会社法
※ 本要約はAIが本章の内容のみをもとに自動生成しています。正確な内容は本文をご確認ください。
共通事項
カンボジアでの事業活動においては、「会社法」(Law on Commercial Enterprise)及び「商業規則と商業登記に関する法律」(Law Bearing upon Commercial Regulations and the Commercial Register)に準拠して、会社の機関を設置しなければなりません。
会社法は全8章で成り立っており、第1章では共通となる項目、第2章以下で、進出形態ごとの内容が記載されています。
第1章 一般条項
第2章 一般パートナーシップ
(1)一般条項
(2)限定パートナーシップ
第3章 非公開有限責任会社・公開有限責任会社
(1)一般条項
(2)有限責任会社
第4章 外国企業
・一般条項
・駐在員事務所
・支店
・子会社
第5章 株主代表訴訟
第6章 罪・罰則・免責
第7章 経過条項
第8章 最終条項
※カンボジア現地でビジネスを行うにあたっては、その他に事業協力契約(BBC:Business Cooporation Contract)と個人事業主(Sole Proprietorship)という方法もあるが、根拠となる法令は存在していない
以下、本項において、会社法の条文は法律名を省略し、条文のみを記載します。
会社法は、カンボジアにおいて事業を行う会社(非公開有限責任会社及び公開有限責任会社)及びパートナーシップ(一般パートナーシップ及び限定パートナーシップ)に適用されます(第1条)。
会社及びパートナーシップに共通する事項は下記の通りです。
[ クメール語名の使用](第5条)
会社及びパートナーシップは、商号に英語のみを使用することができず、商号取得時にもクメール語と英語の会社名の提出を求められます。クメール語での商業表記は、その他の言語表記よりも上部に、かつ大きく記載しなければなりません。また、商号をその他の言語に翻訳することは禁止されており、クメール語の商号は、その他の言語による商号と同じ発音になるように設定しなければなりません。
また、カンボジア国内のあらゆる場所で表示される公印、レターヘッド、公式文書、公告に、クメール語の商号を使用しなければなりません。カンボジア国外においては、その他の言語による商号の使用や表示は禁止されていません。
[手数料、罰金、利息などの不払い](第6条)
商業省に対して支払う手数料、罰金、利息などの支払いを怠った会社及びパートナーシップは、支払うべき全ての手数料、罰金、利息など全額の支払いを完了するまでいかなる訴訟も提訴することができず、また、民事訴訟などを提訴されている場合においては、いかなる抗弁も主張することができません。ただし、当該手数料、罰金、利息等に対する支払義務の存否に対しての訴訟や抗弁については、提訴することは禁じられていません。
第三者より、会社またはパートナーシップが商業省に対する手数料、罰金、利息などの支払義務を負っているとの主張がなされた場合は、会社またはパートナーシップは裁判所に対して支払の領収書を提出することができ、反証がない限り手数料、罰金、利息などが支払われたことの証拠として取り扱われます。
[登記状況報告(Annual Declaration](第7条)
全ての会社またはパートナーシップは、商業省に対し年1回登記状況について報告を行わなければなりません。毎年商業省より登記時に登録したメールアドレス宛に催促状が合計3回届き、3回目に記載されている期限内に申請手数料の支払いを行わなければ罰則の対象となります。この報告については、登記状況に変更がない場合も行わなければなりません。また、手数料として商業省に20USドルを支払う必要があります。
非公開有限責任会社及び公開有限責任会社
設置期間
現地法人としての会社形態は、非公開有限責任会社または公開有限責任会社となります。有限責任会社は、全ての株主が間接有限責任を負う形態で、非公開会社と公開会社に分けることができ、カンボジアでの有限責任会社は株主による有限責任を定義しており、日本での株式会社に該当します。
ここでは、一般的な設立形態である有限責任会社の設立、機関や株式について説明します。なお、設立の詳細については、本章の第3項「設立」に記載しています。
【有限責任会社における機関設計】
株主総会
■株主及び株主総会
非公開有限責任会社は、2名以上30名以下の株主で設立される会社であり、株式の譲渡について制限がある会社をいいます。株主が1名の場合は、単独株主有限責任会社(Single Member Private Limited Company)となります。単独株主有限責任会社と非公開有限責任会社の違いは、株主相互間の関係以外はなく、ほぼ同じ扱いとなります(第86条)。
これに対して公開有限責任会社は、株式の上場を前提としており、株式の募集は証券取引所を通じて行い、公衆から株主を募集する形で資本調達を行います。そのため、公開有限責任会社の株主の人数については規定されていません。
【非公開及び公開有限責任会社の株主数】
| 非公開 | 公開 |
株主数 | 1~30名※ | 規定なし |
※株主が1名の場合は、単独株主有限責任会社(Single Member Private Limited Company)という
カンボジアにおける株主総会には、会社の設立後1年以内に開催される創立総会、その後、一年に一度開催される定期株主総会、取締役が必要と認める場合などに開催される臨時株主総会の3つの種類があります。
創立総会は、会社設立が完了した後1年以内に開催しなければなりません(第117条)。定時株主総会については、創立総会ののち,年に一度開催する必要があります。定時総会では、株主への決算報告や定款の変更、配当金の変更などが主な決議事項となります。
株主総会の開催場所は、定款もしくは社内規則に定められている、または取締役会が決定したカンボジア王国内の場所において開催されなければなりませんが、当該株主総会において議決権を有する全ての株主が同意した場合、株主総会はカンボジア王国外で開催することができます(第205条)。
なお、定款の変更には、社名の変更、会社の目的、定足数の変更、資本金の減少などが含まれます(第238条)。
■株主総会の招集権者
原則、定時株主総会と臨時株主総会は、取締役が招集します。
例外として、議決権を有する株主の過半数が招集を要求する場合は、株主による招集も認められます(第207条)。株主は、株主総会の開催を要求する際には決議すべき議題の内容を明示し、会社の登録事務所及び各取締役に招集を請求する書面を送付しなければなりません。
株主からの通知を受け取った取締役は、その通知を受け取った日から21日以内に株主総会を開催しなければなりません。取締役が株主総会の招集をしない場合は、株主の中から指名された株主が招集することができます(第207条)。
また、何らかの理由により、取締役や議決権を持つ株主に対して株主総会の招集が法令に従って行われない場合、会社の取締役は裁判所に対して適切な株主総会の招集や開催を要求することができます(第208条)。裁判所は、当該株主総会において、通常の定足数の変更または免除を命じることができます。
全ての株主は会社に現住所を提出しなければならず、提出していない場合は、株主総会開催の通知を受け取らなくとも異議を申し立てることはできません。
何らかの理由により、定款または会社法律が定める方法によって株主総会を招集することができない、または開催することができない場合、取締役、当該株主総会において議決権を有する株主または商業省は、裁判所に対して、裁判所が適切と認める方法により株主総会の開催命令を求めることができます。
裁判所は、その命令によって開催される株主総会においては、定款または会社法が定める定足数の定めを変更または撤廃の命令を行うことができます(第208条)。
■招集通知
株主総会開催の少なくとも20日前までに、全ての株主、取締役、監査役に対して、書面により株主総会の招集を通知しなければなりません。定時株主総会の招集通知には、日付、議題、開催の場所を記載しておく必要があります。なお、株主総会の招集通知を受けなかった場合でも、株主は議決権を行使することができます(第214条)。
また、一定の場合には、招集通知の発送を省略することができます。たとえば、議決権を持つ株主が、会社に株主総会の招集通知の省略を申し出る場合(第215条)、定時株主総会が延期される場合であって、最後の株主総会においてあらかじめ知らせておく場合、などのケースでは、招集通知を省略できます(定款で別段の定めがある場合は除く)。
