会計
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会計
+ .1 .会計制度
会計制度の概要
ブラジルの会計制度の骨子は、株式会社法(Lei das Socidades por Ações)によって定められています。会社法は、ブラジルの法律に基づいて登記された有限責任会社や株式会社、外国の法律に基づき設立されたブラジル国内で事業を営む法人、個人事業まですべての事業体に適用されます。
同法では、公開会社と非公開会社の定義や、監査済財務諸表の提出義務、全事業体のブラジル会計基準(CPCs)の遵守義務、会計帳簿の保存義務などについて、及びこれらに違反した場合の罰則について規定されています。
「公開会社」と「非公開会社」
■公開会社と非公開会社
公開会社と非公開会社とでは、適用される会計基準や申告義務が異なるため注意が必要です。
公開会社には、ブラジル証券取引所にて上場している会社のほかに、銀行や保険会社などの金融機関も含まれます。通常、金融機関は証券取引所に上場しているケースが多いですが、上場していない場合であっても、中央銀行や保険会社取締機関の管轄にある会社は公開会社として規制されます。この場合、管轄機関によって課される義務が異なります。一方、非公開会社は、ブラジル証券取引所に上場していない会社、及び上記公開会社に該当する金融機関、保険機関以外の会社を指します。
公開会社及び公開会社以外の大会社に該当する会社(総資産額が2億4,000万レアル以上、または、総収益が3億レアル以上の上場会社及び非上場会社)は、国際会計基準に基づいて財務諸表を作成するだけでなく、独立会計監査人よる監査を受ける義務があります。
■デジタル帳簿システム
2007年1月よりデジタル帳簿システム(SPED:Sistema Públicode Escrituração Digital)が導入され、以降、公開会社はSPEDによる申告を行っています。非公開会社においてもSPEDでの申告が義務付けられることになっており、順次電子化が進んでいます。
SPEDは、法規(Decreto nº 6.022, de 22 de janeiro de 2007)よって採択され、一言で言えば、「会計、財務データの一元管理システム」です。各企業から、財務諸表提出や税務申告をシステム上で申告させることによって、今まで連邦、州、市がそれぞれ管理していた税金計算を、すべて一元管理するために導入されたシステムです。これによって、違法な税務処理を取り締まることができ、各企業の税金の支払いが適切かどうか、政府当局が随時確認できるようになっています。
■帳簿の保存義務
ブラジルの帳簿の保存義務は、税法に基づき原則5年とされています(Lei5172/66:National Tax Code173条)。しかし、ブラジルでは連邦、州、市ごとに法令があり、帳簿の保管期間が個別に定められている場合があります。
労働法においては、社会保険、退職金や手当に関する資料について、30年間の保管が義務付けられるものもあります。保管義務を怠った場合、会社に罰金が科されます。罰金に関しては、管轄や実態によっても異なりますが、税務規定違反の場合、20万~50万レアルが科される可能性があります。
■会計期間
会計期間の設定について、税法上では暦年(1月から始まり、12月で終わる年度)により、事業年度を設定することが原則とされています。会計上は、必ずしも暦年を会計事業年度とする必要はなく、定款で定めた事業年度を設定することが可能です。
ブラジル会計基準
■国際会計基準の導入
ブラジルは国際的な地位の向上に伴い、BRICsの一員としてさまざまな分野における法体系の整備を進めています。会計制度も例外ではなく、国際会計基準審議会(IASB:International Accounting Standards Board)のガイドラインに従い、2007年12月28日に会計基準の改正に関する法令(Lei11638/07)が発行されました。
改正後は、ブラジル会計委員会(CPC:Comitê de Pronunciamentos Contábeis)を筆頭に国際財務報告基準(IFRS:International Financial Reporting Standards)への移行が着実に進められ、基準上で多少の差異を残したもの、国際会計基準の完全適用に近い形が整っています。
■ブラジル会計基準の適用対象会社
2010年より、公開会社は国際財務報告基準(IFRS)の適用を義務付けられています。また、非公開会社であっても大会社に該当する企業(総資産額が2億4,000万レアル以上、または、総収益が3億レアル以上の会社)の場合、公開会社と同様、国際会計基準の適用が義務付けられています。
