設立
※ 本要約はAIが本章の内容のみをもとに自動生成しています。正確な内容は本文をご確認ください。
進出形態の種類
■投資形態
ベトナムでビジネスをするためには事業拠点を設置する必要があ り、主に4 つの形態があります。2020 年投資法(以下、投資法)21 条には、主に以下の投資形態が規定されています。また、下記の直接 投資とは別の進出形態として、駐在員事務所と支店もあります。これ らの中で最も一般的な投資形態・進出形態は、現地法人および駐在員事務所になります。
支店での進出は、資本金規制がある金融機関など一部の業種に限ら れています。
■現地法人での進出
ベトナム国内に法人を設立する場合、2015年7月施行の企業法(以下「企業法」)に基づいた法人の形態は有限会社、株式会社、合名会社、私営企業の4つがあります。日本企業を含めた外国企業は、有限会社の形態で進出しているケースがほとんどです。株式会社は、最低3名以上の出資者が必要であることなどから一般的ではありません。無限責任を負う私営企業や、合名会社で進出している外国企業はほとんど見られません。有限会社は、社員数が1名である一人有限会社と、2名以上である二人以上有限会社があり、それぞれ機関設計が異なります。いずれの有限会社とも、出資者である社員は法人でも個人でも認められますが、社員の総数が50名を超えることはできません。社員は、企業への出資額の範囲内で、企業の債務およびその他財務義務に対して責任を負います。
■一人有限会社
一人有限会社とは、出資者が1名の有限会社です。最も簡素な機関設計は、出資者を1名選任する方法です。この場合、出資者1名が会長を兼務し、会社の意思決定を行います。出資者を複数選任することもできます。この場合は、出資者は代表して会社の意思決定を行うことになります。出資者兼会長は、通常の業務執行を行う社長を選任します。社長や取締役などが会社の法的代表者、(サイン権者。企業法において複数名設置可能)になりますが、これらの権力をもつ者のうち最低一人はベトナムへ常駐することが義務付けられているため、30日以上ベトナムを不在にする場合は、文書で現地で勤務している者に権限を委任(企業法13条3項、5項)、しなければなりません。
また一人有限会社の場合には、監査役を指名する必要があります。出資者が1~3名の監査役を任命し、監査役は、会社の法令遵守状況を監督します。
■二人以上有限会社
二人以上有限会社とは、出資者が2 名以上の有限会社です。出資者は最大50 名までとされており、それを超えることはできません。出資者全員で構成される社員総会で基本的事項についての意思決定を行 い、業務遂行は社長が行います。
会社の法的代表者は、定款で定めることにより会長または社長を任 命することができます。会社の代表者がベトナムに居住することを求 められる点は一人有限会社と同じです。
2014 年企業法では、出資者が11 名以上の場合には監査役会の設置が義務付けられていましたが、2020 年の企業法では一人有限責任会社、二人有限責任会社のいずれの場合でも、国有企業または国有企 業の子会社である場合を除いて、監査役・監査役会の設置は任意とされます。
■株式会社
株式会社における最低株主数は3名とされていますが上限はありません。株主は組織でも個人でもよく、出資する株式の引受額の範囲内でのみ責任を負うことになります。そして、実際の経営は、委任された経営者が担います。日本で最も馴染みのある会社形態が株式会社です。しかし、ベトナムの株式会社は株主が3名以上必要であることや創立株主は20%以上の普通株式を保持していなければならないので、前述の有限会社と比べて外国企業にとっては現在もなおあまり一般的ではありません。
■駐在員事務所での進出
駐在員事務所は法人や支店と異なり、その活動内容が限定されます。具体的には、本社との連絡業務、事業案件締結の促進、市場調査の実施、ベトナムのパートナーと締結した契約についての履行状況に関する監督業務等を行います。 駐在員事務所は営業活動や売買活動といった営利を発生させるビジネス活動を行うことは認められていません。いわゆる本社の代理人としての活動に限定されます。 駐在員事務所の設立条件として、本国で会社登記後1年以上の事業活動実績が必要です。設立の手続は現地法人と比べると非常に簡素です。また、駐在員事務所の活動期間は最長5年と規定されており、延長する場合は更新の手続が必要となります。更新手続の詳細については『駐在員事務所設立』の章を参照してください。
■支店の進出(外国法人の支店)
