会計
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会計制度
中国会計制度の体系
中国における会計制度の法規体系は次の図のとおりです。
中国では、中華人民共和国会計法の下に企業財務会計報告条例、企業会計準則があります。企業会計準則には、旧企業会計準則と2000年に公表された新企業会計準則があり、さらに、旧企業会計準則の下位制度として企業会計制度、金融企業会計制度、小規模企業会計制度が位置付けられています。
[中華人民共和国会計法]
中華人民共和国会計法(以下、会計法)は、中国の企業会計の根幹となる規定です。経理・税務管理体制を強化し、経済の成長、市場の秩序維持を達成するために制定され、主に会計行為、会計処理等の基本的事項を規定しています。
1985年の同法制定後、中国の市場経済化に伴って、従来の社会主義経済から市場主義経済への適合を図るべく1993年と1999年に改定が行われました。
会計法では、以下の規定に注意を払う必要があります。
・会計期間は毎年1月1日から12月31日(11条)で、日本とは異なり、会計期間の指定はできない
・表示貨幣は人民元(12条)であり、記帳時のみ1種類の外貨建金額で記帳することが可能(ただし会計報告は人民元)
・表示言語は原則として中国語(22条)であるが、外国投資企業は他言語(1種類に限る)の併用が可能
・一定の事業体には内部統制及び法定監査が必要(27条、31条、37条)
[企業財務会計報告条例]
1999年の会計法の改正に伴い、2000年に財務報告基準として国家国務院より企業財務会計報告条例が公布され、2001年から施行されています。
[旧企業会計準則]
1993~1999年に企業会計準則と企業財務通達が規定され、会計処理、財務管理に関する規定が整備されました。資本市場の発展に伴い、会計もそれに適合するように規定されたものです。また中国の会計基準のことをChinese Accounting Standardsといいます(以下、CAS)。現在、旧CASと新CASが存在します。
旧企業会計準則(旧CAS)は、基本会計準則と具体会計準則から構成されています。基本会計準則では財務諸表の作成・報告の基礎となる事項が、具体会計準則では基本会計準則に基づいた個別の会計処理に関する事項が規定されています。
[企業会計制度]
中国財政部は会計法ならびに企業財務会計報告条例の改正・公布に対応するため、2000年12月に具体的会計処理の包括的規定として企業会計制度を公布しました。この企業会計制度は中国の国際的発展を背景に、国際会計基準(IFRS:International Financial Reporting Standards)をもとに作成されています。金融企業会計制度は金融企業のために作られた会計制度であり、小規模企業会計制度は小規模企業(微型・小型企業)のために作られた会計制度です。
当初この企業会計制度は株式会社のみに適用されましたが、2001年に日系企業を含む外商投資企業、さらに2002年には新規設立企業、一部国有企業にも適用されることとなりました。
[新企業会計準則]
2006年2月に中国財政部から新企業会計準則(以下、新CAS)が公布されました。新CASは企業会計準則ならびに基本会計準則と具体会計準則(第1号~第38号)から構成されます。新CASの制定にはIFRSへのコンバージェンス(収斂)を進めるとともに、中国の国際的な地位を高めるねらいもあります。中国がIFRSのアドプション(直接採用)でなくコンバージェンスを採用した理由は、経済的負担だけでなく、中国特有の経済・法規制を考慮したものと考えられます。
中国財政部は、自国の会計基準は自国の経済・法規制等に基づき行われるものであるとしています。その上で、会計基準のIFRSへのコンバージェンスを図ることはIFRSと自国の会計基準に対して、相互に影響を与えるものとなります。
この新CASは、2012年4月にEU同等性評価(EUによる会計基準の同等性評価)を得ています。
両基準が同時に適用されるものではないことに留意が必要です。
会計期間
中国の会計期間は暦年で、毎年1月1日から12月31日までと決まっています(会計法11条)。また、各財務報告書の提出期限は以下のとおりです。
[月次報告書、四半期報告書]
中国では、月に一度、月次報告書(前月の貸借対照表、損益計算書)を月末から15日以内に税務局へ提出する必要があります。また、四半期終了後、翌月の15日に四半期報告書の提出と仮納税が必要となります。
年度終了後45日以内に決算書及び税務申告書を提出、納税の流れになります。納税後、会計師事務所の監査を受けた上で税金の精査が必要です。
[年度財務諸表]
年度財務諸表の提出期限は、外商投資企業の税務申告(宛先:税務局)は3月末頃から5月31日、共同年次検査(宛先:工商行政管理局、商務部、財政部、税務局、統計局、外貨管理局)は3月1日から6月30日と定められています。
開示制度
■会計法に基づく開示
中国の会計法では、外商投資企業は各関係機関(工商行政管理局、外貨管理局、税務局等)すべてに対し財務諸表及び監査報告書の作成・開示が義務付けられています。財務諸表とは貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、付属明細表を指し、日本の会社法で規定されているものとは異なる点があります。
