会計
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会計制度
■会計制度の概要
1986年、ラオスでは政治・経済・文化の自由化へ向けて社会主義改革が始まりました。
この改革は「新思考」を意味する「チンタナカーン・マイ」と名付けられ、特に経済においては「ラボップ・マイ」(新経済メカニズム=New Economic Mechanism : MEM)と呼ばれる経済政策が行われたことで、市場の経済化と対外的な市場開放が推進されるようになりました。
<MEMの一例>
・ 価格自由化(公共料金以外)
・ 複数為替レートの一本化
・ 中央・地方予算の一般予算への統合
・ 貿易自由化
・ 二層の銀行制度設立
この経済の変化に伴い、1988年にラオス会計制度(The national system of financial accounting of the Lao PDR)が、さらに1990年にはラオス企業会計法(The Law on Enterprise Accounting)が確立されました。
これらの制度は2007年にラオス会計法が制定されるまで、会計基準の役割を果たしていました。
1988年にラオス会計制度、1990年にラオス企業会計法(以下、合わせて会計基準)が立て続けに制定されましたが、これらは当初、ラオス国内の非外資企業(その資本源泉をラオス国内でのみ調達している企業のこと)のみに適用されていました。しかし経済政策上、市場開放を促進することを目的として、1994年3月に外国投資奨励管理法が制定されると、その適用対象はラオスで経済的活動を行う外国企業にまで拡大されました。
ここでようやく、ラオス国内における経済的活動について、会計処理の一元化・統一化が図られたといえます。
しかしながら、これら会計基準は他国が採用している国際向けの会計基準との乖離が著しかったため、会計実態を自国に報告する必要性がある外資企業は、ラオス会計基準とは別にIFRSに準拠した財務諸表を作成することがほとんどでした。
このようなことから、2004年10月に外国投資奨励管理法が改正され、「必要があれば、国際的に認められている他の会計制度を利用することができる」と規定されました。
しかし、他の会計基準を利用するためにはラオス財務省の同意が必要であることや外国投資奨励管理委員会(FIMC:Foreign Investment Management Committee)への年次報告が必須である等、一定の条件が備わっており、やはりラオス国内で事業を行う限りはラオス会計基準に準拠することが基本的な要請と言えます。
ラオスの会計基準設定主体はラオス財務省(Ministry of finance)であり、会計基準を含む、会計に関する法律や規則の作成を行います。財務省で作成された会計基準は財務大臣によって提案され、内閣総理大臣の認定を受けることによって一般へ公表されます(ラオス会計法第18条)。
■会計期間
所得税法上の課税年度が、1月1日~12月31日の1年間と定められているため、一般的には、税法の課税年度と合わせて設定されることが多いです。しかし、継続適用することを要件として、別の12カ月間を会計期間として設定することが可能です。
■会計帳簿
会社は、企業活動を記録した会計帳簿を整備・保管する義務を有します。また、会計帳簿とその根拠となる証憑類は、最低でも10年以上の保管が義務付けられています。
■法令体系の不整合
ラオスでは企業を取り巻く法令として企業法、会計法、監査法、税法がありますが、これら法令体系が連携を欠いている点がいくつか存在します。
例えば、監査法上、株式会社において株主が監査人となることを禁止しているにも関わらず、企業法154条では許容されています。また、企業法では公開会社及び一部の非公開会社について財務諸表監査の適用対象としていますが、税法ではこのような規定はされていないため、財務諸表提出先である課税部門に提出される財務諸表には監査を受けていないものが多くあります。
後から登場した会計法と監査法上では、「当法令上の規定が他の法令上で禁止されている場合は、当法令が優先される」と規定され調整が図られていますが、各関連法令の整備が急務なのは間違いありません。
■ラオスの会計基準
[ 自国基準から国際会計基準へ]
経済市場化政策を採ってから長らくの間、国際会計基準との乖離を解消しないままであったラオス政府ですが、2006年2月に開催された「ラオス会計監査基準会議」において、2007年度に国際財務報告基準(IFRS:International Financial Reporting Standards)を導入することを発表しました。