支店の活動範囲は設立許可証に記載された活動が主で、条件付投資分野に該当する場合には特別法に定める活動とされています。投資申請時に許可されたものに関しては営利活動を行うことができます。 支店の設立条件として、本国で会社登記後5年以上の事業活動実績が必要です。支店の活動期間は最長5年と規定されており、延長する場合は更新の手続が必要となります。 支店の設置は、実務上、まだ不透明な部分が多く、資本金規制がある銀行などの金融業界および一部の業界に限られています。 なお、ここでいう支店とは外国法人の支店であり、ベトナム現地法人の支店とは異なります。
現地法人設立
■概論
進出形態を決定した後、設立手続に入ります。ここでは、最も多い進出形態である現地法人および駐在員事務所の設立手続について見ていきます。
■現地法人の設立手続
ベトナムでの現地法人の設立手続は、投資登録証明書及び企業登録証明書を取得することにより完了します。
この企業登録証明書が会社の登記手続にあたる手続となります。そのため、企業登録証明書が発行された時点で会社登記が完了し、事業を行うことができます(事業内容によっては営業ライセンスを別途取得する必要有り)
ベトナムで現地法人を設立するに当たって、概要を把握するために全体の流れと必要書類について見ていきます。大きく分けて、日本とベトナムでそれぞれ手続を行う必要があり、それに伴い必要書類も、日本で準備するものとベトナムで準備するものがあります。
ベトナムの行政手続は、地域、担当者、時期により申請書類が異なることがあるため、事前に専門家や当局窓口に確認する必要があります。
■日本での手続
ここでは、親会社が日本の企業である場合について説明します。親会社が日本以外の企業の場合は、その自国で手続を行うことになります。
■必要書類の準備
日本で準備する書類として、次のものがあります。
【投資登録証明書(親会社:日本)】
①親会社の登記簿謄本(発効後3 カ月以内のもの)
②親会社の定款
③直近の監査済財務諸表(ハノイは1 期分、ホーチミンは2 期分) もしくは納税証明書
④親会社の銀行残高証明書(銀行印の押してあるもの、かつ、資本 金額以上の残高が記載されているもの)
⑤親会社の代表者のパスポートのコピー
⑥現地法人の代表者のパスポートのコピー
⑦投資家の会社パンフレット(日本語可)(必要のない場合も多い)
⑧委任状(認証を代行業者に依頼する場合)
■公証役場で認証
上記書類を用意した後、これらの書類がベトナムで法的効力を持つためには、日本の法務局、公証人、外務省の公証がされていなければなりません。それぞれの担当機関にて手続きを行うこともできますが、東京都、神奈川県の場合は公証役場にてすべての機関の手続がワンストップで行うことが可能です。ただし、在日本ベトナム大使館の公証手続は別個に行う必要があります。
なお、公証役場で認証の代理申請を行う場合は、以下の書類が必要となります。
・委任状
印鑑証明に登録された社印(個人の場合は実印)が押印され、印鑑証明に登録されている者の署名がされた公証委任状
・印鑑証明書
委任状に捺印されたものであり、法務局より発行されてから3カ月以内のもの
・登記簿謄本
代理委任者が法人の場合に必要。法務局より発行されてから3カ月以内のもの
・代理人の身分証明書と印鑑
代理人の身元を証明するために必要
■駐日ベトナム大使館で認証
公証役場での認証が完了した書類を在日本ベトナム大使館または領事館で認証する必要があります。英文での提出が望ましいです。、実務上は日本で公証認証したものをベトナム国内で翻訳ができるので、日本語での提出でも問題はありません。なお、公証可能な在日本ベトナム大使館・領事館は下記の3拠点があります。
・駐日ベトナム大使館
郵便番号:151-0062
住所:東京都渋谷区元代々木町50-11
電話:03-3466-3311
E-mail:vnembasy@blue.ocn.ne.jp
・在大阪ベトナム総領事館
郵便番号:590-0952
住所:大阪府堺市堺区市之町東4-2-15
電話:072-221-6666
E-mai:tlsqvn.osaka@mofa.gov.vn
・在福岡ベトナム社会主義共和国総領事館
住所:福岡県福岡市博多区中洲5-3-8 アクア博多4階
郵便番号:810-0801
電話:092-263-7668
E-mail:tlsqvn-fukuoka@mofa.gov.vn
公証はベトナムでもすることができます。その場合、ハノイで公証する場合とホーチミンで公証する場合があります。
ハノイの場合は、在ベトナム日本大使館で公証した後、ベトナム外務省領事局で認証のための公証を行います。
ホーチミンの場合は、在ベトナム日本領事館で公証をした後、ホーチミン市外務局領事室で認証のための公証を行います。
公証作業が終了したあとは、これら①~⑧の書類をベトナムに送り、ベトナムでの手続に入ります。
■ベトナムでの手続
■ 日本で作成したIRCとERCの翻訳・公証
日本で準備した①~⑧の書類をベトナム当局に提出するためには、書類をベトナム語に翻訳し、再び公証する必要があります。ベトナム語への翻訳は、政府が指定する翻訳機関で行う必要があります。政府の認可を受けていない機関での翻訳の場合、効力はありませんので注意が必要です。
