会社法
※ 本要約はAIが本章の内容のみをもとに自動生成しています。正確な内容は本文をご確認ください。
統一企業法
ベトナムの会社法務における重要な法律として、統一企業法があります。
統一企業法は、ベトナムでビジネスを営む内国企業、外国企業など国籍を問わず、すべての企業に適用されます。
統一企業法におけるベトナムの会社形態は、有限会社、株式会社、合名会社、私営企業の4種類です。
本章では、日系企業がベトナムへ進出する際に最も一般的に用いられている有限会社及び株式会社の、機関設計、社員および株主総会(Members’ Council)、決議方法、組織運営、社員(有限会社における出資者/Obligations of Members)および株主の権利と義務、会長(Chairman of the Company)・社長(General Director)・監査役(Inspectors)の権利と義務などについて述べていきます。
有限会社
■有限会社
有限会社には二人以上有限会社と一人有限会社の2つがあり、ベトナムにおける最も一般的な会社形態です。
これまで進出している日本企業の多くがこの形態で進出しています。
組織でも個人でも出資者である社員になることができますが、株式を発行することができず、社員の総数が最大で50名までと決まっています。社員は、会社への出資額の範囲内で、会社の債務およびその他支払義務に対して責任を負います。
2人(組織)以上の出資者による形態は二人以上有限会社、1人(組織)の出資者による形態は一人有限会社と、統一企業法上、分けて記載されており(二人以上有限会社は46~73条、一人有限会社は74~87条にそれぞれ規定)、機関設計が異なりますので、それぞれの会社に合った形態を把握した上で、選択する必要があります。
■二人以上有限会社
二人以上有限会社は、出資者が2~50名までの会社であり、会社の機関設計は、社員総会、会長、社長により構成されます。
監査役会の設置について、これまで出資者が11名以上の全ての企業を対象に義務付けられていました。2020年企業法で国営企業とその子会社である二人以上有限会社が対象となることが定められています(54条)。
会社の意思決定は、出資者全員により構成される社員総会によって行われます。会長および社長には社員総会において1名が出資者の中から、選任されます(会長と社長の兼任可能)。それぞれの役割は後述の一人有限会社の場合と同様です。
■一人有限会社
一人有限会社は、出資者が1名の会社であり、会社の機関設計は、会長、社長、監査役により構成されます。
監査役会の設置をしなくても、問題にはなりませんが、実務上、少なくとも、定款には監査役を記載しなければなりません。
出資者は、委任代表者を選任します。1名選任する場合、その委任代表者がそのまま会長となります。委任代表者を複数選任する場合は、その中から会長を選任することになります。
会長とは、社員総会により任命され、出資者に代わり会社を代表して業務を遂行する者をいいます。
社長とは、社員総会または会長より任命され、事業活動の運営および会長(もしくは社員総会)により意思決定された事項の執行を行います。
法的代表者(サイン権者)を会長もしくは社長から選ぶことができ、定款に記載する必要があります。法的代表者に国籍の制限はありませんが、ベトナム常駐の要件があり、30日以上ベトナム国外に滞在する場合には、書面にて他者に委任する必要があります。
社員(出資者)
有限会社の出資者である社員は以下の権利を有します。二人以上有限会社と一人有限会社で若干異なります。
■社員(出資者)の権利
[二人以上有限会社(49条)]
・社員総会に参加し、議題提案する権利
・総会に参加し、議題提案する権利
・出資比率に相当する議決権(ただし、第47 条2 項に規定する場合は除く)
・納税義務を果たした後の、出資比率に相当する利益の分配を受け る権利
・解散・破産の際、会社の残余財産から出資比率に相当する財産の分配を受ける権利
・増資する際、優先的に追加出資をする権利
・統一企業法および会社の定款に従い、出資持分の一部または全部 を他人に譲り渡す権利
・社長の義務の不履行により会社または社員が損害を受けた場合 に、社長を告訴することができる権利
・会社の社員が定款にある自己資本の90%以上を所有しないとき、 定款の資本金の10%以上、または会社の定款に定められた資本より少ない金額を所有する社員やグループ会社の社員は以下の権利
・適正の範囲内で問題を解決するように理事会に要求する権利
・帳簿の調査、検査や取引、会計帳簿、年次財務諸表などの監視する権利
・会員登録簿や議事録、理事会の決議、その他会社の文書を調査、 閲覧、コピーする権利
・手続き、会議の条件、その決議内容が会社の定款と法律に則って いない、あるいは正しくない際に会議終了日から90 日以内に理事会の決議を破棄するように裁判所に要請する権利
[一人有限会社(76条)]
<組織の場合>
・定款の内容、改正・追加の決定権
・会社の成長戦略および年間経営計画の決定権
・会社の管理組織機関の決定権。各管理職の任命・解任・降格の決定権
・会社の最新財務報告書の総価値の50% 以上、あるいは定款に規定された比率(50% 未満)に相当する投資計画の決定権
・開発投資プロジェクトを選定する権利
・市場開拓、マーケティング、技術に関連する対策の決定権
・会社の最新財務報告書の総価値の50% 以上、あるいは定款に規定された比率(50% 未満)に相当するローン借入契約、ローン貸出契約および定款の規定するその他の契約の決定権
・会社の最新財務報告書の総価値の50% 以上、あるいは定款に規定された比率(50% 未満)に相当する財産の売却の決定権