上の表のように、中国ではすべての外商投資企業に対し、キャッシュ・フロー計算書の作成と提出を義務付けているのが特徴です。また、付属明細表には資産評価損失引当金明細表、株主持分増減変動表、未払増値税明細表、利益処分計算書、セグメント報告書(上場企業のみ)の添付が義務付けられています。
財務諸表は市や省等の財務当局に個別で提出しなければならない上、形式が市や省ごとに異なるため、営業を開始する前に実際に提出する財務諸表の形式が正しいかどうかを確認する必要があります。月次単位での提出と年度ごとの提出において必要な書類は次のとおりです。
■証券法等で規定されている開示
外商投資企業における開示制度は一般法である会計法によって規定されています。これに加え、外商投資株式会社では証券監督管理委員会の関連規定及び最低資本金割合や上場審査規定を満たす必要があります。これらの規定は、中国における証券法及び公司法に基づいて制定されています。証券法とは日本における金融商品取引法に相当するもので、証券(株式)を公開発行している企業はこれに則って上場手続を行う必要があります。
証券法に基づき、提出書類などの上場における細かい関連規定は証券監督管理委員会が定めます。近年はこれらの規定がたびたび改正されていることから、情報の更新が上場における障害となっています。
[開示書類の提出]
上場企業は、2002年1月1日より、企業会計基準と関連通達規定に基づき、年度、半期及び四半期報告書の開示が義務付けられています。上場している証券取引所に対して年度は12月末から4カ月以内、半期報告書は6月末から2カ月以内、四半期は3月末ならびに9月末から1カ月以内、それぞれ証券監督管理機構及び証券取引所に提出・公告する必要があります。
なお、年度報告書は必ず注冊会計師(中国の公認会計師)の監査が必要となりますが、半期報告書(中間報告書)の場合は一定の場合にのみ注冊会計師の監査が必要とされています。一定の場合とは以下のものを指します。
・直近3年間の監査意見が無限定適正意見ではなく、かつ下半期に株式配当または新株発行を申請または実施する場合
・上半期において、配当、資本準備金の資本組み入れ、あるいは欠損補塡を計画し、下半期に実施する場合
[臨時報告書の提出]
上場企業に関しては、株式価格に大きな影響を生じさせる可能性のある重大な事由が生じた場合、臨時報告書を証券監督管理委員会及び上場している証券取引所に提出し、かつ公告しなければなりません。重大な事由の例として以下のようなものがあります。
・企業の経営方針及び経営範囲の重大な変化
・企業の重大な投資行為及び重大な財産購入の決定
・企業に重大な損失もしくは損害の発生
・企業の5%以上の株式を保有する株主または実質的支配者の株式保有または企業支配の状況の比較的大きな変更の発生
・企業の減資、合併、分割、解散及び破産申立の決定
[連結財務諸表の提出]
日本と同様に中国でも、以下のように一定の要件を満たす企業は子会社や関連会社の財務諸表を含めた連結財務諸表を作成する必要があります。
・国家国有管理局が経営管理を授権した企業
・株式上場企業
・対外貿易企業
・外部に対し連結財務諸表の提出が必要なその他の企業
作成しなければならない資料には連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結利益処分計算書があります。
上場企業に関する諸制度
■上場企業情報公開管理弁法
上場企業情報公開管理弁法は2007年に公布されました。構成は以下のとおりです。
この規定によると、上場会社の情報公開義務として、定期報告(年度報告、中間報告、四半期報告を含む)をしなければなりません。定期報告の内容には、会社の財務会計報告が含まれ、当該財務会計報告については、証券・先物取引関連業務を行う資格を有する会計事務所の監査を受けなければなりません。なお、会社の財務状況に重大な変動あった場合は、臨時報告にて情報開示をしなければなりません。
■市場の種類
中国の証券取引所には上海と深圳の2つがあり、1つの銘柄が2つの取引所で同時に売買されることがないのが特徴です。1つの取引所において上場企業が2種類の株式を流通させることができます。この株式はA株とB株に分類されており、それぞれの役割は次のとおりです。
このように株式の種類が分類されていますが、中国国内に限定されているA株は上海証券取引所が1,696種類、深圳証券取引所が1,505種類あるのに対して、外国人投資家も参入可能なB株は上海証券取引所がわずか44種類、深圳証券取引所も同水準の41種類です(2024年2月時点)。近年では、国際的な要請に加え、B株の出来高の縮小からA株とB株の統合もしくはB株が廃止されるという見方も強くなっています。
創業版とは新興企業向けに作られた株式市場のことを指します。A株やB株の上場基準よりも低く設定されています。たとえば、A株やB株の上場基準のうち、直近3年間の黒字が上場要件ですが、そのうちの必須要件は直近2年の黒字です。
■外国企業の上場基準