政府認可の翻訳機関に依頼する場合に要する日数は、通常1~2週間ほどで、当該翻訳機関にて書類の公証を行うことが可能です。
■ 申請書類の作成
続いて、申請書類の作成をします。日本で用意した書類(①~⑧)とは別にベトナム当局に申請する書類を作成する必要があります。このプロセスが最も重要で、工数がかかります。申請書類や定款などの記載内容を誤ると投資登録証明書取得後の事業や資金繰りに大きく影響するため、十分な注意が必要です。
IRC 申請書類(ベトナム)
・投資プロジェクト実施申請書
・投資家の資格を確認するための証明書類
・投資プロジェクト提案書
・財務能力を証明する書類(財務支援誓約書)
・賃貸契約書および不動産オーナーの関連書類
・制限技術リストに該当する技術を使用するプロジェクトの場合、 技術使用に関する説明書
・BCC投資形態による投資の場合、BCC契約書
・委任状
ERC(企業登録証明書)申請書類(ベトナム)
・企業登録申請書
・現地法人定款
・二人以上有限会社の場合、会社の社員リスト
・株式会社の場合、発起株主および外国人投資家である株主のリス ト
・投資家の証明書類
・投資登録証明書
上記はベトナムで用意する一般的な書類です。申請書類を英語などの外国語で作成して提出することも可能ですが、その際は同時にベトナム語訳も提出する必要があります。ベトナム語と外国語の各書類の内容に齟齬がある場合は、ベトナム語訳が優先されます。
業種によっては、その業種の専門性を示す資格証明書や日本での実績を示す契約書・請求書などを根拠資料として追加で提出を求められることがあります。
[ ベトナム法人設立の申請書]
申請用紙には、親会社の情報をはじめ、新会社設立に関するあらゆ る情報を記載します。
以下は日本語を併記したベトナム語の現地法人の申請フォームで す。実際の申請時は、ベトナム語のみとなります。
【現地法人設立申請書のフォーム(ベトナム語 / 日本語併記)】
書類準備の際の注意点としては、以下の通りです。
[新設会社の定款ドラフト]
定款の内容は、ベトナムの法律に反しない範囲で記載することができます。ただし、定款には必ず記載しなくてはならない絶対的記載事項というものがあり、少なくとも以下の内容を有限会社の定款に記載する必要があります(企業法24条)。
[全法人形態に共通する定款絶対的記載事項]
・有限会社の場合は所有主または発起出資者の氏名、住所、国籍および基本的特徴。株式会社の場合は発起株主の氏名、住所、国籍および基本的特徴。合名会社の場合は合名出資者全員の氏名、住所、国籍および基本的特徴。
・有限会社および合名会社の場合は各出資者の出資率および出資額。株式会社の場合は発起株主の購入する株式数、株式の種類、株の額面、上場される種類別の株数
・有限会社および合名会社の場合は社員(出資者)の権利および義務。株式会社の場合は株主の権利および義務
・有限会社および株式会社の場合は法的代表者
・合名会社の場合は合名出資者全員の氏名と署名。有限会社の場合は会社の法的代表者、会社の所有主、出資者全員または委嘱代表者の氏名と署名。株式会社の場合は会社の法的代表者、発起株主全員または発起株主の委嘱代表者の氏名と署名
全法人形態に共通する別定款絶対的記載事項
・本社、支店、駐在員事務所(あれば)の名称および所在地
・業務内容
・事業内容
・法定資本、法定資本の増資・減資の方式
・管理組織機構
・決定の承認手続、会社内に発生する紛争解決の原則
・管理人および監査役会のメンバーまたは監査役の給与、報酬と賞与を計算する根拠・方法。株式会社の場合は取締役員、社長および監査役の給与、報酬と賞与を計算する根拠・方法
・出資者または株主が、自らの出資率(有限会社)または株式(株式会社)の買い戻しを会社に要請する場合の取り決め
・税引き後利益の分配および損金の分担に関する原則
・企業解散、解散手続および資産の清算手続
・定款の改正・追加手続方法
定款作成時の注意点として、資本金を現物出資で準備する場合は、定款にその旨を記載する必要があります。記載がないと資本金のすべてが現金出資になってしまいます。また、決算月は、設定をしないと自動的に12月になってしまうので、決算月を12月以外に設定する場合も、その旨を記載する必要があります。ただし、12月以外の決算月は、3月、6月、9月のいずれかとなり、それ以外の月は認められません。定款作成後に決算月を変更するのは、財務省等への登録手続が必要になるため、あらかじめ決算月を決めておくのが無難です。
[不動産賃貸契約書]
不動産賃貸契約書を申請時に提出します。そのため投資登録証明書の取得前にオフィスまたは工場用地を確定させる必要があります。賃貸契約締結から投資登録証明書取得までの期間が長くなれば、その間は空家賃が発生することには気を付ける必要があります。