・増資の決定権。会社の全部または一部を他の組織・個人へ譲渡する決定権
・子会社の設立および他の会社への出資の決定権
・会社の業務に対する監査、監督および評価
・会社の納税義務およびその他の財務上の義務を完了した後の配 当の決定権
・会社の再編、解散または破産に関する決定権
・解散または破産手続を完了した後の財産価値金額の回収権
・本法および定款に従うその他の権利
<個人の場合>
・定款の内容、改正・追加の決定権
・定款に異なる規定がある場合を除き、投資・経営計画、会社の内部管理の決定権
・会社の全部または一部を他の組織・個人へ譲渡することに関する決定権
・会社の納税義務およびその他の財務上の義務を完了した後の配 当の決定権
・会社の再編、解散または破産に関する決定権
・解散または破産手続を完了した後の財産価値金額の回収権
・本法および定款に従うその他の権利
■社員総会
社員総会は、有限会社の社員全員で構成される会社の最高意思決定機関です。社員が組織である場合は、委任代表者を派遣して社員総会に参加させます。社員総会は、毎年最低1回開催する必要があります。定款に異なる規定がある場合を除き、社員総会の決議は、会社の本社において行う必要があります。
社員総会は、以下に掲げる事項についての権限を有します。
■社員総会の権限と義務
[二人以上有限会社(55条)]
社員決定事項
・会社の中長期戦略と年度経営計画の決定
・増資または減資、資本の調達方法および時期の決定
・会社の開発投資プロジェクトを決定
・直近の財務報告に記録される総資産の50%(定款で別の比率を設定可能)またはそれを超える投資プロジェクトおよび投資方式の決定
・市場開発、マーケティングおよび技術移転などの決定
・借入・貸付契約、直近の財務報告に記録される総資産の50%(定款で別の比率を設定可能)またはそれを超える価値のある財産の売却の承認
・会長の選任および解任。社長、監査役、および定款に定められるその他の重要な地位に就く者の選任、解任、降格の決定
・社長、監査役、および定款に定められるその他の重要な地位に就く者に対する給料、賞与、その他の福利厚生の決定
・年度財務計画、利益の使用・分配計画、損金処理計画の承認
・機関の決定
・支社、支店、駐在員事務所設立の決定
・定款の改正、追加
・組織再編の決定
・会社の解散の決定あるいは破産の申し出
・統一企業法および定款に定めるその他の権限および任務
[一人有限会社(80条)]
・会社出資者を代表して出資者の権限・義務の遂行を実現する
・会社の名義で会社の権利と義務を履行する権限を有する
・本法および関連法律の規定に従い、与えられた権限と任務の実現に関して法律と会社出資者に対する責任を負う
・権利、義務および任務と勤務制度は、関連法律および会社の定款の規定に従う
■社員総会の招集・開催の条件
社員総会は社員総会議長により招集されます。社員総会議長は、社員総会の日時や場所、議案等を示した招集通知を、電話や、招待状、FAX、その他の電子的手段によって、それぞれの社員に直接的に送付する必要があります(59条)。
招集をしたにもかかわらず定足数に満たなかった場合には、その開催予定日から15日以内に再招集を行います。この場合は出資総額の50%以上の出資者が集まれば開催することができます(定款で変更可能)。それでも定足数に足りない場合、10日以内に招集をする必要があり、この場合には定足数の要件はなく、開催することができます(58条)。
一方、複数の委任代表者がいる一人有限会社の場合、出資総額の3分の2以上の社員が出席する場合には、社員総会を開催することができます。なお日程等の手続は、二人以上有限会社と同様です。
■社員総会の決議
社員総会の決議社員総会の決議には、普通決議と特別決議があります。普通決議では、決算書類の承認、会長・社長などの役員の選解任を決議します。一方、特別決議では、定款の変更、重要な財産の処分、組織再編等、会社の重要事項について決議します。
二人以上有限会社において、普通決議では、出席者の出資総額の65%以上の賛成が必要となります。特別決議の場合には要件が厳しくなり、出席者の出資総額の75%以上の賛成が必要です。書面による意見聴取を行うとき、賛成する社員の出資総額が法定資本の65%以上であれば、社員総会の決議が行われたことになります(59条)。複数の委任代表者がいる一人有限会社の場合、普通決議では出席者の過半数の賛成により決議されます。特別決議では出席者の75%以上の賛成が必要となります(80条)。いずれの場合も、定款に定めることで要件を厳しくすることができます。その反対に要件を緩めることはできない点に注意が必要です。
■社員総会の議事録
社員総会で話し合った内容について、議事録を作成する必要があります。決議事項や、発表された意見などのほか、次の内容を記載する必要があります。議事録には出席した社員および委任代表者全員が署名をしなければなりません。二人以上有限会社も一人有限会社も同様の手続となります(60条、80条、98条)。
・会議の時間、場所および目的、日程
・出席した社員および委任代表者の氏名、出資率、出資証明書番号および発行日、欠席した社員および委任代表者の氏名、出資率、出資証明書番号および発行日
・討論・議決された問題、会議で取り上げられた諸問題それぞれに対し発表された意見のまとめ
・上記以外に会議で発表された意見のまとめ
・議決された問題に対するそれぞれの総賛成票数、拒否票数
・承認された決議の内容
・出席した社員および委任代表者全員の氏名および署名
■会長
社員総会の会長(日本の株主総会における議長に相当)は、二人以上有限会社では、社員総会から1名を選出します。
