、また、法的に有効な会社設立公正証書のコピーを事前に取得しておくことが必要となります。
登記完了後、登記証明(公文書または印章)が付された会社設立公正証書が返還されます。
■経済省への外資登録
会社設立日より40日以内に、外国企業は、経済省外資局に対し、外資法および同施行規則に従って外国投資登録(外資登録RNIE:Registro Nacional de Inversiones Extranjeras)を実施しなければならないとされています。初回の登録を終えた後は、四半期と年次の期間において一定の条件を満した場合、報の登録更新が必要となり、これを実施無い場合は罰金が生じることとなります。
■株券発行/各種帳簿発行手続
法定要件を満たした株券の発行は、記名式で行われます。合同会社に関しては、社員の持分権を証明する証書発行は可能ですが、有価証券に持分を表章することは禁止されています。
帳簿発行に際して株式会社の場合は、株主総会議事録、取締役会議事録、株式登録簿が必要となります。可変資本株式会社はこれらの3点に加え、資本金増減登録簿を備え付けなければなりません。合同会社の場合は、社員総会議事録、執行役員会議事録、社員登録簿、資本金増減登録簿が要求されます。
[株券記載事項]
また、株券には以下の事項が記載される必要があります。
・株主の氏名、国籍、住所
・会社名、住所、
・会社の設立日および商業登記の詳細
・株式資本の額、株式の総数および名目金額
・株式が払い込まれたことの表示
・株式のシリーズと番号、シリーズに対応する株式の総数
・定款に従い、署名しなければならない取締役の署名
(商事会社一般法125条)
[株式の種類]
A株:議決権制限株式で議決権を持つが、メキシコ人のみが取得可能
B株:普通株式で議決権を持ち、メキシコ人、外国人のいずれもが取得可能
C株:外国人投資家の議決権を制限した議決権制限株式L株:議決権を制限した議決権制限株式
U株:複数の種類の株式を合わせた株式。たとえば、UBC株はBとC株を合わせた株式となる
[自己株式]
メキシコにおける自己株式については、会社が債務者に対して訴えを提起して、債務者が持つ自社の株式を競売により取得する場合を除いて、株式会社が自己株式を取得することは原則として禁止されています。
また、上記の場合、会社は株式を適法に処分できる期日より起算して、3ヵ月以内に売却する必要があります。この期間に売却しない場合、株式は消滅し、減資手続がなされます。なお、株式が会社に帰属する間、当該株式にあっては株主総会で議決権を行使することはできません(商事会社一般法134条)。
[配当の決定方法]
配当を議決権制限株式に割当てる前に、普通株式に割当てることはできません。
当会計年度に配当がない、または、配当還元率が5%に達しなかったときは、定められた優先順位により、次年度以降に支払われるものとすることが定められています(商事会社一般法113条)。
[株主名簿]
株式会社は、株主名簿に登録された者を株式の所有者とみなすと規定されており、株主名簿を作成する必要があります。株主名簿には以下の内容を含むこととされています。
・株主の氏名、国籍、住所、また、株式数、シリーズ、クラスその他の特殊性など属するもの株式の記載
・実行された出資の履行の記載
・株式の譲渡などに関する記載
[株式譲渡]
上記のように株主名簿に登録された株主を株式の所有者とみなされるため、株式譲渡が行われた際にも株式名簿に登録する必要あります。また、株式譲渡は、定款によって、取締役会の承認を得た場合にのみ行うことと定めることが出来ます。また、裏書以外の方法で譲渡が行われた株式は、その旨を株券に記載する必要があります。
■銀行口座開設
メキシコにおいて口座を開設する場合に必要とされる資料については以下のようなものがあります。
・会社公正証書
・代表権限書
・代表者のID
・納税者登録番号
・商業登記
・サイナーID
・住所証明
※公共料金の支払証明等
・その他必要とされる書類
・その他銀行側において用意される書類
これらの書類を用意しますが、上述のとおり、会社設立公正証書と商業登記については、法的に有効なコピーおよび確証を用いることとなります。
なお、設立間もない企業は、レンタルオフィス等から住所を借りていることが多く、その場合は当該レンタルオフィスに連絡し、住所証明を取る必要があります。
■法人設立完了
銀行口座の開設が終了し、資本金の振込が終わったら、正式にメキシコ現地法人の設立が完了です。この段階で営業を開始させることが可能となります(商業登記は確証のままでもビジネスを開始することが可能)。
その他業務に必要な各種登録 |
その他業務に必要な各種登録をまとめると以下のとおりとなります。
これらの各種登録について、重要な部分をピックアップし、次項において詳細に確認していきます。
■不動産賃貸または取得について
メキシコにおいて不動産の賃貸または取得を行う場合には、賃貸借契約、売買契約、信託契約、建設許可、建設工事契約、土地・社屋の取得・使用に関する各種許認可類(開設通知、消防関係、衛生関係)、災害保険等の手続が必要となります。
また、メキシコにおける不動産取得については次の法において一部規制がありますが、居住目的以外であれば、原則取得は可能です。なお、メキシコでは不動産を取得した場合、不動産取得税が課せられることになっております。取得した不動産の取引価格、地籍上の価格、査定市価等のうち一番高いものに対して、2~4.5%の税額が課せられます。(州によって異なります。)