■株主総会の決議方法
[定足数]
定款に特に定めがない限り、株主総会の定足数要件は、議決権株式の過半数を有する株主または代理人の出席となります(第217条)。株主総会の開会時に定足数に足りていれば,出席した株主は会議の議事を進めることができます。株主総会開会時に定足数に足りていない場合、出席した株主は日時と場所を定めて会議を延期することができますが、他の議事を処理することはできません(第217条)。
[決議要件]
株主総会の決議には、普通決議と特別決議があります。
普通決議とは、決議に票を投じた株主の議決権の過半数の賛成による決議をいいます(第88条7項)。
普通決議事項として会社法に定められているのは、取締役の選任(第118条)、取締役の報酬決定(119条)、監査役の選任及び報酬の決定(第229条、231条)、監査役の解任(第232条)などがあります。
一方、特別決議とは、決議に票を投じた株主または当該決議への議決権を有する株主の議決権の3分の2以上の賛成による決議をいいます(第88条10項)。特別決議事項として会社法に定められているのは、増資及び減資(第150条)、会社定款の変更(第236条)、合併の承認(第245条)、清算及び解散の提案(第252条)などがあります。
【普通決議と特別決議の決議要件】
| 普通決議 | 特別決議 |
定足数 | 議決権の過半数 | 同左 |
決議要件 | 議決権の過半数 | 議決権の3分の2以上 |
決議事項 | 取締役の選任(第118条) | 資本金の変更(150条) |
取締役の報酬決定(119条) | 定款変更、会社の商号、目的、事務所住所及び配当の変更(236条、238条) | |
取締役の解任(124条) | 合併の承認(245条) | |
監査役の選任・報酬の決定(229条、231条) | 解散、会社清算(252条) | |
監査役の解任(232条) |
|
■代理投票制度(第219条)と書面決議(第221条)
株主は自然人に対し、株主総会で自分の代理人として出席し投票する権限を与えることができます(第219条)。委任状は全て書面に記載し、当該株主による署名と日付を記載します。委任状の有効期限は署名日から1年以内、または委任状に規定するそれより短い期間となります。書面上の合意により、株主は自分の持分の投票方法を定めることができます。
株主総会で議決権を有する株主により署名された書面での決議は,通常の株主総会での決議と同様の効力を有します(第221条)。株主総会に代わって行われた全ての決議の写しは株主総会の議事録とともに保管しなければなりません。
■株主総会の議事録の保管
会社は登録事務所において株主総会の議事録を保管しなければなりません。なお、会社は全ての事業記録を保管すべきとされており,その中には株主総会の議事録の他に、取締役会の記録,会計記録などが含まれます(第112条、第113条)。
■総会決議取消しの訴え
株主が株主総会の通知を受けていない場合、その証拠があるときは、かかる総会で行われた決定を取り消すように裁判所へ申し立てを行うことができます(第222条)。また、会社、株主または取締役は、取締役や監査人の任命について争いがある場合に、裁判所に決定するよう請求することができます(第222条)。
■自益権と共益権
株主は、カンポジア会社法上、会社に対してさまざまな権利を有しますが、その権利は大きく自益権と共益権に分類されます。
自益権とは、簡単にいうと「株主が会社からお金を受け取る権利」のことです。自益権として、取締役(会)が決定した配当額を受け取る権利、株主の解散時に会社の残余財産を受領する権利(残余財産分配請求権)があります(第144条)。益権を簡単に説明すると「株式が会社の経営に参加する権利」のことです。共益権として、株主は株主総会で議決権を行使する権利を有しています(第144条)。
■株主代表訴訟
株主代表訴訟は、会社の経営者である取締役の経営責任を、株主が会社に代わって追求し損害賠償を請求する訴訟です。取締役は会社のために行動をとったが株主の意思に従わなかった、あるいは定款に従っていなかったという場合には、どの株主であっても株主代表訴訟を行うことができます。
株主は、以下の全ての条件を満たす場合、株主代表訴訟を提訴することができ、訴訟に参加をすることができます(第287条)。
(a)訴訟の対象となる取引が実施されたとき、株主または株主の相続人であったこと
(b)当該取引に関する決議に賛成していない、その他の方法で認めていないこと
(c)取締役会で解決されていない紛争を解決するよう、書面で取締役会に請求を行ったこと
(d)裁判所への申し立て前に、取締役会に対して合理的な通知をしたこと
株主代表訴訟は、訴訟提起した後、裁判所の同意がない限り和解によって終結することが認められていません。そのため、実施する場合は注意が必要です。
取締役
取締役については、非公開会社と公開会社で、最低人数の規定が異なりますが、その他の項目については、大きな違いはありません。
| 非公開 | 公開 |
人数 | 1名以上 | 3名以上 |
国籍 | 規定なし | 規定なし |
本籍 | 規定なし | 規定なし |
居住性 | 規定なし | 規定なし |
選任方法 | 株主総会普通決議 | 株主総会普通決議 |
解任方法 | 株主総会普通決議 | 株主総会普通決議 |
■取締役の人数
非公開会社の場合、取締役は1名以上設置しなければならず、公開会社の場合には3名以上の取締役を設置しなければなりません(第118条)。
■取締役の国籍・居住地
会社法上、居住地や国籍、本籍についての明文規定はありません。したがって、実務上カンボジア国内に居住していない日本人が取締役になることが可能です。
■取締役の要件
19歳以上の行為能力のある自然人であれば、会社の取締役または役員を務めることができ、定款で別段の定めがない限り、他の資格を要しません(第120条)。
■取締役の選任・解任
議決権を持つ株主は、株主総会の普通決議によって、取締役を選任しなければなりません(第118条)。任期が同時に終了しないように、取締役の任期をずらすことができます(第122条)。また、解任方法は、株主総会の普通決議によります。この場合、取締役は理由のいかんに関係なく解任されます(第124条)。
■取締役の任期
定款で定めがある場合を除き、2年となります。再選は可能であり、任期を1年以内に短縮することもできます(第121、122条)。
■取締役の報酬
定款に定めがない場合には、取締役が報酬を決定し、株主総会による承認を受けなければなりません(第119条)。
■取締役の権限と責任
取締役は事業の管理と業務運営をしなければならず、会社法では取締役の権限は、以下のように定められています。基本定款にも、記載が必要です(第119条)。
・ 役員の任命及び罷免
・ 役員報酬案の設定、株主総会への提出
・ 手形、債券、無担保社債などの発行
・ 基本定款の変更を株主総会へ提出
・ 会社資産の売却を株主総会へ提案
・ 会社決算を株主総会へ報告
・ 配当額の決定、他
また、同時に取締役の義務も規定されており、取締役会において賛成した決議について、それぞれ以下のような責任を負います。
【取締役の責任】
株主に対する責任 | 第三者に対する責任 |
取締役会において、株式の発行の対価を金銭以外で行う決議に賛成した取締役※は、対価が金銭の場合と比較して不足する場合は、当該不足額を会社に対して支払い義務を負う。ただし、取締役が善意かつ無重過失を証明した場合は、支払い義務を負わない(第140条) | 取締役会において、法の定める要件に反する購入、債務の弁済、株式の取得、資本金の減少、分配可能額に違反する支払いの決議に賛成した取締役※は、支払額相当を返済する義務を負う(第141条) |
※取締役会に出席して、異議を述べないとき、あるいは取締役会終了までに反対の旨の書面を提出しないときは、決議に賛成したものとみなされる(第142条)
■取締役に対する罰則規定
単独あるいは共謀して重過失、過失による、もしくは故意に法令を遵守しなかった取締役は、行政罰や刑事罰の一方または両方が科されます(第299条)。
■取締役会
取締役会は、少なくとも3ヶ月に1度は開催されなければなりません(第128条)。取締役の中から議長を選任し(第127条)、議長もしくは取締役の総数の3分の1以上の取締役の招集により、取締役会は招集されます(第128条)。