一人有限会社の場合、出資者が1名であれば、その者が会長になります。選任・解任は、社員総会の普通決議で決定され、任期は最高で5年となります。社員総会にて再任可能です。
また、会長を法的代表者(サイン権者)にする場合には、ベトナム国内に常駐しなくてはなりません。もし30日以上離れる場合は、会社の法的代表者の権利を書面にて別の者に委任する必要があります(99条)。統一企業法に規定される会長の主な権限と義務は以下のようになります。
■会長の権限と義務
[二人以上有限会社(56条)]
・社員総会の事業計画およびスケジュールの準備
・社員総会、社員の意見を聴取するための会議のスケジュール、計画および資料の準備
・社員総会の招集・進行
・社員総会の決定事項の執行状況の監督
・社員総会に代わり社員総会の決定への署名
・統一企業法および定款に定めるその他の権限および任務
また、会長は次の要件を満たす必要があります。
・民事的な行為能力が十分であること
・経営管理または会社の主たる事業の経験があること
・すべての社員総会に参加すること
[一人有限会社(81条)]
一人有限会社における会長の権限と義務は、社員総会におけるものと同様です。
■社長
社長は、会長を兼務することが可能です。また定款に定めることで法的代表者になることもできます。
法的代表者になる場合には、前述したとおり、ベトナム常駐の要件を満たさなければなりません。
選任・解任は、社員総会の普通決議で決定され、任期は最高で5年となります。
社長は毎日の営業活動を運営し、具体的には以下の権限を有します。社長の権限と義務は、一人有限会社でも、二人以上有限会社でも同様です(63条、82条、100条)。
■社長の権限と義務
・社員総会の決議事項の執行
・会社の通常活動に関連するすべての業務の決定
・会社の経営計画および投資計画の遂行
・社内管理規定の整備
・社員総会の管轄する職責を除き、会社における各管理者の指名、解任および降格の決定
・会長が管轄する契約を除き、会社の代表として契約を締結する
・会社の機関設計についての提案
・社員総会への決算書の提出
・利益分配方法および損金処理方法の社員総会への提出
・従業員の雇用
・定款、会社との契約および社員総会の決定に従うその他の権限
・会社および出資者の利益を最大限に確保する
・自らの地位を利用して得た情報を個人または第三者の目的に悪用してはならない
・社員に対し、迅速かつ正確に報告しなければならない
・報告内容を本社および支社において掲示しなければならない
・借入その他の債務を返済できない場合、社長の昇給、報奨を行わない
■監査役
二人以上有限会社では、国営企業または国営企業の子会社以外の会社について、監査役の設置義務は原則としてありません。
一人有限会社についても、国営企業以外の監査役の設置は任意となりました。(79条)。
監査役は、社員総会の普通決議にて、選任・解任され、任期は最高で5年になります。主に会社の法律遵守状況を監督する義務を負います。
■監査役の責任と資格
監査役の具体的な役割・責任は次のとおりです(84条)。
・会社の正当な利益の最大化を確保するために、誠実さと慎重さをもって会社の権利者を管理する責任
・財務諸表、経営状況報告書、経営評価報告書及びその他の報告書を評価し、評価報告書を所有者に提出する責任
・会社の事業の管理運営を修正、補足、および仕組化するための解決策を会社の所有者に提案する責任
・本社、支店、会社の代表事務所にある会社のデータファイルや文書をチェックし、遅れることなく会社情報を提供する責任
・社員総会およびその他の会議に出席し、討論する責任
・会社の定款や会社所有者の要求、定められているその他の権利及び義務を果たす責任
監査役の資格は次のとおりです。
・十分な民事能力を有する者
・社員総会のメンバー、会長、社長、監査役を任命する権限を有する者と関係を持たない者
・会計・会計監査に関する高度な専門知識のある者。もしくは、会社の事業に関する専門知識および経験を持つ者。あるいは、定款に規定する資格および条件を満たす者
※一人有限会社の条件。二人以上有限会社は統一企業法に記載なし
■出資金の増資・減資
定款に記載された資本の増資・減資は社員総会の決定により、実施することができます。
■二人以上有限会社の場合(68条)
増資・減資を行うと、出資総額が変更になることから、投資登録証明書の変更が必要となり、投資登録証明書発行機関の承認を得なければなりません。
会社は増資・減資を完了した日から10日以内に書面により登記機関に通知しなければならず、会社の名称、所在地、増減資する資本の金額などを記載した上で法的代表者の署名が必要となります。
増資の場合には、申請書に加えて社員総会の決議書と議事録が必要になり、減資の場合には、さらに直近の監査済財務諸表を添付しなければなりません。
[増資の方法]
・社員全員の出資額を増加する
・新規社員の出資を引受ける
・会社の財産価値の増加額に応じて資本を増加する
社員全員の出資額を増加する場合、増加額は社員の出資比率に応じて割当てられます。増資に反対する社員は、出資をする必要はありません。
この場合、引受けられなかった出資額は、残りの社員の出資比率に応じて割当てられます。
新規社員による出資を引受ける場合は、社員全員の承認を得る必要があります。
[減資の方法]
・社員全員に対し、出資比率に応じて出資額の一部を払い戻す
・特定社員の出資分の一部を払い戻す
・会社の財産価値の減少に応じて資本を減少させる
社員全員に対して、出資比率に応じた払戻をするためには、2年以上継続して経営活動を行っていること、払戻をした後もローンおよび債務の返済を保証できること、のいずれの条件も満たすことが必要です。
