税務
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インドの直接税の概要
インドでは、個人所得税および法人所得税ともに「所得税」として1961 年所得税法(Income Tax Act, 1961)に規定されています。施行規則や申告に関する様式などについては、1962 年所得税規則(Income-tax (Certificate Proceedings) Rules, 1962)に定められています。
また、直接税中央委員会(Central Board of Direct Tax)には、税務の運用に関する権限が与えられています。
税率は通常、毎年2 月に発表される国家予算の財政法(FinanceAct)の中で発表されます。
2020年度の国家予算案が2020年2月に発表されました。
【個人所得税】
2020年度予算案で、新たにAY2021-22より、新たな個人所得税率が提案されました。
【法人所得税】
2019年10月1日以降に設立された内国法人(製造会社)については、
法人税率(追加税・教育目的税を含む実効税率)が17.16%になります。
(基本税率15%×追加税1.10×教育目的税1.04%=17.16%)
その他の内国法人については、法人税率(追加税・教育目的税を含む実効税率)が25.17%になります。
(基本税率22%×追加税1.10×教育目的税1.04%=25.168%)
2 0 1 9 年度の国家予算案は2 0 1 9 年2 月1 日に発表されました。
例年、2 月末日に公表されていた予算案ですが、4 月の新会計期間開始と同時に予算の実行を可能とすることを目的に、2017 年度予算案公表以降はそれ以前より1 カ月前倒しになり、2 月1 日に公表されています。
政府は財政法案提出から75 日以内、または法案可決のいずれか早い時期までに、法案に提案された内容に基づいて税金を徴収することができます。
2019年7月5日ナレンドラ・モディ政権は今年2回目となる予算案を発表しました。その中で、直接税に関する以下のような発表がされました。
【個人所得税】
・2千万ルピー以上の収入に対する追加徴税
・電気自動車ローンに対する利子の控除
・スタートアップ企業への投資に対するキャピタルゲイン免税
・「収入に応じた適正価格の住宅」ローンに対する金利控除
・ブラックマネー法の拡大
【法人所得税】
・軽減税率25%の適用範囲の拡大
・銀行とNBFC(非金融企業)間の取引
・税金の不正利用防止の強化
・外国法人への贈与
・成長/先端技術分野への大規模な投資に対するメリット
・証券取引税(STT)の賦課金の軽減
・FoF(Fund of Funds)への短期のキャピタルゲインに対する税率の引き下げ
(*FoF…投資信託のうち、運用会社が別の投資信託に投資を行うもの。)
・会社分割に係る「税制適格分割」の明確化
・ルピー建て社債(RDB)に関するメリット
法人所得税
■納税義務者
現地法人の設立根拠である会社法に基づいて設立された会社は、日本などの外国企業の資本であっても「内国法人」として扱われます。
一方、支店、駐在員事務所およびプロジェクトオフィスの設立根拠である「2000 年支店その他の事業拠点の設立に関する外国為替管理規則(「1999 年外国為替管理法」の施行規則)」に基づいて設立された会社は「外国法人」として扱われます。
内国法人については、全世界所得に対して法人所得税が課されます。
その結果として、インド国外で徴収された法人所得税についてインドで二重課税となる場合には、外国税額控除により税額の調整ができる仕組みになっています。
一方、外国法人については、インド国内で稼得した所得に対してのみ法人所得税が課されます。
外国法人のうち駐在員事務所では、営業活動を行うことが制度上認められていませんので、事業所得が発生することはありませんが、法人所得税申告書を毎期提出する義務があります。これは、駐在員事務所であっても、活動資金を銀行に預入れた際に発生する利息収入を得ることが認められているためです。
■課税年度
法人所得税の賦課年度(Assessment Year)は、4 月1 日から翌年3 月31 日と定められています。そのため、現地法人の会計年度を12 月決算に定めた場合であっても、12 月31 日とは別に3 月31 日に帳簿を締めて法人所得税を申告しなければなりません。2013 年会社法で、会計年度も原則3 月決算とされたので、会計と税務の年度は基本的に一致することになりました。
■課税所得の区分
所得の区分は、次の4 種類に区分されています。
・ 事業所得(Income from Business Activities)
・ 建物賃貸所得(Income from House Property)
・ 譲渡所得(income from Transfer of Assets)
・ その他の所得
■事業所得の計算
事業所得は、原則として、法人が継続的に採用する会計原則(Accounting Standard)をもとに算定することとされています。したがって、事業所得を計算するには現金主義(Cash System)または発生主義(Mercantile System)を継続的に適用して算定し、これに従わないときは、税務当局は最善の判断による推計課税を行うことになります。
なお、納税者が過去の年度において損金算入した費用・損失などが回収または返還された場合には、その金額は事業所得として課税対象になります。事業所得の具体的な計算手続は、次のとおりになります。
[ 損金計算の個別規定]
事業所得を算定するにあたって、費用が法人所得税法上損金と認められるためには、税法上、損金不算入項目として列挙されている項目(所得税法4 0 条A)に該当せず、もっぱら事業の遂行を目的として支出された費用(所得税法40 条A)であって、資本的支出に該当せず、個人的支出でないもの(所得税法37 条)である必要があります。
また、違法行為による支出でないこと(所得税法3 7 条)、費用に係る証憑や帳簿記録が残されていること(所得税法4 4 条AA)も損金として認められるための条件となっています。
具体的には、申告書の作成などに係る会計事務所への費用や事業遂行上生じた訴訟等に係る弁護士事務所への報酬は、損金として認められます。一方、罰金は「事業の遂行を目的として支出された費用(所得税法40 条A)」でないため、損金として認められません。給与やロイヤルティ、技術サービス費用、コミッション等の支払の際に源泉徴収が必要な費用については、源泉徴収を行わなければ損金として認められません(所得税法1 9 2 条、1 9 4 条)。ただし、源泉徴収分を税務当局に納税することで、費用の損金算入が認められます。
つまり、源泉徴収を適切に行わないと、法人所得税法上損金として認められないことになります。インドの請求書(Invoice)には源泉税額が記載されない場合が多く、支払うべき経費にどれだけ源泉税が課せられるかを自ら計算しなければならないため、注意が必要となります(源泉税の詳細はP. ●を参照)。
[ 貸倒引当金と貸倒損失]
貸倒引当金については金額の大小に関わらず、繰入額の全額が損金不算入項目となります。損金処理が認められるのは、当該債権が実際に貸倒れた時点、または会計上費用処理をした場合に限られます。損金算入の対象となる債権は、前期以前の事業年度において所得として益金に計上されたもの、または、貸付金に係るものから生じたものに
限定されています。会計上、費用処理をすることが認められた貸倒損失は、そのまま税務上も損金算入されるのが一般的となっています。
[ 研究開発費]
自社のビジネスに関連する研究開発により発生した費用は、発生時に全額損金処理することが認められます。
[ 棚卸資産の評価]
棚卸資産の評価損は、原価法、低価法、時価法のいずれかを選択し、継続して適用することを条件として、損金算入が認められます。
[ 減価償却費]
減価償却は、資産の種類に応じて償却率が定められており、所得税法の規定に従って計算された減価償却費の金額を、損金の額に算入することが認められます。課税所得がマイナスとなり、償却費を全額損金算入できない場合は、「未控除の減価償却費」として翌期以降、無期限に繰越すことができます。
■償却資産の範囲と単位
所得税法上、以下の4 つのカテゴリーに属する資産について、事業に供した年度から減価償却費の計上が認められます。
・ 建物(オフィス、工場、ホテルなどの建物。道路、橋、井戸を含む)
・ 機械装置(自動車および飛行機などを含む)