定款によって別段の定めがある場合を除き、取締役会はカンボジア国内で開催されなければなりません(第128条)。招集通知には、日時及び議題の詳細を記載しますが、取締役会の招集通知は省略することが認められています(第129条)。
取締役会の決議は、原則として、取締役の過半数の出席者あるいは代理人によって、なされなければなりません(第128条)。ただし、例外として、書面決議が認めらており、投票用紙と議題が記載された書面が各取締役に提供され、全ての取締役が賛成した場合、当該決議事項は承認されたものとみなされます(第130条)。
また、代理投票もカンボジアでは認められます。取締役本人の署名が入った書面を有していることが条件となります。その他、取締役会の議事録の保管義務が定められています(第132条)。
監査役
公開会社は、原則として監査役を設置しなければならないとされていますが、非公開会社の場合は、監査役の設置は義務付けられていません(第230条)。監査役の設置をしない場合には、株主総会でその旨の決議が必要となります。
| ||||||||||||||||||
|
■監査役の選任・解任
監査役の選任は、株主総会の普通決議によって行われます(第229条)。監査役の任期は1年間ですが、株主総会で後任の監査役が選任されない場合には、現職の監査役の任期が自動的に継続されます(第229条)。
解任方法としては、株主総会の決議により監査役を解任することができます。この場合、同時に新しい監査役を選任します。ただし、裁判所によって指名された監査役あるいは臨時株主総会によって指名された監査役は、解任することができません(第232条)。
監査役の欠員が生じた場合、取締役は、欠員が生じた日から21日以内に株主総会特別決議を開催しなければなりません(第232条)。会社に監査役がいない場合、株主または取締役の要請を受けて、裁判所は監査役を指名することができ、当該監査役は後任の監査役が選任されるまで、監査役となります(第233条)。
■監査役の任期
監査役の任期は1年となります(第229条)。
■監査役の報酬
監査役の報酬は株主総会普通決議または取締総会で決定することが出来ます(第231条)。しかし、取締役による監査後の報酬額決定は、取締役から監査役へのプレッシャーが強くなり、監査役が実効性の高い監査を取締役に対して行うことができなくなる恐れがあります。この点は注意が必要です。
■監査役の権利と義務
監査役は株主への監査報告のために、調査を実施する必要があります。また、監査役は株主総会に出席し、監査役としての義務に関わる問題について知る権利を有しています。取締役または株主が、株主総会の10日前までに監査役または前任の監査役に招集通知を送付した場合、監査役または前任の監査役は会社の決議に参加し、監査役としての義務に関する質問に答えなければなりません(第234条)。
・ 株主への報告のための調査権
・ 株主総会での意見陳述権
・ 株主総会での質問への回答
■監査役に対する罰則規定
監査役及び元監査役は、234条に定める株主総会への出席について、合理的な理由なく欠席した場合には、罰則の対象となります。具体的には、100万リエル~1,000万リエルの罰金、または6カ月未満の禁固刑、もしくはその両方が適用されます(第298条)。その他の罰則規定は以下のように定められています。
【会社に対するその他の罰則規定】
法令遵守責任 | 不正を知って承認または黙認した会社は処分の対象となり、290条により罰金を支払う義務を負う(第291条) |
登記、申請、公告 | 合理的な理由なく、登記、申請、公告において法令を遵守しなかった会社及び自然人は、修正された商業登記法第43条及び第44条に基づいて事業を遂行しなければならない(第295条) |
会社の会計帳簿及び記録 | カンボジア会社法第3章に規定される会社の会計帳簿及び記録に関する規定に違反する会社及び自然人は、商業登記法第43条及び第44条を修正して事業を遂行しなければならない(第295条) |
株主に対する財務諸表の提出 | 合理的な理由なく、227条で要求されている株主に対する財務諸表の複写の送付を怠った会社は、処分の対象となり、100万リエル以上1,000万リエル以下の罰金となる(第296条) |
株式
■株式の基本事項
[株式の種類]
定款に定めることで、普通株式の他に種類株式を発行することができます。種類株式とは、議決権や配当の分配について、普通株式とは異なる権利を有する株式のことをいい、会社法では、優先株式、転換株式、償還株式、譲渡制限株式の発行を認めています(第145条)。
種類株式を発行する場合は、種類株式が持つ権利、制限、その他条件を定款に記載しなければなりません。
【株式の種類】
| 内容 |
普通株式 | 普通株主は、主に以下の権利を有す(第144条) ・株主総会で投票する権利 ・配当を受取る権利 ・解散に際して会社の残余財産を受取る権利 ※定款に記載がない限り、会社の株式は普通株式とみなされる |
種類株式 | 会社法が規定する種類株式は、以下の4つ ・優先株式 配当金や会社清算時の残余財産を普通株式に優先して受け取る 利を有する株式(145条) ・転換株式 定めておいた事項が発生した時点で、当会社または他の会社の株式や社債に転換することができる株式(145条) ・償還株式 保有主の要求または償還優先株式の株券に規定された条件に従って、償還が受けられる株式(145条) ・譲渡制限株式 株主が他者に対して株式を譲渡する権利を制限された株式(145条) |
■株式の発行
株式の発行は、定款、株主の優先権に従って取締役(会)の意思決定により行うことができます(第146条)。取締役は発行価額を定めますが、対価の種類は、現金の他、商標権、著作権、特許権、その他の無形資産の使用権、役務提供なども認められています。対価の支払が完了した後、株式を発行できます。ただし、公開会社の場合には、対価を役務とすることはできません。
定款に別段の定めがない場合には、1株あたりの額面金額4,000リエル、最低発行株式数が1,000株以上となります。額面金額よりも低い金額で株式を発行する有利発行は、カンボジア会社法では認められていません(第144条)。
また、定款の定める限度で、あらゆる種類株式を発行することができます。各種類株式における発行株式数、発行される株式に付される権利、特権、制限及び条件は、全ての取締役によって決定することができます。ただし、別段の定めがある場合を除いて同一の種類株式で発行された株式に付される権利、特権、制限及び条件は同一でなければなりません(第148条)。
■株式の譲渡
会社法及び定款の規定に従い、株式を譲渡することが認められます。会社は、譲渡人及び譲受人双方の申請により、適切に株主名簿に記載をしなければなりません(第154条)。ただし、株主が変更され、会社の所有者が変更されると、欠損金の繰越が認められなくなり、翌年度以降に欠損を繰り越すことができなくなるので、注意が必要です。
■株券(Share Certificate)
全ての株主は、株券を保有する権利を有します。株券には、会社名、発行を受けた者の名前、株式数、株式の種類、株券番号などが記載されていなければなりません(第153条)。株券の発行義務については、条文上の定めがありませんので、必ずしも株券を発行する必要はありません。
■増資
会社は、取締役会決議によって増資を実施することができます(第150条)。資本金の変更は、会社の基礎的重要事項の変更と考えらえるために、特別決議が要求されていることに注意が必要です。
■減資
また、取締役会決議によって減資を実施することもできます。ただし、減資を行う場合には、資本金の減少により、会社資産が流出することになるため、資本勘定を明示しなければなりません(第150条)。さらに、以下の要件が生じると合理的に予想される場合には、仮に特別決議の承認を得ても減資をすることができません。
・ 減資を行った後、債務が支払えなくなる場合
・ 資産の実現可能価額(Realizable Value)が債務額を超えない場合
ただし、上記の減額分が実現可能価額で表されない場合には、適用されません。
この条件に違反して払い戻しが行われた場合には、会社の債権者は金銭または現物による払い戻しの返還を、直接裁判所に訴えることができます。
■自己株式
定款の定めに従い、会社は自己が発行する株式(自己株式)を取得することができます(第155条)。ただし、自己株式の取得は、経済的実態に着目すると、株主に対する出資の払戻しを意味します。これが無制限に行われると、会社の資本が浸食され、会社資産が流出することになるため、会社法は、自己株式の取得に一定の制限を設けています。