その後、投資登録証明書発行機関へ通知し、承認を得なければなりません。実務上この承認を得るのが難しい場合があります。
■一人有限会社の場合(87条)
以前は、一人有限会社の場合には減資をすることができませんでしたが、現在は減資を行うことは可能です。要件は以下の通りです。
(a)定款資本の持分の一部を払い戻す場合(一定の要件あり)。
(b) 定款資本が、全額かつ期限どおりに払い込まれない。
資本の増加および増加額の決定権については、出資者が唯一の決定権を持ちます。
第三者からの出資を受ける場合には、二人以上有限会社への変更登録手続を10日以内に行わなければなりません。
■親子ローン
海外子会社の資金繰りの方法として、親子ローンがあげらます。
銀行借り入れという方法もありますが、ベトナムの場合は金利が高いため親子ローンを選択する企業が多くなっています。
■短期ローンと中長期ローン
まず最初に検討する必要があるのはローン期間です。
ローン期間が1年以内の場合は短期借入となり、それを超える場合は中長期ローンという扱いになります。
どちらも借り入れ後、中央銀行への月次報告の必要があります。
相違点として、中長期ローンの場合は送金前に中央銀行へ借り入れ登録をする必要がある点です。登録をしていなければ送金が受け入れられない可能性がある点や受け入れられても将来的に罰則が発生すること中央銀行への登録に2~3カ月程度を要することに注意が必要です。
■中長期ローンの注意点
前述の通り、中長期ローンの場合は事前に中央銀行への登録が必要となります。
その際、もう1点注意しなければならないのがIRC上の借入枠です。IRC上には「総投資額」と「資本金額」が記載されています。この差額(総投資額 ― 資本金額)が借り入れ可能な枠となります。借入金額がこの借入枠を超える場合はまずはIRCの総投資額の変更手続きを行う必要があります。その場合は追加で1~2カ月程度を要するため注意が必要です。
例)20,000USDの借り入れ予定だが借入枠が下記の場合
総投資額50,000USD ― 資本金額40,000USD = 借入枠10,000USD
→総投資額を60,000USD以上に変更する必要がある
■その他注意点
短期と中長期を含めて、親子ローンの注意点としては以下が挙げられます。
・外国契約者税
利息に対して外国契約者税が発生します。
外国契約者税とは、ベトナム法人が外国法人からサービスを受ける際に発生する税金です。利息の支払いの際にこちらを申告納付する必要があります。
外国契約者税の申告納付期限は短く、支払いから10日以内となっています。特に頻繁に海外取引があるわけではない企業はこれを認識しておらず、申告漏れが発生するケースがありますので、注意が必要です。
また、外国契約者税を申告するにはCITやVAT等の際に使用する物とは別の専用の税コードを取得する必要があるため、注意が必要です。
・金利の決定
金利に関して、市場価格に比べて低すぎる場合中央銀行からの許可が下りない可能性があります。また、日本の税務署より指摘を受けるリスクもあります。
逆に高すぎる場合、ベトナムの税務当局より指摘を受ける可能性もあります。
できるだけ市場価格に近い利率で金利を決定することが好ましいかと思います。
・中央銀行への報告
前述の通り、短期と中長期どちらの場合でも中央銀行への月次報告が必要となります。以前は四半期報告でしたが、2022年11月より月次へと変更されています。報告は現在オンライン上での対応が可能となっています。
・初めての中長期ローン
初めて中長期ローンを行う場合は中央銀行への登録の前に中央銀行でのオンラインアカウントの取得が必要となります。そのため追加で2~3週間程必要となります。
■親子ローンの返済ができない場合
どうしても親子ローンの返済ができない場合は下記のような対処方が挙げられます。
1,ローンの延長
ローン返済期間の延長を行います。
元の借り入れが短期ローンだった場合は中長期ローンへの移行のため中央銀行への登録が必要となります。
2,増資
親会社から増資をしてもらい、それを返済に充てます。
借入枠は前述の通り総投資額-資本金額となります。
3,ローンを資本金へ転換
貸し手側の同意を得た場合のみ、未返済のローンを資本金へ転換することが可能です。
その場合返済義務はなくなります。
■配当
配当支払の要件は次のとおりです(69条)。
・黒字決算であること
・納税義務および他の財政上の義務が完了されていること
・配当金を支払った後でも支払期限が迫っている債務および他の財産上の義務に対する支払を保証すること
株式会社
■株式会社
株式会社は有限会社と比較した場合、外国資本での進出実績がまだ少ないのが現状です。
その理由として、有限会社と比べ、株式会社での進出はいくつかの要件を満たさなければならないためです。
株式会社とは、次のような特徴を持つ会社形態です(111条)。
・資本が複数に分けられ、個々が持分として株式を保有する
・株主は組織でも個人でも認められ、株主の人数は最低3名であり上限はない
・株主は、会社への出資額の範囲内で企業の債務および財産上の義務についてのみ責任を負う(間接有限責任)
・株主は、議決権優先株式等を除き株式を自由に譲渡することができる
株式会社と有限会社の大きな違いは、株主(出資者)が3名以上必要である点、株式を発行し、出資者が自分の出資持分を自由に他者に譲渡できる点にあります。
■株式会社の機関設計
株式会社は、株主総会、取締役会(Board of Management)、社長等の機関を設置しなくてはなりません。個人である株主が11名以上いる場合、または会社の総株式の50%以上を所有する法人株主を持つ場合には、監査役会を設置する必要があります。