賃貸契約が6カ月以上で、物件のオーナーが不動産賃貸業者ではない場合、賃貸契約書の認証が必要となります。また、物件オーナーが個人の場合は、個人事業主として公安局および税務署などの関連機関に登録を行う必要があります。登録を行っていない物件オーナーの場合は登記を行うことができません。また、不動産の大家の土地権利書、営業許可書等に記載される内容と、設立される現地法人の事業内容は一致していなければなりません。原則として、コンサルティング業を営むオフィスを、工場用地に登記することはできません。
ベトナム法人の代表者のベトナムでの住所も申請書類に記載するため、事前に代表予定者の住居を確定させる必要がありますが、実際は、日本の住所であっても指摘を受けないことが多いです。代表者が住居の賃貸契約書を提出する義務はありませんが、投資登録証明書に記載されることになります。
[関係者のパスポート]
親会社の代表取締役、ベトナム現地法人の代表取締役および取締役のパスポートは公証人の認証を受ける必要があります。
■書類の提出・申請~IRC(投資登録証明書)の取得
すべての書類が揃った後は、当局に書類を提出します。提出先は、管轄の投資計画局または工業団地管理委員会です。ベトナムの規則では、書類を提出してから投資登録証明書の取得まで所有日数は15~45日となっています。工業団地内の製造業であれば通常の日数で投資登録証明書を取得することが可能ですが、製造業以外の業種は、予定どおりに取得できることは稀で、投資登録証明書の内容によっては取得までに半年以上かかることもあります。
■ ERC(企業登録証明書)の手続
投資登録証明書の取得後に企業登録書の取得手続を行います。法令上は申請から3日で取得完了とされていますが、実務上はそれ以上の時間を要することが多いです。
■ IRC及びERC取得後の手続
以前は、公安局にて、投資許可証取得直後に会社印および印鑑登録 証明書を 取得していましたが、新会社法により管轄が公安局から投資局に変わりました。会社は会社印の様式を自由に決めることができ
(会社印として相応しい必要があります)、会社印の作成後に投資局に登録を行います。
[納税者番号の取得・登録]
企業登録証明書発行後、10日以内に管轄の税務署にて納税者番号を取得し、登録を行い、税務登録証明書を取得します。
[会社設立の公告]
投資登録証明書の取得後、計画投資局管轄のポータルサイトにて会社設立の告知を行います。告知する内容は、会社名、住所、事業内容、資本金額、投資者、ベトナム法人代表者等の情報です。
[会社印の作成]
以前は、公安局にて、投資許可証取得直後に会社印および印鑑登録証明書を 取得していましたが、新会社法により管轄が公安局から投資局に変わりました。会社は会社印の様式を自由に決めることができ(会社印として相応しい必要があります)、会社印の作成後に投資局に登録を行います。登録は、ポータルサイトで行い、ウェブ上で印鑑証明を確認できます。登録後に、印鑑のサンプルの掲載完了の通知書を取得できます。
[銀行口座の開設]
定款に記載した資本金を振込むため、会社設立後ただちに銀行口座を開設する必要があります。また、資本金を預けるための口座とは別に取引用の口座を開設します。資本金の口座と取引用の口座は通常分けるものとされていますが、銀行によって対応が異なるため、取引を予定している銀行に事前に確認する必要があります。銀行口座開設に必要な書類の例として下記のようなものがあります。
・銀行口座開設申込書
・投資登録証明書、企業登録証明書のコピー(要認証)
・納税者番号証明書のコピー
・印鑑証明書のコピー
・代表者のパスポートのコピー
・チーフ・アカウンタント(会計主任)の任命書
※1 インターネットバンキングにつきまして、銀行にもよりますが承認者は複数者の登録/設定可能となり、現地代表者に加えて日本法人の代表の利用も可能となります。
※2 口座名義人につきまして、ERCに記載の法定代表者以外の方を口座名義人として登録する場合、法定代表者からの任命書(委任状)が必要となります。
口座名義人を日本側親会社の代表にすることも可能となりますが、各種銀行手続きに口座名義人 および Chief Accountant (財務担当者)の署名 および 会社印捺印が必要となりますので、通常、日系企業の場合、口座名義人は、現地の法定代表者が実務上一般的となります。
[資本金の振込]
有限会社は、会社設立後90日以内(企業登録証明証に記載されている設立日から))に資本金を振込まなければなりません。
[事業登録税の支払]
2020 年に新政令が発表されました。以下が詳細となります。
2020 年2 月25 日以降に新規設立した会社はERC(企業登録証明書)の日付から1 カ月以内の事業登録税が免除。
