税務
※ 本要約はAIが本章の内容のみをもとに自動生成しています。正確な内容は本文をご確認ください。
シンガポールにおける租税の体系
■概要
シンガポールには地方税や市民税がなく、すべて国税です。主な税金の種類は以下のとおりです。
・ 法人所得税
・ 個人所得税
・ 物品サービス税
・ 固定資産税
・ 印紙税
・ 関税(輸入税、物品税)
・ 外国人労働者税、技術開発税
・ 自動車関連税(登録税、追加登録税、道路税)
このうち法人所得税と個人所得税については、所得税法に規定されていますが、日本でいう施行令、施行規則、基本通達、個別通達、 および租税特別措置法などの詳細な規定はありません。多くは、従来から判例や慣習に基づいて税務行政が執行されています。しかし、1993 年から税務当局は解釈通達(Interpretation and Practice)を公表しており、税務行政解釈のあいまいさを減らすよう明確化を進めています。
シンガポールの個人所得税
■概要
シンガポールにおいて個人所得税を計算する場合、対象となる納税者が居住者であるか、非居住者であるかにより、課税される所得の範囲が異なります。したがって、所得税を計算する際には、まず居住性の判断が必要です。
■居住性・非居住性の定義
居住性の判断は、シンガポールの住所を基準とするものであり、国籍、本籍、出生地を基準とすることはありません。
シンガポールにおいては、暦年(その年の1月1日~ 12月 31 日まで)を課税対象年度としており、暦年内のシンガポール滞在日数が 183日以上となる場合は、居住者として区分され、183 日未満の場 合は非居住者とされます。なお、非居住者の中でも、滞在日数が 60 日超となる場合に準居住者とし、税務上区別されます。
また居住性の区分により、課税される所得の範囲は次のとおりです。
■国内源泉所得の定義
国内源泉所得は、以下のように定義されています。所得の受領地は問いません。
・シンガポール国内の事業所または事業から生じる所得
・シンガポール国内に所在する資産から生じる所得
また、税制上の居住者とは、以下の項目のいずれかに当てはまる者を指します。
・永住権保持者
・暦年ベースで、183日以上シンガポールに滞在している者
・1年目と3年目のシンガポールでの滞在日数は183日以下でも、3年連続して実際にシンガポールに滞在または勤務している者
たとえば 2009 年 11月に赴任し、2011年3月に帰国する場合、 2009 年および 2011年ともに滞在日数が183日未満であったとしても、2010 年のみならず、2009年および2011年も居住者の対象期間とみなされます。
一方、61日超183日未満となる場合、準居住者としてシンガポールでの所得の対象となり、15%もしくは居住者税率のいずれか大きい率が課税されます。取締役の場合は20%の税率となります。また、 準居住者は税金控除の対象にはなりません。
申請用紙はForm M(非居住者用の所得税申告書)を利用します。各年の滞在日数が60日間以下であれば、非居住者としてみなされます。
■課税期間
個人所得税の課税期間は、暦年(1月1日から 12月31日まで)です。
■所得税額の計算
シンガポールにおける所得税計算については次の手順で行います。
課税所得 = 総所得 - 所得控除
納付する所得税 = 課税所得 × 所得税率 - 税額控除
[所得金額]
まず、課税年度におけるすべての所得を課税所得と非課税所得とに分ける必要があります。課税の対象となる所得については、次のとおりです。
・ 給与・賞与所得
・ 交通費などの手当
・ 現物給付(家賃、家具、航空券、扶養家族の学費、会費、車、雇用者の納付金等)
・ 不動産所得
・ 利子・配当所得
・ 特別報酬(前受金や退職金も含まれる)
総所得金額を計算する際、上記の所得については、それぞれその所得を得るために支出した金額として、一定の金額を控除することができます。
所得金額から、各種所得控除額を控除し、課税所得金額を算出します。所得控除を受けることができるのは、シンガポール居住者に限られます。所得控除については、表に挙げた種類があります。
■雇用者が非居住者の場合の注意事項
[保証者による証明書の発行または事前納付]
支店や駐在員事務所など、雇用者が外国法人と見做され、かつ納税者がシンガポール永住者(国籍または永住権保持者)でない場合、事前に就業許可申請時の所得に基づいて個人所得税見積り納税額が算定され、この支払いを担保する保証者として、在星銀行または現地法人(シンガポール資本であるかを問わない)より証明書(Letter of Guarantee)が提出されるよう依頼しなければなりません。
毎年、年度ごとにシンガポール内国歳入庁(IRAS:Inland Revenue Authority of Singapore)への提出が義務付けられ、保証者を用意できない場合は見積もり納税額を事前納付することが求められます。
事前納付の金額が正確であったとしても、現地法人の従業員の場合と同様、確定申告は行う必要があります。
差額が発生する場合にはその額を追加納税または還付することになり、同時にすぐ翌年の事前納税が求められます。
[Form IR21(雇用者からの給与支払明細書)の提出]
退職もしくはシンガポール出国の最低 1 か月前に、雇用者はForm IR2 1(雇用者からの給与支払明細書)を提出し、雇用者が出国する までに税金の精算を行わなければなりません。
[地域駐在員の特例措置]
シンガポールを拠点とした地域統括会社の駐在員としての活動が各国におよぶ場合、シンガポールに滞在していた日数に比例し、シンガポールで発生した所得に対して課税されるよう申請することができます。ただし、次の条件のすべてを満たさなければなりません。
・非居住者の雇用者に雇用されていること
・地域的利便性のためにシンガポールを拠点としていること
・仕事が目的でシンガポールから出国していること
・支給される給与が、シンガポール国内の恒久的施設の口座にも振込まれていないこと
申請方法
申請をする際は、次の書類の前年分を、翌年の4月15日までに提出します。
・地域駐在員申請書
・外国雇用者のレターヘッド(代表または法人名および住所を記 載)が印刷済、かつ代表者が署名済の雇用契約書または職務明細書
・地域駐在出張日程表
地域駐在出張日程表は雇用者が変わらない限り、毎年申請をする必要はありません。
課税所得
課税される所得は次のいずれか大きい方の金額になります。
① シンガポールで受領した所得
② シンガポール滞在日数合計÷365日×給与所得
現物給付
シンガポールで支給される現物給付に関してはすべて課税されます。
[ 所得税額の算出 ]
上記で算出した課税所得金額に対して、次の累進税率を乗じて所得税額を算出します。
■申告・納付手続
[賦課課税制度]
シンガポールでは、賦課課税制度が採用されており、納税者から提出された申告書をもとに、税務当局が査定し税額を賦課決定します。 必要に応じて税務調査が行われ、その上で最終税額を賦課決定するため、時間を要する制度です。
日本で採用されている自主申告方式とシンガポールで採用されている賦課課税方式では、納税者が申告書を作成する点、税務当局に提出手続する点は実質的に異なるところがありません。ただし、自主申告方式は納税者、賦課課税方式は税務当局が、最終税額を確定する点が異なります。
[申告方法]
シンガポールでの個人所得税の申告には、所定の用紙に直接記入するものと、e-Filingという電子申告の2種類がありました。
申告期間は課税対象期間の翌年3月1日から4月15日ですが、電子申告の場合は4月18日までと少し猶予が設けられています。
しかし、税務当局IRASはポータルサイトmyTax Portalの利用による電子申告を奨励しており、さらに2018年からは雇用者に従業員の所得申告を課す制度、Auto-Inclusion Scheme(AIS)が導入されています。
現在は、多くの企業が毎年2月28日までにAISを介して従業員所得を申告、その後各人が情報の確認、確定を行う方式を採用しています。