・ 備品・家具(電気機器を含む)
・ 船舶
減価償却は、個々の資産ごとではなく、「償却率を同じくする資産カテゴリー」を単位として行います。たとえば、備品・家具の場合、償却率は1 0% と1 5% の2 種類があるので、償却資産は2 種類のカテゴリーに分類されることになります。償却計算の対象となる帳簿価格は、同一カテゴリーの期首帳簿価額に期中に取得した同一カテゴリーの取得価額を加え、さらに、当期中に売却または除却した同一カテゴリーに属する資産の売却価格を控除した金額となります。
{(期首帳簿価額)+(期中に取得した資産の取得価額)ー(期中売却価格)}× 税率
この償却方法は、インド所得税法に定められているものであり、2 0 1 3 年会社法においてはスケジュールXIV において、固定資産ごとに減価償却率が定額法および定率法に従い、定められています。期中に取得した資産については、事業に供した日から期末までの日数が180 日超であれば1 年分償却できますが、180 日未満の場合には、償却限度額は年間償却額の50% に限定されます。償却単位が個々の資産ごとではなく、同一カテゴリーの資産であるため、個々の償却性資産の帳簿価額を求めることは不可能であり、資産を売却または除却を行っても、損益は認識されないことになります。
■償却方法と償却率
償却方法は、会社法とは異なり「定率法」のみが認められています。したがって、償却費の計算は、「同一カテゴリーの期首帳簿価額」×「償却率」によって求められます。また、「残存価額」の規定はなく、取得価額の全額が償却可能となっています。償却率は、1 9 6 2 年所得税規則の5 条に次のように定められています。
■無形固定資産
無形固定資産の減価償却も「定率法」が適用されます。償却資産の範囲には、特許権、著作権、ノウハウ、ライセンス、トレードマーク、フランチャイズなどの商業上の権利が含まれ、償却率は25% と
定められています(所得税法32 条)。
創立費・開業費については、営業を開始する前にかかった費用であり、原則として損金の額に算入することができません。
しかし、基本定款や附属定款の作成にかかる法定費用や会社登記費用、市場調査費用については、「創立費・開業費」として会社設立後5 年間にわたって均等償却することが認められています。
ただし、償却額の上限が、資本金+ 長期負債(社債および長期借入金)の合計額、またはプロジェクト費用の額の5% と定められています(所得税法35 条D)。ここでのプロジェクト費用とは、土地、建物、リース資産、工場、機械装置、建物附属設備等の固定資産の取得価額を指します。
[ リース取引]
リース取引は、買取選択権付賃貸借かシンプルリースかによって、税務上の取扱が異なります。買取選択権付賃貸借とは、リース契約書にリース物件の買取の条件がある賃貸借契約のことであり、シンプル
リースとは、買取選択権付賃貸借以外を指します。
買取選択権付賃貸借の場合は、レッシー(借手側)が減価償却費を計上し、損金として扱われます。一方、シンプルリースの場合、レッシーは支払リース料をそのまま費用処理することになります。クロスボーダーリース取引は、金融取引としてECB の規定に抵触する恐れもあり、インド国外のリース会社との取引案件はそれほど多くないのが実情です。クロスボーダーリース取引を組成するためには、税務上のリスクのみならず、リース物件の所有権の取扱など法務上のリスクも考慮した上で実施するのが望ましいと考えられます。
[ 欠損金]
法人の事業から生じた損失は、同一年度に生じた他の所得と相殺することが認められ、残額がある場合には、翌期以降8 年間に生じる事業所得と相殺することが認められています(所得税法72 条)。ただし、事業所得のうち、「投機的事業」から生じた損失は、同一年度における他の「投機的事業」から生じた所得のみとの相殺しか認められず、残額が生じた場合は、翌期以降8 年間に生じる「投機的
事業」から生じる所得のみとの相殺しか認められません。
欠損金の繰越控除が認められるためには、申告書の期限内提出が条件です。もし提出することができなければ、当該損失を翌期以降に繰越すことはできません。非公開会社の場合は、株主構成が49% を超えて変化した場合は、欠損金の繰越控除は認められませんので注意が必要です。
[ 交際費]
交際費は、年間1 万ルピーまでは全額損金の額に算入することができますが、1 万ルピーを超える部分については、支出額の5 0% しか損金として認められません。
[ 受取配当金]
受取配当金は、その全額が益金不算入となります。一方、支払配当金は、配当決議または配当支払を行うインド内国法人に対して、当該配当支払額に対し、配当分配税2 0.5 5 5%※(実効税率ベース)が課
税されます。
※基本税率17.647%(100 × 15% / 85%) × 追加税1.12 × 健康教育目的税1.04 = 実効税率20.555%
■課税層所得金額の計算
課税所得および納付税額の計算を、申告書(Form No.1 Return of Income for companies)から要点を抜粋すると、上記のとおりになります。
法人における課税総所得金額の計算は、4 つのカテゴリーに属する所得について、それぞれのカテゴリー別に計算し、それらを合算して「合計所得」を算出します。また、税制上、優遇税制などの所得控除
があれば、これを控除して「課税所得」を求めます。この課税所得に対して適用税率を乗じて「法人所得税額」を計算するという流れになります。
課税所得および納付税額の計算を、申告書(Form No.1 Return ofIncome for companies)から要点を抜粋すると、上記のとおりになります。
■新たな法人税制度
2019年9月、インド国内の成長と投資を促進するため、政府は2019年10月1日以降設立/登記され、2023年4月1日までに事業運営を開始した新設製造会社に対して法人税率を15%(実効税率17.16%)、既存の企業に対して22%(実効税率25.17%)とする新しい法人税制度を発表した(所得税法第115BAB条および第115BAA条)。
新たな法人税制度の下では、企業が新しい法人税率を選択した場合、所定の税額控除等は利用できなくなる。さらに、最低代替税(Minimum Alternate Tax:MAT)も適用されないこととなる。
第115BAA条および第115BAB条に基づく新たな法人税率を適用する企業は、2021年4月1日(AY 2021-22)から有効な第80M条に基づく控除を請求する資格を有する。
前記15%の優遇法人税率は、発電事業に従事する新設の内国法人に対しても適用されることとなる(2020年財政法案により導入)。
■従来の法人税制度
前記制度を選択せず一定の税額控除等を適用する内国法人は、改正前の法人税率を引き続き適用し、納税する必要がある。
企業は適切な税務分析後、従来の法人税制度と新法人税制度、いずれかを選択する必要がある。
新法人税率を選択せず一定の税額控除等を適用する会社は、従来の税率を引き続き適用し納税しなければならないが、各種控除の満期完了以降に改正後の税率を適用することも可能となる。
■実効税率
〔2020年インド財政法案、1961年所得税法 Paragraph E of Part Ⅲ of The First Schedule〕
- 内国法人(2018年度の総収入金額や総受領高が40億ルピー超)
- 課税対象所得1,000万ルピー以下:31.20%(法人税率30%+健康教育目的税4%)
- 課税対象所得1,000万ルピー超、1億ルピー以下:33.38%(法人税率30%+課徴金7%+健康教育目的税4%)※1
- 課税対象所得1億ルピー超:34.94%(法人税率30%+課徴金12%+健康教育目的税4%)
- 内国法人(同40億ルピー以下)
- 課税対象所得1,000万ルピー以下:26.00%(法人税率25%+健康教育目的税4%)
- 課税対象所得1,000万ルピー超、1億ルピー以下:27.82%(法人税率25%+課徴金7%+健康教育目的税4%)
- 課税対象所得1億ルピー超:29.12%(法人税率25%+課徴金12%+健康教育目的税4%)
- 第115BAA条に基づく新法人税制度を適用した場合の既存内国法人 ※2課税対象所得に関わらず、25.17%(法人税率22%+課徴金10%+健康教育目的税4%)
- 第115BAB条に基づく新法人税制度を適用した場合の新設国内製造業 ※3課税対象所得に関わらず、17.16%(法人税率15%+課徴金10%+健康教育目的税4%)