監査役会を設置する場合は、3~5名から構成され、監査役の任期は5年以内となります。任期後も再任することができます。
監査役会の過半数がベトナムに常駐していること、および1名は会計士もしくは会計監査官であることが求められます(168条)。
■株主総会
株主総会は、定時株主総会と臨時株主総会の2つの種類があります。定時株主総会は、毎年1回以上、決算日から4カ月以内に開催します。取締役会の要請がある場合、開催までの期間を延長することができますが、決算日以後6カ月を超えることはできません(139 条)。開催形態は対面に限られず、オンライン会議や書面・電子投票も可能です。定時株主総会では、決算書の承認や、配当の決定などを決議します。一方、臨時株主総会は、取締役会が必要と認めた場合に開催されます。また、一定の事項が発生した場合には、取締役会は臨時株主総会 を招集する義務を負います。取締役会は、招集義務を生じさせる事項 が発生してから30日以内に総会を招集しなければならず、期限内に開催されない場合は、監査役会が招集する義務を負います。それでも 招集がされないときには、6カ月以上継続して10%以上の株式を保有する株主が総会を招集することができます。
[臨時株主総会を招集しなければならないケース(140条第1項)]
・取締役会が、会社の利益のために必要があると認めた場合
・取締役会の員数が規定の員数より少なくなった場合
・一定の要件を満たす株主※が開催を要求した場合
・監査役会が要求する場合
・定款に定めた事項が発生した場合
※普通株式総数の10%以上を6カ月以上(定款で変更可)継続的に保有する株主(114条2項)
■株主(総会)の権限と義務
株主総会は、議決権を持つ株主全員によって構成され、株式会社において最高権力を持つ機関です。株主(総会)の具体的な権限および義務は次のとおりです(138条)。
・経営方針の承認
・株式の種類および発行数の決定、年間配当率の決定
・取締役および監査役の選任、解任、解雇
・直近の財務報告書に記録されている総資産の35%以上に相当する財産の売却・投資の決定
・定款の変更および追加の決定
・年度財務報告の承認
・10%以上の自社株買いの決定
・会社および株主に対し損害を及ぼす違反行為を行った取締役と監査役の処分
・組織再編および解散の決定
・統一企業法および定款に従うその他の権限・任務
■招集方法
株主総会の招集を行う取締役は、株主総会に出席する権利を持つ株主名簿の作成、総会の議題および開催日時の決定、日程表の準備、会議用資料の準備、出席権利を持つ株主への招集通知の送付などを行わなければなりません(140条)。
正式な議題が決定した後、出席する権利を持つ株主全員に対し、総会開催日の21日前までに招集通知を送付する必要があります(143条)。
招集通知は原則として、株主の住所に到着するように送付しなければならず、開催日時、場所だけでなく議題や参考資料も添付します。
また会社のウェブサイトにも掲載しなければならないとされています。
また、6カ月以上継続して10%以上の株式を保有する株主は、株主総会の議題を提案する権利を持ち、提案がある場合は、総会の3営業日前までに会社に書面にて送付する必要があります。その後、取締役会によって、会議の日程表と議題へ正式に組み込まれます(142条)。
■株主総会の決議要件
株主総会の議題を決議するには、定足数を満たした上で、総会出席者の一定数以上の同意を得る必要があります。
定足数に関しては、会議に出席する株主の議決権付株式の合計が50%以上に達せば、株主総会を開会することができます。
1回目の会合が規定する実施要件を満たさない場合、会社の定款に異なる定めがなければ、1回目の会合の予定日から 30 日以内に2回目の会合の招集通知を送付する必要があります。
株主総会の2回目の会合は、議決票総数の 33%以上を代表する株主が出席するときに行うことができます。
ただし、会社の定款は具体的な割合を規定する必要があります。2回目の会合が、規定する実施要件を満たさない場合、会社の定款に異なる定めがなければ、2回目の会合の予定日から20日以内に3回目の会合の招集通知を送付する必要があります。
第3回目の株主総会の会合は、出席する株主の議決票総数にかかわらず、株主総会を行うことができます(145条)。
株主総会の決議には普通決議と特別決議の2種類があり、それぞれ決議要件が異なります。
普通決議では、議決権株式の50%以上の賛成が必要であり、特別決議では、議決権株式の65%以上の賛成によって決議されます(148条)。
定款に定めることで要件を厳しくすることができますが、要件を緩和することはできません。
なお、議決権付株式の総数100%の株主から同意を得た場合は、招集手続・手順・会議の日程表・議題と進行形式が規定に従わなかった場合でも効力が生じます。
【株主総会における普通決議と特別決議の比較】
| 普通決議 | 特別決議(148 条) |
決議内容 |
|
|
定足数 | 議決権株式の 50% | 議決権株式の 50% |
決議要件 | 出席者の議決権株式の 50% 以上 | 出席者の議決権株式の 65% 以上 |
書面による投票を行う場合、賛成する株主の保有する株式が議決権付株式の総数の50%以上になれば、株主総会決議が行われたものとみなされます。
定款に定めることで比率は変化させることができます(145条)。
[株主総会の議事録]
株主総会ではベトナム語で議事録を作成する必要があります。ベトナム語と外国語の両方を作成してもかまいませんが、主に以下のような内容を記載する必要があり(150条)、議事録には議長の署名がなければなりません。
・会社名、本社の所在地、営業登録証明書の番号・日付、営業登録場所