https://www.jbic.go.jp/ja/information/investment/images/inv_mexico12.pdf
https://ja.sekaiproperty.com/article/2716/mexico-property-guide#toc2
[憲法27条1項]
「外国人排除条項」を有するメキシコ会社、または当該規定に言及される協約を取り決めたメキシコの会社は、直接不動産を取得することができる。なお、外資投資法10条規定により、協約を取り決めたメキシコの会社は、規制地帯(100㎞および沿岸50㎞以内の地帯)で居住以外の目的をもって不動産を取得することは可能だが、外務省に報告する必要がある。
[外資法 10-A条]
外国法人または自然人が規制地帯以外で不動産を取得する場合、憲法27条1項の 規定に言及される協約を取り決めた書状を法的には、土地購入後から60日以内にとされているが、公証役場で手続きをする上で必要となるため実務上、事前に外務省へ提出し、許可を得る必要がある。
■労務・社会保障
メキシコにおいて人材を雇用する場合には、前提として雇用主登録を行う必要があります。雇用主登録についてはビザ取得手続に紐付くものであるために、ビザ取得のためのものという認識がありますが、人材を雇用する場合においても雇用主登録は必要となります。人材を雇用する場合に対内的に必要な手続として、雇用契約書、就業規則、職業訓練プログラム、安全・衛生プログラム、雇用アウトソーシングサービス契約、任意保険(生命、医療等)などがあります。また、対外的な雇用に伴い必要となる手続には社会保険庁(IMSS)登録、退職積立金制度/労働者住宅公庫(SAR/Infonavit)関連登録、給与税納税者登録などがあります。
2019年10月時点では、ロペス・オブラードール大統領の政策により当局の人員削減等により、当局の対応が遅くなっており、登録に3ヵ月以上かかることもあります。また、VISAに使用するプラスチックの材料が少ないこともあり、VISAがなかなか発行されないケースもあります。
■物流・関税・通関
メキシコにおいて輸入を行うためには、輸入許可申請及び輸入業者(Padrón de Importadores)登録が必要となります。また、輸入の際に必要とされる通関士については、登録通関士を利用する必要があるため、主要な各港および空港に通関士を最低でも1人は確保しておくべきです。その他、物流・関税・通関に関して必要となるものには、代理店サービス契約、輸出向け製造・マキラドーラ・サービス産業(IMMEX)登録、産業分野別生産促進プログラム(PROSEC)登録、輸入在庫管理システムの構築、外国人スタッフ引越し荷物の無税(保税)通関などが挙げられます。
■輸入業者登録
輸入業者登録とは当局が管理している輸出入通関申告用のコンピュータに業者データを登録することであり、厳密には輸入ライセンスの取得ではありません。
輸入業者登録は、大きく分けて、下記の2種類が挙げられます。
・Padrón de importadores(一般輸入業者登録)
・Padrón de importadores de Sectores Específicos(部門別輸入業者登録)
どちらもSAT(国税庁)のWebサイト上で行う手続きとなります。また、輸入する商材や製品により、どちらの登録が必要となるかが異なります。スペイン語での記載とはなりますが、SATのWebサイトのページの中央部に記載されている1から16項目の商材や製品に関して、部門別の輸入業者登録手続きが必要とされています。RFCおよび電子署名を有する企業であれば、経済省貿易局のウェブサイトにて申請をすれば取得が可能ですが、その際に通関士の登録も行う必要があります。
https://www.jetro.go.jp/world/cs_america/mx/trade_05.html
■通関士
通関士の免許制度は、試験で合格した者に付与をすることとなっているが、実際には、20年以上試験が行われておらず、世襲制となっております。また、メキシコ国籍を有する者以外はなることが出来ません。自社の貨物であっても、必ず通関士・通関業者が行われなければならないとされており、日系企業の場合はベンダー等を通じて通関士を紹介してもらう必要があります。
https://webciss.sankyu.co.jp/portal/j/asp/newsitem.asp?nw_id=3375
■IMMEX
2006年11月にIMMEX(輸出向け製造・マキラドーラ・サービス産業)の制度が発足され、登録企業は製品を輸出することを条件に、輸入関税、輸入時の付加価値税(IVA)、相殺関税について免除または繰延を受けることが可能となりました。しかし、2014年の税制改正により「課税貨物の引取りに係る輸入付加価値税」の保税メリットが原則的に廃止(ただし、2014年中にSATの認定を受けた企業は、保税メリットを引き続き享受することが可能)となり、メリットは縮小の方向へ進んでいます(IMMEXの詳細はⅡ章「投資環境」を参照)。
■PROSEC
1994年のメキシコの北米自由貿易協定加盟による制度であるマキラドーラとPITEX(現IMMEX)の無関税輸入の恩典一部消滅を救済する措置として、2001年からPROSEC(産業分野別生産促進プログラム:Programa de Promoción Sectorial)が適用されるようになりました。これにより、国内生産活動を促進するために、PROSECが指定する24特定産業分野であれば、内資・外資問わず、該当する製品をメキシコで生産する場合において、メキシコで調達できない原材料・部品・機械・設備などを0~5%の優遇関税で輸入できるようになっています(PROSECの詳細はⅡ章「投資環境」を参照)。