企業側がAISを採用していない場合は、企業が発行する申告書類、IR8A、Appendix 8Aに沿って、個々の従業員が自らmyTax Portalにログインし、電子申告を行うことになります。
[AISについて]
AIS(Auto-Inclusion Scheme)とは、雇用主が従業員の収入情報をオンライン上でIRAS(Inland Revenue Authority of Singapore, 入国歳入庁)に提出できるシステムのことです。
1.AISは登録制で、期限は毎年4月1日から12月31日までとなっており、My Tax Portalの会社用ページにて申請が可能となっております。
2.従業員の所得の申告は、毎年1月1日から12月31日までであり、また従業員を7名以上抱える企業はAISで所得の申請を行うことが義務とされています。
上記の企業にあてはまらない場合でも、企業は2月末までに従業員の給与所得を明示したIR8A(課税所得申告書)を作成し、各従業員に配布する義務があるため、AISを利用してMyTax Portal上で作成する方がおすすめです。
3.AISの申告は、上記のMyTax Portalの会社用ページから行います。そのため、企業側でCorpPassアカウントを作成し、従業員の誰かにMyTax Portalを付与する必要があります。
この点、外部サービスを利用する場合も同じく、CorpPass上で第三者(Third Party)として権限付与(Authorization)を行えば1社に限って委託することが可能となります。
4.シンガポール国籍または永住権保持者の場合、兼業をしていることから2社以上からの給与所得、または企業の所得とは関係のない所得(シンガポール国内の不動産所得や受取利息など)があるとき、各社のAISですべての情報が反映されることはないので注意が必要です。
当該個人がMyTax Portalの個人ページから入力・補足することが求められます。
5、以前は各種リベート(配偶者控除など)の受け取りに必要な家族情報の入力についても、個人が入力することが多くありましたが、最近これも企業側が情報を把握して入力することになっているため、従業員の情報を漏れなく把握する必要があると言えます。
[納付の方法]
分割納付が認められており、GIRO(銀行口座自動引落)という、 銀行口座から自動引き落としができるサービスを利用することで、最大 12 回まで分割納付することが可能です。
■コラム
【 YA2018(2017年度確定申告)】
法改正がほとんどないシンガポールにおいても、毎年若干の変更点があります。YA2018(2017年度確定申告)において気を付けるべき会社負担による一時帰国費用について、今回はご説明させて頂きます。
新制度:
YA2018より、駐在員及びその配偶者、子弟に対する会社負担による一時帰国費用について、全額課税所得とみなされることとなりました。
旧制度:
①駐在員及びその配偶者は年に1度の会社負担一時帰国費用につき、当該費用の20%のみが課税所得でした。
②駐在員の子弟に対しては、16歳であるか、16歳を超えているが就学している場合には、子弟それぞれにつき年2回の会社負担一時帰国費用のうち、当該費用の20%が課税所得でした。
今回の改正によって、簡便的な方法がとられたことになりますが、家族を帯同している駐在員である場合、課税所得の金額が上がることになります。
YA2018の申告期限は4月15日となります。
個人所得税申告書の種類
シンガポールの個人所得税申告には、以下4つの申告書類が用意されています:
・IR8A:従業員として雇用者から受取る所得を記載
・Appendix 8A:現物支給としてIR8Aに含まれる金額の詳細を記載
・Appendix 8B:ストックオプションなどにより利益を得た場合に詳細を記載
・IR8S:CPFを法定の基準以上に納付し、その還付を求める場合に詳細を記載
それぞれ、Word版がシンガポール税務当局IRASのウェブサイトでダウンロードできます:
https://www.iras.gov.sg/irashome/Businesses/Employers/Reporting-Employee-Earnings–IR8A–Appendix-8A–Appendix-8B–IR8S-/
この中、多くの海外駐在員で提出が必要になるのが上の二つ、IR8AとAppendix 8Aです。
シンガポール国内で永住権などを保持し、現地採用として働く方の場合は、ナショナルスタッフ同様、IR8Aのみの提出となることが多いです。
IR8Aの項目
まず、所得は以下の4つに大分されます:
a) Gross Salary, Fees, Leave Pay, Wages and Overtime Pay:給与、残業代など
b) Bonus:賞与
c) Director’s Fees:取締役報酬
d) Others:その他手当等
それぞれ、上から注意点を見ていきましょう。
a) Gross Salary, Fees, Leave Pay, Wages and Overtime Pay
給与には、シンガポールでの勤務に対してであれば、日本など外国で支給された給与も含みます。
給与の一部を日本の本社で支給されているような場合、シンガポールドルで毎月固定の金額を日本円換算して支給するのであれば、元々のシンガポールドル金額を記載すれば問題ありませんが、日本円で固定された金額が支払われるような場合、各月のレートを定めてシンガポールドル換算して金額を算定することが必要になります。
適用レートについては、シンガポール中央銀行MASの為替レートを用いて計算するといいでしょう:
https://eservices.mas.gov.sg/Statistics/msb/ExchangeRates.aspx
※母国での支給額
なお、駐在員が母国の本社やその他グループ会社で支給される所得全般に言えることですが、シンガポールでの就労に対する所得は原則シンガポールの雇用者が負担することとされており、他国で負担された場合、その国の個人所得税が発生したとしても、その金額はシンガポールの課税所得から控除することができず、二重課税を免れ得ません。
具体的な例として、シンガポールでSGD5,000、日本でJPY200,000の月額給与を受け取っている駐在員の方には、日本での給与支給に対して所得税(場合によっては住民税も)が発生します。
控除されたこちらの金額について、日本で納税しているからといって、日本で支給されたJPY200,000分を課税所得から控除することはできず、シンガポールでも課税され、同じ金額が二重課税になります。
b) Bonus:賞与
賞与は、雇用契約で一定額支給することが決まっているもの(Contractual bonuses)と、それ以外のもの(Non-contractual bonuses)に分けられ、前者には支給の時期の記入が求められます。
この賞与金額をa)の給与所得と区別するのは、賞与が多く変動する性質を持ち、従業員の給与を管理する上で、賞与、特にNon-contractual bonusesは度外視して考えるべき要素に当たるためと考えられます。
c) Director’s Fees:取締役報酬
取締役に就任していることに対して、株主総会などで報酬を決めて支給を受けている場合に記載しますが、シンガポール法人の取締役としての報酬に限定される点に注意が必要です。
具体的には、例えば日本法人でも取締役、シンガポール法人でも取締役として任命されていて、それぞれ報酬を受け取っているケースが考えられます。
その支給場所にかかわらず、シンガポール法人の取締役として受け取る報酬のみがシンガポールで課税所得となります(日星租税条約第16条)。
また、取締役報酬は、どの年度に取締役であったことに対する報酬であるかによって、課税所得として申告すべき年度が異なりますが、株主総会により遡及的に決定される場合には、一律株主総会が開催された年度の所得として算入することになる点に注意が必要です。
d) Others:その他手当等