・個人事業主からSME(中小企業)に移行した場合は、3 年間のベトナム事業登録税が免除。
・学校などの教育機関は事業登録税が免除
・会社が稼働していない場合事業登録税が免除
新規設立の会社は、翌年の1月末から払います。例えば、2020 年2 月26 日に設立した会社は、2021 年の1 月31 日まで事業登録税を申告します。
【事業登録税(製造、販売、サービス業を営む組織の場合)】 | ||
進出形態 | 投資額 | 年間事業登録税額 |
現地法人 | 100億VND超 | 3,000,000VND |
100億VND以下 | 2,000,000VND | |
支店、駐在員事務所、その他事業拠点等 | – | 1,000,000VND |
【事業登録税(製造、販売、サービス業を営む個人・家族経営の場合)】 | |
年間収益 | 年間事業登録税額 |
5億VND超 | 1,000,000VND |
3億超~5億VND以下 | 500,000VND |
1億超~3億VND以下 | 300,000VND |
[VAT(付加価値税)インボイスの購入]
ベトナムにはVATインボイスと呼ばれる領収書兼請求書が存在します。これは政府指定の領収書兼請求書となり、これがないと税務上の損金計上ができないという厳格なルールが あります。過去には紙のインボイスが使用されていましたが、2022年より電子化が義務化されました。指定の業者よりインボイスソフトを購入し、売上が発生したタイミングで発行をする必要があります。
[会計年度の通知、会計システムの登録など]
会社設立の後、以下について税務署に通知、登録する必要があります。
・会計期間
・固定資産の償却方法
・棚卸資産の記録方法
・会計方針
・仕訳帳の様式の選択
・使用予定の会計ソフト
[雇用契約書の作成]
従業員を雇用する際には雇用契約書を作成する必要があります。
[就業規則の作成]
従業員が10名以上の会社は、就業規則の作成および人民委員会労働局への登録が義務付けられています。
[日本人従業員の労働許可証の取得]
日本人従業員がベトナムで働くために労働許可証が必要です。労働 許可証の有効期間が2 年を超えない期間と変更されています。
[レジデンスカードの取得]
外国人がベトナムに住むためにはレジデンスカードを取得する必要があります。レジデンスカードの有効期間は労働許可証の有効期間内と規定されているため、最長2年です。なお、本カードを取得するには、あらかじめ労働許可証を取得しておく必要があります。
[個人所得税の登録]
個人所得税を納付するためには個人の納税者番号が必要です。ベト ナムで前職がある場合は、過去の納税者番号を継続して使用すること ができますが、新規にベトナムで就業する場合は、必ず取得する必要 があります。この番号を取得していないと累進課税が適用されず、税 率が20% となってしまいます。
[スタッフの社会保険登録]
ベトナム人スタッフを採用する際には、社会保険および健康保険に 加入させる必要があります。また、以前までは、ベトナム人スタッフ が10 名以上の場合は失業保険の加入義務がありましたが、2015 年1 月1 日より失業保険は季節労働者を含む3 カ月以上の雇用契約を結ぶ場合加入が必須になりました。給与発生の翌月から、毎月申告しな ければなりません。毎月社会保険事務所に社会保険料を納付します。 ベトナムでは、会社設立後もさまざまな手続があり、この多くが税金や会計に関連します。不備があるとペナルティを科されることがあるため、専門家に相談して確実に手続を完了する必要があります。 なお、上記とは別に定期的な業務として、毎月(もしくは四半期)のVATの申告、毎月(もしくは四半期)の個人所得税の申告および確定申告、毎四半期・毎年次の法人所得税の申告、毎年度末の監査を受ける必要があります。各種税金に関する詳細は8 章「税務」で説明します。
【世界遺産ホイアン】
ベトナムには世界遺産であるホイアン(HoiAn)という都市があります。ホイアンは、ベトナム中部の中核都市であるダナンから南に30㎞に位置する人口12万人ほどの古い港町で、1999年に世界遺産に登録されました。観光客は近年2018年には500万人が訪れ、海外からは380万人訪れたと推定されています。ホイアンの観光地としてのブランドは上がっており、ASEANクリーンツーリズムシティ賞を受賞したり、多くのホテルがワールドラグジュアリーホテル賞、ガイド賞、ベトナムで最高の4つ星を獲得、最も環境にやさしい高級ホテル賞などなど多くの賞を獲得するなど、世界で最も魅力的な15の都市のひとつとしてとても注目されています。
ホイアンは、日本とも関係が非常に深く、17世紀初めには江戸幕府との朱印船貿易が盛んでした。当時、ホイアン内には、大規模な日本人街が形成され、最盛期には1,000人ほどの日本人が住んでいたといわれています。象徴的なのは、当時日本人が建設したといわれる橋が今でも残っており、世界遺産としてホイアン観光の名所となっていることです。その橋は、来遠橋(日本橋)と呼ばれる屋根つきの橋であり、ベトナムの紙幣にも描かれています。