以下の要件に該当する場合には、自己株式を取得することはできません(第155条)。
・ 自己株式取得の対価の支払後、債務が支払えなくなる場合
・ 資産の実現可能価額(Realizable Value)が債務額を超えない場合
自己株式を取得した場合は、原則として当該株式を消却しなければなりませんが、定款で授権資本額を決定している場合には、授権資本内の未発行株式として保有することができます。
■配当
取締役は、剰余金または純利益の中から配当を行うことができ、配当に使用可能な会社資本の中から、業務に使用するための特別準備金を積み立てることができます(第157条)。配当は現金の他、株式の発行、現物資産配当などの形式により支払うことができます(第159条)。配当の意思決定及び配当額の決定は取締役(会)が行いますが(第119条)、株主総会の承認を得て、はじめてその効力を有します。
配当は、株主に対する利益の還流として行われますが、これを過度に行う場合には会社資産を流出させてしまいます。したがって、配当を行った後でも、十分な資産が確保できない場合には、配当を行うことができません。会社法では、以下のような場合に制限を設けています(第158条)。
・ 配当の支払後、債務が支払えなくなる場合
・ 資産の実現可能価額(Realizable Value)が債務と資本金額の合計を超えない場合
財務情報の開示
取締役は、全ての定時株主総会において、株主に対して、年次財務諸表を交付しなければならず、財務諸表には次のものが含まれます(第224条)。
・ 当会計年度と前会計年度の比較財務諸表(設立初年度の場合は、会社設立日を期首として、定時株主総会前6ヶ月以内の期末日までの単年の財務諸表)
・ 監査義務がある場合、監査報告書(監査役設置の場合)
・ 定款、内部規則または株主全員一致による合意において必要とされる会社の財務状況報告書及び事業報告書
年次財務諸表は、1人以上の取締役の署名により承認されなければなりません。また、監査報告書が付されない限り、当該財務諸表の写しを発行、刊行または流通させることができません。株主、代理人及び法定代理人は、会社の通常の営業時間内の間、年次財務諸表を閲覧、謄写をすることができます(第226条)。
会社は、定時株主総会の21日以上前、または当該定時株主総会に代わる書面決議に署名をする前に、全ての株主に対し、財務諸表及び証憑資料の写しを送付する必要があります。ただし、株主から送付不要の旨を書面で通知されている場合は必要ありません(第227条)。
公開有限責任会社で、一般に流通している証券を発行し、かつ1人以上に所有されている場合は、商業省の担当者に対し、定時株主総会の21日以上前、または書面決議がなされた後直ちに、財務諸表及び関連資料の写しを送付しなければなりません(第228条)。
定款及び定款の変更
■定款
会社法において規定される定款記載事項は、下記の通りです(第93条)。
・ 会社名
・ 登録事務所の住所
・ 会社設立目的
・ 1つ以上の業務目的と範囲
・ 授権資本金額(単位:リエル)
・ 授権株式の種類及び発行可能数、1株あたりの額面価格
・ 2種類以上の株式発行を認められている場合は、その最大発行株式数、1株あたり額面価格及び各種類株式に付された権利、特典、制限及び条件
・ 株式の発行、譲渡または自己株式が制限される場合、制限の効果及び性質
・ 各株主の名前及び住所
・ 取締役数及び取締役数の上限及び加減
上記のほか、必要に応じていかなる条項も記載することができます。また、定款には、全株主により署名またはイニシャルによる署名を全ページに行う必要があります。必要書類とともに定款を商業省へ提出し、登記証明書に記載されている日付を持って法人格を取得することができます。
■定款の変更
非公開会社は、いつでも定款を変更することができます。定款は株主総会の特別決議によって変更されるものとされ、定款変更の提案が次に掲げる目的で行われる場合、当該株式の種類ごとに決議を行われ、当該株主は議決権を有するものとされています。
・ 種類株式に付された権利、特権または制限の追加、変更または削除
・ 種類株式の発行可能株式総数の増加または減少
・ 種類株式と同等またはそれよりも優先するされる権利または特権を有する種類株式の授権株式総数の増加
・ 種類株式と同等またはそれよりも優先する種類株式を新たな創出
・ 種類株式よりも劣後、優先するまたは同等の権利または特権を有する種類株式の創出
・ 種類株式の資本金勘定の減少
定款上、ある種類株式には議決権がないとされていても、その種類株式の株主は、直接または間接的にその種類株式の権利、特権、制限または条件に不利な影響を及ぼす定款の変更については、種類株式毎に決議が行われ、株主は議決権を有するものとされています。この議決権は、定款またはその他の方法によっても、否定、縮小または制限されることはありません(第236条)。
株主総会において定款変更を議題とする場合、株主総会の少なくとも20日前までに、当該議題について議決権を有する株主に対して株主総会通知書を送付し、定款変更案を同封しなければなりません。
定款変更により、次の事項を変更することができます(第238条)。
・ 会社名
・ 事業目的または事業内容の増加、減少または変更
・ 種類株式の内容変更に伴う再分配
・ 種類株式に対する配当金
・ 内容が既存の種類株式よりも優先または劣後する新たな種類株式の発行による増資
・ 種類株式または授権株式の発行価格を下げることで行う減資※
※資本金は、定款で定められた資本金額の半分以下に減少させることはできない。商業省に改正が届出された後、90日間は減資を行うことはできず、その間に債権者による反対があった場合、その債権者は減資が効力を発する前にその債権の完済を受けるものとされている
・ 会社の存続期間
・ 登記上に記載された事務所住所
・ 定足数
・ 会社法により定款に加えることが認められた条項の追加
■定款変更の届け出
定款変更に関する全ての書類には、株主により承認された日付が明確に記載され、少なくとも取締役会議長または取締役会議長から承認を受けた取締役による署名がなされなければなりません。定款変更は、株主総会で承認されてから15日間以内に、商業省に届け出られなければなりませんので(第239条)、カンボジア国外で株主総会を開催する場合は、日付について注意する必要があります。
証券保証書・有価証券記入帳・証券の譲渡
■証券の流通・配布
証券は、流通性を有する法律文書であり、事業計画、重要事項の報告書、有価証券発行届出書、証券取引公開買付回状、その他公に対する証券の販売に関連する文書を送付又は配布する会社は、直ちに、商業省に対し、これらの書面の写しを送付しなければなりません。
別段の合意がある場合を除いて、法律又は関連法規に従って証券を交付しなければならない者は、無記名式、記名式又は譲受人への裏書もしくは白地式裏書の形式で証券を交付することができます(第175条)。
■証券の種類
証券には次の種類があります。
・ 記名証券
証券の権利者及び証券を譲渡した場合、その譲渡を有価証券記入帳に登録することが可能であるということが明記されている証券
記名式であることが記載されている証券
・ 指図証券
債務は証券上の記載から合理的に認識できる者に対して支払われる、または債務は証券上の記載から合理的に認識できる者に対して譲渡されると記載されている場合
・ 無記名証券
証券を呈示したいかなる者に対しても債務が支払われる場合
■証券の内容、所持人の権利
会社が発行した株券面には、次に掲げる事項を記載しなければなりません(第169条)。
・ 会社の商号
・ 「カンボジア王国会社法に基づき設立された」という一文
・ 株券の発行を受けた者の名前
・ 株券番号並びに株式の種類及びシリーズ
・ 株式の譲渡に関する制限
2種類以上の種類株式を発行することができる会社が発行する株券には、次の事項が明確に記載されなければなりません。
・ 株券発行時に存在する各種類株式に付された権利、特権、制限及び条件
・ 当該種類株式に付される権利、特権、制限及び条件
会社は、株主の要求に応じて、株主に対し無償で株式に付された権利、特権、制限及び条件を記した文書の写しを交付しなければなりません。