中国国内企業のA株の上場基準は、主に中国の証券法、株式新規公開発行上場管弁法や株式上場規則等の関連法規の遵守を求めています。外国企業は、これに加えて以下の要件を満たす必要があります。
・上場予定の外商投資企業は事前に外商投資株式会社に変更すること
・上場申請前3年間の年次審査を受けること
・5名の発起人のうち半数以上が中国人であること
・上場後の外資株の割合が10%を下回らないこと
・上場後の外国人投資家が保有する株式が株式総額の25%を下回る場合には外商投資企業の認可証明書を返却しなければならないこと
■外国企業の中国上場
A株を上場している外国企業は主に台湾系の企業が多くを占めています。
A株上場を目指した日本企業は少なくありませんが、以下のような理由で実現できない場合もあります。
・日本企業の現地化がスムーズにできなかった
・日本企業と中国企業の対等な合弁ができなかった
対等な合弁については経営戦略上困難な点が多いのが現実ですが、成功事例と照らし合わせると必要不可欠な要因といえます。
■上場廃止基準
日本の証券取引所の上場廃止基準は主に株式(出来高、時価総額、流通株式や株主等)に関する事項や債務超過等ですが、日本と比べて中国にはさらに厳格な規定があります。2012年6月28日に発表された上海証券取引所と深圳証券取引所の新上場廃止規定では、日本と同等程度の上場廃止規定のほかに、営業収入2年連続で1,000万元を下回った場合には上場暫定停止、3年連続の場合は上場廃止となっています。
会計帳簿
■帳簿の保存
会計法では、一会計期間の財政状態・経営成績を一定の形式に従って帳簿に記録し、保存することが義務付けられています。各会計書類の保存期間は次のとおりです。
■会計法に基づく帳簿の作成、監査
会計法では会計帳簿の作成に関してその方法等を規定しています。経理担当者には一定の要件が求められています。
[統制、検査・監督等に関する事項]
会計帳簿の誤謬・不正等を防ぐため、内部統制の確立とともに、それが有効に機能していることが必要とされています(会計法27条)。会計出納者は、会計資料のチェックや管理等の出納以外の業務を兼任することを禁じられています(同法37条)。そのため、原則として企業には会計関連業務を行う経理担当者が2名(会計担当者、会計出納者)必要です。
人員が整わない企業の場合は経理全般を外注することも可能ですが、現金管理、預金管理は社内で行わなければならないため、最低でも出納係が1名必要となります。このうちの会計担当者が急病などで出社できない場合に問題となるのは会計処理ができなくなることです。中国では会計就業資格のない者は会計処理を行うことができません。事前に現在の会計担当者以外の者に会計就業資格を取得させておく必要があります。また、会計事務所に代行補助を依頼することも可能であるため、中小企業や創業間もない企業は、外部の会計事務所に会計業務を依頼するケースが多いです。
会計出納者が出社できない場合は銀行手続ができません。中国では銀行で現金引出を行う場合、事前に銀行に登録した担当者が身分証明書を持っていなければなりません。会計出納者しか銀行に担当者として登録していない場合は銀行からの現金引出ができないため、事前に会計出納者以外の者も登録しておくことが重要です。
会計法では、一定の事業体には法定監査を受けることが義務付けられています(会社法208条)。政府検査事項として、会計資料の備置状況、内容の正確性等に加え、経理担当者の要件の検査、その他会計に関する必要事項を挙げており、その都度検査が行われます。こうした法定監査にもかかわらず違法行為等が発覚した場合は、事業体及び個人は告発権を有し、政府は告発人や告発内容の秘密を厳守しなければならないと規定されています。
[違法行為等に対する罰則]
違法行為による罰則はその内容、行為主体により以下のように区分されています(会計法42条~45条)。
発票制度
中国では発票制度を採用しています。発票とは、商品売買、役務の提供等の経営活動を行う際に売手が発行し、買手が取得するものです。代金授受の取引証憑となるだけでなく、税務証憑にもなります。中国では正式な発票がないと税務上の処理が認められません。発票の購入は税務局でしか行うことができません。税務局に税務登録をした企業が発票購買手冊を取得し、それにより発票を購入する手続を踏みます。発票を購入する際は、事前に必要書類(発票購入申請書、申請者の身分証明書、使い終わった最後の発票)を準備して税務局に提出します。数分後に発票が交付されます。
企業が発票を発行する業務については、コストと時間を削減するために外注により対応する企業も少なくありません。
会計システム
中国の会計システムは都市ごとに異なるとさえいわれており、中国進出の障害の1つとなっています。その理由として、会計制度が毎年変動している状況があり、前回と同じ形式では規定の形式に対応していない可能性があること、市や省ごとに中国財政部があり、財務諸表の形式等が異なること等の事情が挙げられます。
また、中国では会計業務にソフトウェアを使用する場合は管轄の財務局への届け出が必要です。政府が正式に財務報告に使用可能な会計システムを指定しており、以下のようなメーカーが発売するソフトウェアが採用されています。
・INSPUR(浪潮)
・KINGDEE(金蝶国際)
・NEWGRAND(新中大)
・UFIDA(用友)