400年以上も前に日本人が建設したとされる橋が現存するという話を聞くと、昔から日本人のモノ作りの技術の高さが窺われます。
※1 投資登録証明書取得は法律上15営業日となっています。実務上、遅れる傾向があります。
※2 企業登録証明書取得は法律上3営業日となっています。実務上、遅れる傾向があります。
※3 2015年7月に投資法の改正があり、上記の通り変更となっています。
【設立前に親会社が現地法人設立のために支払う経費の処理方法】
ベトナムで現地法人を設立する際はさまざまな経費が発生します。たとえば、不動産賃貸料、内装工事費、コピー機などの備品、コンサルティング会社に支払うコンサルティングフィー等があります。これら経費は、子会社設立前は親会社から支払うことになります。
ベトナムでは、厳格な領収書兼請求書のレッドインボイス制度というものがあり、子会社名義のレッドインボイスがないと、経費が税務上の損金になりません。会社設立前はベトナムに会社がないため、この子会社名義のレッドインボイスを取得することができません。
それでは、現地法人(子会社)設立前に親会社が子会社のために立て替えた経費を子会社に負担させるためにはどうすればよいでしょうか。
このような場合には、以下の手順により処理をします。
1 設立前に発生した経費のレッドインボイスならびに契約書は、親会社名義で作成して、設立後に修正してもらう必要があります。子会社設立後にその経費を関係会社未払金とし、子会社の帳簿の負債科目に計上します。
2 親会社に返済するために、関係会社未払金を銀行にて海外送金(※)する
3 海外送金完了後、子会社の帳簿の負債科目として計上されている関係会社未払金を、預金科目で相殺する(仕訳例:関係会社未払金/預金)
※ベトナムは恒常的に貿易赤字国であるため、海外送金に対しての規制が厳しく、さまざまな書類を準備する必要があります。親会社の外国投資家としての資本参加によって、親会社の外国資本の比率の方が51%以上になったら、外国直接投資企業とみなされるので、間接投資口座IICAを現地に開設しなければなりません。。
※外貨管理規定 Circular No.06/2019/TT-NHNN
親会社が子会社のために支払った内装工事費を返済する場合を例に、海外送金時に銀行より求められる書類としては下記のものがあります。
・親会社名義の内装工事費のレッドインボイス(内装工事業者→親会社)
・親会社名義の内装工事費の契約書(親会社⇔内装工事業者)
・親会社が立て替えていることを証明する銀行の送金書類(親会社→内装工事業者)
・親会社が立て替えていることを証明する合意書(親会社⇔子会社)
・親会社が子会社に支払を依頼するデビットノート(親会社→子会社)
以上の書類のうち、合意書とデビットノートは原本でなければなりませんが、それ以外の書類はコピーでも問題ありません。ただし、銀行によって対応が異なるため、取引先銀行に確認しながら書類の準備をする必要があります。
駐在員事務所設立
■概論
ベトナムにて、駐在員事務所を設立するためには、ベトナムの商工省で、設立許可証を取得する必要があります。これにより、ベトナムで駐在員事務所としての活動を開始させることができます。駐在員事務所設立時には、日本とベトナムでそれぞれ手続が必要です。駐在員事務所設立の全体的な流れは現地法人の設立のときと同様です。
■日本での手続
■必要書類の準備
日本で親会社が用意する書類として以下のものがあります。
・登記簿謄本(発行後3カ月以内のもの)
・定款(必要ない場合もある)
・決算書(通常は1期分)
・納税証明書(必要ない場合もある)
・銀行残高証明書(必要ない場合もある)
・代表予定者のパスポートのコピー
ベトナムの行政手続は、地域、申請先の担当者、申請する時期により申請書類が異なります。事前に専門家、当局窓口に確認する必要があります。
■公証役場での認証
書類認証時の手続は現地法人設立時と同様です
■駐日ベトナム大使館での認証
駐日ベトナム大使館で認証を受ける際の手続は、現地法人設立時と同様です。
■ベトナムでの手続
■日本で作成した書類の翻訳・公証
現地法人設立時と同様、政府指定の翻訳機関で翻訳を行い、合法化する必要があります。
■申請書類の作成
ベトナム当局に申請する書類は以下のとおりです。
・駐在員事務所設立の申請用紙
・役員会議決書(親会社の駐在員事務所設立の決議書)
・任命状(駐在員事務所代表者の任命状)
・オフィスの賃貸契約書(ベトナムの不動産会社との契約書)
現地法人の設立と同様、書類はすべてベトナム語で作成する必要があり、いずれも親会社の代表印および署名が必要となります。ただし、現地法人設立時に比べて、書類の種類は少ないです。