その他手当等には社会保険料など多くの要素が関わります。
特に、日本法人による取り扱いが、シンガポールではどのように解釈されるのか、各項目につき、その対応について理解する必要があります。
- Allowances:手当等
ここで言う手当は、通勤用、営業用に割り当てられた給与外の支給額を指し、以下の3つに区分されます:
(i) Transport:通勤費、営業交通費の定額支給など
(ii) Entertainment:営業交際費の定額支給など
(iii) Others:出張手当など
特に、出張手当(交通費、宿泊費、営業交際費の実費精算分を除く)のうち、旅費交通費として精算可能な限度(Acceptable rate)を超える金額は、出張手当として(iii) Othersに記入することになります。
この精算可能な限度については、出張先の国ごとに毎年更新される形で制定されており、以下のリンク先から確認できます:
https://www.iras.gov.sg/IRASHome/Businesses/Employers/Tax-Treatment-of-Employee-Remuneration/Per-Diem-Allowance/Acceptable-Rates-for-Per-Diem-Allowance/
一方、上記に含まれない月額固定の役職手当などは先述のa)給与に含めるといいでしょう。
- Gross Commission for the period:歩合制報酬など
上述のa)給与やb)賞与とは別に、歩合制の体系で支給される給与があった場合は、当該年度に属する金額を算出して記入します。
- Pension:年金
日本と同様に、年金収入があれば記入します。
ただし、日本で支給される年金は日本国内での所得となり、一方シンガポールにはCPFという年金とは異なる制度が運営されているため、国内で私的な年金制度に加入しているような場合を除いて、原則こちらに記入する金額は殆ど「0」となります。
- Lump sum payment:まとめ払い金額
退職金など、年度を超えて累積した報酬が支払われる場合の金額を記入します。
基本的には以下のいずれかに該当する支払いがあれば記入します:
(i) Gratuity:功労金
(ii) Notice Pay:解雇時通知期間退縮補償
(iii) Ex-gratia payment:法的義務外支給額(見舞金など、雇用契約にない支払い)
(iv) Others (please state nature):その他支給額(下記(v)を除く)
(v) Compensation for loss of office:整理解雇補償
この中、注意が必要なのは(v)の整理解雇補償です。
一般に、整理解雇手当(Retrenchment benefit)として支払われる金額の中には、年次休暇の買い取り額(本来はa)の給与に含める)、13か月目給与AWS(本来はb)の賞与に含める)の按分金額など、多くの項目をひとまとめにして支給することが多いですが、税務上はこれらの金額を細分し、雇用契約書や就業規則、そこになければ雇用法や政府機関のガイドラインに従って支給した、狭義の整理解雇補償のみが該当します。
この(v)だけは非課税として取り扱われる上に、金額が大きくなりがちであるため、事前にIRASに勤続年数などを通知して承認を得ることもでき、IR8Aにもこうした状況を記載することになります。
- Retirement benefits:定年退職保証
シンガポールで国の年金・退職金制度が変更になった1993年以降、個別に国内の年金・退職金基金で計上され、支払われた金額があれば記載します。
こちらも多くの場合は「0」となります。
- Contributions made by employer to any Pension/Provident Fund constituted outside Singapore:シンガポール国外の年金基金に対する雇用者拠出分
日本人駐在員が日本で厚生年金に加入している場合、社会保険料として企業負担分となっている金額について、明細を入手して記入します。
こちらは、日本の年金制度自体が複雑であるため、以下のように分類して正確に判断することが必要です:
(i) Mandatory pension:厚生年金保険
(ii) Non-mandatory pension:確定給付企業年金
(iii) Non-mandatory pension:確定拠出年金(日本型401(k))
このうち、課税所得に当たるのは、特別処遇に値しない企業拠出(Contributions without concession)と理解される(ii)および(iii)です。
一方、(i)については政府運営の社会保険に当たり、企業が強制的に払わされるため、通常は特別処遇に値する企業初出(Contributions without concession)と理解され、非課税になりますが、同じ金額がシンガポール法人/支店に請求されないこと、また同額をシンガポール法人/支店が給与から控除しないことが、特別処遇(Concession)の条件となっている点、注意が必要です。
なお、(i)の厚生年金保険については、「Employees’ Pension Insurance」としてその名前を記入すると共に、IR8Aにその企業拠出金額を記入し、拠出が強制であること、シンガポール法人/支店で請求/控除が行われていないこと、を記載します。
- Excess/Voluntary contribution to CPF by employer:CPF法定外金額企業拠出分
CPFの申告・納付を行っている従業員については、例えば55歳を超えても従前と同じ比率で拠出を行っている場合など、法定金額を超える分の拠出額について、企業負担分を記載します。
この金額がある場合は、追加の個人所得税申告書類として、IR8Sを記入することが必要になります。
通常、日本人駐在員でCPFの申告・納付を行うことはないため、こちらは原則「0」と記入します。
- Gains or profits from Employee Stock Option (ESOP)/other forms of Employee Share Ownership (ESOW) Plans:ストックオプションによる利益享受額
ストックオプションを行使したことにより、利益を享受した場合、その金額を受け取った場合などに記入します。
こちらの金額がある場合は、追加の個人所得税申告書類として、Appendix 8Bを記入することが必要になります。
- Value of Benefits-in-kind:現物支給
その他、家賃補助や海外旅行保険、子女の学費補助等については、全て現物支給(Benefits-in-kind)として取り扱われます。
こちらの金額がある場合は、追加の個人所得税申告書類として、Appendix 8Aを記入することが必要になります。
■シンガポールにおけるストックオプション
ストックオプションの分類
シンガポールのストックオプションは、以下の二つの言葉で表現されることが多いです:
・Employee Share Option (ESOP)
・Employee Share Ownership (ESOW)
このうち、前者のESOPは、後者のESOWの一種であり、株式の買取価格、およびオプション行使の期限が指定されているものを言います。
ESOWは全体として、会社から従業員に対し、その会社の株式を購入する権利を付与するものです。
また、いずれも実際の株式についての従業員報酬であり、いわゆるファントムストック、シャアアプリシエーションライツ(phantom shares、share appreciation rights)などの、株価による業績連動型報酬(実際には株式を取得しない)とは扱いが異なります。
シンガポールの税務上、こうしたストックオプションを付与される従業員は、その付与される形態により所得を得たものとして、課税されます。
課税のタイミング、税務上の扱いは、シンガポールでは以下のように分類されています:
1.受給権条件(Vesting Clause)なしでストックオプションを付与される場合
2.シンガポールでの就労期間中に、受給権の条件つきで、ストックオプションを付与される場合
3.シンガポールで就労していない時期に、受給権の条件つきで、ストックオプションを付与される場合
※、ここで言う、「シンガポールでの就労期間」とは、シンガポールの企業と雇用契約がありながら、一時的に国外で勤務している場合も含むため、注意が必要です。
以上のうち、「3.のシンガポールで就労していない時期に、受給権の条件付きで、ストックオプションを付与される場合」に関しては、シンガポールでは課税所得ではないと見做されます。
以下、1.と2.について、それぞれ課税されるタイミング、および課税所得としての計算方法を確認していきましょう。
1.受給権条件なしでストックオプションを付与される場合
株式を付与された時点の課税年度で所得として計上されます。
この場合、同じく株式を付与された時点での株式市場での株価、および株式購入価格との差額が課税所得となります。
2.シンガポールでの就労期間中に、受給権の条件つきで、ストックオプションを付与される場合
ここで、受給権(Vesting)について簡単に記述します。
ストックオプションは、そもそも従業員に会社の業績を上げるようインセンティブを与えるために考案された報酬ですが、株価が上昇したらすぐにストックオプションが行使され、その時点で従業員が退職してしまう、という弊害も発生しました。
そこから、従業員がストックオプションを付与されてから、それを段階的に行使(=株式を購入)できるよう、期間を設ける企業が一般的です。
この、ストックオプションを行使できる、つまり会社の株式を購入できるようになることを、受給権を得る、と言います。
また、受給権が得られ、実際に株式を購入した後も、会社の株価安定のために、あまりにも急に売却されることのないよう、売却期間に制限を設けること(Selling Restriction)もしばしばあります。
この期間をモラトリアム(Moratorium)と言います。
その場合、ストックオプションを行使したとしても、この制限が取り除かれるまでのモラトリアム期間は、実際に売却益を得ることはできません。
以上の受給権の条件(Vesting Clause)、および売却制限によって、シンガポールで課税所得となるタイミングは以下のように分類されます:
・売却制限がない場合:ESOPを行使した日、または、ESOWの受給権が得られた日が属する年度で課税所得となる
・売却制限がある場合:売却制限が取り除かれた日が属する年度で課税所得となる
同様に、前者ではESOPを行使した日、またはESOWの受給権が得られた日の株価と、株式購入価格との差額が課税所得となり、後者では売却制限が取り除かれ、モラトリアムが終了した日の株価と、株式購入価格との差額が課税所得となります。
外国人がシンガポールから出国する場合
シンガポールで就労中に付与されたストックオプションにつき、上述の「ESOPを行使した日」、「ESOWの受給権が得られた日」、「売却制限が取り除かれた日」などが到来していない状態でシンガポールでの就労が終了、国外に出ることになった場合は、Deemed Exercise Ruleという規則が適用されます。
これは、実際には行使していない、受給権が得られていない、売却制限が取り除かれていない状態であっても、従業員がシンガポールでの就労を終える1か月前の時点で株価を算定し、取得条件の購入価格との差額を所得として見做し、課税するものです。
実務上はシンガポールでの就労を終える際の、Tax Clearanceでこれを申告することになる点、株価が変動する場合には特に注意が必要です。
ストックオプションを付与された後も売却をしない場合
ストックオプションを行使する権利が発生した後も、会社の株式が更に上昇する可能性が高い場合、従業員としてはその株式を売却しないことがあり得ます。
一方、上に見てきたようなシンガポールの税制によりストックオプションが課税所得とされることは、個人の資金繰りとして困窮する可能性を内包します。
そこで、以下のような条件に該当する従業員については、最大5年まで納税義務を延長することができることになっており、これをQEEBR Scheme(Qualified Employee Equity-based Remuneration Scheme)と言います:
・ストックオプションを行使する権利が付与された時(上述の分類に沿う)、シンガポールで就労していること
・ストックオプションが、就労している会社の関係会社(同一グループなど)から付与されていること
・該当の個人所得税が、従業員の本人負担であること
シンガポールの法人所得税
■概要
シンガポールでは、管理支配地主義により居住地が決定されます。
シンガポール国内において会社法に基づき設立された会社は、日本な どの外国資本であっても居住法人として扱われます。しかし、シンガポールの会社法に基づいて設立されたか否かにかかわらず、シンガポール以外の国で株主総会や取締役会が開催され、かつ業務執行の運営・管理が行われている場合には、シンガポール税法上、非居住法人となります。
シンガポールの税制上、居住者は優遇されており、非居住者は新会社に対する免税措置、国外源泉所得に対する免税措置、二重課税回避 条約に基づく源泉税等の減免が適用されません。また、居住者の判定は、各課税年度になされています。
■課税年度
シンガポールにおける、法人所得税の課税年度については、原則として事業年度基準となっています。
■課税所得の計算
歳入法における課税所得とは、一般的に1 会計期間(通常は事業年度)に営まれた事業に係るすべての益金からすべての損金を差引いて 算定されます。事業年度は、原則12ヶ月とされています。
また益金および損金は、発生主義により算定され、当該事業年度に 生じたすべての益金はその授受に、損金はその支払の有無にかかわらず所得金額の算定に含まれます。
■課税対象となる益金
シンガポールの法人所得税は、属地主義(Territorial System)に より算定されます。つまり、シンガポール源泉の所得、あるいはシン ガポール国外源泉所得のうちシンガポールで受取る所得はすべてシン ガポールにおいて課税対象となります。なお、個人所得税も属地主義 により算定されます。
・ 事業から稼得された利得および利益
・ 配当金、利息および賃貸料など投資業務からの利益
・ ロイヤルティその他の資産から稼得された利益
・ 収入の性質を有する上記以外の利得および利益
しかし、例外的に以下の利益については非課税対象となります。
・ 固定資産売却益
・ 資本取引による外国為替差益
■損金計算
シンガポールにおいては、課税所得の算定に当たり、日本と同様に 会計上の利益に調整項目を加減算して課税所得を算定します。しか し、日本では減価償却費のように損金経理を要件として損金を認める 規定があるのに対し、シンガポールの所得税法には、税法独自の会計 処理は規定されておらず、公認会計士の適正意見を付した財務諸表の 会計処理は、税法上も適正であるとみなされます。
また、2013 年度予算案から新たに、2013 ~ 2015 年の 3 年間の 合計で最高 1万5,00 0Sドルの現金による助成を受取ることができる ことになり、従来の生産性・技術革新控除(PIC:Productivity and Innovation Credit)に付加されることになりました。対象となる分 野は次のとおりです。
・ PIC認定の自動化装置の取得もしくはリース
・ 社員の能力向上研修費
・ 知的財産権登録
・ 知的財産権の取得、設計
・ 研究・開発活動
・ 設計プロジェクトへの投資
また、中小企業などを念頭に、2011~2012 課税年度に年間 20万Sドル、2013~ 2015 課税年度は年間 10万SドルのPIC 対象投 資に対して最大6万Sドルの現金を払戻す仕組みを設けています。
[ 減価償却費の計算 ]