・SAP
・Oracle
その他のメーカーが発売する会計用ソフトウェアでも認められているものはありますが、帳簿、会計証憑、財務諸表は人民元、中国語での作成が求められているため、最低限それらに対応できるものでなければなりません(会計法12条、22条)。
財務報告書の構成
会計帳簿については、年次や半期等、一定の期間ごとに財務報告をする必要があります。財務報告書の構成、作成方法、その他の事項に関しては企業財務会計報告条例に記載されています。
財務報告書は年度、半期、四半期、月次の報告が求められます。また、報告する内容によって必要となる書類も異なります。報告される年度、半期財務諸表は二期分の比較データが必要です(企業財務会計報告条例6条、7条、13条)。
[貸借対照表]
貸借対照表(資産負債表)は、企業の財政状態を明らかにするために一定時点におけるすべての資産、負債、純資産の状況を表示した計算書を指します(企業財務会計報告条例9条)。
様式は日本とほぼ同じですが、更地の土地(土地使用権)は無形固定資産の扱いになる等、一部異なります。
[損益計算書]
損益計算書(利潤表)は企業の経営成績を明らかにするため、一会計期間におけるすべての収益とこれに対応するすべての費用、ならびに利益・損失を表示した計算書を指します(企業財務会計報告条例10条)。
日本で売上総利益に該当するものが主要業務収入扱いとなります。中国の営業外収益・営業外費用は特別利益の一部と特別損失に該当するため、経常利益に該当する項目はありません。
[キャッシュ・フロー計算書]
キャッシュ・フロー計算書(現金流量表)とは一会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を、一定の活動区分別に表示した計算書を指します(企業財務会計報告条例11条)。
キャッシュ・フロー計算書は活動区分ごとに分類し、項目別に記載する必要があります。基本的には直接法による作成が求められていますが、営業活動によるキャッシュ・フローについては間接法による注記が必要とされています(旧CASキャッシュ・フロー計算書24条、25条、新CAS第31号8条、16条)。
・営業活動:営業活動、税金、その他投資・財務活動以外の取引
・投資活動:有形固定資産の購入・建設等、その他投資活動
・財務活動:資本の払込、資金の借入・返済等、その他財務活動
[付属明細表]
付属明細表は貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の内容を補完するために作成される計算書を指します(企業財務会計報告条例12条)。
・利益処分計算書
・その他の付属明細表(資産減損損失等)
[所有者持分変動表]
所有者持分変動表は日本でいう株主資本等変動計算書で、所有者持分の当期の増減の明細です。新CAS第30号準則で以下の項目の記載を要求しています。
・純利益
・所有者持分に直接計上する損益
・配当及び利益処分
・各所有者持分項目の増減
[財務諸表注記]
財務諸表注記とは財務諸表の内容の理解を補完するために重要な会計方針、見積、その他説明を要する事項を記載した説明書を指します(企業財務会計報告条例14条)。
新CASから財務諸表の構成要素として位置付けられたもので、旧CASの付属明細表を含む説明書となっています。主に企業の状況(企業の概要等の記載)、財務諸表の注記(作成基本方針、会計方針、見積等)、配当に関する注記が記載されます。
・会計処理の基本的前提に合致しないことについての事項
・重要な会計方針、会計上の見積、その変更等についての事項
・その他事項(偶発・後発事象、関連当事者に関する事項、合併・分割等)
[財務状況説明書]
財務状況説明書は会社の経営状況、利益、資金等に関する事項に関して説明を行う説明書を指します(企業財務会計報告条例15条)。
・企業の経営状況に関する基本事項
・利益の実現、処分に関する事項
・その他(資金、財務諸表に重要な影響を与える事項等)
[報告書の提出]
提出書類は期間ごとに異なります。
旧CASから新CASに変更になり、以下の相違点が生じています。
・所有者持分変動表が財務諸表の構成要素となる
・財務諸表注記は新CASでは財務諸表の構成要素として扱われる付属明細表は注記の中の重要項目の説明事項の中に含まれる
会計基準
中国のIFRSへの取組
中国では、IFRSをアドプション(直接採用)するのではなく、コンバージェンス(収斂)する立場をとっています。コンバージェンスする理由としては、中国特有の政治・経済・法規制等の関係、経済界の負担への配慮から直接採用することが現実的に難しいことなどが挙げられます。
IFRSへの対応は順次進められており、新CASはIFRSとの共通項もあります。そこで注意しなければならないのは新CASとIFRSの相違点です。
以下に新CAS以降、新設された基準や新CASとIFRSの異同点を挙げます。
旧CASと新CASとIFRS
現在中国では、旧CASと新CASが併存しています。一部の地域や一定の規模以上の企業等には新CASが強制適用されていますが、外商投資企業含め多くの企業が旧CASを採用しています。今後は各企業とも新CASに移行する見込みです。