全ての証券の所持人は、会社法に従い、自己の選択により証券保証書の取得または会社から証券保証書の取得ができる権利に関して、他者に譲渡することができない請書を取得することができます。会社は、証券が複数人によって共同所有されている場合は、証券保証書を複数枚発行する必要はなく、1枚の証券保証書を1人に交付すれば問題ありません(第167条)。
また、証券保証書には、1人以上の取締役の自筆による署名がなされるものとし、それ以上の追加の署名は印刷によることが可能になっています(第168条)。
■有価証券記入帳
会社は、発行済の株式の種類ごとに株主を管理しなければなりません。有価証券記入帳には、以下の内容を記載します(第170条)。
・ アルファベット順に並べられた名称、最新の住所
・ それぞれの株主が所有する株式数
・ それぞれの株式の発行及び譲渡日及びその詳細
有価証券記入帳は、登録された株主を、投票する権利、通知、利息、配当又は証券に関するその他の支払を受け取る権利、及び証券の所持人としての全ての権利の行使を独占的に行うことができる者として扱わなければなりません。
また、譲渡制限がある証券が、株主として登録されていない者に譲渡や移転がされた場合、自ら証券の権利又は特権を行使する権限を有していることを証明しなければなりません。この場合、会社は当該譲受人を、当該権利又は特権を行使する権限を有する株主として扱わなければなりません(第171条)。また、株主が有する権利を未成年が行使した場合、その未成年者及びその法定代理人は、後になって当該未成年の当該行為の効力を否定することはできません(第172条)。
証券が株主として登録されていない者に譲渡又は移転された場合において、その者が、株主が所持していた証券保証書を会社に届出たときは、その者は、株主として登録する、または株主として登録される者を指名することができます。
届出には、次のいずれかの書類を提出しなければなりません(第173条)。
・ 認証された公正証書、または裁判所命令もしくは遺産管理状の原本もしくは謄本
・ 法定代理人、清算人又は破産管財人等が、登録された株主に代わり証券が譲渡されたことを述べた宣誓供述書
■証券に関する責任
証券の署名又は裏書等に関する裁判においては、答弁書において明確に否認されていない限り、証券上の署名又は必要な裏書の真正は認めらます。証券上の署名は本人のもので、かつ本人の意思に基づくものであると推定されますが、署名の効果が争われた場合は、署名が本人のもので、かつ本人の意思に基づくものであるという事実は、署名の真正を争った者が証明をする必要があります(第174条)。
証券に署名する権限を、事前にまたは発行の過程において得ることなく行った署名は無効とされます。ただし、署名が、振出人から証券に署名することを委託された者によってされた場合、署名が無権代理によってなされたことについて、善意の購入者の利益のためにその署名は有効であるものとされます(第177条)。
発行または譲渡に必要な署名を含む証券が、その他の点で未完成である場合は、その権限に従って空欄を埋めることによって完成させることができます。また、空欄の補充が不正確であったとしても、補充が不正確であることについて善意の者が株式を有償で譲り受けた場合、当該証券は完成したものとして有効とされます。また、完成された証券が不適切に変更された場合、その変更が不正になされたものであったとしても有効とされますが、当初の条件に従う必要があります(第178条)。
次の場合は、登記官又は名義書換代理人は証券の偽造についての責任を負いません(第179条)。
・ 登記官又は名義書換代理人が行った当該証券の発行に関する行動が、その者の権限内の行為である場合
・ 証券が正当なもので、当該証券の金額が、振出人が発行することを認められた金額の範囲内であったとする合理的な理由がある場合
■所有権、譲渡
証券の購入者は、証券の譲渡により譲渡人が有していた、または譲渡する権限を有していた証券上の権利を取得することができます。ただし、証券に関する詐欺行為又はその他の犯罪行為に加担したことがある購入者が、証券の権利を、その後の善意の購入者から取得したことを証明することができない場合については、この限りではありません(第180条)。
証券の譲渡にあたっては、譲渡人は、善意の購入者に証券を譲渡することによって、次の事実のみを保証するものとされています。
・ 証券の譲渡が有効かつ適法に行われたこと
・ 証券が正規のもので実質的に変更されたものでないこと
・ 譲渡人が証券の有効性を減じるような事実について全く知らないということ
仲介人は、場合によってはその顧客や購入者等に対して、上記の事項について保証し、購入者の権利及び特権を有すものとされています。代理人として行動する仲介人による保証、及び仲介人の利益のための保証は、その顧客による保証及び顧客の利益のための保証に加えて付与されるものとされます(第181条)。
財産管理人・収益管理人
財産管理人は、裁判所によって認められた範囲を超えて経営に関わることはできず、担保権者の権限に従い、管理財産から収入を受け取り、財産に関連する債務を弁済することができます。財産管理人は、財産管理人を指名した者に代わり、担保権を実行することもできます(第199条)。
収益監査人は、裁判所により、財産管理人を指名した者の担保権を保護する目的で会社の経営に関わることを許可された財産管理人のことを指します(第200条)。裁判所又は法律文書によって収益管理人が指名された場合、取締役の権限は、収益管理人が解任されるまで停止されます。
財産管理人又は収益管理人は、裁判所の指示または法律文書によって各種行為を行い、次の義務を負います(第202条、第203条)。
・ 信義に従い誠実に行動し、所有下にある財産について合理的な方法によって取り扱い、管理しなければならない
・ 会社取締役に対して、直ちに自らの選任及び解任について通知しなければならない
・ 裁判所の命令又は法律文書に従って財産を保護し、管理しなければならない
・ 管理下にある会社資金のために、本人名義で銀行口座を開設し、維持しなければならない
・ 全ての取引明細を保管しなければならない
・ 管理業務の明細を保管し、通常の営業時間の間いつでも会社取締役がこれを閲覧できるようにしておかなければならない
・ 選任された日から少なくとも6ヶ月毎に1度、管理業務に関する財務諸表を準備しなければならない
・ その義務の完了時に、最終管理報告書を提出しなければならない
また、裁判所は財産管理人又は収益管理人又は利害関係人による請求に基づき、前述の一般原則に制限されることなく次の命令を行うことができます(第204条)。
・ 財産管理人又は収益管理人の選任、変更又は解任及び報告の承認
・ 通知交付の決定又は通知の免除
・ 財産管理人又は収益管理人の報酬の設定
・ 財産管理人又は収益管理人の義務に関連する事項についての指示
合併
2社またはそれ以上の会社は、一つの会社として合併すること又は新会社を設立するために合併することができます。解散する会社を消滅会社、継続する会社を存続会社といい、消滅会社の法人格は、商業省が存続会社に対して合併証明書を発行した日に消滅します。(第241条)。
合併を提案する両社の取締役会は、合併契約の議案について決議し、定款に別段の定めがある場合を除き、決議は取締役会の定足数の過半数によらなければなりません。
合併契約には、次の事項が定められなければなりません(第243条)。
・ 合併の条件
・ 存続会社の定款
・ 消滅会社の株式を存続会社の株式に交換する方法
・ 消滅会社の株式を交換できない場合、消滅会社の株主が合併において受け取るべき金銭の額、権利、証券又はその他の財産
・ 株主が合併決議の投票前に入手することができるその他の情報
・ 存続会社の経営及び事業のために必要な取り決めの詳細
消滅会社の取締役会において合併契約が承認された後、存続会社の株主は、合併について議決権を有する株主に対し、株主総会招集通知を送付する必要があります。また、消滅会社の取締役会は、合併契約締結後30日以内に、合併契約を承認するために株主総会を招集する必要があり、株主総会招集通知には合併契約の写しを添付しなければなりません。株主総会招集通知は株主総会の少なくとも20日前までに送付しなければなりません。合併契約は、消滅会社の株主の3分の2以上による特別決議により承認されます。
存続会社の取締役は、商業省に次の各書類を届け出なければなりません(第247条)。
・ 合併契約書
・ 消滅会社の合併契約に関する株主総会決議及び取締役会決議
・ 存続会社の定款
・ 商業省担当者の要求により作成された、次の事項に関わる消滅会社の取締役又は執行役員の宣誓書