- 外国法人
- 課税対象所得1,000万ルピー以下:41.60%(法人税率40%+健康教育目的税4%)
- 課税対象所得1,000万ルピー超、1億ルピー以下:42.43%(法人税率40%+課徴金2%+健康教育目的税4%)
- 課税対象所得1億ルピー超:43.68%(法人税率40%+課徴金5%+健康教育目的税4%)※4
■実効税率の計算方法
※1 内国法人(収入金額や総受領高が40億ルピー超):課税対象所得1,000万ルピー超、1億ルピー以下の場合
- 法人税率30%+課徴金(7%×30%=2.1%)=32.1%
- 健康教育目的税4%×32.1%=1.28%
- 実効税率32.1%+1.28%=33.38%
※2 第115BAA条に基づく新法人税制度を適用した場合の既存内国法人
- 法人税率22%+課徴金(10%×22%=2.2%)=24.2%
- 健康教育目的税4%×24.2%=0.96%
- 実効税率24.2%+0.96%=25.17%
※3 第115BAB条に基づく新法人税制度を適用した場合の新設国内製造業
- 法人税率15%+課徴金(10%×15%=1.5%)=16.5%
- 健康教育目的税4%×16.5%=0.66%
- 実効税率16.5%+0.66%=17.16.%
※4 外国法人:課税対象所得1億ルピー超の場合
- 法人税率40%+課徴金(5%×40%=2%)=42%
- 健康教育目的税4%×42%=1.68%
- 実効税率42%+1.68%=43.68%
2018年度における総収入金額や総受領高が40億ルピー以下の国内法人には、法人税率25%(課徴金および健康教育目的税を含まない)を適用〔2020年インド財政法案、1961年所得税法 Paragraph E of Part Ⅲ of The First Schedule〕。
次のすべての条件を満たす場合には、内国法人の課税対象所得(特定の税率が適用される特定の所得を除く)に25%(課徴金および健康教育目的税を含まない)の軽減税率を自由選択で適用可能〔1961年所得税法 第115BA条〕。
- 当該国内法人は2016年3月1日以降に設立もしくは登録した。
- 物品の製造・生産業務および当該物品にかかわる研究・物流のみに従事する内国法人である。
- 免税、追加償却(一般償却を除く)または前年度の事業損失を利用していない。
- 軽減税率を適用するかどうかは選択可能で、確定申告期限内に所定の方法により選択している。
その他の国内法人には、基本税率30%、または2018年度の総収入金または総受領高に基づき25%が適用される〔2020年インド財政法案、1961年所得税法 Paragraph E of Part Ⅲ of The First Schedule〕。
【申告納付】
■賦課年度および申告期限
法人は、賦課年度(毎年4 月1 日に開始し、翌年3 月3 1 日に終了する1 年間)の9 月30 日までに課税年度(前会計年度)にかかる法人所得税の確定申告をしなければなりません。ただし、移転価格取引がある法人については、移転価格証明書の提出期日である11 月30 日が確定申告の期日となります。
期限内に申告がなされない場合には、賦課税額に対し月利1% の利子税が課せられます。
申告の課税所得が「損失」で、期限内に申告書が提出されなかった場合には、「無申告」とされ、欠損金の繰越控除(8 年間)を受けることができませんので注意が必要です。
■予定納付
法人は、各賦課年度にかかる課税所得の総額の見積(見積課税所得)から源泉徴収された税額を控除した額、すなわち「見積税債務」が1 万ルピー以上である場合は、期中(課税年度)に年間の税額を
見積り、中間納付をしなければなりません。
中間納付は6 月15 日から3 カ月ごとの15 日までが納期となっています。つまり、四半期ごとに予定納付をしなければなりません。納付期限と納付額は、1 回目は6 月1 5 日までに年間見積税額の
1 5% 以上、2 回目は9 月1 5 日までに新たに計算した年間見積税額の4 5% 以上(2 回目の納付額は、当該見積税額から、1 回目に支払った税額を差し引いた額。3 回目以降も同様)、3 回目は12 月15 日
までに年間見積税額の7 5% 以上、4 回目は、3 月1 5 日までに年間見積税額の不足分を足して100% 納付をする必要があります。3 月1 5 日での予定納税総額が確定税額の9 0% 未満である場合には、当該不足分に対して、確定税額を実際に納めるまでの期間、月利1% の利子税が課せられます(所得税法234 条B)。
さらに、各中間納付期限の見積税債務についても中間確定税額との差額に対して許容範囲が取決めてあり、その許容範囲を上回ると当該不足分に対しても、月利1% の利子税が課税されます(所得税法234 条C)。
この許容範囲は、1 回目の納付期限である6 月15 日と2 回目の納付期限である9 月15 日については、上記の予定納税額と異なります。
6 月1 5 日については確定税額の1 2% 以上であれば利子税は課税されず、9 月15 日については、36% 以上であれば利子税は課税されません。
■納付通知書および納付
法人は、税務申告書の提出前に、自ら計算した税額から予定納税された税額および源泉徴収した税額を控除した額を納付し、納付税額証明書(Proof of Payment)を添付して申告書を提出します。
税務当局は、申告書の計算上のミスの確認、および必要に応じて追加情報の提出などを検討した後に、当該法人の最終納税額を算定し、納付通知書(Notice of Demand)を送付します。
当該法人は、納付通知書の到着後30 日以内に、最終税額と既納付税額との差額を納付しなければなりません。30 日以内に納付しない場合は、3 0 日を超える月数につき、納付税額に対し月利1% の利子
税が課せられます。なお、既納付額の合計が最終納付税額を上回る場合には、差額は還付されることになります。
■最低代替税
会計上の利益の15%が法人税額(控除などを含めた税法上の算出額)を上回る場合、最低代替税(MAT)を支払う必要がある。
さらに、MATの規定は、第115BAA条および第115BAB条に基づいて新法人税制度を選択する会社には適用されない。
実効税率は、法人の種類および課税対象所得額に応じ、次のとおり決定される〔1961年所得税法 第115JB条;課徴金、健康教育目的税は2018年インド財政法 第3条、第11条、第12条〕。
- 内国法人
- 課税対象所得1,000万ルピー以下:15.60%(15%+健康教育目的税4%)
- 課税対象所得1,000万ルピー超、1億ルピー以下:16.69%(15%+課徴金7%+健康教育目的税4%)※1
- 課税対象所得1億ルピー超:17.47%(15%+課徴金12%+健康教育目的税4%)
- 外国法人
- 課税対象所得1,000万ルピー以下:15.60%(15%+健康教育目的税4%)
- 課税対象所得1,000万ルピー超、1億ルピー以下:15.91%(15%+課徴金2%+健康教育目的税4%)
- 課税対象所得1億ルピー超:16.38%(15%+課徴金5%+健康教育目的税4%)※2
- 新法人税制度を適用した場合の既存内国法人
- 最低代替税(MAT)の適用なし
- 新法人税制度を適用した場合の新設国内製造業
- 最低代替税(MAT)の適用なし
■実効税率の計算方法
※1 内国法人:課税対象所得1,000万ルピー超、1億ルピー以下の場合
- 基本税率15%+課徴金(7%×15%=1.05%)=16.05%
- 健康教育目的税4%×16.05%=0.64%
- 実効税率16.05%+0.64%=16.69%
※2 外国法人:課税対象所得1億ルピー超の場合
- 基本税率15%+課徴金(5%×15%=0.75%)=15.75%
- 健康教育目的税4%×15.75%=0.63%
- 実効税率15.75%+0.63%=16.38%
国際金融サービスセンター(特別経済区(SEZ)内で事業を認められた金融サービス・業務の中心地域)に所在する、転換可能な外国為替のみで所得を稼得している企業および企業以外の法人の場合には、9%の基本課税率で最低代替税(MAT)を適用〔1961年所得税法 第115JB条〕。
MATは、インドにおいて会計帳簿を作成する義務のある納税者に適用されるため、次の規定による推定課税に基づく納税を行う外国法人に対しては、MATは適用されない。
- 1961年所得税法第44B条(船舶事業にかかわる所得)
- 1961年所得税法第44BB条(鉱油探査事業にかかわる所得)