既に新CASを適用している企業はIFRSや日本の基準との違いを理解し、連結会計の作業を行う際に、正確な修正を行うことが必要となります。IFRSへのコンバージェンスが進んでいるとはいえ、新CASとIFRSを比較した場合、100項目以上の相違点があります。
中国の連結会計制度
企業会計制度(2000年公布)では、出資比率が50%超または50%未満でも実質的に支配していると認められる子会社があれば、親会社は企業集団全体の連結財務諸表を作成することが義務付けられています。この実質的な支配の判定に関しては、転換可能な社債やワラント等の潜在的な株式を考慮に入れることになります。
これまでは、連結財務諸表の作成が強制される企業は国家国有資産管理局が経営管理を授権した企業、株式上場企業等の一部企業に限定されており、外国投資企業の作成の要否は不明確で、実務上は作成不要と解釈されていました。しかし、新CASでは連結財務諸表の作成主体が明確にされたため、新CASを適用する場合は、外国投資企業も連結財務諸表を作成する必要があります。
連結財務諸表を作成する場合は、日本と同様に連結消去仕訳等の手続も必要です。さらに以下の点に注意する必要があります。
[決算日と会計期間]
連結財務諸表の決算日、会計期間は親・子会社同一でなければなりません。不一致の場合、親会社(親会社、子会社とも中国にある前提)の決算日に合わせて調整・作成します。日本の3カ月ルールに相当する規定がないことにも注意が必要です。
[会計方針]
連結財務諸表の会計方針は統一されている必要があり、不一致の場合は親会社(親会社、子会社とも中国にある前提)の決算日に合わせて調整・作成します。ただし、重要性が低い場合等は調整せず、そのまま使用することもできます。
[個別財務諸表]
個別財務諸表上、旧CASでは子会社に対する投資は持分法が適用されますが、新CASでは原価法が適用されます。そのため旧CASから新たに新CASを適用する会社は注意が必要です。
中国子会社に見られる会計処理の誤り
特に進出して間もない会社は、中国と日本の会計の違いがわからず、現地の財務担当に会計処理を全て任せっきりにしてしまい会計がブラックボックス化してしまうケースが良くあります。適切に会計処理をしていないと、後々のトラブルにつながるため、注意が必要です。中国子会社にてよく見受けられる会計処理のうち、特に重要なものを以下に記載します。
〈資産〉
売掛金、棚卸資産、固定資産などの評価の妥当性について注意しておく必要があります。特に固定資産は、減損損失を計上することになった場合には金額的に重要なものとなりますので、注意が必要です。
〈負債・税金〉
現地の担当が税効果会計の処理になれておらず、誤った処理をしているケースがあるので注意が必要です。また、日本人出向者の日本払い給与が中国における個人所得税の申告所得に含まれていないケースも散見されます。
〈収益・費用〉
中国企業の慣習として、発票を発行した時点、売上計上し、発票を入手した時点で仕入・費用計上を行っており、売上計上時期及び仕入計上時期が適切でないケースがあります。
監査制度
中国では、企業は毎会計年度終了時に財務諸表を作成し、法律に従って会計士事務所・監査法人の監査を受けなければならないとされています(会社法165条)。
外国投資企業は決算日(12月31日)以降4月30日までに、注冊会計師が発行した監査報告書を添付して年度財務諸表を関係機関に提出しなければなりません。
中国の監査制度と内部統制
■会計師
中国は、会計従業資格を有する者にのみ会計業務を行うことを認める会計師制度を採用しています(会計法38条)。会計師は記帳から税務申告までを行います。日本の公認会計士に相当する資格は注冊会計師で、会計師とは異なる資格です。会計師は企業内部で財務会計を担当する者を指します。
会計師として企業内で会計業務を行うためには、会計従業資格試験に合格することが必要です。合格後は登録登記に加え、一定の継続研修を受けることになります。2013年に会計従業資格管理弁法が改正施行され、単位制の継続教育管理や試験のペーパーレス化などいくつか変更がありましたが、会計業務を会計事務所などに外注する場合など会計従業資格保有者を雇用していないのであれば、実務に影響を及ぼさない範囲の改正となっています。
試験のレベルは初級・中級・高級の三段階があり、会計師は高級会計師、会計師、助理会計師、会計員の4つに分類されます。会計員としての会計従業資格は初級に合格することにより取得でき、その後一定の実務を積むことで助理会計師に任命されます。会計師は中級の試験合格者で、高級会計師は高級試験の合格のほか政府の認定を必要とします。
会社は会計従業資格のない者等に経理実務を実施させた場合、3,000元以上5万元以下の過料が課され、行政処分に処せられます。
■注冊会計師(公認会計士)制度
[注冊会計師]
日本の公認会計士に相当する有資格者は中国では注冊会計師と呼ばれています。注冊会計師になるには、注冊会計師試験合格後、注冊会計師協会に申請し、継続研修を受けるとともに一定以上の実務経験等の要件を満たす必要があります。
注冊会計師の選定に際しては、通常現地の会計士事務所に依頼することが多いのが実情です。そのため、現地の会計士事務所と親会社のスタッフならびに親会社の監査法人との連携を図ることが重要です。状況に応じて親・子会社の監査法人の統一を図ることも考えられます。