・株主総会の開催日時、場所
・株主総会の日程表と議題
・株主総会開催の経緯および議題ごとに対する意見のまとめ
・出席した株主の人数、および票総数(出席した株主・委任代表者の登録名簿を同封)
・決議ごとの票数、賛成票、反対票、その他の票数と割合
・承認された決議の内容
・議長と秘書の氏名、署名
■取締役(会)
取締役会は、株主総会の決議事項以外のすべての決定権を持ち、会社の権利と義務を行使する機関です。
3~11名で構成され、ベトナムに常駐しなければならない取締役の人数は、定款に規定することができます。任期は5年以内であり、再任もできます(154条)。
取締役になるためには次の要件を満たす必要があります(155条)。
[取締役の要件]
・企業法第17条第2項で定める国家機関で勤務する公務員や、国営企業の幹部に当てはまらない者。
・十分な民事能力を有する者
・会社の主たる業務について専門知識および経験を持つ者、定款に定める要件を満たす者
・国が50%以上の出資を行う会社並びにその子会社の場合、親会社の役員と関係を持たない者、および役員を任命する権限を持たない者
統一企業法に定められる取締役会の権限および取締役の義務は以下のとおりです(153条)。
[取締役会の権限]
・中長期戦略および年度経営計画の決定
・発行済株式の種類および各種類株の発行数の提案
・発行株式数内での新株発行の決定(資金調達方法の決定)
・株式および債券の売却価格の決定
・自社株買いの決定
・定款に定める権限および範囲に従う投資計画、投資プロジェクトの決定
・直近の財務報告書に記録される財産の総価値の35%以上(定款による別段の定め可)の価値のある財産の売買契約の承認
・社長および定款に定めるその他の重要な職位に就く者の選任、解任、降格、給与等の決定
・会社の日常業務運営について、社長およびその他管理者の監督
・会社の機関設計、社内管理規則の決定
・株主総会の日程、議題の承認
・株主総会への決算報告書の提出
・支払う配当率を提案
・会社の再編、解散、破産の請求を提案
・この法律および会社の定款に規定されたその他の権利
[取締役の義務]
・定款および株主総会の決議に従って与えられた権限、任務の遂行
・取締役としての注意義務
・守秘義務
・株主への報告義務
・支払期限を超過した債務がある場合、昇給不可、賞与不支給
・法律および定款に定めるその他の義務の履行
■取締役会長
株主総会または取締役会は定款の規定に従って、取締役会で選任する場合は、取締役のうち1名を会長として選任する必要があります。
定款に別段の定めがなければ、取締役会長は社長を兼任することができます。選任・解任は株主総会の普通決議で行われます。任期は5年以内であり、再任もできます(156条)。
具体的な取締役会長の権限および責任は次のとおりです。
・取締役会の活動計画作成
・取締役会の日程、議題、および参考資料の準備
・取締役会の招集と議事進行
・取締役会の決議事項の承認と執行状況の監督
・株主総会の議事進行
・統一企業法および定款に規定されるその他の権限および任務
株式会社では、取締役会長もしくは社長が法的代表者になることができます。
法的代表者に関しては、有限会社と同様、ベトナムに常駐している者でなければならず、30日以上ベトナム国外に滞在する場合には書面によって他の者に権限を委任しなければなりません。
逆にいえば、法的代表者にならない取締役員は、ベトナム常駐の者である必要がありませんので、日本の親会社の取締役を選任することが可能です。
■社長
取締役の中または外部から社長を選任します。定款に取締役会長が会社の法的代表者であるという定めがなければ、社長が会社の法的代表者になります。
社長の選任・解任は株主総会の普通決議で行い、任期は5年以内ですが、再任もできます(162条)。
注意しなければならない点として、社長は他の企業の社長を兼任することができません。
社長の役割は、次のとおりです。
・日常業務に関連するすべての問題の解決
・取締役会の決定事項の実施
・経営計画および投資計画の実施
・機関設計および社内管理規則の提案
・取締役会の管轄地位を除き、会社の管理職に就く者の任命、解任および降格の決定
・社長の管轄地位に就く管理者を含む就労者全員の給与および手当の制度の決定
・労働者の雇用
・配当金の支払方法および損金処理方法の提案
・法律、定款および取締役会の決定に従うその他の権限および任務
■監査役(会)
株式会社は、原則として監査役を置く必要はありません。
しかし、 個人株主が11 名以上いる場合、もしくは法人株主が会社の総株式の50% 以上を保有する場合のいずれかに該当するときには、監査役会を設置しなければなりません(137 条)。
定款に別段の定めがある場合を除き、監査役会は3 ~ 5 名で構成されます。監査役の任期は5 年以内としますが、再任は可能です(168 条)。
株式会社の監査役会については、有限会社よりも厳しい条件が統一 企業法に規定されており、監査役会の過半数はベトナムに常駐してい る必要があり、かつ企業の経営活動と関連する専門の中の1つに属す る大学以上を卒業していなければならなりません。
ただし、会社の定 款がより高い資格を定める場合は除かれます。さらに監査役のうち最 低1 名は会計士または会計監査官、または同等の経験を有する者でなければなりません。
監査役会は、主に次の権限および義務を負います(170 条)。
・取締役会および社長による会社運営状況の監督
・会社運営、会計記録および財務報告書の合理性、合法性、誠実 性と正確性の監査
・経営状況報告、財務報告、取締役会による事業報告の監査
・経営状況報告、財務報告、取締役会による事業報告の監査結果 に関する報告書の定時株主総会への提出