- 1961年所得税法第44BBA条(航空機事業にかかわる所得)
- 1961年所得税法第44BBB条(ターンキー電力事業等土木建設事業にかかわる所得)
支払ったMAT・AMT (Alternate Minimum Tax (企業組合、信託等の企業以外の法人に適用される最低代替税))と計算上の法人税との差額はタックス・クレジット(Tax Credit)として取得できる。
当該タックス・クレジットは15年間繰り越し可能であり、法人税額がMAT・AMT額を上回る年度において、その上回る額の範囲で使用可能〔1961年所得税法 第115JAA条〕。
なお、2010年度までは、輸出志向型企業(EOU)やSEZ等の特区に入居する企業が取得した利益は、MAT スキームの対象外となっていたが、〔2011年インド財政法〕で見直され、これらの利益もMAT スキームの対象となった〔1961年所得税法 第115JB条〕。
[ 課税標準の算出]
課税標準となる当期純利益は、会社法に基づき計算された損益計算書の当期純利益に下記の項目を加減算することで求められます。
加算項目:所得税、繰延税金費用、子会社損失引当金繰入額、配当金など
減算項目:引当金取崩額、繰越損失など
【配当分配税】
2020年度インド国家予算案によって、配当分配税の撤廃が発表されました。又、2020年4月1日以降に受領される配当所得に関しては受領した納税者側で課税されます。
従来の制度として、インド内国法人は配当宣言・支払時に15%の配当分配税を支払う必要がありました。また、配当分配税の支払い負担者は配当宣言支払企業であり、株主に対する課税はありません。しかしながら、本税は日本が親会社の場合、親会社側での外国税額控除の対象とはならず、実質二重課税となってしまっていおり、インド法人においても、配当分配税は法人税とは別に支払わなければならず、二重の費用とみなされてきました。
個人所得税
■納税義務者
【個人所得税に係る申告書類】
インドにおいて、納税者はすべて納税者番号(PAN:Permanentaccount number)の取得が義務付けられています。そのため、インドに駐在予定者は、インドに駐在後すみやかにPAN を申請して取得
しなければなりません。また、PAN はインドにおいて銀行口座を開設する際にも、提示を求められることがあります。
雇用主は、年度末において給与とその源泉の証明書であるForm16 を発行することになります。また社宅や社用車などのフリンジベネフィットを与えていた場合には、Form 12BA も発行することになります。
【納税義務者の区分とその判定】
インド所得税法における個人課税について、「居住者」と「非居住者」とでは個人所得税の取扱いが異なります。さらに居住者は細分化され「通常の居住者」と「非通常の居住者」とで個人所得税の課税対象範囲が異なります。
■課税所得の範囲
【通常の居住者(Ordinarily Resident)】
通常の居住者は、インド国内の所得だけでなく国外で発生したものも含めた全世界所得に課税されます。
たとえば、日本で受取っている不動産賃貸収入や銀行預金の利息収入、あるいは株式の売買収入などもインドで課税されます。
非通常の居住者との違いは、インドでコントロールされていない所得も課税対象になることです。
【非通常の居住者(Not Ordinarily Resident)】
非通常の居住者は、インド国内で受取った、あるいは発生した所得に加え、インドでコントロールされている活動から発生する所得で、インド国外で受取るものも課税対象となります。
たとえば、日本の親会社からインドの子会社に駐在員を派遣している場合、その駐在員の給与を子会社が負担しているケースはもちろん、親会社が負担しているケースであっても、インドに関わる活動から所得が発生していることに変わりはないため、給与のすべてが課税対象となります。
【非居住者(Non Resident)】
非居住者は、インド国内で受取った、あるいは発生した所得が課税対象になります。
【二重課税と外国税額控除】
課税範囲の一般的な考え方としては、通常の居住者となった国、つまり居住地国では全世界所得が課税対象になり、非居住地で所得が生
じた場合、その国で得た所得に対して個人所得税が課税されます(所得源泉地課税)。
「非居住者」については、「通常の居住者」に比べ所得の範囲が狭く有利なように思われますが、「通常の居住者」以外の者については、
インド以外の国の居住者として全世界所得に課税されているので、インドで源泉徴収された後の所得についても再度本国で課税されることになります。
たとえば、日本の居住者でインドで非居住者の場合、日本とインドで二度にわたってインドの所得に対して課税されることになります。
これはいわゆる二重課税の状態であり、具体的な該当者は、限定された期間においてインドで労働を行う外国人従業員などが当てはまります。
国際間の二重課税が発生することにより租税負担が加重となれば、企業の海外進出、国際間での経済発展の障害となってしまいます。そこで、二重課税を調整するために、「外国税額控除」という制度があります。詳細は、9 章国際税務を参照してください。
■課税所得の区分
個人所得税の対象となる所得については、次の5 種類に区分されています。
① 給与所得(Employment Income)
② 事業所得(Income from Business Activities)
③ 建物賃貸所得(Income from House Property)
④ 譲渡所得(Income from Transfer of Assets)
⑤ その他の所得
■給与計算①
給与所得の詳細については、11 章労働環境において説明します。
■事業所得②
個人の事業所得の計算は、法人における事業所得の計算と同様の規定が設けられています。そのため、個人の事業所得を計算する際にも、前述の「法人における事業所得(P. ●)」を参照してください。
事業損失が発生した場合、「投機的事業から生じた損失」と、「投機的事業以外から生じた損失」で異なる取扱が設けられています。
「投機的事業から生じた損失」は、同一年度に他の投機的事業から生じた所得とのみ相殺が認められ、その残額がある場合は、翌期以降8年間に生じる「投機的事業から得る所得」とのみ相殺が認められます。
「投機的事業以外から生じた損失」は、同一年度に生じたいかなる区分の所得とも相殺が認められ、その残額が生じた場合には、翌期以降8 年間に生じる事業所得との相殺が認められます。
■建物賃貸所得③
建物の賃貸から生じる所得は、その性質に応じて「事業所得」、「建物賃貸所得」、「その他の所得」のいずれかに分類されます。「事業所得」に分類されるものとは、納税義務者が建物の賃貸を業として行っている場合に生じる所得のことです。また、「その他の所得」に分類されるものとは、機械装置や家具などとともに建物の賃貸を行う場合に生じる所得のことです。
したがって、「建物賃貸所得」に分類される所得とは、建物の賃貸を業として行っていないものが、建物のみを賃貸する場合の所得、ということになります。1 件当たりの賃貸料が年間1 8 万ルピーを超
える場合には、賃借人(個人の場合を除く)は、支払う際に源泉税10% を支払額から源泉徴収して納付しなければなりません。
2 0 1 7 年予算案では、建物賃貸所得を得ている者と家主が直接賃貸契約を交わしており、家賃が月額5 万ルピー超の場合は、支払の際に建物賃貸所得を得ている者が自ら支払う額から5%(家主がPAN
を取得していない場合は、2 0%)源泉徴収して納付することが義務付けられました。
「建物賃貸損失」が生じた場合には、同一年度に生じた他の区分の所得との相殺が認められています。また、相殺しきれない金額が生じた場合には、翌期以降8 年間に生じた他の所得との相殺が認められます。
■譲渡所得(キャピタル・ゲイン)
【キャピタル・ゲインの一般的ルール】
【キャピタル・ゲインの一般的ルール】
「資本資産」の譲渡から得られる利益は、キャピタル・ゲインとして課税対象となります。「資本資産」とは、「Property of Any Kinds」と定義され、納税者が保有する以下を除くすべての資産を意味します。
・ 棚卸資産
・ 個人用資産(宝石を除く)
・ 特定の地域における農業用の土地
・ 政府が発行する特定の有価証券
キャピタル・ゲインは、下記の計算式から求められます。
〈計算式〉
資産の譲渡の対価ー(資産の取得原価+ 譲渡に直接要した金額)
[ キャピタル・ゲインの長期と短期]