■その他の優遇制度
[企業認定スキーム登録制度]
企業認定スキーム登録制度(Registro en el Esquema de Certificación de Empresas)とは、2016 年5月に行われた SAT貿易細則の改定において、従来複数存在していた企業認定制度が統合された制度です。これにより、従来の通関手続き円滑化・簡素化のための認定要件カテゴリーの「B(直近半年間の輸入額が2億ペソ以上)」及び「D(100人以上の従業員、25万ドル以上の設備・機器の保有など、第三者検証機関による検証が必要)」が廃止され、IMMEX 企業が対象となる認定制度は、IVA のための認定を主目的とする「IVA・IEPS」モダリティーと、通関手続き円滑化・簡素化を主目的とする「AEO」 モダリティーの 2 種類に集約されました。登録の要件としては、下記の通りになります。
・ メキシコ法に則って設立された法人であること
・ 納税義務を履行していること
・ SAT 貿易細則の定める基準に従い通関関連法規の履行実績があることを証明すること
・ 輸送業者を指名すること
https://www.jetro.go.jp/biznews/2016/06/10c6d81461e3785f.html
[レグラ・オクターバ]
PROSECにおける優遇関税対象外の品目を暫定的に輸入できるようにするための保管制度にレグラ・オクターバ(Regla Octava)があります。この制度は1995年12月に公布された「輸入一般関税法(LIGI)」、補足8条に規定されています(レグラ・オクターバの詳細はⅡ章「投資環境」を参照)。
https://www.jbic.go.jp/ja/information/investment/images/inv_mexico201808.pdf
https://www.jetro.go.jp/world/cs_america/mx/invest_03.html
+ .3 .参考文献
参考文献
・日本貿易振興機構(JETRO)
「日本からの進出(投資)に関する相手国の制度 会社設立の手続き:メキシコ」
「外国法人の支店・駐在員事務所開設手続きを簡素化 FTA 相手国の企業 が対象(メキシコ)」2012 年 8月 23日
メキシコ・センター「メキシコにおける会社設立 ・ 清算手続き」2009 年 9 月
「メキシコ進出に関する基本的なメキシコの制度 外国企業の会社設立手続き・必要書類」
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【一時輸入における優遇制度、IMMEXのIVA保税について】
IMMEXとは、Industria Maufacturera Maquiladora y de Servicios de Exprotaciónの略称であり、従来のマキラドーラやPITEXにおける一時輸入の制度を引き継いでおります。
2014年の税制改革により、IVAの保税のメリットがなくなったとされております。しかしながら、現在でも、認定企業制度というものを用いて、これまでと同様に、認定された企業は、IVAの保税のメリットを受けることができます。
IVAとは
IVAとは、Impuesto al Valor Agregadoの略称であり、付加価値税、つまり、メキシコ国内の商品・サービスの消費に対して課税される間接税となります。なお、IVAの負担は最終消費者であるため、国外への輸出を目的とする取引の場合は、最終消費者が国外となるため、IVAの免税取引に該当します。IMMEX認定企業は、まさに、この免税取引を行っているということになります。
IMMEX登録・認定企業間の取引の流れ
図1は、IMMEX認定企業間の取引の流れをわかりやすく表したものとなります。
今回の取引例におけるA, B, C企業の状況は下記となります。
A企業:メキシコ国外からメキシコ国内へある商品・商材を輸入し、B企業へ販売
B企業:A企業から購入し、C企業へ販売(メキシコ国内での取引)
C企業:国内のB企業から購入し、国外へ輸出
ここで重要となるのは、下記の2点となります。
① 取引に関わる全ての企業がIMMEX登録・認定企業であるということ。
② A企業が国内へ輸入する時点で、 商流(今回の例でいいますと、国外⇒A企業⇒B企業⇒C企業⇒国外、という一連の商品・商材の流れ)を明らかにすること。
上記の条件をクリアした上で、A, B, C企業のIVAが保税されることとなります。
メキシコに進出をしている多くの日系企業がIMMEXへの登録または認定を検討してはいるものの、具体的なメリット・デメリットが分かりにくい、という声をお聞きします。今回は、IVAの保税についてのみの話となりますが、複雑なIMMEXの制度について、上記の情報が少しでもお役に立てれば何よりでございます。
参考文献
・日本貿易振興機構(JETRO)
「日本からの進出(投資)に関する相手国の制度 会社設立の手続き:メキ シコ」
「外国法人の支店・駐在員事務所開設手続きを簡素化 FTA 相手国の企業 が対象(メキシコ)」2012 年 8月 23日
メキシコ・センター「メキシコにおける会社設立 ・ 清算手続き」2009 年 9 月
「メキシコ進出に関する基本的なメキシコの制度 外国企業の会社設立手続 き・必要書類」