1. 消滅会社及び存続会社それぞれが、各債務を弁済することができるということ
2. 存続会社財産の実現可能価額(Realizable Value)が、債務と全株式の資本金勘定以下ではないということ
3. 合併によって債権者が損害を被らないということ
4. 適切な書面通知が消滅会社の全ての債権者に送付されており、債権者から合併について正当かつ妥当な異議がなされていないこと
商業省は、存続会社の定款を受領した際、合併証明書を発行し、合併証明書記載の日付において、次の効力が生じます(第248条)。
・ 消滅会社と存続会社の合併
・ 存続会社による消滅会社の財産の承継
・ 存続会社による消滅会社の債務の引き受け
・ 存続会社による消滅会社に関する民事法、刑事法又は行政法上の地位の承継
・ 合併定款は存続会社の定款、合併証明書は存続会社の会社設立証明書とする
合併における消滅会社の株主は、保有する消滅会社の株式について、次の各条件を満たし、価値の査定を求めることができます。
・ 合併承認の決議の前から消滅会社の株式を所有していたこと
・ 合併承認の決議に賛成しなかったこと
・ 合併定款の届出後、存続会社に対して書面によって請求したこと
・ 査定請求の際に自己の株券を引き渡したこと
査定が必要な場合、存続会社及び査定を請求した株主は、その株式について公正な価格で合意がなされるよう、最大90日間の交渉を行うことができます。公正な価格は、合併自体によって生み出された価値を含まない、全ての関連事情を検討した上で決定されます。
消滅会社の定款又は合併定款には、査定に関する紛争は仲裁によって解決するということを規定することができ、最終的な仲裁判断がなされる前であれば、価値の査定に関する請求撤回が可能となります。この場合株主は、存続会社から、査定の請求をしていなければ合併により受け取っていたはずの金額の支払いを受けることができます。公正な価格について合意に至らなかった場合は、裁判所により価格が決定され、株主はその金額を受け取ることができます(第249条、第250条)。
解散・清算
清算及び解散の流れは、以下の通りとなります。
1. 取締役会及び株主総会での清算及び解散の可決
2. 解散主旨書(Statement of Intent to Dissolve)の発行及び解散主旨証明書(Certificate of Intent to Dissolve)の受領
3. 財産の回収、債務の弁済、及び残余財産の分配
4. 解散届出書(Article of Dissolution)の発行及び解散証明書(Certificate of Dissolution)の受領
1. 取締役会及び株主総会での清算及び解散の可決
取締役及び議決権を有する株主は、会社の任意清算及び解散の提案を行うことができます。会社の解散は、株式の発行の有無等で区分されており、株式を発行していない会社は、全取締役による決議により、資産及び負債を有しない会社は、株主総会特別決議により、1種類以上の株式を発行している会社は、議決権の有無にかかわらず全ての種類株主総会おける特別決議により、それぞれ解散します(第251条)。
【会社の種類と解散の要件】
会社の種類 | 解散の要件 |
株式未発行会社 | 全取締の決議 |
資産・負債を有しない会社 | 株主総会特別決議 |
1種類以上の株式発行会社 | 全種類株主総会特別決議 |
2. 解散主旨書(Statement of Intent to Dissolve)の発行及び解散主旨証明書(Certificate of Intent to Dissolve)の受領
会社は、清算及び解散に関する決議が可決した後、商業省に対し規定の方式による解散主旨書(Statement of Intent to Dissolve)を送付し、商業省より解散主旨証明書(Certificate of Intent to Dissolve)が発行されます。会社の法人格は、解散主旨証明書が発行された後、商業省から解散証明書(Certificate of Dissolution)が発行されるまでの間存続するものとされますが、清算に必要な業務を除いてその業務を停止します。
3. 財産の回収、債務の弁済、及び残余財産の分配
会社は解散主旨証明書が発行された後直ちに、次の措置をとらなければなりません(第254条、第255条)。
・ 債権者に対する解散の通知
・ 連続した2週間の間、登記上の事務所所在地において発行されている新聞、または商業省が規定する他の刊行物による解散の公告
・ 財産の回収
・ 株主に対して現物分配されない財産の処分
・ 全ての債務の弁済
・ そのた清算のために必要な全ての手続
会社は、清算及び解散する旨の通知がなされ、全ての債務について、弁済または免除が行われた後、株主に対し残余財産の分配を行います。
商業省または利害関係人は、会社の清算手続期間中いつでも、裁判所に対し裁判所監督下で清算手続が行われるよう申立てを行うことができます。申立人は、商業省に対し申立てを行った事実を通知しなければなりません会社取締役は裁判所に出廷し、自ら、または弁護人によって書類を提示することができます。
4. 解散届出書(Article of Dissolution)の発行及び解散証明書(Certificate of Dissolution)の受領
清算終了後、会社は解散届出書(Article of Dissolution)を準備し、商業省に対し規定の方式により解散届出書を送付します。商業省は、解散申出書受領後、解散証明書(Certificate of Dissolution)を発行し、会社は解散証明書に記載された日付において消滅します第257条。
解散及び清算に関する規定は、裁判所に破産を申し立てた会社には適用されません。
その他の規定
■関連会社の解釈(第89条)
一方の会社がもう一方の子会社である場合、両方の会社が同じ会社の子会社である場合、またはどちらの会社も同一人物の支配下にある場合は、関連会社の関係にあるとみなされます。
■会社の権利能力、権利
会社は、次の2つの条件を全て満たしている場合、カンボジア国籍を有しているとされます(第101条)。
- カンボジア国内に登記された事務所及び事業拠点を有している。
- カンボジア国籍を有する自然人又は法人が、議決権株式を51%以上保有している。
カンボジアにおいて登記された会社は、自然人としての権利能力及び権利を有しており、カンボジア国内のあらゆる場所でその事業を行うことができます。また、カンボジア国外においては、現地の法律が許す範囲内で営業、管理及び権利の行使が可能となります(第99条、第100条)。
会社法では、会社と関わる第三者に対しの保護として、会社及び債務保証人は、会社と取引のある第三者、または会社に対する権利を有する第三者に対して次の事実を主張することができないと規定しています。ただし、当該第三者が次に掲げる事実を知っていた場合、またはその地位や会社との関係上当然知っていたはずである場合はこの限りではありません(第106条)。
・ 定款及び社内規則が遵守されていない
・ 最新の取締役に関する商業省への通知に名前が記載されている者が、実際は会社の取締役ではない
・ 最新の登記住所に関する商業省への通知に記載されている場所が、会社の登記上に記載された事務所ではない
・ 取締役、執行役員又は代理人として扱っている者が、選任されていないということ、業務上慣例になっている又は通常取締役、執行役員又は代理人が有する義務を履行又は権限を行使する権限を有していない
・ 取締役、執行役員又は代理人によって発行された書類が、無効であり真正なものでない
・ 貸付及び保証並びに財産の売買、賃貸借及び交換につき会社の承認がなされていない
■会社事務所、書類の保管、会計帳簿と記録
会社は、登記されている事務所所在地に変更があった場合は、その変更から15日以内に商業省に変更の通知を届け出る必要があります(第108条)。
また、登記事務所内において、下記の会社記録に関する書類を保管しなければなりません。
・ 定款、社内規定及びその修正
・ 株主総会議事録及び決議
・ 会社法により送付又は保管が義務付けられている全ての通知の写し
・ 有価証券記入帳
株主、会社債権者、代理人、代表者及び商業省担当者は、通常の営業時間の間、この会社記録を調査することができ、また無償で会社記録の抄本を取得することができます(第109条、第110条)。
取締役会及び全ての委員会の議事録、取締役会決議など、取締役に関する記録についても、登記されている事務所又は取締役が適していると考えるその他の場所に保管され、合理的な時間であれば、取締役の調査に対して公開されなければなりません。