保有期間が3 年以下の資産の譲渡から生じるキャピタル・ゲインは、「短期キャピタル・ゲイン」として取り扱われ、一方、保有期間が3 年超の資産の譲渡から生じるキャピタル・ゲインは「長期キャ
ピタル・ゲイン」として扱われます。「長期キャピタル・ゲイン」は、利益の算定にあたり、取得原価が物価指数によって増額調整されます。
2 0 1 7 年4 月1 日以降、土地や建物等の不動産の譲渡に係る「長期キャピタル・ゲイン」の判定期間は、3 年から2 年に変更されています。これにより取得から2 年以内に不動産を譲渡した場合のキャピタル・ゲインは「短期キャピタル・ゲイン」として取扱われ、取得から2 年を超えて保有する不動産を譲渡した場合のキャピタル・ゲインは「長期キャピタル・ゲイン」として取扱われます。その他、上場株式や、ミューチュアル・ファンドの譲渡に係るキャピタル・ゲインは、長期・短期の判定期間が1 年であるなど、譲渡する資産の種目によって異なる場合があります。
これまで、株式や株式重視型の投資信託の持分、またはビジネス・トラストの持分の売却で得られた長期キャピタル・ゲインは、一定の条件を満たす場合、キャピタル・ゲイン税が免除されていました。
2 0 1 8 年度予算案では、一定の条件を満たす場合、1 0 万ルピーを超えるキャピタル・ゲイン(物価調整または為替変動調整は認められていない)に対して、1 0% の軽減税率を導入することが発表されています。
また、2 0 1 8 年2 月1 日より前に資本資産を取得し、同日より前に利益が生じた投資家には、適用免除条項が定められています。たとえば、2 0 1 8 年2 月1 日より前に有価証券を取得した場合、当該有価証券の取得原価を以下のうちいずれか高い方とみなして、課税所得を算定します。
・ 実際の取得原価
・ 当該有価証券の譲渡価格、または2 0 1 8 年1 月3 1 日時点の当該有価証券の公正市場価格のうち低い方
[ 減価償却資産のキャピタル・ゲイン]
インドの減価償却計算は、個々の資産が対象ではなく、償却率を同じくする資産カテゴリーに対して行われるため、資産を除却または売却しても損益が計上されません。
しかし、所得税法では、減価償却資産のキャピタル・ゲインについて、別途例外規定を設けています。
■減価償却資産も一部売却の場合
減価償却資産の売却によって得た収入金額がその帳簿価額を上回る場合、当該超過額は「短期キャピタル・ゲイン」として扱われます。
■減価償却資産の売却の場言い
保有期間が3 年以上の減価償却資産を売却した場合は「長期キャピタル・ゲイン」とし、3 年未満の場合は「短期キャピタル・ゲイン」として扱われます。
【キャピタル・ロスの取扱】
「短期キャピタル・ロス」は、いかなるキャピタル・ゲイン(短期・長期)とも相殺が認められますが、キャピタル・ゲイン以外の所得との相殺は認められていません。「短期キャピタル・ロス」のうち相殺しきれなかった金額は、翌期以降8 年間繰越してすべてのキャピタル・ゲインと相殺することができます。
「長期キャピタル・ロス」は、「長期キャピタル・ゲイン」のみとの相殺が認められ、相殺しきれなかった金額も翌期以降8 年間繰越して、「長期キャピタル・ゲイン」のみとの相殺が認められています。
■その他の所得
所得のうち、「給与所得」、「事業所得」、「建物賃貸所得」および「キャピタル・ゲイン」以外のものが「その他の所得」に分類されま
す。
「その他の所得」は、納税義務者が採用している会計方針によって算定されることとされ、事業所得と同様、必要経費の控除が認められています。
なお、「その他の損失」が発生した場合には、同一年度における他の区分の所得との相殺が認められていますが、相殺しきれない金額が生じたとしても翌期以降の繰越は認められていません。
以下は、「その他の所得」に区分されるものの例となります。
[ 配当所得]
配当所得は、配当決議が行われた株主総会の開催日の属する課税年度の所得とされます。配当金の受領者は非課税となり、源泉徴収の対象とはなりませんが、配当金の支払者には配当分配税として20.555%(2018 年3 月期以前は20.357%)が課税されます。
[ 利子所得]
金融機関が得る利子所得(「事業所得」に分類)以外は、「その他の所得」に分類されます。利子所得は、1 0%(PAN の取得がない場合は、20%)の税率で源泉徴収の対象となります。
また、利息の受取に際して支払った銀行手数料は利子所得の計算上控除が認められます。
[ ロイヤルティおよびテクニカルサービスフィー]
ロイヤルティには、ランニング・ロイヤルティのみならず、一括で支払われるロイヤルティも含まれます。テクニカル・サービス・フィーとは、あらゆる経営サービス、技術サービス、コンサルティング・
サービスの対価として受領する報酬のことです。インド居住者(ただし、インド国外で行われる事業やインド国外を源泉とする所得を稼得するために使用される場合を除く)、インド非居住者(非居住者のインド国内で行う事業やインド国内での源泉所得を稼得するために使用される場合に限る)に支払われるものが「所得」の対象となり、経費控除は認められず総収入金額に対して1 0%の税率(PAN の取得がない場合は、2 0%)で源泉徴収の対象になります。
非居住者については、PAN を取得していなくても、PAN に代替するその他所定文書の提出により、最高税率の20% ではなく、10% の軽減税率の適用を受けることができます。
■課税総所得金額の計算
[ 総所得金額の計算]
「総所得金額」は、各所得区分の課税所得を合算して、当期の損失との相殺や前期以前の事業損失、キャピタル・ロスを考慮して計算されます。
[ 課税総所得金額の計算]
「課税総所得金額」は、総所得金額から「所得控除項目」を差し引いて計算されます。
■所得控除一覧
・ 家賃控除
・ 寄附金控除
・ 医療保険料控除
・ 医療手当控除
・ 通勤手当控除
・ 支払利子に対する控除
・ 個人である居住者が障害を持つ場合における控除
・ 個人による拠出金等で一定の条件を満たした場合における控除
なお、2 0 1 9 年3 月期以降、給与所得者に対しては、これまで認められていた医療費および交通費に関する所得控除(最大3 万4,2 0 0 ルピー)がなくなり、年間4 万ルピーの基礎控除が認められます。
[ 納付税額の計算]
インドにおいては、居住者、非居住者、女性、高齢者といった区分に応じて、課税枠とそれに対する税率が定められており、日本と同様の超過累進課税制度により、課税所得にそれぞれの区分に応じた税率
を乗じることで所得税額が計算されます。
2 0 1 7 年度以降、総所得が5 0 0 万ルピー超、1,0 0 0 万ルピー以下の納税者について、新たに10% の追加税を賦課することが発表されており、2 0 1 8 年3 月期より適用されています。これにより、該当の納税者については、実効税率が30.9% から33.99% へ変更されました。総所得が1,000 万ルピー超の納税者については、15% の追加税が賦課されますので、実効税率が35.535% となります。
従来より、基本税率に加えて教育目的税(Education Cess)3% が課税されていましたが、2018 年度予算案により教育目的税3% は撤廃され、新たに健康教育目的税(Health and Education Cess)が導入されています。これにより、税率は4% へ引上げられました。
■申告納付
[ 所得が給与所得のみの場合]
納税者の所得が給与所得のみの場合、毎月の源泉徴収と確定申告が必要となります。
雇用者は毎月の給与支払額に対して、源泉徴収を行います。源泉徴収された金額は、給与支給の翌月の7 日までに税務当局に対して納付することが、義務付けられています。なお、源泉徴収税額を納付す
る者は、源泉徴収者番号(TAN:Tax Deducted at Source AccountNumber)を示す必要があります。
また、雇用者は、四半期ごとに当該期間に行った源泉徴収に関する報告書を作成して、税務当局に提出する必要があります。
[ 給与所得以外の所得の場合]
納税者に給与以外の所得があり、その見積納付税額が1 万ルピー以上の場合には、毎月の源泉徴収と確定申告のほかに、予定納税を行う必要があります。
予定納税は、年4 回(6 月15 日、9 月15 日、1 2 月15 日、3 月15 日)の中間納付を行います。予定納税は見積税務債務をベースにしているため、実際の確定税額との差額については年度終了後に調整し、賦課年度の7 月31 日までに納税しなければなりません。予定納税額が確定税額の9 0% に満たない場合は、月利1% の利子税が課されます。