ここで、IFRSとのコンバージェンスの一歩として、ラオス会計法が2007年に制定されます。内容はIFRSに準拠する点が見受けられ、ラオス国内で事業活動を行う全ての法人は、原則としてラオスの自国基準たるラオス会計法を適用しなければなりません。
ラオスは2016年よりIFRSsの完全な適用を予定しています。
■ラオス会計基準の問題点
世界銀行の報告によれば、ラオス国内の28社(商業銀行4社、外資合弁企業4社、完全外資企業3社、航空会社5社を含む)の財務諸表をレビューしたところ、IFRSの求める開示制度と以下のような差異が見られました。
■中小企業向け国際会計基準
2011年現在、ラオスでは中小企業向けIFRSの採用は検討されていません。理由としては、会計基準の適用対象となる中小企業自身が未だ経営・会計面についてIFRSの採用レベルに至っていないことが挙げられます。
ラオス国民の約8割が農業従事者であり、このような小企業の場合、大半は家内工業や家族規模における経営であり、帳簿の作成や財務諸表の作成などを厳密に行うレベルには達していないということが言えます。
開示制度
■開示スケジュール
ラオス政府管轄の会社を除くすべての会社は、一般会計の定めに基づき開示手続を行う必要があります。
一般会計を適用する会社のうち、銀行と保険会社を除くすべての会社は、決算日後2カ月以内に財務諸表を作成し、財務省の課税部門へ年次財務諸表を提出する義務を負っています(ラオス会計法37条)。ただし、申請をすることによって3カ月までの期限延長が認められます。
会社の管轄登記所へ開示請求をすることによって財務諸表を公衆が利用することが出来ます(企業法239条)。
【一般会計適用会社の開示スケジュール(銀行、保険会社は除く)】
■開示書類
ラオス会計法の特徴は、第15条によって月次試算表の作成が義務づけられていることです。すべての企業は毎月及び四半期ごとの試算表を作成し、貸借対照表と損益計算書を作成することが要求されています。
また、決算期には、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、注記表の作成が求められます。ただし、会計法上、極めて小規模と認められる会社は収入と支出を示す収支報告書のみで足りるとされています。
■開示制度違反の罰則
開示情報に不正や改ざんがあった場合には、ラオス罰則法(2005年)第161条の定めに従い、罰則が課されます。不正な株主配当等の利益供与、各提出先への財務書類提出の遅延があった場合も同様です。
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監査制度
■監査対象会社
ラオス企業法では、非公開会社、公開会社、国営企業の3つにわけて、監査の対象企業を規定しています。
[非公開会社]
非公開会社の場合、会計監査人の設置は原則として任意となります。ただし、資産価額が500億キープを超える会社の場合は、監査人の設置が義務となります(企業法153条)。
したがって、資産価額が500億キープを超える場合には、株主総会で会計監査人を任命し、毎年の財務諸表について、会計監査を受けなければなりません。
[公開会社]
会社設立の日から監査人を採用しなければなりません(企業法179条)。
[国営企業]
ここでいう国営企業とは、政府の100%出資によって設立された会社、もしくはその後50%まで民間へ株式売却された会社をいいます。
原則として、会計監査人を設置しなければなりませんが、会計監査人を設置しない場合には、少なくとも年に一度、定時株主総会前に財務諸表の監査を行うことが義務付けられています(企業法216条)。
■監査人の資格要件
ラオス公認会計士協会が定める公認会計士資格試験に合格し、その後監査法人にて3年以上の経験を積んだ者が公認会計士として登録され、企業の外部監査にあたります。公認会計士は税務面でも活動することが認められる他、清算会社の清算人となることもできます。
ラオスにおいて、公認会計士が登場したのは1998年です。ラオス公認会計士協会が発足するとともに、その役割と責任は会計法66条から68条、監査法54条から57条によって規定されました。
現在、ラオスには2,000を超える企業が登録されていますが、ラオス公認会計士はわずか150名程度で、会計士不足は深刻です。特に大企業は監査のために相応の公認会計士の人数が必要となるため、国際的提携力の強い会計士事務所を利用しています。
国内に40社ほど存在する地方の小規模会計士事務所は、監査業務というよりも税金と会計のアドバイザリ・サポート業務がメインとなっていると言えます。
参考文献
・ ビジネスガイド
・ GLS ビジネスフォーラム