シンガポールにおいては、キャピタル・ゲイン非課税からも象徴されているとおり、会計上、減価償却費は計算されますが、税務上損金 算入は認められません。これは資本項目にかかわる支出の原則損金算入が認められていないためです。原則として会計上の減価償却費は、 課税所得に全額加算され、税務上の減価償却費を改めて計算して課税所得から減算します。
償却方法
償却方法については内国歳入法に規定されていないため、基本的に、税務上の償却方法に従います。取得した時点で、初年度償却を行わない場合、翌年度からの償却は行うことができません。また途中で減価償却を行わなかった場合は、 再度償却するに当たり、過去の分を合わせて損金算入することは認められていません。
償却率
取得年度一括償却
次の条件に該当する資産は、取得年度に一括償却が認められています。
加速度償却
新規に購入した機械および設備に分類される資産は、耐用年数を3年として、定額法を用いて全額償却することが認められており、これを加速度償却といいます。
開業前の収益的費用
最初の収入があった年度に発生した関連費用は損金に算入することができます。また、2012 年課税年度からは、最初の収入があった年度に加えてその前年度に発生した費用も損金に算入することができるようになりました。
研究開発費
研究開発費に該当する研究内容とは、科学もしくは技術的な研究開発の結果が生産性や製品の品質向上に結びつくものが損金に算入することができるとされています。定期的に行われるデータ回収やアンケ ート調査、販売広告の反響調査や市場調査、あるいは販売を目的としないソフトウェア開発などは、これに該当しません。主に、新規の商品開発やシンガポールに未だ存在しない革新的な創造性があるかが基準となります。
自動車関連費用
一般的に、シンガポール国内で利用されるレンタカーの費用は、たとえ業務に関連する利用目的であったとしても、損金算入が認められません。ただし、国外でのレンタカー費用に関しては、業務目的のものであれば、損金算入が認められます。また、会社が業務上必要となる乗用車の減価償却費は認められています。
交際費
シンガポールでは、必要経費を区分する明確な規定がなく、事業活動のために必要な費用は、すべて損金算入が認められています。ただ し、家族を伴う個人的な飲食費用などプライベートな費用は、損金不算入とされています。
貸倒引当金繰入額
引当金繰入額については、原則として損金の額に算入されません。 ただし、貸倒引当金繰入額のうち、貸倒等の確実性を確認できる分の金額については、損金の額に算入されます。そのため、損金算入には、以下の点を踏まえた適切な証憑の準備が必須となっています。
・ 債務者の氏名、住所
・ 債権が発生した日付、その性質
・ 回収が不能となった金額
・ 引当処理、貸倒処理の理由
・ 回収する際に取組んだ過程
寄付金
政府および慈善団体委員会によって認められ、慈善活動のみを行っている特定の団体に対してなされた寄付についてのみ、損金算入が認められています。
開業費
開業費は、所得を得るための費用ではないため、原則損金算入が認められていません。ただし、政策的優遇処置として、売上を計上した年と同じ課税年度に発生した開業費については、損金算入が認められています。
■課税所得の種類と区分
■課税所得
シンガポールにおける法人所得税の納税義務者は、シンガポールで設立された法人・組合、および外国の法律により設立された法人・組合でシンガポール国内で事業を営むものとされており、 これを属地主 義といいます。シンガポール国内所得および海外所得のうち、シンガポール国内で所得となるものは課税対象となります。
シンガポールにおいて課税対象となる所得は、次のとおりです。
・ シンガポールで生じた所得
・ 国外源泉所得のうちシンガポールで受領された所得
■国外源泉所得
国外源泉所得のうち、シンガポールで受領される所得は、シンガポールで稼得された源泉所得とみなされ、課税対象となります。しかし、シンガポールへ送金される国外源泉所得のうち、配当金・支店の所得とサービス所得で、外国においてその国で 15%以上の法人所得税が課税されている所得に対しては、シンガポールで課税されません。
また、外国法人のうちシンガポール国内で事業を営んでいない場合であっても、外国法人が恒久的施設において事業を行う場合、および源泉徴収の規定の対象となる場合には、シンガポールで課税されます。
■課税所得の種類
シンガポールの所得税法は、法人・個人を対象にしているため、法人の課税標準についての明確な規定はありません。したがって、日本の所得税法のように所得をその種類ごとに規定し、それらを合算して課税所得とする方法が採られています。当該所得は次のとおりです。
・ 事業所得
・ 雇用から生じる所得
・ 投資所得(配当、利子または割引料)
・ 年金
・ 資産所得(賃貸料・使用料等、資産から生じる所得)
・ その他所得の性質を有する利得または利益
■法人所得税率
シンガポールは2010課税年度(2009年内に会計年度末がある場合)より、17%の税率が適用されています。
■法人所得税減税
シンガポールの法人所得税率は17%が適用されていますが、加えて部分免税(Partial Tax Exemption)が採用されています。
2019課税年度(2018年に会計年度末がある場合)以前は課税所得のうち、最初の1万シンガポールドルまでは75%、1万~29万シンガポールドルについては50%が免税となっています。
2020課税年度(2019年に会計年度末がある場合)以降は課税所得のうち、最初の1万シンガポールドルまでは75%、1万~19万シンガポールドルについては50%が免税となっています。
また、2005課税年度より新設会社には、優遇税制(Tax exemption scheme for new start-up companies)が導入されています。
2019課税年度以前は、設立から3年間、通常の課税所得のうち、初年度の10万シンガポールドルの100%および次年度の20万シンガポールドルの50%が免税となります。
2020課税年度以降は、設立から3年間、通常の課税所得のうち、初年度の10万シンガポールドルの75%および次年度の20万シンガポールドルの50%が免税となります。
なお、2010課税年度からは、新会社に適用される免税措置に有限責任保証会社も含まれることとなりました。
さらに、シンガポール財務省が発行した2013年度予算案にて、すべての法人に対する減税(Corporate Income Tax Rebate)が適用されてきました。
減税額およびその上限額は、課税年度ごとに変更されましたが、2019課税年度には、法人所得税額の20%が、1万シンガポールドルが上限となっていました。
2019年度予算案による決定により、2020課税年度からは当該減税が不適用となりました。
■実効税率
上記減税措置を適応すると、非新設法人(4年目以降)で課税所得を50万シンガポールドルと仮定した場合、2019年度までの実効税率は約9.8%でしたが、2020年度からは約13.5%と、大きく変化することになりました。
■地域統括本部に対する優遇税制
一定の条件を満たして、シンガポールを地域統括拠点として活動している企業に対して優遇税制が適用されます。地域統括本部として認められた場合は15%、国際統括本部として認められた場合は10%またはそれ以下の税率が適用されます。
■申告・納付手続
■確定申告
予定納税は決算日後、見積課税所得額(ECI:Estimated Chargeable Income)および納税見積額をIRASに提出して行います。 その後、法人所得税申告書(Form C)の提出により法人所得税額を 確定させ、予定納税額との差額を納付します。
[予定納税]
すべての会社は、事業年度の末日から 3 ヶ月以内に、IRASへ当該事業年度にかかるECIおよび見積納税額の申告を行わなければなりません。
ECIの提出後、数ヶ月でIRASより賦課決定通知(NOA:Notice of Assessment)が送付されます。NOAは課税対象期間による収益を基 に予測額として当局より送られてくるため、後に確定した法人所得税 額と差異が生じる場合は調整を行う流れとなります。