[ 個人所得税の納付]
確定申告書(ITR:Income Tax Return)には、自ら算出した税額から予定納税した税額を控除し、納付税額証明書を申告書に添付して
提出することになります。
申告書の提出後、税務当局が最終納付税額を算定して、納付通知書を送付します。納付通知書が送付されてから30 日以内に、最終税額とすでに納付した金額の差額を納付しなければなりません。延滞した
場合には、月利1% の金利が課されます。
一方、すでに納付した税額が最終税額を上回っている場合には、その差額が還付されます。
■個人所得税の申告とコンプライアンス
[ 個人所得税に関する税務調査]
インド人のスタッフと比べると、一般的に日本からの駐在者は給与水準が高く、税務当局の調査対象となる可能性が高いと言われています。そのため、当然のことながら、適切に課税所得金額を算定して納
税を行うことが必要となります。
なお、意図的に納税が行われていないと税務当局が判断した場合には、過去7 年間遡及して調査を行うことができ、所得が更正された場合にはその金額とともに金利(月利1%)とペナルティ(過少申告された額の1 0 0 ~ 3 0 0%)が科されることになるので、慎重かつ適切に申告する必要があります。
[ 駐在員の日本への帰任時の手続]
日本に帰任後に再びインドに戻る場合を除き、駐在員が日本へ帰任する場合には、インド滞在中に適切に納税を行っていることを証明する納税証明書(TCC:Tax Clearance Certificate)を取得する必要
があります。
また、出国の際に税関で、課税年度の確定申告が完了していることを証する確定申告書やForm 16 の提示を求められる場合もあるので、注意が必要です。
[ コンプライアンスとペナルティ]
インドでは、所得税にまつわる各種の手続が要求されますが、これらの手続を行わなかった場合の罰則も詳細に規定されています。主要な項目を以下の一覧に示します。
源泉税
■源泉税の対象取引
所得税法1 9 4 条によると、以下のような取引が源泉徴収の対象となります。サービスの提供者が法人であるか、個人であるかによって税率が異なる場合があります。
源泉税が徴収される代表的な取引例は、以下のとおりです。
プロフェッショナル・フィーとは、会計事務所や弁護士などの専門家業務であり、Contractor への支払とは、たとえば車両のリース会社から請求される車両関連費用などが該当します。このほか、給与の支払を行う企業も源泉徴収義務があります。
■源泉税の納付と申告スケジュール
源泉税は、原則として徴収した月の翌月7 日までに納付を行わなければいけませんが、3 月分だけは翌月7 日ではなく、4 月3 0 日が納付期限となるので、注意する必要があります。
また、特徴的なのは四半期に一度、源泉税の申告をしなければならない点です。これは日本にはない制度であり、毎月納付している源泉税をまとめて四半期に一度、所定のフォームを用いて税務署に報告する制度です。法人税の予定申告(四半期申告)と混同されがちですが、これとは別に申告手続が必要となります。申告スケジュールは以下の表のとおりであり、各四半期末の翌3 1
日が期限となりますが、第4 四半期に限っては5 月31 日が期限となります。
[ 納付遅延利息の計算]
インドでは、請求書に源泉徴収額が記載されていないケースが多く、源泉税の徴収および納付漏れが起こるケースが、日本に比べて非常に多くなっています。この場合、法定納期限から実際に納付をする
までの期間にわたって、月利1.5%(年利18%)のペナルティが科されます(所得税法201 条)。ペナルティが高利であるために、ただ忘れたというのでは済まされないほどに、負担額が膨大になることもあります。例として、家賃の支払の場合で考えてみます。
インドの間接税
■間接税導入までの歴史
1 9 9 1 年の経済自由化路線以降、GDP の伸び率はおおむね堅調となっています。しかし、貧困対策や農村対策により歳出額の増加も目立ち、中央政府も州政府も恒常的に歳入不足の状況にあります。直接税と間接税の税収割合を見ると、間接税の割合が圧倒的に高く全体の7 割以上を占めています。直接税の割合が低いのは、就業人口の6 割が農業に従事する低所得者であるなど、所得税の納税義務者数が相対的に低いためと言えますが、もう一つ、国民の納税意識の低さもその原因として挙げられます。
インド政府は、国民の納税意識を向上させて直接税の歳入増につなげようと、これまでも時限立法として自主的申告納税制度を設けるなどの対策を講じてきましたが、今後は直接税の課税対象の枠組みや徴収方法についての改革を積極的に行っていく方針を示しています。
インドの間接税は、その複雑さから進出企業にとって大きな課題の1 つとなっていましたが、2017 年7 月1 日から導入された物品サービス税(GST:Goods and Services Tax)によって、その複雑さは軽減されました。
GST の導入前は、特にメーカーの場合、業種、拠点を設ける場所、流通経路などによって間接税の負担に違いが生じ、その結果、コスト負担が増え、価格競争力にも影響していました。
日本では、サービスやモノの売買については消費税のみが課税されますが、インドの場合、サービス、物品の売買、物品の移動といった課税対象や、中央政府、州政府といった課税主体ごとに異なる間接税が存在していました。インドの主要な間接税は、中央政府が徴収を行う中央税と、州政府が徴収を行う地方税に区分されます。
■導入の背景
GST 導入の背景には、GDP の伸び率が2005 年以降、順調に推移しインド経済が高成長を続けていることが挙げられます。世界的不況下にあった2 0 0 8 年ですら6.7% の成長率を記録しています。政府は、持続可能な経済成長のための健全な税体系への移行には、税収の順調な拡大基調が欠かせないとしてきました。また、物品とサービスを切り離す従来の税体系では、区別困難な投入資財やサービスの煩雑な仕分け作業を伴い、これが一般企業のコスト負担となっているため、産業界から税制改革が急務であるとの強い要望がありました。
従来の制度では、国税は、関税(Custom Duty)、物品税(ExciseDuty)、中央販売税(CST:Central Sales Tax)、サービス税(ServiceTax)からなっていました。一方、地方税は、州付加価値税(VAT:Value Added Tax)、入境税(Entry Tax)、オクトロイ(Octori)などで構成されていました。
間接税のうち国税は、インド財務省歳入局物品税・関税中央局(CBEC:Department of Revenue, Central Board of Excise andCustoms)の管轄であり、地方税は州(市)ごとに法律が定められ、州(市)ごとに異なる税率が適用されていました。2 0 1 7 年7 月にGST が導入されたことにより、これらの間接税の大部分がGST に統一され、インド全土における物品の売買、役務の提供に対して同一の税率が適用されることになりました。
間接税のうち、関税(追加関税、特別追加関税)、物品税、サービス税、中央販売税、州付加価値税、越境税、娯楽税、贅沢税、オクトロイ、クリーン・インディア税(SBC)、農業福祉税(KKC)、国家災害対策税(NCCD)、インフラ税、クリーンエネルギー税、その他州税が、GST に一本化されました。GST が導入されたことによる最大の変化は、他州からの物品の購入に係る中央販売税と、製造業者以外の商社がファーストステージディーラーなど一定の手続を行わないとクレジット利用が認められていなかった関税(追加関税、特別追加関税)などです。これらがGST に統一されたことによって、クレジット利用が可能となり、企業の税負担が大幅に軽減されることが期待されます。
物品サービス税(GST)
■課税の対象
旧制度においては、サービスの提供、製造、州間・州外における物品の販売に対してそれぞれ異なる間接税が課税されていました。GSTでは、課税の対象がインド国内における物品およびサービスの供給と提供(Supply of Goods and Services)に対して課税を行うという、新しい概念が導入されています。
GST は、インド国内における物品の供給、およびサービスの提供に係る間接税です。ただし、酒類等の販売には適用されません。また、旧制度では、製造業者は会計年度終了の日に製品在庫に係る未納物品税の計算を毎期行う必要がありましたが、GST では当該業務は必要なく、GST 法に沿って税額を計算、申告するだけです。課税の対象に該当するか否かについては、インド国内において物品、もしくはサービスの供給がなされているかが判定のポイントとなります。