注冊会計師協会は、注冊会計師の業界組織として1988年に発足しました。注冊会計師協会を所管している中国政府部門は財政局及び民政部です。同協会では職業倫理の制定、注冊会計師試験及び継続研修制度の実施、登録会計師事務所の検査等を主な業務として活動しています。
[注冊会計師の業務]
注冊会計師の主な業務は監査業務と非監査業務に分けられます。
監査業務(注冊会計師法14条)
・企業の財務諸表を監査し、監査報告書を提出する(清算財務諸表含む)
・会社設立時に企業の資本金を検証し、出資検査報告書を提出する
・企業の合併、分割、清算に関する監査を行い、関連報告書を提出する
・法律、その他の行政法規に定めるその他の監査業務を行う
・その他、連結会計のためのレビュー等
非監査業務(注冊会計師15条)
・会計コンサルティング業務
・会計記帳と税務申告書作成の代行
・資産評価業務(ただし、国有資産の評価は注冊資産評価師が行う)
[注冊会計師の任期]
注冊会計師の任期は通常1年とされ、再任も可能です。選任は株主総会の決議によりますが、再選任しない場合または解任する場合は、関係刊行物への公告ならびに関係機関への届け出を行わなければなりません。加えて、注冊会計師への事前通知ならびに株主総会での弁解の機会の付与も必要となります。
■外商投資企業の監査
外商投資企業の監査制度には、社内監査役による内部監査と社外の注冊会計師による外部監査があります(出資監査と年度監査は社外の注冊会計師が行う)。さらに2006年から新会社法が施行され、監事(日本の監査役に相当)、監事会(日本の監査役会に相当)の設置が義務付けられています。
[出資検証]
中国では法により設立された会社については、株主は出資金を払込んだ後に出資検査機構による出資検査を受け、出資検査証明の交付を受けなければなりません(2024年改正会社法55条)。外商投資企業では出資段階での出資検証が義務付けられています(中外合弁企業法実施条例29条、中外合作経営企業法実施細則22条、外資独資企業法実施細則32条)。
出資検証とは外商投資企業が金銭、現物等の出資を確実に行っていることを外国側ならびに中国側の双方で検証する手続です。法律に従った会計士事務所から出資検証報告書を入手することが法律上義務付けられています。
資本金出資の場合、出資後60日以内に出資検証を受け、検証終了後10日以内に出資検証報告書を受領します。企業は当該書類を持って出資の証拠とします。出資検証は増資等を行う際にも必要となるため注意が必要です(提出先は市場監督管理局、外貨管理局など)。
[年度監査]
中国の会社法では、会社は会計年度終了時に財務諸表を作成し、法律に従った会計師事務所の監査を受けなければならないと規定されています(2024年改正会社法208条)。外商投資企業は、毎期末に年度監査を受けることが義務付けられています(中外合弁企業法実施条例79条、中外合作経営企業法実施細則46条、外資独資企業法実施細則60条)。
年度監査には、会計監査と外貨監査があります。外商投資企業は決算日(12月31日)以降、4月30日までの間に、年度財務諸表に監査報告書を添付して各関係機関に提出する必要があります(提出先は市場監督管理局、外貨管理局、税務局ほか計6部門)。外商投資企業は会計士事務所に依頼し、年度財務諸表の提出期限までに監査報告書の発行を受けます。また、親会社の連結会計等のため任意監査を受けることもできます。上場している外商投資株式会社に関しては年度財務諸表のほかに中間報告書の提出が義務付けられています。ただし中間報告書に含まれる中間財務諸表に関しては一定の場合を除き注冊会計師の監査は不要です。
会計監査
会計監査とは、独立第三者である注冊会計師が外商投資企業の作成した財務諸表を関連法規に基づき、その適正性に関して報告を行うものです。会計監査終了後、年度会計監査報告書が発行されます。
外貨監査
外貨監査とは、独立第三者である注冊会計師が、被監査企業の外貨収支状況に関して報告を行うものです。外貨監査終了後、外貨監査報告書が発行されます。
■共同年次検査
共同年次検査(聯合年検)とは、工商行政管理局、外貨管理局、税務局、商務部、財政部及び税関等が共同し、外商投資企業に対して毎年検査を行うことを指します。
共同年次検査の手続は、企業が共同年次検査報告書を工商行政管理局で受取り、必要事項を記入した上でその他必要な関連書類を添付して、それぞれの共同年次検査参加部門に送付するという流れです。提出書類は地域により異なります。その後(数週間後)、年次検査費用を納付した後にそれぞれの共同検査参加部門から結果が通知されます。
不合格の場合、企業は政府担当官の定めた期限内に是正・改善の措置を取らなければなりません。適切な対応が取られない場合には法による制裁のほか、内容が重大な場合には営業許可証が取り消されることもあります。合格した場合でも、B級会社と認定された場合は一定の制約が加わります。
一部地域ではインターネットによる年次検査の導入が進められており、政府機関に直接出向く必要がない場合もあるため、手続を始める前に各地方政府の通達を確認することが大切です。共同年次検査報告書は翌年度の3月1日から6月30日までに各関係機関への提出が必要です。ただし、正当な理由がある場合は関係機関の認可を得た上で最大で30日の期限延長が可能です。新規設立企業は翌年度からの参加となります。