・会計帳簿とその他の書類の閲覧、会社の営業活動および会社の 運営・管理に関連する具体的な問題の監査
・取締役会からの意見聴取
監査役は、次の資格および条件を満たす必要があります(169 条)。
・株主総会から要求があった場合には、要求があった7営業日以内に監査を行う必要があり、監査後15日以内に監査報告書を取締役会又は株主総会へ提出し、この監査によって経営活動を中断してはならない
・会社の経営活動の管理、観察及び運営の組織機構の修正、補充、改善の方法を取締役会又は株主総会へ提案
・企業法に定められる会社管理の規定に違反した経営者を発見した場合、取締役会に書面で報告
・株主総会、取締役会、その他会社に関連する会合の出席
・独立した機関もしくは独立した内部会計監査部門であること
・株主総会への報告書、結論書、低難所の提出前に取締役会の意見を参照すること
・企業法、会社定款の規定、株主総会決議に従ったその他権限及び義務
【株式会社における取締役と監査役の比較】
| 取締役 | 監査役 |
人数 | 3~11名 | 3~5名 |
任期 | 5年以内 | 5年以内 |
再任 | 可 | 可 |
資格 | ・会社の普通株式5%を保有する者 ・専門知識を有する者 ・定款の定める要件を満たす者 | 21歳以上、かつ取締役、監査役及びその他管理者と関係を持たない者 |
その他要件 | ベトナムでの常駐人数は定款で定めることができる | 過半数がベトナム常駐(最低1名は会計士または会計監査人) |
選任解任 | 株主総会普通会議 | 株主総会普通会議 |
■株式
株式会社は、株式を発行しなければなりません。株式の種類は主に普通株式と優先株式があります(113条)。
優先株式の中には、議決権優先株式、配当優先株式、償還優先株式などがあります。
■普通株式
普通株式の所有者は、主に次の権利を有します(115条)。
・株主総会への参加、株主総会での発言権および議決権を行使するか、委任代理人を通じて行使することができる権利
・株主総会の決定に従い、配当を受取る権利
・株式出資比率に応じた新株引受権を有する権利
・株式を他者へ譲渡する権利
・議決権を有する株主名簿情報の閲覧、検察などから、誤った情報を修正要求する権利
・会社の定款、株主総会の議事録、及び株主総会の決議のレビュー、閲覧、コピーなどの権利
・解散・破産の際、残余財産を受取る権利
また、6カ月以上(定款で別段の定めも可能)継続して普通株式総数の10%以上を保有する株主は上記に加えて、以下の権利を有します。
・取締役会、監査役会への人事の推薦する権利
・取締役会議事録、決算書類、監査役会報告書の検査・複写の権利
・株主総会招集の要求する権利
・監査役会に対し会社の運営に関する検査の要求する権利
・この法律及び会社の定款に規定されたその他の権利
■優先株式
[議決権優先株式(116条)]
議決権優先株式とは、普通株式より多い票数を有する株式をいいます。議決権優先株式についての票数は、定款にあらかじめ定めておく必要があります。
議決権優先株式の株主は、定款に定める票数を投票することができますが、他者へ譲渡することができません。また所有者は政府の委任を受けた組織または発起株主に限定されます。
[配当優先株式(117条)]
配当優先株式とは、普通株式に比べて優先して配当を受ける権利を有する株式をいいます。配当の種類は固定配当と特別配当の2種類があります。
固定配当とは、会社の業績に関係なく一定額の配当を受ける権利を有する株式をいい、特別配当はそれ以外の配当優先株式をいいます。
実際の配当金の算定方法は、あらかじめ定めた配当優先株式の内容によります。
配当優先株式は、普通株式に比べて優先的に配当を受取れるというメリットがありますが、株主総会への出席権・議決権を持ちません。
したがって、日本の配当優先株式(日本会社法108条1項1・2号)と完全無議決権株式(日本会社法108条1項3号)を組み合わせた混合株式と同じようなものと考えられます。
[償還優先株式(118条)]
償還優先株式とは、株主が要求した場合、あるいはあらかじめ定めた事項が発生した場合に、いかなる時点であっても出資の払戻を受けることができる株式をいいます。
配当優先株式と同様に、議決権および株主総会への出席権はありません。
日本でいうところの取得請求権付株式(日本会社法108条1項5号)、ないし取得条項付株式(日本会社法108条1項6号)と完全無議決権株式を組み合わせた混合株式と同じようなものと考えることができます。
■配当
■配当支払の要件
配当金の支払においては、下記の条件を満たす必要があります。
累積赤字がある場合や、留保利益があっても、その期に利益が生じていない場合には、配当ができないことに注意が必要です。
・当期利益の下で算定され、留保された利益から支払われること
・納税義務および他の財政上の義務が完了されていること
・法律および定款に定める各種基金への積立および以前の赤字額の補充を行った後であること
・配当金を支払った後でも支払期限が切れた債務および他の財産上の義務の支払を保証すること
上記の定めに反して配当が行われた場合には、配当を受けた株主は会社へ返還する義務を負います。
返還しない株主および取締役は、返還しない金額の範囲内で会社が負う債務に対して連帯して責任を負うことになります。
■配当支払の手続
取締役会は配当を受領することができる株主を確定するために、配当金支払日の30日前までに株主名簿を作成し、配当額や支払期限、支払い方式を決定します(権利確定日)。
したがって権利確定日後に株式を取得した株主は、配当を受けることはできません。