会社法では、会計記録は当該会計年度の終了後10年間保管することを義務付けています。会計記録は、正確で良好な保存状態に保たれるように合理的な予防措置を取る必要があります。会計記録がカンボジア国外で保管されている場合は、登記されている事務所において写しを保管しなければなりません(第113条)。
ただし、会社を清算する場合、精算手続きとして税務局より税務調査を受けることになりますが、その対象期間が全ての包括税務調査の未実施年度になるため、包括税務調査が実施されていない10年以上前の会計記録がある場合、破棄することによって精算時に不利益となる可能性がありますので、注意が必要です。
外国企業
■一般事項
外国企業とは、外国法に基づいて設立された、カンボジアに拠点を有し、事業を行なう法人のことを指し、次の形態に分類されます。
・ 駐在員事務所
・ 支店
・ 子会社
子会社は、外国企業の 51%以上の出資によって設立される会社のことを指し、商業登記によって、親会社とは異なる法人格を取得することができ、パートナーシップ又は有限責任会社として設立することができます。子会社はカンボジアの法律によって外国人又は外国法人に対して禁止されている業務を除き、カンボジア内国法人と同様の業務を行なうことができます。
一方駐在員事務所及び支店は、本社の代理機関であり、親会社と異なる法人格を有しません。外国企業は、カンボジアにおいて次に掲げる業務を行なう場合、当該企業は、事業活動をしているものとみなされます。
・ 1ヶ月以上、製造、加工又は役務提供のために事務所またはその他の場所を賃借する場合
・ 1ヶ月以上、外国企業のために雇用を行う場合
・ カンボジアの法律によって外国人又は外国法人に認められた業務を行う場合
■駐在員事務所
駐在員事務所は、カンボジアにおいて、次の行為を行うことができます(第274条)。
・ 本社への紹介のための顧客との接触
・ 商業情報の調査及び本社社への供与
・ 市場調査
・ 展示会での物品の売込及び事務所又は展示会でのサンプル及び商品の展示
・ 展示会に向けた物品の購入及び保管
・ 事務所の賃借及び従業員の雇用
・ 本社社を代理して行う現地顧客との契約
駐在員事務所は、継続的な物品の購入及び販売、役務供与、製造、加工並びに建設業務を行うことはできません。
駐在員事務所の商号は、本社の商号と同一となり、「駐在員事務所(Representative Office of)」という言葉がその商号の前に配置されなければなりません。また駐在員事務所は、本社によって任命及び解任される管理者によって管理され、本社の判断によって閉鎖されます。
■支店
支店は駐在員事務所に認められた業務に加え、カンボジアの法律によって外国人又は外国法人に対して禁止されている業務を除き、内国企業と同様に、継続的な物品の購入及び販売、役務供与、製造、加工並びに建設業務を行うことができます(第278条)。
支店の財産は本店の財産となり、支店の債務は、本店が弁済する責任を負います。支店の商号は本店の商号と同一となり、「支店(Branch of)」という言葉その商号の前に配置されなければなりません。また支店は、本店によって任命及び解任される管理者によって管理され、本店の判断によって閉鎖されます。
企業会社法改正法(2022年3月)ジェトロより
2022年1月29日に会社法改正法が施行されました。この改正法では、個人事業主に関する規定の追加、カンパニーセクレタリー制度の導入、1株当たりの金額及び発行株式数に関する規定の撤廃、精算時における清算人の必要設置及び清算人の資格の限定、国内支店に関する規定の追加等が含まれています。
個人事業主、パートナーシップ及び会社は、商業登記上の事務所を設置しなければならず、会社は、カンボジア王国に永住するカンパニーセクレタリーを置かなければなりません。また、その登記上の事務所所在地または事務所所在地と連絡用の場所が異なる場合は両者を登記官に届け出、登記上の事務所情報に変更があった場合は、当該変更が生じてから15営業日以内に、登記官に当該変更の旨を届け出なければなりません。
会社は、登記官にカンパニーセクレタリーの名前を届け出、カンパニーセクレタリーは、その役割を果たすことが出来るだけの身体的能力及び行為能力を有する自然人であることが条件となります。また、カンパニーセクレタリーは、会社を代理して裁判所からの呼び出し状及び召喚状、公文書及び文書を受領する権限を有します。これらを受けて、全ての個人事業及び法律に基づいて設立された法人には、カンボジア王国の法律が適応されることとなります。
会社は、その営業時間中、法律上送付が必要な文書及び情報を会社の送付するためにカンパニーセクレタリーを利用可能な状態にしておく必要があり、文書及び情報は、営業時間中に個人またはパートナーシップに送付されます。一般パートナーシップの場合、文書及び情報は一般パートナーシップに送付することができ、会社の場合は取締役に送付することができます。
※文書を上記方法にて送付することが出来ない場合は、登記官に送付することができ、当該登記官は個人事業主、パートナーシップまたは会社に対して、企業の最新の所在地を登記官に送付することが求められます。何らかの方法により登記官によって送付された文書は、全て個人事業主、パートナーシップ又は会社に送付されたものとみなされます。
■個人事業及び一般パートナーシップの解散・清算解散・清算
個人事業主は、いつでもその企業を退散することができます。また、以下の事由によって解散となります。
・自由意思によって
・個人事業主の死亡によって
裁判所の裁判によって
※自由意思又は個人事業主の死亡を理由とする解散手続きは、適用法令に基づいて商業省で定められます。
清算人は、清算結了後5年間、一般パートナーシップの会計帳簿、財務諸表及びその他の記録を保存するものとし、証拠として必要される場合は、それよりも長い期間、会計帳簿、財務諸表及びその他の記録を保存しておくことが求められます。
一般パートナーは、登記官に対して所定の書式による解散通知を提出し、清算人を任命することになります。清算人は、ノンバンク金融サービス庁の会計監査監督局が免許を付した会計及び/又は監査事務所でなければなりません。また、連続した4週間の間、登記上に記載された事務所の所在地において発行又は流通している新聞(カンボジア語)又は、商業省令が定めるその他の出版物において解散通知を行うことになります。新聞によって行う解散通知は、商業省令によって定められることとなります。
■事務所・記録・帳簿と記録
会社の株主、債権者、カンパニーセクレタリー及び法的代理人並びに商業省企業管理者は、当該会社の通常の営業時間の間に定められた全ての文書を調査することができ、無償で謄写することができます。また、会社が公開有限責任会社の場合、合理的な金額の手数料の支払いをもって全ての文書を謄写することができます。
会社及びカンパニーセクレタリーは、会社の会計帳簿、財務諸表、及びその他の記録を注意深くかつ定期的に保管及び保護し、適切に保守しなければなりません。また、取締役、執行役又はカンパニーセクレタリーが会社を代理して締結する文書または契約は、社員がそれら書面に押されていなかったとしても有効となります。
■株式と配当
定款に株式の種類について定めがない場合、会社の株式は1種類のみとなります。これらの株式を保有する株主の権利は平等で次に掲げる権利が含まれます。
・全ての株主総会における議決権
・配当金を受け取る権利
・清算完了時における残余財産を取得する権利
個人情報が定款に記載されることを望まない会社の株主は、自らを代理して行動する代理人を指名することができます。このような代理人の氏名は、株主及び自然人又は法人である代理人との間の契約を通じて行うものとなります。
※このような契約を株主代理契約といいます。
株主の個人情報及び株牛代理契約は、これを商業省に届け出るものとし、この情報及び株主代理契約の届出に関する条件、書式及び手続は省令で定められたものとなります。
■財務情報の開示
株主、カンパニーセクレタリー及び法的代理人は、会社の通常の営業時間の間に年次財務諸表を閲覧し、無償でこれを謄写することができます。
・監査役は、法律が求める財務諸表について、株主に対して報告する必要と認める点について調査を行わなければなりません。