■上場企業の監査
[会計監査]
上場企業は、年度財務諸表のほかに中間報告書の提出が義務付けられています。ただし、中間報告書に含まれる中間財務諸表に関しては以下の特定の場合を除き、注冊会計師の監査は必要ありません。
・直近3年間の監査意見が無限定適正意見(財務諸表のすべての重要な点において適正であると判断した会計士の意見)ではなく、かつ下半期に株式配当や新株式発行の申請あるいは実施をした場合
・中間期において、配当、資本準備金の資本組入あるいは欠損補塡
を計画しており、下半期に実施する場合
上場企業は注冊会計師の監査以外にも、中国証券監督管理委員会による監督管理も行われます。
提出範囲
個別の貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書作成のほか、連結財務諸表の作成が要求されます。
提出期限
年度財務諸表の提出期限が会計年度終了後から4カ月以内であるのに対し、中間財務諸表の提出期限は上半期終了後から2カ月以内とされています。
[内部統制監査]
内部統制監査は上場企業を対象に施行されており、企業の経営管理のコンプライアンス、資産保全、財務報告及び関連情報の真実性と完全性の保証、経営効率と効果の向上、企業の発展戦略の実現を目標としています(P.〇〇「中国版SOX法」を参照)。
■リスクマネジメント
中国で事業を行う上では中国特有のさまざまなカントリーリスクを考慮することが重要です。具体的には、為替レート変動の先行きに対する不透明感、合弁パートナーとの関係、その他知的財産の侵害、反日感情による不買運動、法制度の未整備などが挙げられます。
カントリーリスクに対して専門のコンサルタントや法的専門家に相談し対応することも重要ですが、中国子会社の内部統制の欠如等、基本的事項への対応がおろそかになることで事業を撤退する企業が多い現状に留意する必要があります。
以下、中国子会社の内部統制の整備・運用の視点から、中国で事業を行う上でのリスクマネジメントについて触れます。
[リスクへの対応]
リスクへの対応は、リスクを未然に回避する活動とリスク発生後の対応に分けることができます。いずれの場合も、中国の子会社とともに本社と協力して対応する必要があります。
リスクを未然に回避する活動
リスクの発生を回避するためには、企業の管理層のみならず従業員レベルまで、すべての関係者にリスク対応に対する自社の基本的方針を認識してもらわなければなりません。一方で、リスク回避のための内部統制システムの構築、整備も必要です。
さらに、内部統制システムが十分に運用されるようにマニュアルを作成し、適切に運用されているか定期的に確認をして企業に定着させることが重要となります。
リスク発生後の対応
発生したリスクに対する解決策のみでなく、そのリスクを迅速に解決することが最も重要となります。特に、事前に予測できないリスクに対しては、子会社のみで対応するのではなく、本社との緊急連絡網を整備しておくなど、損害を最小限に抑える準備が重要となります。
その他
中国子会社では、通常中国語で文書が作成されます。そのため親会社へのレポートを作成する際には日本語(または英語)に翻訳する必要があります。レポートそのものを当初から日本語(または英語)で作成するという方法もありますが、現地スタッフによる内部統制の整備・運用を促すためにも中国語での作成が望ましいと考えられます。
中国子会社の重要性
親会社が財務報告をする上で、中国の子会社が連結上、重要性を有するかどうかにより内部統制の評価、整備に対する対応が変わってきます。
中国の子会社が連結グループ各社の売上上位から合計して連結売上高の3分の2以内に含まれる場合、中国子会社は重要な事業拠点であると認識されます。この場合は全社的内部統制に加え、決算財務報告プロセス、業務プロセス、ITに関する全般統制に対する評価が必要となります。
重要な事業拠点に該当していなくても、個別の業務プロセスに重要性やリスク(経営、会計、法務リスクなど)があると判断される場合には、全社的内部統制に加え、決算財務報告プロセス、業務プロセスに関する評価が必要となる場合があります。
この際、中国子会社が対応すべきポイントは以下のとおりです。
・親会社から要求されている事項を明確にし、中国子会社側で対応すべき事項を明確にする
・子会社の社内内部統制の整備状況、外部監査の状況把握、また過去に発生した非違事例等と、その後の対応を把握する
・上記を踏まえて子会社で必要となる作業の計画を立案する
その他、親会社との連携を図るためのコ㋯ュニ㋘ーションの強化、親会社の方針の再確認や理解だけでなく、中国の現地担当者に対する内部統制の重要性の啓蒙が大切です。
■中国版SOX法
中国では1990年代から内部統制制度が拡充されてきました。1996年に独立監査準則第9号が公布され、内部統制の基本概念(組織機構、手続方法、内部監督)が明示されました。その後、会社法等の各関連法規にて内部統制に関する規定が設けられるとともに2001年以降、財政局より内部会計統制規範が順次公表され、内部統制の基本的枠組みが構築されてきました。