■GSTの区分
4 つのGST 法案が成立し、GST は4 種類に区分されます。中央政府による課税であるCentral GST(CGST)、州政府による課税であるState GST(SGST)、および州をまたぐ取引(在庫移動を含む)や輸入取引に適用されるIntegrated GST(IGST)、議会のない連合地域内の財やサービスの供給に係るUnion territory GST(UTGST)に区分され、IGST は、CGST とSGST(UTGST)の合計と同じ税率が適用されます。
■中央政府と州政府のGST税収配分の明確化
GST 導入後の中央政府と州政府との税収配分比率をどうするかという問題が、早くから議論されていました。州によって税収格差があることから、州レベル(SGST)と中央レベル(CGST)の併用によるGST の二元化を望む声がある一方で、GST の二元化は導入の意図に反するという声が早くからあがっていました。税収確保を目指す州側の対応により、SGST が同時に導入された場合、従来のVAT と同様に各州の規定に誤差が生じる可能性があり、州間販売や州間移動の伴う取引に関して、新規定に沿った税金の計算を再度検討しなければならなくなる事態も懸念されていました。
また、GST の導入に対応する行政組織の再編も問題として提起されていました。中央政府の物品税当局および州政府の販売税当局が、人的資源および専門性の観点より再編の主導権を持つことが想定されていたためです。最終的には、適用税率のうち50% が中央政府に帰属するCGST、残り5 0% が州政府に帰属するSGST(もしくは、UTGST)とすることが決定されました。
■適用税率
GST の税率は、物品やサービスの種目に応じ、0%、5%、1 2%、1 8%、2 8% の5 段階に区分されています。自動車やタバコ製品などの贅沢品については、2 8% に加えてGST 補償税(GSTCompensation Cess)が3 ~ 200% 加算されることになります。
物品に関して言えば、穀物類は非課税、生活必需品は5%、贅沢品・嗜好品は2 8%、それ以外は標準税率である1 2%、もしくは1 8% が採用されています。単一の間接税レートを採用している多くの先進国と比較すると、インドのレートが依然として複雑であることは否めませんが、GST 導入前は複数の税種・税率があったことを考慮すると、簡素化されたと言えるでしょう。
2 0 1 8 年3 月時点では、物品やサービスの種目に応じて税率が適用されます。
一部の物品の購入については、州政府の税源を補償することを目的として、最高税率である28% に加えてさらに追加税が課されます。
上記に加え、住民福祉協会(Resident Welfare Association)など人格のない社団、もしくは、非営利団体がメンバーの寄付金に対して行う役務の提供については、免税限度額が月5,0 0 0 ルピーから7,500 ルピーへ引上げられています。
■GSTの相殺
旧制度では、製造業者以外の商社には顧客から受取る物品税やサービス税(アウトプット税)が発生しないため、取引の性質上、支払った物品税やサービス税(インプット税)の相殺控除が認められず、仕入れ税額控除を利用することができませんでした。
新制度では、商社を含む全企業が支払う間接税がGST に統合されたため、仕入先に支払う仮払GST はクレジットとして、顧客に販売した際に受取る仮受GST と相殺することができます。
しかし、仮払CGST は仮受CGST、仮受IGST と相殺が可能ですが、仮受SGST とは相殺ができません。一方、仮払SGST は仮受SGST、仮受IGST と相殺が可能ですが、仮受CGST とは相殺ができません。仮払IGST は仮受CGST、仮受SGST、仮受IGST のすべてと相殺が可能です。
【相殺可能なGST】
■記録の保管
GST 法では、以下のような記録の保管が義務付けられています。
これらの記録は事業地に保管する必要があり、年次申告書の提出日か
ら6 年間が保管期間となります。
・ 製品の登録帳(Register of Goods Produced)
・ 仕入帳票(Purchase Register)
・ 販売登録(Sales Register)
・ 在庫登録(Stock Register)
・ 仕入税額控除の明細(Input Tax Credit)
・ 売上に係るGST の詳細(Details of Out Put Tax)
■輸出免税
旧制度においては、輸出に対する物品税、VAT、サービス税は免税とされていました。新制度導入後は、輸出免税の適用を受けるためには、一定の手続を行わなければなりません。これを行わない場合は、一時的に取引価格に対してGST を納税して、後日手続を行って還付を受けます。
つまり、GST 法における輸出免税の手続には、以下の二つのオプションがあります。
・ 輸出による物品・サービスの供給側がGST を負担し、後日還付手続に従って還付を受ける
・ GST 当局より確約証(LUT:Letter of Undertaking) を取得して、GST の支払の免除を受ける※
※過去に遡り輸出免税を受けることはできないので、GSTの納税なしに輸出を行いたい場合は、取引開始前にLUTを取得する必要がある
■リバースチャージ・メカニズムの適用
通常、サービスの提供の場合、役務提供者が利用者から受取ったGST に対して、納税・申告を行う義務がありますが、一定のサービスについてはリバースチャージが適用され、サービスの利用者がGST の納税者となります。
たとえば、GST 登録を行っていない小規模事業主※ から一日5,0 0 0 ルピーを超えるサービスの提供を受ける場合などがこれに該当します。
サービスの提供者がGST 登録を行っている場合であっても、トラック輸送サービス、リーガルサービス、国・地方自治体から受ける一定のサービス等については、リバースチャージの適用を受けるため、注意が必要です。
注意しなければならないのは、サービスの提供者から受取る請求書には、GST が記載されていないため、受領した請求書に対して受益者側でGST の計算を行い、納税・申告を行う必要がある点です。
事前に正しくサービスの内容や適用税率について理解しておく必要があるでしょう。
※年間売上高が200万ルピー未満(一部の州では100万ルピー未満)の事業主をいう
■GST登録の義務
GST 登録の目的は、個人・法人問わず、すべてのGST 関連取引を紐づけることによって、企業の識別番号としての機能を果たし、ブラックマネーを排除し、税収を確保することです。そのため、インド国内に所在する企業は各州に所在する拠点ごとにGST 登録を行い、登録番号に従って請求書を発行、申告を行う必要があります。GST 番号については、納税番号(PAN)との整合を図るため、PAN と企業所在地等から構成されています。なお、ある一定の規模以下の小規模事業者については、GST 登録を行う義務がありません。
同一の企業で複数の登録を行う場合は、それぞれの登録地ごとに会計記帳を行い、帳簿を保管・申告する必要があります。
・ 会計期間における売上高が2 0 0 万ルピー未満(一部の州では100 万ルピー未満)…… GST 登録の義務なし
・ 会計期間における売上高が2 0 0 万ルピー以上(一部の州では100 万ルピー以上)…… GST 登録の義務あり
登録を行っていない企業からサービス等を受ける場合は、リバースチャージの適用の有無についての判定も必要となります。
■請求書の発行方法
GST 法においては、請求書の発行方法についても厳しいルールが定められています。誤った方法により請求書を発行してしまうと、仕入れ税額控除の適用を受けられなくなる等のリスクがありますので、
請求書発行のルールを十分に理解した上で請求書を発行することが必要不可欠です。
物品の販売・サービスの提供に対して対価を得る場合は、必ず請求書を発行する必要があります。発行のタイミングは、供給元における物品の発送時になります。
サービスの提供については、サービス提供完了時から30 日以内に限定されています。
請求書には必ずHSN コードを記載し、継続したシリアル番号の記載が必要です。このシリアル番号は、サービスの提供、物品の販売ごとに分けて保管する必要があります。
■コンポジションスキーム