英訳(またはその他の外国語訳)した書類を提出することも可能ですが、その場合でも必ずベトナム語訳した同一書類を提出する必要があります。両言語の書類に齟齬がある場合は、ベトナム語訳が優先されます。
■書類の提出・申請~設立許可証取得
申請用紙一式は所轄の商工局(Department of Industry and Trade)に提出します。規則上は、書類が受理 されてから15 営業日程度で設立許可証を取得できることになっていますが、現地法人設立時同様、取得予定日よりも遅れる可能性がある ため、1 カ月ほど余裕をみるのが無難です。
■設立許可証取得後に必要な手続
設立許可証を取得した後も多数の手続があります。いずれの手続国法人の駐在員事務所に義務付けられているものであり、不備があるとペナルティを科せられることがあります。
[会社印の作成]
公安局にて、設立許可証取得直後に会社印および印鑑証明書を約5営業日で取得します。
[納税者番号の取得・登録]
設立許可証取得後、10日以内に管轄の税務署にて納税者番号を取得し、登録を行い、税務登録証明書を取得します。
[事務所設立の公告]
設立許可証取得後45 日以内に、新聞または電子新聞にて駐在員事務所設立の告知を3 回行います。告知する内容は、会社名、住所、事業内容、資本金額、投資家、ベトナム法人代表取締役等の情報です。
[ 銀行口座の開設]
銀行口座開設時の基本的な手続は現地法人設立のときと同様です が、必要な書類等は銀行によって対応が異なるため、事前に確認する 必要があります。
[活動開始報告書の作成]
駐在員事務所設立後45日以内に、開業した旨を商工省に届け出る必要があります。また、毎年同様の活動報告を文書にて提出する必要があります。
[雇用契約書の作成]
従業員を雇用する際には、雇用契約書を作成する必要があります。
[就業規則の作成]
従業員が10名以上の事務所は、就業規則の作成および人民委員会労働局への登録が義務付けられています。
[日本人従業員の労働許可証(ワークパーミット)の取得]
日本人従業員がベトナムで働くために労働許可証が必要です。労働 許可証の有効期間は2 年を超えない期間となっています。
[レジデンスカードの取得]
外国人がベトナムに住むためにはレジデンスカードを取得する必要 があります。レジデンスカードの有効期間は労働許可証の有効期間内 と規定されているため、最長2 年です。なお、本カードを取得するには、あらかじめ労働許可証を取得しておく必要があります。
[個人所得税の申告]
毎月の申告および年度末に確定申告を行う必要があります。
【駐在員事務所の延長手続】
商社等の業種を中心にベトナムには、駐在員事務所の形態での進出が多くなっています。ただし、駐在員事務所の設置許可書には設置の期限が設けられています。設置許可期限は最長5年であるため、延長する場合は5年が経過する前に手続を行う必要があります。
延長申請に必要な書類は下記となります。
①駐在員事務所の設立許可書(原本)
②親会社の監査済決算書もしくは納税証明書(要公証)
③駐在員事務所の延長申請書
④駐在員事務所の活動報告書(過去5年分)
延長の申請は、駐在員事務所設立許可書の満期の30日前までに行わなければなりません。延長申請が遅れると、数百USドル相当の罰金が
科せられることもありますので注意が必要です。
④について、駐在員事務所は年に一度商工省に前年度の活動報告を行う義務があり、過去の提出済の活動報告書となります。報告書の提出を失念した場合は、罰金を科せられる可能性があるため注意が必要です。
日本で用意する公証書類やその翻訳、日本からベトナムへの書類の郵送に要する時間などを計算に入れた上で、スケジュールに余裕を持って準備されることをお勧めします。
書類が不備なく提出できれば、当局が書類を受理後、約7営業日で許可証が発給されます。
【駐在員事務所の閉鎖手続】
ベトナム進出への足掛かりとして駐在員事務所を設立するケースがある一方で、調査目的での設立例も見られますが、いずれも原則営業活動を行ったり契約主になったりすることができません。そのため、ベトナムでのビジネスにある程度可能性が見えた時点で現地法人を設立し、それにより駐在員事務所が不要になるか、ベトナムでのビジネスに可能性が見えない場合は、駐在員事務所を閉鎖することになります。その際には閉鎖手続が必要です。
閉鎖手続において駐在員事務所の所長と現地法人の代表は兼務することができません。また、商工省の駐在員事務所の納税管理を行う部署がありますが、閉鎖手続中、税務監査を受ける必要があります。
駐在員事務所の閉鎖手続は、以下のとおりです。
①駐在員事務所の閉鎖通知書を商工省に提出
②個人所得税等の税務処理※1
③新聞(全国紙)による駐在員事務所閉鎖の通知※2
④駐在員事務所の閉鎖申請書を商工省に提出