その後、株主総会の承認を受けて、配当の支払が行われます。支払条件に関して別段の定めがある場合は、その条件に合わせて配当の支払をしなければなりません(135条)。
支払は現金、株式、定款に定めるその他の財産で支払うことができますが、現金で支払う場合は、ドンで支払う必要があります。支払が完了した後には、配当通知書を作成し、支払日から15日以内に全株主に送付しなければなりません。
■社債の発行
株式会社は、社債、転換社債、定款および法律に従うその他の社債を発行することができます(128、129条)。
ただし、以下の場合は社債を発行することができません。
・直前の3年間、発行した社債の元金と利息、あるいは支払期限を超えた債務の支払ができていない場合
・直前の3年間、税引後の平均利益率が発行予定社債の利息を下回 っている場合
金融機関である債権者に対する社債の発行は、上記の規制を受けません。
なお取締役会は、社債の種類、社債の総価値および発行時点を決定することができますが、次の会議で株主総会に報告する必要があります。
株主に対して報告書とともに、社債の発行に関する取締役会の決定を説明する資料・書類を提出しなくてはなりません。
■資本金の増資・減資
株式会社の資本金の増資および減資は、諸手続を定款に定めることで可能です。
具体的には次の方法があります。
■増資
・取締役会の決議に基づく、第三者に対する新規募集
・既存株主への新株割当
・株主から買い戻した自社株式についての新たな売り出し
上記のどの増資方法であっても、発行額が市場価格を下回らないことが条件となります。また、株主総会で決定した発行可能な株式の種類および発行可能額内で、取締役会の決議に基づいて、増資を実行できます。
■減資
減資を実施するためには、投資計画局の承認が必要です。また株式の買い取りは会社の純資産の減少をもたらすため、債権者保護手続を取る必要があります。具体的には以下の手続を要します。
・減資後も債務返済が可能である旨を保証する
・減資により純資産が10%以上変動する場合は、減資後、会社は買取りされた株式の支払いを完了した日から15日以内に、債権者に通知する(134条)。
【会社法に関するまとめ】
項目 | 一人有限会社 | 二人以上有限会社 | 株式会社 |
出資者数/株主数 | 1名 | 2~50名 | 3名以上 |
出資者の形態 | 組織もしくは個人 | 組織もしくは個人 | 組織もしくは個人 |
株式発行 | 不可 | 不可 | 可 |
責任範囲 | 払込資本金の範囲内 | 払込資本期の範囲内 | 払込資本期の範囲内 |
最高意思決定機関 | 会長又は社員総会 | 社員総会 | 株主総会 |
増資の可否 | 可 | 可 | 可 |
減資の可否 | 可 | 可 | 可 |
機関 | 会長、社長と監査役 | 会長、社長、社員総会、監査役会 | 株主総会、取締役会、及び社長、監査役会(個人の株主が11名以上もしくは会社の総株主の50%以上の所有する法人の株主がある場合に設置) |
会社組織の変更 | 二人以上有限会社に変更可 | 一人有限会社か株式会社に変更可 | 有限会社に変更可 |
【一人有限会社における法的代表者の交代手続】
法的代表者である日本人駐在員が帰任をする場合、ベトナム現地法人の法的代表者の交代手続が必要となります。
法的代表者の氏名および代表者情報は、企業登録証明書に記載されているため、当該証明書の内容を変更しなければなりません。
一人有限会社の法的代表者交代に必要な書類は下記のとおりとなります。
1 法的代表者の変更報告書(会社の出資者または親会社代表者の署名および社印の捺印が必要)
2 会社の出資者の法的代表者変更についての意思決定を記した書面
3 法的代表者候補の有効期限がある身分証明書の写し
・ベトナム国籍の者:身分証明書あるいはパスポート
・外国人:公安より発行される居住証明書、労働許可証の写し(要公証)、パスポート
4 企業登録証明書の原本
提出部数は各1部となり、提出先は投資計画局の経営登録室となります。所要期間は法律上3日営業日以内とされていますが、実務上1~2週間程度かかります。
また、特に駐在員事務所に限り、「60日ルール」というものが存在し、駐在員事務所の前代表者より新代表者に代わってから60日までに当局へ申請を行う必要があります。流れは下記の通りとなります。
1-1 申請書の準備 (ベトナム側)
1-2 必要書類の準備 (親会社の所在地の国)
2 税務局へ必要書類提出 及び 税務調査
3 商工局へ必要書類の提出 ← 60日ルールの制限
4 新代表者の税務手続き
注意点としては、会社の経営状態や変更する新代表者の状況によっては、手続に時間がかかるケースおよび追加書類が求められるケースもあります。
なお、外国人が法的代表者となる場合は、上記必要書類のNo.3の公安より発行される居住証明書(レジデンスカード)が必要となり、実際にベトナムで賃貸契約を結び、居住をしている必要があります。
法的代表者が居住者でない場合、直近の個人所得税申告書の提出が求められることがございます。
また、賃貸物件の所有者(大家)によっては対応ができない場合があるため、賃貸物件を決定する際にあらかじめ確認が必要となります。
新代表者が現地雇用の場合、雇用契約書への署名は同一人物での署名は不可となりますが、法定代表者が委任状を用いて他の社員へ委任することにより、法的効力のある契約書とすることが可能となります。
■参考文献
・株式会社国際協力銀行(JCIC)「ベトナムの投資環境」2019年12月
・JETRO
・日本アセアンセンター
・企業法(法第68/2014 / QH13)
・JICA 法・司法制度改革支援プロジェクト
・2020年企業法(法律番号 59/2020/QH14)