なお、年間の収益が 1 0 0 万Sドル以下の企業である場合、ECIの申告は不要です。
[申告期限]
毎年、4 月にForm Cが IRASより送付されてきます。1 1 月 3 0 日 までに監査済決算書、法人所得税計算書(Tax Computation)を添 付の上、Form Cを提出しなければなりません。なお、Form Cが 4 月 3 0 日までに送付されなかった場合には、税務当局のウェブサイト からダウンロードして利用するか、税務当局に申告書の送付を求めな ければなりません。
[ 法人所得税の納税 ]
Form Cを提出してから数ヶ月後にNOAが送付されます。予定納 税額と法人所得税額の差額の納付もしくは還付がなされ、納付の場合 は、NOAの発行日より 30 日以内に当該差額を納付しなければなりません。
[ 分割納付 ]
税務当局の承認により、法人所得税の支払は一括もしくは 10 回 までの分割納付が認められます。認められている分割納付の回数は、 ECIの提出時期によります。e-Filingを促進しているため、e-Filing で申告した方が、書面による申告の場合よりも多くの回数での分割納 付が認められています。ただし、決算期より3ヶ月以降にECIを提出した場合には分割納付は認められません。
■罰則
内国歳入庁により申告内容が適当でないと判断される場合と、故意・重過失による租税回避と判断される場合とでは罰則の内容が異な ります。申告内容と罰則は以下のとおりです。
[ 遅延 ]
納付期限は、分割納税制度を利用しない場合、NOAの発行日から 30日以内です。当該納付期限までに納付しない場合、納付すべき税額の 5% 相当額の遅延税が課されます。30日以降も遅滞が続く場合、 督促状が発行され、さらに記載されている日付から 60 日を過ぎても 滞納している場合、1ヶ月ごとに1%の延滞税が加算されていきます。 ただし、延滞税合計が12%を超えることはありません。なお、延滞 が続くようであれば、IRASは法的手段を取ることも認められています。
シンガポールの付加価値税
■概要
物品サービス税(GST:Goods Service Tax)は、シンガポール国内で取引される財貨およびサービスに対して課される間接税です。間接税とは、実質的な税負担者と納税者が一緒になる直接税とは異なり、実質的な税負担者と納税者が異なる税のことをいいます。 GSTは日本における消費税に徴税方法が類似しているため、日本の消費税に当たるものとして解釈されています。
GSTの税率は2024年1月1日以来、9%に設定されています。
■納税義務者
今までのいずれかの1年間で、100万Sドル以上の売上を計上した 事業者に対して納税義務が発生し、当該事業者は、IRASに課税事業者として登録する必要があります。
■非課税対象
シンガポールにおいての非課税対象は、主に居住を目的とした物件 の売買、貸付や金融サービスなどです。また、旅行・広告代理店などのうち、国際サービス※と認められているものは税率 0%が適用され ます。さらに、2012年10月1日以降、現在課税対象である輸入品の中から、投資適格グレードの金、銀、プラチナについては課税対象外となりました。
※国際サービスの例は、サービスが提供される時点でシンガポール国外に所在する商品 に直接関連してサービスが提供されるもの。
■納付税額の計算
■財貨またはサービスの提供
財貨またはサービスの提供とは、「事業者が、営業行為上何らかの形態で、財貨またはサービスの提供を行ったこと」です。
財貨またはサービスの提供の認識の際、次の要件を考慮する必要があります。
[場所]
対象となる取引
・シンガポール国内において輸入も含め、財貨またはサービスの提供を行った場合
・シンガポール国内において、シンガポールの居住者が財貨またはサービスの提供を行った場合
非課税となる取引
・シンガポールの国外に居住する者が、シンガポールの国内に居住する者に、財貨またはサービスの提供を行った場合
課税免除となる取引
・シンガポール国内に居住する者が、シンガポール国外に居住する者に、財貨またはサービスの提供を行った場合、インターナショナルサービスとして免除
[時期]
財貨またはサービスの提供は次のいずれか早い時点において認識されます。
・財貨またはサービスの提供者がGTSの請求書(タックス・イン ボイス)を発行したとき
・財貨またはサービスの提供者が対価を受領したとき
[課税標準]
原則、取引価格となっておりますが、例外的に公正市場価格が適用される場合もあります。
■タックス・インボイス方式
シンガポールのGSTにはタックス・インボイス(Tax Invoice)方式が採用されています。課税業者はGSTが課税される取引を行う場合、タックス・インボイスと呼ばれる、請求書を発行します。これを 証拠とし、記載されているGST金額の合計を仕入税額控除に計上することができます。つまり、GSTは必ずタックス・インボイスを裏付けとして、認識・請求・支払がなされることとなります。
タックス・インボイスには、必ずタイトルに Tax Invoiceと記載し、GST登記番号、会社登記番号、GSTの金額を記載しなければなりません。また、外貨建取引の場合、IRAが認めている為替レートを使用して、外貨額とシンガポールドル建ての価格を併記する必要があります。なお、支払総額が 1,000Sドル以下の場合、簡易的な記載が許可されています。
■控除方式
納付税額は、受取ったアウトプットGST(売上に係るGST)から、 控除可能なインプットGST(仕入に係るGST)を差引くことで求めます。
[計算式]
納付税額 = アウトプット GST - インプット GST
■課税期間
3ヶ月ごとに課税期間が定められており、年に4 回の申告を行う必要があります。
■申告・納付手続
■納付手続
2 0 0 5 年 1 月から電子申告が可能となりました。また、2 0 0 7 年 1 月以降の新規登録者に関しては、電子申告が義務付けられることにな りました。
なお、還付に関しては、申告書提出後 3 ヶ月以内に当局より指定銀行口座に振込まれるか、または小切手が送付されます。
■罰則
[ 申告 ]
申告が期限までに行われない場合、1 万Sドルを上限として、1ヶ月の遅延につき 200Sドルの罰金が科されます。
[ 納付 ]
GSTの指定納付期限を過ぎた場合、当該納付額の5%の延滞税が課されます。さらに納付期限から 60日を経過しても納付がなされない場合、毎月2%の延滞税が付加されます。ただし、罰則の合計税率は55% が上限となっています。
シンガポールのその他の税
■シンガポールのその他の税
■固定資産税
シンガポールの固定資産税(Property Tax)は、課税対象が居住 用の不動産(建物・家屋・土地)であり、納税額は、年次評価額に10%を乗じた金額でしたが、2014 および 2015課税年度からは新たに導入される累進税率によって、納付税額が計算されます。
■印紙税
印紙税(Stamp duty)とは、不動産や株式の取引に際に作成される契約書に対して課税される税金であり、シンガポール法人の株式およびシンガポール国内の不動産が課税対象となります。
[不動産の譲渡取引に係る契約書]
不動産譲渡取引に係る契約書に対して課税される印紙税は次のとおりです。
[土地、建物、その他の不動産のリース・賃貸に係る契約書 ]
土地、建物、その他の不動産のリース・賃貸に係る契約書に対して 課税される印紙税は次のとおりです。
また、年間賃料が 1,000Sドル超の場合に加算される税額は、賃貸期間によって変動します。
不動産、株の抵当証券、資産担保証券に係る税額は次のとおりです。
■輸入税
輸入税(Import Duty)は、関税と物品税に分けられます。シンガポールには輸出に係る関税はありません。
関税の課税対象は一部酒類、物品税の課税対象は酒類のほか、たばこ、自動車、石油製品があります。
[主要輸出業者制度]