・監査人の要求により、現職もしくは以前の取締役、執行役、従業員又は、カンパニーセクレタリーは、監査役がその職務遂行のために必要と認める情報、説明、会計帳簿、財務諸表及びその他の記録の提供を行うものとなります。
・監査役は、会社の費用で全ての株主総会について通知を受け、監査役としての役割に関する事項について知るために株主総会に出席する権利を有します・
・取締役又は株主(当該株主総会における議決権の有無を問わない)が株主総会の10日以前前に現職又は、以前の監査役に対して招集通知を送付した場合、その監査役は、会社の費用で当該株主総会に出席し、監査役の職務に関する質問に回答しなければなりません。
■解散・清算
会社は、解雇趣旨証明書発行後、以下の事項を行わなければなりません。
・資産の回収
・株主に分配することができない現物資産の保管
・全債務の履行
・清算のために必要なその他全ての活動の実施
・清算人の選任
清算人は、株主の決定によって選任されるものとなり、ノンバンク金融サービス庁の会計監査監督局が免許を与えた会計及び/又は監査事務所でなければなりません。また、生産通知を受領し、全債務を履行し会社の活動を停止した後、権利を有する株主に対してキンセンカ物品かに関わらず、残余財産を分配するものとなります。
清算結了から5年以上、清算会社の会計帳簿、財務諸表及びその他の記録を保管するものとなります。
商業省企業管理官は、法律に基づき、会社に対して文書に記載された内容が正確性又は真実性を証明する文書の送付を求めることができます。また、必要な場合は登録情報又は年次の申告情報の更新を求めることも可能です。企業管理官は、更新された情報又は文書を確認するために、会社の本部における現地調査を行うこと、更新情報又は文書の根拠となる追加の情報又は文書の提供を求めることができます。会社に対しての登録情報又は年次の申告情報の更新を求める手続き及び情報又は文書の確認のための現地調査手続きは、商業省令で定められています。
■不公正な契約条件に関するPrakas
2019年11月2日付の消費者保護に関する法律(以下、「消費者保護法」)の公布を受け、商業省(以下、「MOC」)は2022年3月1日、カンボジアにおける消費者と事業者の契約について、利益の過度な搾取や状況の濫用から消費者の権利を保護することを目的とした、不公正契約条件に関するPrakas 0067を発行しました。小売業者、サービス提供者、銀行、金融機関、eコマースプラットフォーム、不動産会社等、消費者との取引に交渉不能な標準契約書を使用する事業者は、そのような契約書に不公正な契約条項が含まれていないことを確認する必要があります。
〇「標準契約書」とは何か?
事業者が消費者に商品および/またはサービスを提供するために、消費者が当該契約について交渉したり、修正したり、何らかの形で影響力を行使したりすることを認めることなく、あらかじめ策定された契約または契約条項のことです。
Prakas 0067では、標準的な契約形態の例は記載されていませんが、以下が標準的な契約形態と捉えることができます:
”事業者が消費者に商品および/またはサービスを提供するために、消費者が当該契約について交渉したり、修正したり、何らかの形で影響力を行使したりすることを認めることなく、あらかじめ策定された契約または契約条項。”
Prakas 0067では、標準的な契約形態の例は記載されていませんが、以下のようなものを基本的には標準形態と捉えることができます:
- エンドユーザーへのモバイルアプリやウェブサイトに掲載される契約。
- 販売員と消費者間の商品提供に関する売買契約。
〇不当な契約条項とは?
「消費者の利益を過度に搾取するような標準的な契約形態の条項」を指します。
Prakas 0067によると、不公正と解釈される条項には以下のようなものがあります:
-サービスおよび/または商品の保証に関する事業者の責任を除外または制限する条項。
-消費者の事前の同意なしに、商品および/またはサービスの種類、数量、価格、品質を実質的に変更または修正する権利を事業者に付与する条項。
-消費者の事前の同意なしに、事業者が標準契約書の実質的な条項を変更する権利を付与する条項。
-事業者が独自の裁量で契約を一方的かつ恣意的に解釈し、または解除する権利を付与する条項。
※ただし、ある条項が過度な利益の搾取を含むかどうかは、当事者の経済的優位性、社会的状況、知識、経験などいくつかの要素に照らして慎重に評価する必要があります。
また、その評価基準は、関連省庁、機関、または所轄の規制当局が発行する分野別規則の下でさらに規定されることもありますのでご留意ください。
〇企業がすべきポイント
事業者は、以下の要件を満たす標準的な契約書を作成することにより、コンプライアンスをより確保することができます:
-明確、正確かつ理解しやすい表現で書面化されていること
-クメール語で作成されていること(ただし、消費者の要望に応じて外国語(英語)で作成することも可能)。
-消費者保護関連規則が要求する標準的な情報が記載されていること(価格、支払方法、注文のキャンセル方法、返金、商品の配送または交換が含まれるが、これらに限定されません)。
-事業者は、標準契約書の重要な条項について説明し、強調し、明確な情報を提供する。
電子商取引の場合、標準契約書の重要条項は、消費者が承諾する前に目を通す機会を確保し、消費者に明確に説明されなければなりません。また、実質的な条項の変更について消費者の同意を求め、条項の変更について消費者に通知する必要があります。
さらに、事業者は、適用される法令に従い、国家消費者保護委員会(the National Commission for the Consumer Protection(NCCP))または所轄の規制当局にそのような要求を提出することにより、コンプライアンス確保のため自社の標準契約書式の見直しを要求することができます。
〇消費者の権利
Prakas 0067は、消費者に以下の権利を認めています:
-商品および/またはサービスと契約に関する必要な情報へのアクセス。
-契約締結に先立ち、事業者に対して更なる説明と納得を求め、契約内容、特に重要な条項を検討するための十分な時間の要求。
-カンボジア法に基づき、過度の利益搾取を提供し、不公正とみなされる条項の取り消しまたは批准。
※さらに、消費者または関係者は、このPrakas 0067に違反した場合に、NCCPまたは関連省庁、機関、規制当局に対して、苦情を申し立てすることも可能です。
〇罰則金
不公正な契約条項の使用は、消費者保護法により罰せられる不正行為とみなされます。罰則には、商業登録証の停止、取り消し、無効、および最高50,000,000KHR(約12,500米ドル)の罰金が含まれます。
ただし、暫定的な罰金の支払いは、他の関連法規に規定される刑事・民事責任が免除されるものではありません。
[参考資料・ウェブサイト]
・カンポジア商業省商業登記局「商業登記ハンドブック」
https://www.jica.go.jp/cambodia/office/information/investment/
к57p900001 vo7r5-att/ commercial_registration_ja.pdf
. The Council for the Development of Cambodia
https://cdc.gov.kh/
. 立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)「カンボジアービジネス情報とジェ
トロの支援サービス」
https://www.jetro.go.jp/world/asia/kh/
・夏山宗平、芝清隆、数本雄登(著) 『カンボジア進出・展開・撤退の実務投資・労働法務、会計税務』同文館出版、2014年
・公益財団法人 国際民商事法センター「ICCLC NEWS」第49号、2018年3月
http://www.icclc.or.jp/pdf/info180312.odf
・The Commercial Registration Department of the Ministry of Commerce A
Handbook on Commercial Registration'
https://cstn.files.wordpress.com/2009/10/hanbook-commercial-registration-eng.paf
・立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)「会社法改正法(日本語訳)」