上記の要件に該当しない多くの企業は独自の方法で会計基準を解釈して申告や納税義務等の負担を軽減する傾向にあります。中小企業の定義は一義的ではありませんが、一つの目安として資本金200万レアル以下の企業を中小企業とする考え方があります。中小企業に対する国際会計基準(IFRS for SMEs)があるように、ブラジルでも中小企業に対する会計基準(CPC PME)が設けられています。
開示制度の概要
ブラジルの企業情報開示についての関連法令は、会社法、ブラジル会計基準、証券取引法及び証券取引委員会通達、ブラジル証券取引委員会(CVM)上場・開示基準など多岐にわたることから、会社がどの法令に準拠すべきかを確認しておく必要があります。
開示制度の流れ
ブラジルでは、会社の規模と業種に沿った財務情報を統括当局に報告する必要があります。公開会社、上場会社には、年度財務諸表の公開が義務付けられています。
その他の株式会社においても、会計年度終了後4カ月以内に定時株主総会を開催し、財務諸表を提出する必要があります。また、会社資本の5%以上を代表する株主、株主グループの請求がある場合、会社はその権限の範囲内において要求事項に関する情報を提供する義務があります。
財務報告の開示については、以下の通りです。
+ .2 .監査制度
内部監査制度
株式会社には、監査役(会)を設置する義務があります。監査役の実務上の業務は、規定されている財務諸表の定期確認(3カ月に1度)や年次財務諸表の承認の他にも、別途定款で定めることができます。一方、有限責任会社の場合、監査役(会)の設置は任意となります。
監査役(会)は会社の業務執行機関と同じ義務を有するものとして、善管注意義務に関する任務懈怠や故意又は過失、あるいは、法律又は定款への違反があった場合、これらの行為から生じた損害につき、損害賠償責任を負うことがあります。
監査役(会)は、会社が外部監査人を有する場合、その権限の範囲内において、外部監査人に情報の請求と特定の事実に関する調査を請求することが可能です。外部監査人を有しない場合、会計士、監査法人等の会計監査を主な業務とする会社を選定し、市場の水準からして適当と思われる水準の報酬にて、同等の任務を依頼することが可能です。
外部監査制度
■監査義務
ブラジルでは、上述の通りブラジル証券取引委員会に登録された公開会社のほか、大会社(総資産額が2億4,000万レアル以上、または、総収益が3億レアル以上の会社)は、ブラジル証券取引委員会に登録された外部監査人の監査を受ける義務があります。また、金融機関、中央銀行の管轄下にある会社及び保険会社においては、年次監査に加え、半期ごとに監査人による監査を受ける義務があります。
■監査の内容
外部監査人による監査は、年1回の監査報告書の作成をもって完了とされますが、上場企業や上述の金融機関等は、四半期、半期ごとに監査を受ける必要があります。
監査報告書については、ブラジル証券取引委員会により雛型が規定されており、監査基準の内容は、国際的な監査基準とほぼ同等のものといえます。外部監査人による意見には、①無限定適正意見、②限定付適正意見、③不適正意見、④意見差控の4種類があり、継続企業の前提について疑義がある場合には、監査人は当該リスクについて言及することが義務付けられています。
■監査有資格者
ブラジルにおいて会計業務を行う専門職は、Contadores(会計士、会計のあらゆる分野に携わることのできる会計学科大学の卒業生)とTecnico de Contabilidad(会計専門職、会計学科大学に在籍中あるいは卒業を控えている者)の2種類が存在します。Contadoresのみ監査人になる資格があり、連邦会計委員会が運営する試験に合格後、連邦認定監査人として登録されます。
公開、非公開を問わず、株式会社に対する監査は、原則として連邦認定監査人が行います。上場企業の監査及び金融機関等の監査を行うためには、追加で各統括機関が実地する認定試験に合格する必要があります。
+ .3 .参考文献
参考文献
・ http://www.bmfbovespa.com.br
・ Deamarest E Almeida『Business Laws of Brazil』
・ 『Comitê de Pronunciamentos Contábeis』
・ 『Comissão de Valores Mobiliários』
・ 『International Financial Reporting Standards』