主要輸出業者制度(MES: Major Exporter Scheme)は輸入時に 税関で支払う税金を免除する制度です。本来なら、輸入業者が輸入した際には、税関で仕入分の税金を支払います。しかし、当該輸入品を 輸出する場合は税金が免除され、仕入時に支払った金額は還付されます。
つまり、MESを使うと輸入時に仕入れた分の税金の支払が不要なため、輸出を前提として輸入する場合は、MESを申請することで税 金を支払う負担がなくなります。
MESの利点は、キャッシュ・フローの優遇です。大量の輸入をする業者は、輸入時に支払う税金は荷が重いものです。これを、輸入時に免税する制度がMESであります。
しかし、 輸入時に免税措置を受けた商品を国内で販売した場合、 GSTが課せられます。なお、MESを取得するためには税務当局への申請が必要です。
■外国人雇用税
外国人雇用税(Foreign Worker Levy)とは、外国人労働者が無制 限に増加しないようにするため、外国人労働者を雇用する者に一定の税金を課するものです。対象となる外国人はワーク・パーミット所有 者で、シンガポール永住者でない者です。外国人雇用税は製造業、建設業、サービス業等、業種ごとにより税額が定められています。
■自動車に係る税金および費用
なお、車両の購入費用には、登録料(Registration Fee)、追加登録料(Additional Registration Fee)が必要となります。
■技能開発税
技能開発税(SDL:Skills Development Levy)とは、雇用者がすべての従業員について、月額給与(4,500Sドルを上限とする)の0.2 5% または2Sドルのいずれか高い方の金額を中央年金基金庁に対して納付する税金です。
■コラム
【シンガポール、トルコFTA発効について】
シンガポールとトルコはTRSFTA(トルコシンガポール自由貿易協定)を2017年10月1日より発行することで最終合意しました。両国のFTAは2014年10月にシンガポール首相のリーシェンロンと当時のトルコ首相アフメト・ダウトオールとの間で戦略的提携について署名されていました。
TRSFTAにより、トルコとシンガポール間における自由貿易と投資拡大を制限する障壁を軽減し、サービスセクターと調達市場へのアクセスを強化、促進が期待されます。このTRSFTAにより、関税分類品目の80%で、シンガポールからトルコへの輸出関税が直ちに廃止され、今後10年をかけて関税の撤廃は95%以上になる予定です。
トルコはヨーロッパ・中央アジア・中東・アフリカマーケットへの戦略的要地であり、今後シンガポール企業のこれら地域への進出を利用するのに大いに助けになると考えられます。トルコの企業も同様にシンガポールの地域的重要性を活かしアジア地域での拡大戦略を急速に進める機会になることが期待されます。
シンガポールの源泉徴収制度
■概要
シンガポールの源泉徴収税は、国外の法人または個人に対して支払われる所得に対して課税されます。課税の範囲としては広くはないですが、細かく税率が分かれているので留意する必要があります。
■付加退職年金制度の払戻に係る源泉徴収税
付加退職年金制度(SRS:Supplementary Retirement Scheme) の積立金は完全な免税ではなく、払戻を受けるタイミングによって課税される範囲が異なってきます。
・ 法令上の退職年齢(現行62歳)以後に払戻を受けた場合:払戻金額の50%
・ 法令上の退職年齢以前に払戻を受けた場合:払戻金額の100%
[税率]
現行の非居住者税率の20%が課せられます。
[早期払戻罰則]
法令上の退職年齢以前に払戻を受けた場合、源泉徴収税とは別に、 払戻金額に対して5%を徴収されます。
■手続
申告書の提出および源泉徴収税の納付は、支払日から翌々月の15日までと規定されています。また、申告書はForm IR37A/B/C/Dのうち、以下の種類に該当するものを用います。
また、次の条件に該当する場合、Form IR37は年に 2 回、6 月15日および12月15日にまとめて提出することができます。
なお、支払日は、合意や契約に基づいた支払があった日付ですが、 合意や契約がない場合、請求書に記載されている日付として定義されます。
・租税条約により、全額免税を主張できる場合
・ロイヤルティ・インセンティブによる免税を主張できる場合
■源泉徴収に係る罰則規定
源泉徴収の支払に関して遅延や未払が生じた場合、以下のようなペナルティーが科されます。
・5%の追徴課税が課される場合
期日までに源泉徴収税の支払がなされていない場合
・最高15%の追徴課税が課される場合
源泉徴収税の支払がなされないまま期日より30日を超えた場合、1ヶ月ごとに1%ずつの追徴課税が付加
シンガポールにおける国際税務
■租税条約
■租税条約の概要
租税条約とは、二重課税の回避と脱税の防止などを目的として、国家間で締結される成文による国家間の合意(条約)です。国家間での 約束事であるため、それぞれの国が定めている国内法に優先して適用されることとなります。つまり、国内法において「課税」とされていても、租税条約において「非課税」とされている場合には、「非課税」 として取扱うことができます。
シンガポールは国際貿易ハブとしての機能を備える目的で、以下のように世界中の国と租税条約を締結しています。
■租税条約の適用範囲
国家間の課税が問題となるのは、一方の国家の居住者(Resident in a Contracting State)である法人の活動が、もう一方の国家(The Other Contracting State)において商業活動を行う場合です。具体的には、モノやサービスの販売、専門的技術提供など、実際にもう一方の国家で行う活動に加え、配当、利子、特許使用料、家賃の受け取りなど、受動的に収入を得る活動が対象になります。
これらはすべて、本来もう一方の国家において当該法人が法人所得税を課され、納税すべきであるにも関わらず、当該法人はもう一方の国家では登記されていないため、申告・徴収が難しくなるところに問題があります。
一般にはこうした場合、当該法人から便益を受け、これに対して支払いを行うべき立場にある、もう一方の国家の居住者法人が、対価の支払いに際して一定金額を国に納めることになり、これを源泉徴収税(Withholding Tax)といいます。
多くの国ではこうした源泉徴収税の税率を自国の法律で定めていますが、前述の租税条約により2国間で同等の税率にしたり、片一方の国でしか課税されなくなるように調整がなされています。
■日本シンガポール租税条約(日星租税条約)
以下に日本とシンガポールの間の租税条約の内容を見ていきます。
まず、最初に取り扱われるのは恒久的施設(Permanent Establishment:PE)です。
これは、外国法人が自国の領土内に、商業活動を行う目的で一定の場所や人材、施設を構えていることを言います。
本来であれば支店ないし駐在員事務所として登録の対象となるべきこうした活動が、規模や頻度が小さいために未登録のまま実行されることがありますが、政府当局からすれば課税対象となるべき活動であり、線引きが求められます。
そこで、各国間の租税条約により、何をもって恒久的施設と見做すか、定義付けが行われています。
[ PE の定義(日星租税条約 第5条)]
日星租税条約においても、第5条で恒久的施設の定義がなされており、以下のようなものがPEとして規定されています。
・ 事業を管理する事務所
・ 支店
・ 工場、作業場
・ 鉱山、石油または天然ガスの坑井、採石場その他天然資源を採取する場所(ただし、資産を購入したり、保管したりする用途のみに使われる場所は含まない)
・ 建設工事などに関連する監督活動で、6 ヶ月を超える期間存在する場合(建設PEという)
・ 代理人がシンガポール国内において日本企業に代わって契約を 締結する権限を有し、かつ、この権限を反復して行使している場合(代理人PEという)
[ 配当に対する課税(日星租税条約 10 条)]
配当に対する課税については、一方の締約国の居住者である法人か ら他方の締約国の居住者である法人に支払う配当に対し、課せられます。以下の場合により税率が決定されます。