コンポジションスキームとは、日本で言う外形標準課税のように、外観から客観的に判断できる基準を課税ベースとして税額を算定する、簡易版課税方式のことです。
年間売上高が1,5 0 0 万ルピー未満(一部の地域については、7 5 0万ルピー未満)の事業者については、一定の条件を満たした場合、コンポジションスキームの選択適用が認められています。当該スキームはすべての州で適用が可能であり、業種によって異なるコンポジションスキームの税率を適用することができます。
2019 年度にコンポジションスキームの適用を受ける適用対象企業は、Form GST CMP-02 と呼ばれるフォームを2019 年3 月31 日までに提出しなければなりません。コンポジションスキームを選択する場合は、月次申告ではなく、四半期申告であるGSTR-4 を行うことが認められます。
コンポジションスキームの適用を受ける企業は、Tax Invoice という通常の請求書では税金を徴収することができませんので、代わりにBills of Supply と呼ばれる請求書を用いて、GST を記載せず顧客に発行することになります。
[ コンポジションスキーム適用のための条件]
・ 物品のみを取扱う企業(製造業者、商社含む)
・ レストランなどの飲食店(酒類提供の飲食店を除く)
・ 州外への物品等の供給がない企業
・ 会計期間における年間売上が1,500 万ルピー未満の企業
[ CGST 法にて適用されるコンポジションスキームの税率]
・ 製造業者、および製造業者以外の物品のみを取扱う商社:売上の1%(CGST=0.5%、SGST=0.5%)
・ レストランなどの飲食店: 売上の5%(CGST=2.5%、SGST=2.5%)
■E-way Billの導入
新制度の施行により、E-Way Bill(電子許可証)の導入が発表されています。これは、旧制度でいうE-Sugam に代わるものであり、運送業者がインド国内で輸送を行う際に必要となる電子許可証です。課税事業者は、輸送対象の物品の価額が5 万ルピーを超え、かつ10km を超えて物品を搬送する場合、GST ポータル上からE-WayBill を入手する必要があります。
E-Way Bill は、供給者、もしくは運送業者に対して発行されますが、売手がGST 登録を行っていない場合は、買手が取得することも可能です。E-Way Bill は、カルナタカ州を始め順次導入が進んでいます。
■不当利益防止ルールの導入
インド政府はGST の導入にあたり、企業の適正な価格改定を監視する機関として、不当利益監視局(The National Anti-ProfiteeringAuthority=NAA)を開設しました。同時に不当利益防止ルール(Anti-Profiteering)が導入されたことにより、新税制ではGST 税率引下げ、もしくは従来の制度で認められていなかった仕入れ税額控除のクレジット利用により、企業が得る利益相当額分については、顧客に販売する商品の価格の引下げに反映することが義務付けられています。顧客に対する販売価格の引下げについては、かなり具体的な計算方法に関する記録を保管しておかなければなりません。商品価格の減額を行わず、不当に利益を獲得していると判断された場合は、企業登録の強制解除命令など重い罰則の対象となるので、注意が必要です。また、GST 監査の対象法人については、当該価格改定の実施状況がかなり細かく調べられることがあるので併せて注意する必要があります。
■申告・納税スケジュール
2 0 1 7 年7 月GST 導入以後は、拠点(州内の主要な拠点)ごとに毎月の申告が義務付けられています。
仕入・売上の両方の取引がある多くの企業は、1 拠点につき年間37 回の申告(月次3 回+年次1 回)を行う必要があります。
GST の年次申告は翌会計期間の12 月31 日までに行う必要があり、申告方法は従来の紙ベースのものから電子申告へ移行しました。GSTネットワーク(GSTN)と呼ばれる、インド中央政府の納税者用管理サイトを利用して行う形になっています。
会計期間における総売上高2,0 0 0 万ルピーを超える企業は、インド勅許会計士(CA:Chartered Accountant)よりGST 監査を受ける必要があります。インド勅許会計士より発行される監査報告書は、年次申告書(GSTR-9)に添付して提出しなければなりません。年次申告書の提出日、もしくは翌年9 月分の月次申告書の提出日のいずれか早い日を超えてしまうと、申告時点において未使用である、前会計期間中に支払った仮払GST を、利用することができなくなるので注意が必要です。年次申告書の提出を行わない場合は、1 日につき1 0 0 ルピーおよび最大で売上の0.2 5% のペナルティが科されることになります。
■提出すべき申告フォーム
GST 導入以後、税務当局側のシステム整備や当局内の体制が間に合わなかったこともあり、2 0 1 8 年1 2 月3 1 日時点において月次申告のうちGSTR-2 とGSTR-3 は申告期日が延長されており、代わりにGSTR-3B と呼ばれる簡易版の申告フォームによる申告書の提出が認められています(翌月20 日までに提出)。
2017-18会計年度のGSTの申告および、監査報告書は、2019年8月31日(土)に延期されました。
・ B2B取引の電子請求書発行が2020年1月から段階的に導入されることが提案されております。
・国家投機防止局の任期が2年延長されることが提案されております。
・GSTレートについては、フィットメント委員会(Fitment Committee)が決定します。
- 電気自動車に対するGSTレートの引き下げについては、電気自動車の充器及び、電気自動車の運転手の雇用の際に発生するGSTレート
- 太陽光発電システムや風車に対するGSTレート
・2年分のGST申告の未提出に関する電子請求書の発生を阻止する規則は、2019年6月21日から2019年8月21日まで延期されることが提案されております。
・新しいGST申告のシステムは、段階的に実施していくことを提案されております。
前年度に総額5千万インドルピー以上の納税者は、以下のスケジュールに従って申告を行って頂く必要がございます。
申告対象期間 | 詳細 |
2019年7月~ 2019年9月 | ・試用可能なForm GST ANX-1及び、Form GST ANX-2という新しい申告システム ・From GSTR-1及び、Form GSTR-3Bの提出は継続。 |
2019年10月 以降 | ・Form GST ANX-1(外注品のAnnexure)は、毎月作成が必要。 ・Form GSTR-3Bは、2019/10~2019/11の期間の提出が必要。 |
2019年12月 以降 | ・Form GST RET-01の申告(From GST ANX-1及び、Form GST ANX-2を含む)を提出。 ・Form GSTR-3Bの完全廃止。 |
前年度に総額5千万インドルピー以下の納税者は、以下のスケジュールに従って申告を行う必要がある。
申告対象期間 | 詳細 |
2019年7月~ 2019年9月 | ・試用可能なForm GST ANX-1及び、Form GST ANX-2という新しい申告システム ・From GSTR-1及び、Form GSTR-3Bの提出は継続。 |
2019年10月 以降 | ・Form GST ANX-1(外注品のAnnexure)は、四半期ごとに作成が必要。 ・Form GST PMT-08及び、Form RET-01の提出。 ・Form GSTR-3Bの提出。 |
・2017年7月から2019年6月までの期間のForm GST ITC-04に該当する仕事に関する申告の提出期限は、2019年8月31日まで、さらに延長されることが提案されております。
■納税期日
GST の納税期日は、毎月20 日となります。これを過ぎると、1 カ月につき1.5% の利息が発生します。
■Q&A
■参考文献
[参考資料・ウェブサイト]
・ FINANCE BILL, 2018(2018 年財政法)
http://www.indiabudget.gov.in/ub2018-19/memo/memo.pdf
・「インドの税務ガイド 間接税のすべてがわかる」伊藤博敏 (JETRO)(発行年月:2008/08)
・「インド物流ネット・ワークマップ」松島大輔(JETRO)(発行年月:2009/04)
・「アジア諸国の税法(第7版)」税理士法人トーマツ(中央経済社)(発行年月:2013/12)