しかし、内部会計統制規範公表後も証券市場で粉飾決算、不正行為等が多発したことなどにより2006年、証券監督管理委員会が内部統制に関する具体的規則である「株式の発行及び上場管理方法」を公表する一方、上海証券取引所ならびに深圳証券取引所も上場会社内部統制指針を公表し、2007年より同規則が施行されました。
さらに財政局、証券監督管理委員会、その他各委員会が共同し、企業の内部統制に関する規定を強化したほか、公正な証券市場の発展に寄与すべく以下の取組が行われています。
2006年企業内部統制委員会設立
2008年企業内部統制基本規範公布(2009年施行)
2010年企業内部統制管理指針公布(2011年施行)
中国版SOX法とは企業内部統制基本規範と企業内部統制管理指針を指します。
このようにして形づくられた中国の企業内部統制は、アメリカのトレッドウェイ委員会組織委員会(COSO)の内部統制フレームワークに基づき制定されたもので、アメリカの企業改革法(SOX法)に類似しているため、中国版SOX法またはC(China)-SOXと呼ばれています。
企業内部統制に関する主な規範は次のとおりです。
■企業内部統制基本規範
企業が遵守すべき内部統制に関する定義、範囲等の基本となる事項が記載されており、全7章50条で構成されています。以下、内部統制の内容等について述べます。
意義
内部統制とは企業の薫事会、監事会、高級管理層及び全従業員により実施され、統制目標の達成を目的にしているプロセスのことをいいます。その目的は、企業の内部統制を強化し、規範化し、企業の経営管理水準とリスク防止の能力を高め、企業の持続的な発展を促進し、社会主義市場経済と社会大衆の利益を保護することにあります。
範囲
上場企業を対象に施行されていますが、大中型企業にも適用が推奨されています(小型企業への適用も可能)。内部統制適用会社は、内部監督の状況に応じて定期的に内部統制の有効性の評価を行うとともに、その報告書の作成が義務付けられています。
統制目標
企業の経営管理のコンプライアンス、資産保全、財務報告及び関連情報の真実性と完全性の保証、経営効率と効果の向上、企業の発展戦略の実現を目標としています。
基本構成要素
内部環境、リスク評価、統制活動、情報と伝達、内部監督の5つから構成されます。
内部統制監査業務とコンサルティング業務の同時提供の可否については、企業内部統制基本規範10条で「企業の内部統制に関するコンサルティング・サービスを提供している会計師事務所は、同じ企業に同時に内部統制監査のサービスを提供してはならない」と規定しています。内部統制監査は独立性を保つ必要があり、コンサルティング業務を行った場合はその独立性を阻害する可能性があるため、両業務の同時提供を禁じています。
■企業内部統制管理指針
企業内部統制管理指針は企業内部統制応用指針、企業内部統制評価指針、企業内部統制監査指針により構成されます。
指針ごとに、内部統制の項目別構築に関する事項、薫事会等の社内機関が自社の内部統制を評価する際の指針、注冊会計師が内部統制監査を行う際の指針に関しての記載があります。
なお、企業内部統制管理指針に関して特筆すべき事項は以下のとおりです。
内部統制評価報告の基準日
12月31日を基準日とし、基準日後4カ月以内に提出する必要があります(企業内部統制評価指針26条)。
内部統制評価の外部委託
中国の上場企業は自社の内部統制の有効性の評価について年度自己評価報告書の作成が必要です。ただし、当該報告書の有効性については注冊会計師などに評価を委託できるとしています。また、内部統制の監査を行う注冊会計師が評価を同一企業に対して行うことは禁止されています(企業内部統制評価指針14条)。
注冊会計師による財務諸表監査と内部統制監査の一体実施
中国においても、監査の有効性、効率性の観点から財務諸表監査と内部統制監査を一体として実施することが可能です。単独で実施してもよいという点はアメリカや日本とは対照的です。
監査手法、対象
注冊会計師の内部統制監査はトップダウン型のアプローチによって行われ、内部統制自体を対象として直接意見が表明されます。
内部統制の評価の不備区分は、重大な欠陥、重要な欠陥、一般的な欠陥の3段階に区分されます(企業内部統制評価指針4条)。
これらの特徴は、中国の企業内部統制に関する指針がアメリカSOX法、COSO報告書を基に作成されたこと等に基づいていますが、実務上の負担が大きく、理論と実務が乖離しているのが現状です。
参考文献
・『中国の投資・M&A・会社法・会計税務・労務』
(久野康成・TCG国際弁護士法人監修TCG出版)
・JETRO
・ 企业财务会计报告条例
・ 中国会社法(2023年改正)
・ 中华人民共和国会计法
・ 中华人民共和国中外合资经营企业法实施条例
中华人民共和国中外合资经营企业法实施条例__增刊2019·1国务院公报_中国政府网 (www.gov.cn)
・ 中华人民共和国注册会计师法
中华人民共和国注册会计师法 - 国家法律法规数据库 (npc.gov.cn)
・ 上市公司信息披露管理办法
中国证券监督管理委员会令(第182号) 上市公司信息披露管理办法__2021年第13号国务院公报_中国政府网 (www.gov.cn)
・ 上海证券交易所
・ 深圳证券交易所