※1こちらは税務署ではなく、商工省内で手続を完了させることができます
※2連続する3発行日に、閉鎖を通知します
最大のポイントは税務監査です。特に外国人駐在員の個人所得税の処理については、非常に詳細に調査が行われます。また、駐在員事務所の費用については、仕入VATの控除が不可能であるため、駐在員事務所の運営上計上した費用の支払に対してVATを支払っていなかったことにより指摘を受けるというケースも発生します。
ベトナムから完全に撤退する際によくあるのが、駐在員事務所の閉鎖手続を行わずに、そのまま放置してしまうケースです。過去にこのような事例があると、次回ベトナムに進出する際に、当局より指摘を受け、進出が難しくなる可能性があります。よって、駐在員事務所が不要になる場合は確実に閉鎖手続を行う必要があります。
現地法人の支店設立
現地法人の支店の設立手続は簡素であり、比較的容易に許可を得ることができます。支店設立の申請先は管轄の投資計画局または工業団地、輸出加工区、ハイテク地区などとなります。必要書類は下記のとおりです。
・支店設立の申請書
・支店設立の出資者の決定書
・支店設立の出資者会議の議事録
・現地法人の定款のコピー(要公証)
・現地法人の投資登録証明書のコピー(要公証)
・現地法人の直近の監査済決算報告書
・現地法人の活動実施報告書
・支店長の辞令
・支店長のパスポートのコピー(要公証)
・事務所の賃貸契約書
通常は書類に不備がなければ、当局に提出してから1カ月ほどで設立許可証を取得できます。支店設立後は現地法人、駐在員事務所と同様に支店印の取得、事業税の支払、納税者番号の取得、支店設立の公告などを行う必要があります。
拠点設立時の注意点
■提出書類のベトナム語翻訳
日本で準備した書類の翻訳は、政府指定の翻訳機関で翻訳する必要があり、通常はベトナム公証役場に持ち込めば、翻訳と認証をセットで行ってもらえます。翻訳にかかる費用は通常1ページ当たり約6USドルからで、期間は2週間ほどかかります。
■申請書類提出前の確認点
法人設立時、作成した申請書、定款ドラフトなどの内容が、会社設立後の運営や資金繰りに大きく影響します。ベトナム語で作成された書類の中身を日本人責任者がよく確認せずに申請してしまい、後から問題になることがあります。
たとえば、決算の時期、資本金の内容、登録資本金の額などの確認が十分でなかったがために「決算月は12月、資本金は現金で全額支払」と処理されてしまったという例もあります。
登録資本金は、払込資本金とは別枠で設定しておけば増資の手続が容易になります。
実際に効力を持つのはベトナム語の書類であるため、ベトナム語の記載内容が正しいかどうかを入念にチェックする必要があります。
■アンダーテーブルへの対応
ベトナムは、なにかと賄賂を要求されることが多い国です。ソフトウェア開発や製造業など、投資登録証明書の取得が比較的容易な業種以外は、アンダーテーブルを要求されることがあります。当然、領収書が発行されないアンダーテーブルなどは支払うべきではありませんが、
アンダーテーブルが支払われるまで、手続が後回しにされ、投資登録証明書の手続を意図的に遅滞させるといった悪質な例もあります。また、こちらがベトナム語が堪能でないことを利用して、アンダーテーブル欲しさに、架空の書類不備を指摘してくることもあります。アンダーテーブルへの対応は、無理に自社で処理しようとはせず、現地の事情に精通した専門家に任せることが賢明です。
■現地法人代表者の常駐義務
現地法人の法的代表者は、ベトナムに常駐する必要があります。日本人を代表者にする場合は、ベトナムの居住者でなければなりません。代表者がベトナムを30日以上離れる場合は、文書で代理人を任命します。また、申請時に法的代表者のベトナムでの住所を記載する必要がありますが、住居の賃貸契約書の提出義務はありません。
代表者は必ずしも日本人である必要はなく、ベトナム人でもかまいません。現地人スタッフを必ず採用しなければならないというルールはないため、代表者のみによるオペレーションも可能です。
■テト正月(旧正月)前後の申請
ベトナムは、通常、2月の中頃にテト正月があり、すべての行政機関が長期休暇に入ります。その時期は正月の準備のため、役人が役所を留守にするため、手続が遅れがちです。また、正月の準備には費用がかかるため、多額のアンダーテーブルを要求されることがあります。
■コンサルティング会社等への業務委託
現地法人や駐在員事務所の設立時に代行業者やコンサルティング会社に依頼する場合は、どこまで業務委託が可能であるかを明確に取り決めておく必要があります。これを曖昧にすると、後になってトラブルになりかねません。
参考文献
ベトナム観光省
ジェトロ「ベトナム進出に関する基本的なベトナムの制度――外国企業の会社 設立手続き・必要書類」2018年 12 月 14 日