[ 利子に対する課税(日星租税条約 11 条)]
利子に対する課税においては、一方の締約国で生じ、他方の締約国の居住者に支払われる利子に対して、当該利子の金額の 1 0% を上限 として課せられます。ただし、支払相手が他方の締約国の政府や地方公共団体等であった場合、当該利子は非課税となります。
[ 使用料に対する課税(日星租税条約 12 条)]
使用料においては、一方の締約国で生じ、他方の締約国の居住者に支払われる使用料に対し 10% の税額を超えないものが課税されます。
■外国税額控除
外国税額控除(FTC:Foreign Tax Credit)とは、国外源泉所得に対して、国外において納付した税額を居住地国の税額から控除することにより、国際的な所得の二重課税を調整するための方法として定め られた制度です。
■租税条約に基づく外国税額控除
シンガポール居住法人は、租税条約に基づき、締結国において発生 した国外源泉所得に対し課税され、締結国に納付した外国税額の控除(DTR:Double Taxation Relief)を申請することができます。
■片務的税額控除
シンガポール居住法人は、租税条約を締結していない国において発生した国外源泉所得に対し課税され、納付した外国税額の控除を申請することができます。これを片務的税額控除(UTC:Unilateral Tax Credit)といいます。
ただし、片務的税額控除を申請するためには以下の 3 つの要件をすべて満たす必要があります。
・ 課税年度においてシンガポール居住者である
・ 国外において外国課税がすでに支払われている、または支払われる予定になっている
・ 当該所得がシンガポールにおいて課税対象となっている
■プーリング制度
プーリング制度とは、外国で課税された税額を合計し、対応するすべての所得にかかるシンガポール税額の合計から控除することができ る制度です。2012 課税年度から採用された制度であり、国外源泉所得に対する課税の簡略化と減税を目的として導入されました。当該制度はシンガポールを地域統括拠点として事業活動をしていく際の1つのインセンティブとなります。
プーリング制度を適用するためには、次の要件を満たさなければな りません。
・ 国外源泉所得がその源泉地国で課税されていること
・ シンガポールにて国外源泉所得が取得された時点において、当該所得の源泉地国の最高法人所得税率が15% 以上であること
・ 国外源泉所得がシンガポールにおいて課税対象となっている、かつ外国税額控除を適用する資格があること
[ 計算方法 ]
プーリング制度による外国税額控除の適用金額は、外国法人所得税 の合計額と、国外源泉所得に対してシンガポールにおいて課せられる法人所得税額のいずれか少ない方となっています。
■コラム「越境リモートワークと租税条約」
越境リモートワークの実態
従前、シンガポールではEP保有の外国人材の配偶者について、許可書(Letter of Consent:LOC)を申請・取得することを条件に、就労を許可していました。(※EP=Employment Pass:管理者・技術者などハイレベル人材の雇用に必要な就労許可)
しかし、2021年5月以来、このLOCの発行を原則許可しない方針が打ち出され、配偶者の就労にもEPの申請・取得が必要になりました。
このため、給与条件などからEPが取得できないシンガポール居住者の失業が始まり、日本や諸外国の日系企業などで越境リモートワークの雇用をされる例が増えてきています。
また、もともとシンガポールで就労許可を取得して働いていた外国人が、何らかの事情で母国に帰るなど、長期的にシンガポール国外に滞在し、そこで越境リモートワークを展開する場合や、これからシンガポール企業で雇用されることが決まっていながら、EPが取れない、入国許可が下りない、といった理由でシンガポールに入国できず、越境リモートワークをする例も出てきています。
反対に、シンガポール人で日本企業に就職が決定したけれども、ビザが下りないなどの理由から入国ができない場合に、越境リモートワークで就労をスタートさせる例もあります。
給与報酬については、当該業務を提供する個人が、雇用元企業のある国で銀行口座を保有していないケースが多く、一般的には海外送金によって支払いが行われますが、シンガポールに居住する日本人が日本企業に雇用される例などでは、雇用元企業のある日本で支給を受けることもよくあります。
法律上の取扱い
こうした越境リモートワークでは、その立場がいずれの国でも雇用に該当せず、個人が法律的保護を受けられない傾向にあります。
国によっては越境リモートワークが雇用と認められず、個人事業主の登録なく業務委託を受けることを許さない、というところもあります。
シンガポールにおいては、個人が外国法人に対して業務を行うのは、雇用の形でも業務委託の形でも問題なく、後者の場合も特に個人事業主(Sole Proprietor)としての登記が必要とは考えられていません。(※個人事業主の登記は、個人が「屋号」を持つ際には必要になります)
法律の適用がないために、社会保険、年金基金などへの加入も行われなくなるため、個人の側から見れば雇用条件は不利なものが多く、この格差是正のため、この分の金額を足した形で報酬が支払われる例も多くあります。
従って、越境リモートワークにおける雇用は、その条件をどのように調整するかが最初の課題と言えるでしょう。
国際税務上の規制
越境リモートワークによる雇用の論点の一つが、当該個人の活動が恒久的施設(Permanent Establishment:PE)と認定されないか、という問題です。
通常、租税条約などで規定されるPEは、例えば日本企業がシンガポールの個人に営業活動をさせ、日本企業の名前でモノやサービスを販売させたり、営業事業所としてシンガポールで個人が輸入販売などを行う場合に該当し、PE認定された場合、この例で言う日本企業は、シンガポールで法人所得税を支払う必要があります。(※代理店として販売代行を行う場合は、代理店(Agent)として活動していればPEには該当しません)
従って、原則として越境リモートワークでは、業務を遠隔でできる事務作業に限定するべきだと考えられます。
個人所得税の取扱い
個人所得税については原則として、報酬を受け取る場所にかかわらず、越境リモートワークで雇用される当該個人が、自分の滞在している国で課税所得を申告し、納税することになります。
シンガポールに居住している日本人が日本企業に越境リモートワークで雇用される場合や、日本人が日本にいながら外国法人に雇用されるような場合は、当該個人の居住地で申告・納税します。
一方、一時帰国などで雇用元の国と異なる国で滞在し、長期化した結果越境リモートワークになったような場合は、居住者要件や納税義務要件に従って、少し扱いが異なってきます。
一般的に、税務上の居住者(Tax Residence)は、その国に183日以上滞在することが要件となりますが、納税の義務自体はいくつかの国で、もっと短い滞在で発生します。
シンガポールでも、個人所得税の居住者レートは183日以上の滞在という規則ですが、納税・課税所得申告の義務自体は年間60日を超える滞在で発生します。(※居住者レートは、一般に6か月以上の就労許可を取得した時点で適用対象になります)
一方、日本では年間183日以上の滞在で納税義務が発生するというルールになっています。
一時帰国長期化による越境リモートワークの場合、滞在先で義務が発生したら納税は避けられず、雇用元でも就労許可要件などから納税が必要になり、二重課税が発生します。
この点、シンガポールと日本など、租税条約を締結している国同士であれば、お互いの国で課税されていることを通知することにより、雇用元の国で該当期間の個人所得税を免除する制度があります。
滞在の証明、および申告・納税の証明を用意して雇用元の法人に連絡、税務当局に通知することで、二重課税を避ける必要があることに注意しましょう。
参考文献
・木村達也、江藤祐一郎、関口俊克『シンガポールの会計・税務・法務 Q&A〈第 2 版〉』税務経理協会、2012 年